退職前後や失業保険の受給中に引っ越すと、「どこのハローワークで手続きするのか」「給付が止まらないか」が心配になります。引っ越したときに失業保険のどの手続きを、どこで、いつするかは、法令で決まっています。その決まりを順に書きます。
受給中に引っ越したら、新しい住所を受け持つハローワークに、失業の認定日か支給日に住所変更届を出します。
失業保険の手続きをするハローワークは、住所又は居所を受け持つハローワーク(管轄公共職業安定所)と決まっているので、引っ越しで受け持ちが変われば手続き先も変わります。届けるときは、住所が変わったことを証明できる書類(運転免許証など)と受給資格者証を持っていきます。
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受給中に引っ越したら:新住所のハローワークに住所変更届を出す
失業保険(基本手当)の手続きをするのは、本人の住所又は居所を受け持つハローワークです(雇用保険法施行規則1条5項1号)。引っ越しで受け持ちのハローワークが変われば、以後の手続きは新しいハローワークでします。
住所を変えたときの届出は、次のとおり決まっています(雇用保険法施行規則49条)。
| 項目 | 決まり |
|---|---|
| 出す書類 | 受給資格者住所変更届 |
| 出す日 | 失業の認定日または支給日 |
| 出す先 | 新しい住所を受け持つハローワーク(管轄公共職業安定所) |
| 添えるもの | 住所が変わったことを証明できる書類(運転免許証など)と受給資格者証。受給資格通知を受けている人は、代わりにマイナンバーカードを見せる |
| そのあと | ハローワークが受給資格者証の住所を直して返す(受給資格通知の人には、直した通知を渡す) |
同じハローワークの受け持ちの中で引っ越した場合も、住所が変わったことに変わりはないので、住所変更届を出します(同条1項)。
自分がいくら受け取れるかを先に知りたい人は、失業保険の計算ツール で出しておくと、引っ越し後の生活費の見通しが立ちます。
引っ越すタイミングで変わること:受給手続きの前か、受給中か
いつ引っ越すかで、することが変わります。
| いつ引っ越すか | すること |
|---|---|
| 退職後、失業保険の手続きをする前 | 新しい住所を受け持つハローワークで、最初の手続き(求職の申込み・離職票の提出)をする |
| 失業保険の手続きをしたあと(受給中) | 次の認定日か支給日に、新しい住所を受け持つハローワークへ住所変更届を出す |
- 新しい住所を受け持つハローワークで最初の手続き
- 求職の申込み・離職票の提出
- 手続き先が途中で変わらない
- 新しい住所を受け持つハローワークへ住所変更届
- 次の認定日か支給日に出す
- 運転免許証などと受給資格者証を持っていく
退職と同時に引っ越す人は、引っ越しを済ませてから新しい住所のハローワークで手続きを始めれば、手続き先が途中で変わりません。
受給中に受け持ちのハローワークが変わった人は、認定日の扱いなど細かい点を新しいハローワークで確かめてください。引っ越しの作業で認定日に行けそうにないときは、前もってハローワークに相談します。
結婚・配偶者の転勤で辞めて引っ越す場合:特定理由離職者の範囲
自分から辞めた場合でも、次のような理由で通勤できなくなった・難しくなったときは、「特定理由離職者」にあたることがあります(ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」)。
- 結婚に伴う住所の変更
- 事業所が通勤の難しい場所に移転した
- 自分の意思に反して住所の移転を余儀なくされた
- 鉄道やバスの廃止・運行時間の変更
- 会社の命令による転勤・出向に伴う別居を避けるため
- 配偶者の会社の命令による転勤・出向、または配偶者の再就職に伴う別居を避けるため
特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)にあたるかは、給付制限の「正当な理由」と同じ基準で判断されます(同ページ)。給付制限(自己都合で辞めた人が一定期間基本手当を受けられない期間)は、「正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合」にかかるものです(雇用保険法33条)。正当な理由があると認められれば、自己都合でも給付制限はかかりません。あたるかどうかを決めるのはハローワークなので、最初の手続きのときに理由を伝え、裏付けになる書類を出せるようにしておきます。
引っ越し費用(移転費)が出るのは、紹介された仕事や指示された訓練のための転居だけ
雇用保険には「移転費」という給付がありますが、対象は、紹介された仕事に就くためや、指示された訓練を受けるための引っ越しに限られます。主な要件は次のとおりです(雇用保険法施行規則86条)。
- ハローワークなどが紹介した仕事に就くため、またはハローワークの指示した公共職業訓練などを受けるために住所を変えること
- 待期(7日)や、紹介・訓練の指示などを拒んだときの給付制限の期間が過ぎたあとに就職・受講することになり、管轄のハローワークの長が住所の変更を必要と認めること(自己都合退職の給付制限は、条文上この要件に入っていません。運用は管轄のハローワークに確かめてください)
- 就職先などから引っ越し費用が出ないこと(出ても移転費の額に満たないとき)
結婚や家族の事情で引っ越すだけでは対象になりません。雇用期間が1年未満の仕事に就く場合なども対象外です(同条ただし書)。
使わなくていい場合
引っ越しにともなう失業保険の手続きは、有料の給付金サポートに頼まなくても自分でできます。次のどれかに当てはまれば、ハローワークで手続きすれば足ります。
- 受給中に引っ越して、住所変更届を出せばいいだけ
- 退職後、まだ失業保険の手続きをしていない(新しい住所のハローワークで始めればいい)
- 結婚や配偶者の転勤で辞めたことを説明できる書類がある
次にやること
- 新しい住所を受け持つハローワークを調べる
- 住所が変わったことを証明できる書類(運転免許証など)と受給資格者証をそろえる
- 次の認定日か支給日に、住所変更届を出す(受給手続きの前なら、そのハローワークで最初の手続きをする)
- 結婚・配偶者の転勤などで辞めた人は、理由を説明できる書類も用意する
次に読むもの
- 自分がいくら受け取れるか:失業保険の計算ツール
- 失業保険の金額・日数・手続き:失業保険と給付の記事一覧
- 受給中や受給後の仕事探し:次の仕事の記事一覧
失業保険と引っ越しのよくある質問
失業手当をもらいながら引っ越してもいいですか?
引っ越して構いません。新しい住所を受け持つハローワークに、認定日か支給日に住所変更届を出します。 → 住所変更届の出し方
退職と同時に引っ越すときは、どこで手続きしますか?
引っ越しを済ませてから、新しい住所を受け持つハローワークで最初の手続きをします。 → タイミングで変わること
住民票を移さないとどうなりますか?
手続き先は住所又は居所を受け持つハローワークで、住所変更には変わったことを証明できる書類が要ります。何が証明になるかは、ハローワークに確かめてください。 → 住所変更届の出し方
結婚で辞めて引っ越すと、自己都合になりますか?
結婚に伴う住所の変更で通勤が難しくなって辞めた場合は、特定理由離職者にあたることがあります。決めるのはハローワークです。 → 特定理由離職者の範囲
引っ越し費用は失業保険から出ますか?
移転費が出るのは、ハローワークなどが紹介した仕事に就くためや、公共職業訓練を受けるための引っ越しで、要件を満たすときだけです。 → 移転費の要件
数字だけ、もう一度
- 失業保険の手続き先は、住所又は居所を受け持つハローワーク。引っ越したら新しいハローワークに、認定日か支給日に住所変更届を出す
- 持ち物は、住所が変わったことを証明できる書類(運転免許証など)と受給資格者証(受給資格通知の人はマイナンバーカード)
- 結婚や配偶者の転勤などで通勤できなくなって辞めた人は、特定理由離職者にあたることがある。移転費は、ハローワークなどが紹介した仕事や指示された訓練のための転居だけ

