- 派遣の契約満了で辞めたら、会社都合になるの?自己都合になるの?
- 満了のあと1か月待たないと失業保険はもらえない、と聞いたけれど本当?
- 派遣会社から次の仕事を紹介されなかったら、扱いはどう変わる?
- 契約の途中で辞めたら、失業保険はいつから出る?
- 派遣先から急に契約を切られた。自己都合にされないか心配
- 派遣会社をいくつか移ってきた。働いた期間は足せるの?
- 結局、何日分もらえて、いくらになるのか知りたい
- 満了日までに、何を残しておけばいいのか分からない
上記のような悩みに答えます。
派遣の失業保険は、毎日通っていた派遣先ではなく、雇用契約を結んでいる派遣元(派遣会社)との契約がどう終わったかで決まります。検索の上位には派遣会社自身の解説が並びますが、満了日までに次の指示が無かったときの確かめ方は薄いままです。しかも「派遣は満了後1か月待つと会社都合になる」と言われることがありますが、いまの要領や厚労省の資料にそう書いた文は見当たりません。そこで、受給資格・離職理由の区分・給付制限という基本を押さえたうえで、契約満了が4つの場合に分かれる読み方、「満了日までに派遣元から指示があったか」の確かめ方、複数の派遣会社をまたいだ期間の数え方まで、雇用保険法の条文と厚生労働省・ハローワークの資料で確かめながら整理しました。
派遣の失業保険は、派遣元との雇用契約がどう終わったかで決まります。契約満了で本人が次の派遣を希望したのに、満了日までに派遣元から次の派遣の指示が無かった場合は、条件によって特定受給資格者か特定理由離職者になり、給付制限は付きません(2026年10月時点)。本人の都合で途中で辞めた場合は、自己都合として原則1か月の給付制限が付きます。
離職理由で給付日数と受け取り始めがどう変わるかは、失業保険の計算ツール で自分の年齢・期間・月収を入れて比べられます。
2026年10月時点の制度で確かめています
派遣の失業保険は契約の終わり方で決まる

派遣で働いた人の失業保険(基本手当)は、派遣元との雇用契約が「期間の満了で終わったのか」「途中で終わったのか」「誰の意思で終わったのか」で、離職理由の区分と給付制限が分かれます。派遣先との関係で決まるのではありません。
厚生労働省の資料は、派遣労働者と雇用契約を結ぶ雇用主は派遣会社(派遣元事業主)で、派遣先は指揮命令をする立場だと説明しています。雇用主は派遣元です。働いていた場所は派遣先でも、失業保険の上では「派遣元を辞めた人」として扱われる、と考えると整理しやすくなります。
出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「派遣先の皆様へ」
| 終わり方 | 離職理由の区分の目安 | 給付制限 |
|---|---|---|
| 満了・次の派遣を希望したのに満了日までに指示なし | 特定受給資格者か特定理由離職者(条件しだい) | 付かない |
| 満了・本人が更新を希望しなかった | 上の区分の条件には当たらない | パンフレットは契約期間満了を給付制限の対象に挙げていない |
| 途中で本人の都合で辞めた | 自己都合 | 原則1か月(2025年4月1日以降の退職) |
| 途中で派遣元から解雇された | 解雇(重責解雇を除く) | 付かない |
出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」・厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」50305・50305-2
厚労省のパンフレット「離職されたみなさまへ」は、解雇・定年・契約期間満了で離職した人は、待期7日が過ぎたあとに支給の対象になり、自己都合・懲戒解雇で離職した人は、待期7日に加えて給付制限が過ぎてから、と書いています。給付制限の根拠は雇用保険法33条で、対象を「自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合」としています。
表の区分は目安で、どれに当たるかを決めるのはハローワークです。パンフレットは、離職理由の判定を、事業主の主張と離職者の主張を把握し、それぞれを確認できる資料で事実を確かめたうえで、最終的にハローワークが行う、と書いています。派遣元が離職証明書に書いた理由がそのまま決まるわけではありません。
たとえば、派遣先から「今月で契約を終わりにしたい」と言われた人も、その時点ではまだ派遣元との雇用契約は残っています。派遣元がそのあと次の派遣を指示したのか、雇用契約を満了で終えたのか、途中で解雇したのかで、表のどの行に入るかが変わります。派遣先の一言だけで「自分は自己都合だ」「会社都合だ」と決めないほうが安全です。
迷ったときは、自分の終わり方を「満了か途中か」「誰が終わりを言い出したか」の2つで表に当てはめてみてください。満了の人は次の項目の4つの場合で、途中の人は下の「途中で辞める・派遣切りにあう場合」で、もう一段細かく見ます。
契約満了は4つの場合に分かれる
有期の雇用契約が満了で終わったとき、ハローワークの業務取扱要領は、更新の希望の有無や契約時の約束によって、特定受給資格者・特定理由離職者・どちらにも当たらない、に条件を分けています。下の4つは、要領の書き分けを編集部が並べ直した整理で、個々の判定はハローワークが行います。
| 場合 | 条件(要領の言葉を短くしたもの) | 区分 |
|---|---|---|
| 1 | 1回以上更新され、継続して3年以上雇われ、本人が更新を希望したのに更新されなかった | 特定受給資格者(ト) |
| 2 | 契約時に更新や延長が明示されていた(口頭の共通認識を含む)のに、本人が希望しても更新されなかった | 特定受給資格者(チ) |
| 3 | 更新の明示も合意も無かったが、本人が満了日までに更新を申し出たのに合意が成立しなかった | 特定理由離職者 |
| 4 | 本人が更新を希望しなかった | 上の3つの条件には当たらない |
出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」50305ロ(ト)(チ)・50305-2イ
場合1の「希望していたにもかかわらず」について、要領は、労働者が本人の申し出により契約更新を希望しない場合を除き、これに当たるものと解されると書いています。派遣労働者については、一定の要件を満たす場合に限り、派遣先に直接雇用された期間を派遣元に雇用されていた期間に通算して判断する、ともあります。要件は細かいので、派遣先で直接雇用されていた時期がある人は、手続きのときにハローワークで確かめます。
場合2と場合3の分かれ目は、更新の約束がどこまであったかです。要領は、雇入通知書などに「契約の更新が有る」と書かれていても、更新の確約が無い場合は場合2には当たらない、としています。その場合でも、本人が満了日までに更新を申し出ていれば、場合3の特定理由離職者の条件に入りうる、という書き方です。また、場合1に当たる人は場合2より先に場合1で見ます。
たとえば、同じ派遣元で更新を重ねて4年目に入っていた人が、次の更新を希望したのに満了で終わった場合は、場合1の条件に沿って見られます。一方、雇入通知書に「更新の可能性あり」とだけ書かれていた1年目の人は、場合2ではなく、満了日までに更新を申し出ていたかどうかで場合3に当たるかが分かれます。
編集部の整理では、満了で辞める人が手元で確かめるのは、雇入通知書の更新欄の書き方と、自分が満了日までに更新を希望すると伝えたかどうかの2つです。どちらもハローワークで事実を確かめる材料になるので、書面とメールを残しておきます。
満了日までに次の指示があったか

登録型の派遣で働く人は、「満了日までに派遣元から次の派遣就業を指示されたかどうか」が、満了のときの区分を分ける要になります。満了日を過ぎてからの紹介ではなく、満了日までの指示があったかが要領の書き方です。
要領は、いわゆる登録型派遣労働者について、特定受給資格者(チ)に当たる場合を次のように書いています。次の派遣就業が行われることについて派遣元と派遣労働者の双方が合意・共通認識を持っていたのに、派遣就業に係る雇用契約が終了し、派遣労働者が引き続きその派遣元のもとでの派遣就業を希望したが、雇用契約期間の満了日までに派遣元から派遣就業を指示されなかったことにより離職に至った場合です。
特定理由離職者のほうは、更新や延長について合意形成が無かったけれど、派遣労働者が引き続きその派遣元のもとでの派遣就業を希望していたにもかかわらず、満了日までに派遣元から派遣就業を指示されなかったことにより離職に至った場合、と書かれています。どちらも、本人が続けたいと希望していたこと、満了日までに指示が無かったこと、の2つがそろって初めて当てはまる書き方で、特定受給資格者(チ)のほうは、これに加えて次の派遣就業についての合意・共通認識も要ります。
出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」50305(5)ロ(チ)・50305-2イ
- 派遣元の担当者に、次の派遣も希望すると伝えた日と方法
- 伝えた内容が残っているメール・チャット・書面
- 雇入通知書(就業条件明示書)の契約期間と更新の欄
- 満了日までに派遣元から届いた連絡の有無と中身
- 次の派遣の話が出たなら、その条件と、出たのが満了日の前か後か
要領の「合意・共通認識」や本人の希望は、ハローワークが事実として確かめる事柄なので、日付のある記録が材料になります。
たとえば、満了の2週間前に担当者へ「次もお願いしたい」とメールで伝え、満了日まで何の指示も無かった人は、特定理由離職者の条件に沿って見られる材料です。反対に、担当者から「次は少し待ってほしい」と言われたまま、自分からは何も伝えずに満了日を迎えた人は、希望を伝えたという記録が残っていません。満了日の前に、メールで一度希望を伝えておくだけでも、確かめる材料が変わります。
編集部の整理では、満了の1か月前から満了日までは、派遣元とのやり取りを全部文字で残す期間だと考えておくのが安全です。次の派遣の紹介を受けるかどうかは本人が決めることですが、希望を伝えたかどうかの記録は、決める前に残しておけます。
「1か月待つと会社都合」は今の決まりではない
「派遣は満了後1か月待てば会社都合になる」という説明は、いまの決まりとしては確かめられません。以前は満了後1か月程度は資格を喪失しない取扱いがあり、平成21年3月31日以降の満了からは変わっています。
以前は、雇用契約期間の満了時に次の派遣先が決まっていなくても、派遣労働者が同じ派遣元のもとでの派遣就業を希望していて、派遣元も次の派遣就業を指示する意向がある場合は、満了後1か月程度経過するまで、雇用保険の被保険者資格を喪失しない取扱いでした。この「1か月程度」が、「1か月待つ」という言い方の出どころだと読めます。
厚労省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレットによると、平成21年3月31日以降に雇用契約期間が満了する人からは、派遣元が雇用契約期間の満了までに次の派遣就業を指示しない場合には、派遣労働者が同一の派遣元事業主のもとでの派遣就業を希望する場合を除き、満了時に被保険者資格を喪失する取扱いに変わっています。
出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「派遣労働者の方に関する雇用保険の被保険者資格の取得・喪失手続が変わります!」
| 時期 | 満了時に次の派遣先が決まっていないとき |
|---|---|
| 平成21年3月31日より前に満了 | 一定の場合は満了後1か月程度、被保険者資格を喪失しない |
| 平成21年3月31日以降に満了 | 派遣元が満了までに次の派遣就業を指示しない場合、同一派遣元での派遣就業を希望する場合を除き、満了時に喪失 |
この取扱いは、もともと資格をいつ失うかの話で、離職理由をどう判定するかの決まりそのものではありません。いま離職理由の区分を分けているのは、前の項目で見た要領の条件、つまり満了日までに本人が希望を伝えていたか、満了日までに派遣元から指示があったかです。
たとえば、派遣元から「1か月は次の紹介を待ってください。そのあとなら会社都合になります」と言われた人は、その説明がどの取扱いにもとづいているのかを担当者に聞き、離職証明書の離職理由をどう書く予定かも確かめておきます。待つかどうかは本人が決めて構いませんが、待ったことで離職理由が変わる、という決まりは今の資料には見当たりません。
編集部の整理では、ネットや職場で「1か月待機」の話を聞いたら、平成21年の変更より前の話ではないかを最初に疑います。いま確かめるべきは、満了日までの自分の希望と派遣元の指示のほうです。
受給資格は12か月か6か月
失業保険を受けるには、離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが要ります。特定受給資格者・特定理由離職者に当たる人は、離職の日以前1年間に通算6か月以上あれば足ります。
被保険者期間は、離職日から1か月ごとに区切った期間に、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月を1か月と数えます。11日以上の月が12か月に足りない場合は、賃金の支払いの基礎になった時間数が80時間以上の月を1か月として数えます。契約と契約のあいだに働かない時期があった人は、何か月になるかを離職票の賃金欄で確かめます。
| 区分 | 離職前にさかのぼる期間 | 要る被保険者期間 |
|---|---|---|
| 一般の受給資格者 | 2年 | 通算12か月以上 |
| 特定受給資格者・特定理由離職者 | 1年 | 通算6か月以上 |
そもそも雇用保険に入っていたかは、雇用保険法6条の適用除外で見ます。1週間の所定労働時間が20時間未満の人と、同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれない人には、原則として法律が適用されません。派遣の場合、この「事業主」は雇用主である派遣元です。
派遣元を移ってきた人は、期間の通算の条件が要になります。厚労省のQ&Aは、前の会社を辞めてから、基本手当や再就職手当などの就職促進給付を受けずに、1年以内に次の就職先で雇用保険に加入した場合は、前の会社で加入していた期間も通算される、としています。派遣元が変わっても、この条件を満たしていれば期間を足して見られます。
出典:雇用保険法6条・厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
たとえば、A社の派遣で働いて辞め、失業保険を受けずに次のB社の派遣で働き始め、B社だけでは期間が12か月に足りないまま自分の都合で辞めた人は、A社の期間を通算できれば合わせて12か月以上になり、一般の受給資格者の条件を満たしうる計算です。A社のあと基本手当を受けていたり、B社で加入するまでに1年を超えていたりする場合は、A社の期間を足せないことがあります。足せるかはハローワークで確かめてください。A社の離職票も手元に残しておくと、手続きのときに話が早くなります。
編集部の整理では、派遣会社を何社か渡ってきた人は、各社の在籍期間と、あいだに失業保険を受けたかどうかを一覧にしてからハローワークへ行くと確かめやすくなります。「派遣会社を一年で辞めたらもらえるか」は、1社の期間だけでなく、通算と区分の両方で決まります。
何日もらえるかは区分と年齢で決まる

失業保険を受けられる日数(所定給付日数)は、離職理由の区分と、離職時の年齢、雇用保険に入っていた期間で決まります。満了で特定受給資格者に当たる人と、一般の受給資格者に当たる人とでは、同じ期間でも日数が変わることがあります。
一般の受給資格者(特定受給資格者・特定理由離職者以外)の日数は、年齢に関係なく、被保険者であった期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です。特定受給資格者の日数は、次の表のとおり年齢と期間で分かれます。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
満了で特定理由離職者に当たる人(契約満了で更新が無く、本人が希望したのに合意が成立しなかった人)は、離職の日が平成21年3月31日から令和9年3月31日までの間にある場合に限り、特定受給資格者と同じ日数になります。期限のある扱いなので、離職日が令和9年4月以降になる人は、その時点のハローワークの案内を確かめてください。それ以外の特定理由離職者(正当な理由のある自己都合を含む)は、「1及び3以外の離職者」の表(一般の離職者の日数)です。就職困難者に当たる人は、別の表(1年未満150日、1年以上で45歳未満300日、45歳以上65歳未満360日)になります。
たとえば、派遣で通算4年働いた35歳以上45歳未満の人が、満了で特定受給資格者に当たれば150日、本人が更新を希望しなかった満了で一般の受給資格者なら90日です。同じ人が満了で特定理由離職者に当たり、離職日が令和9年3月31日までなら、特定受給資格者と同じ150日の表で見ます。
1日あたりの額(基本手当日額)は離職前の賃金と年齢で決まるので、日数とかけ合わせた総額は人によって違います。手取りの月収から目安を出したい人は、失業保険の計算ツール で離職理由を切り替えて比べると、区分の違いがいくらの差になるかが見えます。会社都合の日数と総額の考え方は 失業保険は会社都合ならいつから・何日・いくら にまとめています。
途中で辞める・派遣切りにあう場合
契約期間の途中で本人の都合で辞めた場合は、自己都合の退職として、待期7日のあとに給付制限が付きます。2025年4月1日以降の退職なら原則1か月です。派遣先の都合で派遣が途中で終わった場合は、そのあと派遣元との雇用契約がどうなったかで扱いが変わります。
給付制限の長さは、2025年3月31日以前の退職なら原則2か月、退職日からさかのぼって5年間に正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を2回以上受けている人は3か月です。これは派遣だけの決まりではなく、自己都合で辞めた人すべてに当たる一般の扱いです。数え方は 失業保険の給付制限1か月はいつから で確かめられます。
出典:厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」・雇用保険法33条
- 自己都合として給付制限 原則1か月
- 受給資格は12か月
- 重責解雇でなければ給付制限は付かない
- 特定受給資格者なら受給資格は6か月
ただし、自己都合でも、ハローワークが「正当な理由がある」と判断した場合は扱いが変わります。雇用保険法33条が給付制限をかけるのは「正当な理由がなく」自己の都合で退職した場合です。ハローワークの範囲の概要は、体力の不足や心身の障害、家庭の事情の急変、通勤が困難になったことなどを、正当な理由のある自己都合の例として挙げています。当てはまるかはハローワークが事業主と本人の主張と資料で判断します。
派遣先の都合で派遣が途中で終わったときは、派遣元との雇用契約の上で何が起きたかを確かめます。派遣元から解雇されたなら、雇用保険法23条2項の「解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。)」として特定受給資格者に当たりうる書き方です。派遣元から退職を勧められて応じた場合は、離職証明書の区分では「事業主からの働きかけによるもの」の中の退職勧奨にあたります。自分から「もう辞めます」と退職届を出した場合は、自己都合として見られる材料になります。
たとえば、派遣先の業績悪化で派遣が打ち切られ、派遣元の担当者から「次の紹介は難しいので、退職届を書いてほしい」と言われた人は、退職届を出す前に、雇用契約を派遣元が終わらせるのか、自分の意思で辞める形にするのかを確かめます。退職届には自分の言葉で辞める意思が残ります。途中退職の伝え方や、やむを得ない事由があるときの扱いは 契約社員・派遣が期間途中で退職するなら にまとめています。
編集部の整理では、派遣切りにあったときは、派遣先から言われたことと、派遣元から言われたことを分けて記録しておきます。失業保険の上で意味を持つのは、雇用主である派遣元が何をしたかです。解雇なのか争いたいときの相談先は 不当解雇の相談先 で比べられます。
離職票の理由はこの順で確かめる
離職票の離職理由は、派遣元が書いた内容で決まるのではなく、ハローワークが事業主と本人の主張を資料で確かめて判定します。自分の認識と違うときは、手続きの前に順番を決めて確かめておくと、窓口で話が早くなります。
厚労省の「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」は、離職理由の欄を、事業所の倒産等・定年・労働契約期間満了等・事業主からの働きかけ・労働者の判断・その他の6つに分けています。同じ注意書きは、この欄は事業主が主張する理由を把握するための便宜上の分類で、特定受給資格者などの判断基準とは異なり、最終的な判定はハローワークが行う、と書いています。
出典:厚生労働省「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」
- 1離職票の離職理由の欄を見る派遣元がどの区分に丸を付けたか
- 2自分の終わり方と照らす満了か途中か、誰が言い出したか
- 3持っていく資料をそろえる雇入通知書・更新の連絡・メール
- 4ハローワークで申し出る実際と違う点を資料で示す
注意書きは、労働契約期間満了の場合に離職理由を確かめる資料として、労働契約書・雇入通知書・契約更新の通知書・タイムカードなどを挙げています。解雇なら解雇予告通知書・退職証明書・就業規則など、退職勧奨なら希望退職募集要綱や応募の事実が分かる資料などです。派遣の満了なら、これに、満了日までに次の派遣を希望すると伝えたメールなどを添えると、前の項目の条件に照らしやすくなります。
たとえば、満了日までに次の派遣を希望すると伝えていたのに、離職票に「本人が更新を希望しなかった」と読める書き方がされていた人は、伝えた日のメールと雇入通知書を持って、ハローワークの窓口でその食い違いを申し出ます。離職票がなかなか届かないときは、離職票が来ないときの催促 の順番で派遣元に確かめます。
編集部の整理では、離職理由の欄は「派遣元の主張」が書かれた場所で、自分の主張は資料で示すもの、と分けて考えると落ち着いて動けます。異議の出し方の細かい手順は 失業保険を会社都合にする方法 に、手続き全体の流れは 失業保険のもらい方 にまとめています。
派遣元の次の紹介を待たなくていい場合
編集部の目安としては、次がそろっている人は、満了日を過ぎてから派遣元の次の紹介を待ち続けなくても、ハローワークでの手続きに進める段階です。待つなという意味ではなく、待たないと損になる、という決まりを今の資料で確かめられなかった、という意味です。
要領が区分の条件にしているのは、満了日までの希望と指示です。そして平成21年3月31日以降に満了する人は、満了までに次の指示が無ければ、同一派遣元での派遣就業を希望する場合を除いて、満了時に被保険者資格を喪失する取扱いになっています。確かめた要領の該当箇所(50305ロ(ト)(チ)・50305-2イ)には、満了日を過ぎてからの待機日数を条件にした文は見当たりませんでした。
- 満了日までに次の派遣を希望すると伝え、その記録が手元にある
- 満了日までに派遣元から次の派遣就業の指示が無かった
- その派遣元のもとで、次の派遣を続けるつもりがもう無い
- 派遣元から離職票が出ている
生活費の見通しから手続きを先に進めておきたい、というのは上の条件ではなく本人の事情で、待つかどうかを決める材料の一つです。
一方で、同じ派遣元での次の派遣をまだ希望していて、担当者と具体的な話が進んでいる人は、資格を喪失するかどうかの扱いが変わりうるので、離職票がいつ出るのか、資格喪失の手続きをどうするのかを派遣元に確かめてから動きます。
たとえば、満了日を過ぎて1週間たっても派遣元から連絡が無く、生活費が心配な人は、担当者に「離職票を発行してほしい」と書面かメールで頼み、届いたらハローワークで求職の申込みをします。手続きを進めたあとに働いた日があれば、認定日に出す失業認定申告書に、収入の有無にかかわらず働いた日を申告します。受給中の働き方の線引きは 失業保険をもらいながらバイト で確かめられます。
編集部の整理では、次の紹介を待つかどうかは、派遣元との関係や仕事の希望で本人が決めることです。決めるときの材料は、満了日までの記録、離職票の離職理由の書き方、生活費が何か月もつかの3つで、待つことそのものが離職理由を有利にする、とは考えないでおきます。
親の介護で退職する前に|介護休業93日・給付67%、辞めたら失業保険はいつから
失業保険の引っ越し手続きは?受給中は新住所のハローワークへ住所変更届を出す
退職届の書き方|退職日は何日と書けば損しない?有給・月末で決める日付
よくある質問
派遣で失業保険をすぐもらえる条件は?
給付制限が付かない離職であることです。契約満了、派遣元からの解雇(重責解雇を除く)、満了日までに希望を伝えたのに指示が無かった場合などは、求職の申込みのあと待期7日が過ぎれば支給の対象になります。本人の都合で途中で辞めた場合は、原則1か月の給付制限が加わります。
派遣会社を一年で辞めたら失業保険はもらえますか?
1年の中に、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上(足りなければ80時間以上)の月が12か月そろっていれば、一般の受給資格者の条件を満たしえます。特定受給資格者・特定理由離職者に当たれば、離職前1年間に6か月あれば足ります。前の派遣会社の期間は、受給せずに1年以内に加入していれば通算できます。
手取り20万で失業手当はいくらもらえますか?
1日あたりの額は離職前の賃金と年齢で決まる仕組みで、手取りの額だけでは出せません。失業保険の計算ツール に額面の月収と年齢、離職理由を入れると、日額と総額の目安が出ます。
派遣はいつ辞めるのが得ですか?
失業保険の面では、途中で自分の都合で辞めると給付制限が付き、満了で終わると付かない、という差があります。満了で辞めるなら、満了日までに次の希望を伝えたかどうかで区分と日数が分かれることがあるので、続けたい気持ちが少しでもあれば満了日の前に伝えて記録に残しておきます。
派遣の3年ルールと失業保険は関係ありますか?
失業保険で「3年」が出てくるのは、有期契約が1回以上更新され、継続して3年以上雇われた人が、更新を希望したのに更新されなかった場合の区分(特定受給資格者のト)です。この場合に当たるかは、ハローワークが判定します。
派遣先から契約を切られました。自己都合になりますか?
派遣先が派遣を終わらせても、あなたの雇用主は派遣元なので、派遣元との雇用契約がどう終わったかで見ます。派遣元から解雇されたのか、満了で終わったのか、自分から退職届を出したのかで区分が変わります。退職届を求められたら、出す前にどの形で終わるのかを派遣元に確かめます。
数字だけ、もう一度
- 受給資格:一般は離職前2年間に被保険者期間12か月以上、特定受給資格者・特定理由離職者は1年間に6か月以上(厚労省パンフレット)
- 被保険者期間の1か月:賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上の月(足りなければ80時間以上の月)
- 加入の入口:週の所定労働時間20時間以上、同一の事業主に31日以上の雇用見込み(雇用保険法6条の適用除外の裏返し)
- 通算:基本手当・就職促進給付を受けずに1年以内に次の職場で加入すれば、前の期間も通算(厚労省Q&A)
- 待期:求職の申込み以後、失業している日が通算7日(雇用保険法21条)
- 給付制限:2025年4月1日以降の自己都合退職は原則1か月、以前は2か月、5年で2回以上受給資格決定を受けていれば3か月。契約満了・解雇(重責解雇を除く)には付かない
- 所定給付日数:一般は90日・120日・150日、特定受給資格者は90日〜330日(年齢と期間で)
- 満了の特定理由離職者が特定受給資格者と同じ日数になるのは、離職日が令和9年3月31日までの人
- 「満了後1か月程度は資格を喪失しない」取扱いは、平成21年3月31日以降に満了する人からは無い
派遣の契約が終わる時期は、次の仕事の話と、お金の話と、派遣元とのやり取りが一度に押し寄せて、何が自分の失業保険を決めるのかが見えにくくなります。けれど、決め手は派遣元との雇用契約の終わり方と、満了日までに自分が何を伝え、派遣元が何を指示したかの記録です。満了日の前に希望をメールで伝え、雇入通知書と一緒に手元に残しておけば、離職票の理由が自分の認識と違ったときにも、ハローワークで自分の場合を確かめていけます。

