役員・取締役は失業保険をもらえる?兼務役員なら対象になる条件と手続き

封筒と万年筆
  • 役員になったら、辞めても失業保険はもらえないの?
  • 取締役と部長を兼ねている。兼務役員なら対象になる?
  • 役員になる前は会社員として何年も保険料を払っていた。あの期間はどうなる?
  • 従業員としては辞めたけど、取締役の登記がまだ残っている
  • 名前だけの役員で、給料から雇用保険料が引かれていた
  • 役員報酬も給付の計算に入るの?
  • 取締役を退任したら、すぐハローワークに行けばいい?
  • 役員を辞めるか迷っているけれど、辞めたあとの生活費が読めない

上記のような悩みに答えます。

役員と雇用保険の関係は、「役員は入れない」の一言で片づけられがちです。けれど実際には、取締役なのか代表取締役なのか、部長などの身分もある兼務役員なのか、役員になる前に会社員として加入していたのかで、辞めたあとの扱いが分かれます。上位に出てくる解説は会社の手続き側の目線で書かれたものが中心で、辞める本人が受け取れるのか、役員だった期間をどう数えるのか、取締役の地位が残ったまま会社を離れたらどうなるのかまでは、編集部が探した範囲ではあまり触れられていませんでした。そこで、役員の種類ごとの扱いと兼務役員の条件を押さえたうえで、辞め方ごとの違いと、役員になる前の期間の確かめ方まで、厚生労働省の業務取扱要領とハローワークの案内で確かめながら整理しました。

先に答え

取締役は原則として雇用保険の被保険者ではなく、取締役などに就任している間は就職している扱いなので、地位が続くうちは原則として失業保険を受けられません(非常勤で報酬が一定の範囲内と確実な場合などの例外があり、ハローワークで確かめます)。ただし部長などの身分もあり雇用関係が認められる兼務役員は被保険者になり、従業員としても取締役としても退いたあとは、通常の要件(離職前2年に12か月など)で判定されます(2026年10月時点・厚生労働省の業務取扱要領)。

2026年10月時点の制度で確かめています

兼務役員として加入していた人が、自分の日額と最初の振込の目安を出したいときは 失業保険の計算ツール へ。入れる賃金は役員報酬を除いた分です。

目次

役員の種類で扱いが分かれる

封筒と万年筆

厚生労働省の業務取扱要領では、株式会社の取締役は原則として雇用保険の被保険者にならず、代表取締役は被保険者になりません。例外になりうるのは、取締役でありながら部長・支店長・工場長などの従業員の身分もある兼務役員です。

要領はこの扱いを、雇用保険が被保険者としているのは適用事業に雇用される労働者であり、雇用される労働者に当たらない場合は被保険者にならない、という整理から説明しています。つまり「役員だから入れない」のではなく、「雇われて働く労働者に当たるかどうか」で見ているのが出発点です。役員の肩書きがあっても労働者としての実態があれば例外になりうるし、逆に従業員と同じように働いていても代表取締役なら被保険者になりません。

役員の種類 業務取扱要領での扱い
株式会社の取締役 原則として被保険者にならない
代表取締役 被保険者にならない
兼務役員(取締役で部長などの身分もある) 労働者的性格が強く、雇用関係があると認められる人に限って被保険者になる
監査役 被保険者にならない。名目的に就任しているだけで、常態的に従業員として明確な雇用関係がある場合は別
合同会社・合名会社・合資会社の社員 株式会社の取締役と同じ扱いで、原則として被保険者にならない
有限会社の取締役 株式会社の取締役と同じ扱い。会社を代表する取締役は被保険者にならない
NPO法人・協同組合などの役員 雇用関係が明らかでない限り被保険者にならない

出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(適用関係)」

ここで押さえておきたいのは、この扱いが法律の条文ではなく、厚生労働省が示している運用だという点です。だから「役員は雇用保険法で禁止されている」といった書き方は正確ではありません。実際に被保険者かどうかを判断するのは、管轄のハローワークです。

たとえば、登記上は取締役だけれど、毎日出勤して部長として働き、従業員と同じ就業規則で給料を受け取っている人は、兼務役員として被保険者になりうる側です。同じ取締役でも、経営の会議に出るだけで決まった勤務がなく、報酬は役員報酬だけという人は、原則どおり被保険者でない側に入ります。肩書きが同じでも、働き方と給料の出方で位置が変わります。

編集部の整理では、自分の位置を知る第一歩は、自分が「代表取締役か」「取締役か」「兼務役員として加入していたか」の3つのどれに当たるかを確かめることです。代表取締役ならここで答えは決まり、取締役なら次の兼務役員の条件を見ます。

兼務役員が被保険者になる条件

兼務役員が被保険者になるのは、従業員としての身分があり、報酬の支払いなどの面から見て労働者的性格が強く、雇用関係があると認められる場合に限られます。兼務役員という呼び名が付けば自動的に対象になるわけではありません。

要領の言葉をそのまま並べると、条件は「取締役であって同時に会社の部長、支店長、工場長等従業員としての身分を有する者」で、「報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者であって、雇用関係があると認められるもの」に限る、となっています。役員報酬と従業員としての賃金のどちらが多ければ対象になる、という線は、この部分の要領には書かれていません。ネットで見かける「賃金が役員報酬より多ければ入れる」という説明は、要領の言葉そのものではないので、それだけで判断しないほうが安全です。

  • 部長・支店長・工場長などの従業員としての身分がある
  • 報酬の支払いなどの面から見て、労働者的性格が強い
  • 会社との間に雇用関係があると認められる

加えて、加入の入口として、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上雇用される見込みがあることも必要です。

加入の手続きをするのは会社(事業主)です。要領は、取締役で従業員の身分もある人の資格取得では、雇用契約書や賃金台帳に加えて、就業規則の適用や賃金の支払状況を書いた事業主の証明書、登記事項証明書、定款、取締役会の議事録、出勤簿などを確認書類に挙げています。宮城労働局のように「兼務役員雇用実態証明書」という様式を用意している労働局もありますが、全国共通の法定様式ではなく、細部は管轄のハローワーク・労働局ごとに違います。

出典:宮城労働局「兼務役員雇用実態証明書」提出時必要書類

たとえば、部長を兼ねる取締役に就任したとき、会社がこうした書類をハローワークに出して認められていれば、その人は兼務役員として被保険者のまま働いていたことになります。反対に、従業員のころから同じ仕事を続けていても、本人は「部長も兼ねているから入っているはず」と思っていて、記録がそうなっていないことがありえます(被保険者になるかの判断は雇用関係の実態で行われます)。

辞める前にできるのは、会社の総務に「自分は兼務役員として雇用保険に加入しているか」を聞き、加入しているなら雇用保険被保険者証や資格取得の確認通知を見せてもらうことです。会社に聞きにくいときは、ハローワークの窓口で、加入の記録を確かめたいと相談してください。ここで加入が確認できれば、あとは普通の会社員と同じ要件で考えれば足ります。

取締役でいる間は失業保険を受けられない

手帳と2本のペン

取締役などの会社の役員に就任している間は、1日の労働時間にかかわらず就職している扱いになるので、原則として失業保険(基本手当)は受けられません。例外になりうる場合は下の表を見てください。兼務役員として加入していた人でも、従業員の立場だけ辞めて取締役を続けるなら同じです。

失業保険が出るのは「失業の状態」にある日です。ハローワークの案内では、失業の状態とは、就職しようとする意思があり、いつでも就職できる能力があり、仕事を探しているのに職業に就いていない状態をいい、受給できない例として、会社などの役員に就任している人を挙げています。要領も、会社の役員に就任している場合は1日の労働時間にかかわらず就職しているものとみなす、としています。

さらに要領は、離職して被保険者でなくなった人でも、離職前からの委任関係を続けていて就職状態にあるときは、受給資格の決定はできない、としています。取締役の地位は会社との委任の関係なので、従業員としての雇用が終わっても、取締役が続いていればこの扱いに当たります。

あなたの状態 失業保険
取締役・監査役などに就任している 就職している扱い。受けられない
非常勤の役員で、報酬が一定の範囲を超えないことが確実 就職とみなす扱いの例外になりうる。ハローワークで確認
役員に就任しているが、活動や報酬がない 一律には決まっていない。住所を管轄するハローワークで確認
役員も退任し、雇用関係も終わっている 通常の要件で受給できるかを判定される

出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当について」/業務取扱要領(求職者給付)

例外になりうるのは、非常勤の取締役や監査役で、報酬が、働いて得た収入があるときに基本手当を減らす計算で使う控除額の範囲を超えないことが確実と認められる場合です。ただ、この範囲の金額はここでは書きません。自分が当てはまりそうなら、報酬の額が分かるものを持ってハローワークで確かめてください。

たとえば、兼務役員として加入していた人が、部長の職を辞めて会社を離れ、取締役だけは「しばらく籍を置いておいて」と頼まれて残したとします。この人は、雇用は終わっていても取締役の委任関係が続いているので、離職票を出しても、その状態が続くかぎり基本手当は支給されません。要領は、受給期間のうちに失業の状態になれば、改めて出頭して受給資格の決定を受けられる、としています。取締役を退任した時点で、改めてハローワークに行くことになります。

役員を続けるか辞めるかを迷っている人は、取締役の地位が残るあいだは失業保険の計算に入れずに、生活費の見通しを立てておくのが確実です。

辞め方で変わる3つのパターン

役員の人が辞めるときは、「兼務役員として加入していて、役員も退任する」「兼務役員として加入していたが、取締役は続ける」「加入していない取締役として退任する」の3つで、失業保険の見通しが分かれます。

分かれ目は2つで、辞める時点で雇用保険に加入していたか、そして取締役などの地位が続いているかです。加入していても地位が続けば就職している扱いになり、地位が終わっていても加入していなければ、その役員の期間について受け取れるものはありません。

取締役の地位が続くかどうかで分かれる
取締役の地位が続く

  • 就職している扱いで、失業保険は受けられない
  • 非常勤で報酬が一定の範囲内と確実なら例外になりうる
  • 退任したあと、改めてハローワークへ
取締役も退任している

  • 雇用保険に加入していれば、通常の要件で受給を判定される
  • 役員報酬は給付の計算に入らない
  • 加入していない役員の期間は、受け取る根拠にならない
辞め方 失業保険の見通し
兼務役員として加入していて、役員も退任して辞める 通常の要件(離職前2年に12か月など)で判定。給付の計算は役員報酬を除いた賃金
兼務役員として加入していたが、取締役は続けて会社を離れる 地位が続くあいだは受給資格の決定ができない。退任してから改めて手続き
加入していない取締役として退任する 役員の期間は被保険者でない。役員になる前の会社員の期間があるかを確かめる

たとえば、2人の取締役が同じ日に退任したとします。部長を兼ねて加入していた人は、退任と同時に雇用も終われば、会社の出す離職票を持ってハローワークで手続きに進めます。一方、経営に専念していて加入していなかった人は、役員の期間が加入期間として扱われません。この人に残る可能性があるのは、役員になる前の加入期間のうち、離職の日以前2年間の枠に入る分だけです。

辞める前に、自分が3つのどれに当たるかを決めておくと、退任の時期や取締役の地位を残すかどうかを相談するときに、何を確かめればいいかがはっきりします。迷う場合は、退任の予定日を会社と決める前に、加入の有無だけでも確かめておくのが順番です。

役員になる前の会社員の期間

会社員として加入していた人が、被保険者として扱われない取締役になった場合は、就任の日に被保険者の資格を失います。役員になる前の加入期間はそこで区切られ、役員でいた期間を理由に、受給資格を数える「離職前2年」の枠を延ばす扱いは、要領の列挙にありません。

要領では、通常の離職なら被保険者の資格を失うのは離職した日の翌日ですが、被保険者でない取締役になった場合は「当該事実のあった日」、つまり就任の日に資格を失う、と書き分けています。会社に在籍したまま役員になっても離職ではありませんが、雇用保険の加入はその日で終わっています。そして資格を失っただけでは、役員を続けているかぎり就職している扱いなので、基本手当は出ません。

加入は就任の日で区切られる
会社員として加入被保険者の期間
取締役に就任この日に資格を失う
役員の期間被保険者でない・就職している扱い
退任ここから先をハローワークで確かめる

受給資格は、一般の離職者の場合、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが要件です。被保険者期間は、離職日から1か月ごとに区切って、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月を1か月と数えます。11日以上の月が12か月に足りないときは、80時間以上の月を1か月として数えます。会社都合などの特定受給資格者・特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上で足ります。

出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」

この離職前2年は、病気やけが、事業所の休業、出産などで引き続き30日以上賃金を受けられなかった場合に延ばせる扱いがあります。ただし要領の列挙に「役員になっていた期間」は入っていません(取締役としての出向の例示があるだけです)。役員を長く務めたから会社員時代の期間を数えてもらえる、とは言えません。役員の期間が被保険者期間に数えられないと書いた明文は取れていませんが、就任の日に資格を失う以上、その後の役員の期間は加入していない期間として扱われる、と考えて確かめに行くのが安全です。

一方で要領は、取締役などの役員に就任して(被保険者にならない場合に限る)、その会社の事業経営に専念する場合も、受給期間の特例の対象になる、としています。受給期間は失業保険を受け取れる期間の枠のことで、この特例は「役員でいる間に失業保険が出る」という意味ではありません。この特例は、離職したあと被保険者にならない役員に就任して事業経営に専念する場合の受給期間の扱いで、会社員のまま役員に就任した場合に当てはまるかは、ここでは確かめられていません。特例が使えるか、いつまでに何を申し出るかは、ハローワークで確かめてください。

出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領(求職者給付)」

自分で数えるときは、離職の日から1か月ごとにさかのぼって区切り、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月が、2年の枠の中にいくつあるかを数えます。編集部の整理では、2年の枠の基準になる日を就任の日と退任の日のどちらで見るのかは、ここでは断定できないので、両方で数えたメモを持って窓口で確かめるのが確実です。

たとえば、会社員として長く加入したあと取締役に就任し、経営に専念してから退任した人は、「就任の日」「退任の日」「就任前の加入期間」の3つを書き出しておきます。編集部の整理では、これをハローワークに持っていくと話が進みやすくなります。自分の加入期間がいつ始まり、いつ終わったかは、雇用保険被保険者証や会社から受け取った資格喪失の確認通知で確かめられます。手元に無ければ、ハローワークの窓口で、加入の記録を確かめたいと相談してください。

兼務役員の給付額は役員報酬を除いて計算

兼務役員として加入していた人の失業保険の額は、取締役としての地位に基づいて受ける役員報酬を除いた、従業員としての賃金で計算されます。要領は、失業給付の算定の基礎になる賃金に役員報酬が含まれないのは当然だとして、離職証明書が出されたときにこの点に注意するよう書いています。

給料の総額が多くても、その中に役員報酬が含まれていれば、給付の額は総額から思ったほど伸びません。月々の支給明細で、役員報酬と給与(従業員としての賃金)が分けて書かれているかを確かめておくと、見通しを立てやすくなります。

  • 給付の計算に入る:従業員としての身分に対して払われた賃金
  • 給付の計算に入らない:取締役としての地位に基づいて受ける役員報酬
  • 確かめるもの:支給明細の内訳、賃金台帳、会社が作る離職証明書の賃金欄

たとえば、毎月の振込額は同じでも、内訳の大半が役員報酬で、従業員としての給与が一部だけという人は、計算に使われるのは給与の部分だけです。反対に、役員報酬が少額で給与が中心の人は、役員になる前とあまり変わらない額で計算されることになります。どちらに近いかで、辞めたあとの生活費の組み立てが変わります。

自分の額を出すときは、失業保険の計算ツール に、役員報酬を除いた賃金を入れてください。離職証明書の賃金欄に役員報酬が混ざっていないかは、会社から離職票を受け取ったときに確かめ、違っていればハローワークの窓口で伝えます。

名ばかり役員はハローワークで確かめる

名前だけの役員だった、登記だけが残っている、役員なのに雇用保険料が引かれていた、という場合に、失業保険をもらえるかどうかは一律には決まっていません。ハローワークの案内も、役員に就任している人は受給できないとしたうえで、活動や報酬がない場合は住所を管轄するハローワークで確認するよう書いています。

ここは本人が「名ばかりだった」と言うだけでは決まらず、何が残っているかで話が変わる部分です。登記の上で取締役なのか、雇用契約で働いていたのか、雇用保険の加入の記録があるのか、報酬は役員報酬だったのか給与だったのか。こうした事実を、ハローワークが書類で確かめることになります。

編集部の整理では、窓口に持っていくと話が進みやすいのは次のものです。

  1. 登記事項証明書(取締役に就任した日・退任した日が分かるもの)
  2. 雇用保険被保険者証、または資格取得・資格喪失の確認通知
  3. 雇用契約書や労働条件通知書、就業規則
  4. 支給明細や賃金台帳(役員報酬と給与の内訳が分かるもの)
  5. 会社から受け取った離職票(出ている場合)

たとえば、給料から雇用保険料が引かれていたのに、会社がハローワークに兼務役員としての手続きをしていなかったケースでは、引かれていた事実だけで受給できるとは言えません。逆に、会社が手続きをして加入していたなら兼務役員として扱われていた可能性があり、従業員としても取締役としても退いたあとは、通常の要件で判定されます。2の加入の記録は、どちらに近いかを見る判断材料のひとつなので、最初に確かめておきます。

登記だけが残っている人は、会社に退任の登記を頼んだかどうかも確かめておきます。取締役に就任している状態が続いていると扱われれば、就職している扱いの話に戻るからです。窓口では「取締役を何月何日に退任した(または退任していない)」「報酬は受けていない」といった事実を、書類と一緒に順に伝えてください。受給できるかどうかを最後に判断するのはハローワークです。

失業保険を急いで考えなくていい場合

次に当てはまる人は、退任の前後で失業保険の手続きを急ぐより、先に別のことを決めたほうが順番として合っています。

  • 取締役の地位がまだ続く人:就職している扱いなので、退任の時期が決まるまで失業保険は出ません
  • 代表取締役として会社を離れる人:代表取締役は被保険者にならないので、役員の期間は加入期間として扱われません
  • 役員として会社の経営に専念することが決まっている人:受給期間の特例の対象になるかを、先にハローワークで聞いておけば足ります
  • 兼務役員としての加入が確認できず、役員になる前の加入期間も離職前2年に12か月に届かない人:給付制限の長さを調べる前に、受給資格があるかを確かめる段階です

たとえば、取締役は来年の株主総会まで続けると決まっている人が、今から離職票や給付の額を調べても、地位が続くかぎり使い道がありません。この人がいま決めておくべきなのは、退任の時期と、そのあとの生活費をどうつなぐかです。反対に、兼務役員として加入していて、役員も同時に退任する人は、普通の会社員と同じ順番で手続きに進んでかまいません。

給付金の申請を手伝う有料のサービスに頼んでも、役員の扱いを決める仕組みは変わりません。被保険者かどうか、就職している扱いかどうかを判断するのはハローワークで、本人が窓口で聞けば確かめられます。

兼務役員として辞めたあとの手続き

兼務役員として加入していて、役員も退任して辞める人の手続きは、普通の会社員と同じです。会社から離職票を受け取り、住所を管轄するハローワークで求職の申込みをします。手続きの全体は 失業保険のもらい方 で順に追えます。

ハローワークで離職理由が判定され、それによって待つ期間が変わります。離職理由はハローワークが辞めた事情を見て判定します。会社都合に当たる条件は 会社都合退職になる条件 で確かめてください。

離職理由 支給までに待つ期間
解雇・定年・契約期間満了など 求職の申込みから待期7日
正当な理由のない自己都合(2025年4月1日以降の退職) 待期7日のあと、給付制限が原則1か月

出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」/厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」

たとえば、自分から役員も従業員も辞めた人で、ハローワークが正当な理由のない自己都合と判断すれば、待期7日のあとに給付制限がかかります。会社から退任と退職を求められて辞めた人は、その経緯が分かるものを持って窓口で伝えます。

窓口では最初に「兼務役員として加入していたこと」「何月何日に取締役を退任したこと」を伝え、登記事項証明書を見せられるようにしておきます。

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よくある質問

役員は雇用保険に入れますか?

厚生労働省の業務取扱要領では、株式会社の取締役は原則として被保険者にならず、代表取締役は被保険者になりません。部長などの従業員の身分もあり、労働者的性格が強く雇用関係が認められる兼務役員に限って被保険者になります。判断するのは管轄のハローワークです。

役員に就任したら雇用保険はどうなりますか?

被保険者として扱われない取締役になった場合は、就任の日に被保険者の資格を失います。兼務役員として認められる場合は、被保険者のまま働き続けます。就任のときに会社がどちらの手続きをしたかは、会社の総務やハローワークで確かめられます。

役員は雇用保険に入れないのはなぜですか?

要領は、雇用保険が被保険者としているのは適用事業に雇用される労働者で、雇用される労働者に当たらない場合は被保険者にならない、と整理しています。取締役はその判断が要る例として挙げられ、原則として被保険者としないとされたうえで、労働者としての実態がある兼務役員が例外とされています。

取締役を退任したら、すぐ失業保険をもらえますか?

退任しただけでは決まりません。役員になる前の加入期間を含めて離職前2年に被保険者期間が12か月以上あるか、受給期間の特例が使えるかなどを、ハローワークで確かめます。役員でいた期間は就任の日に加入を失っているので、加入期間としては扱われないと考えて確かめに行くのが安全です。

執行役員も取締役と同じ扱いですか?

要領の取締役の扱いは、株式会社の取締役などについての書き方で、執行役員についての記載は見当たりません。執行役員という肩書きが取締役の登記を伴うかどうか、雇用契約で働いているかは会社ごとに違うので、登記事項証明書と雇用契約書を確かめ、ハローワークで扱いを聞いてください。

役員だった期間があると、離職前2年は延びますか?

延ばせる理由は病気やけが、休業、出産などで、要領の列挙に役員でいた期間は入っていません。役員になる前の加入期間がいつ終わったかを、資格喪失の確認通知などで確かめておくことが先です。

数字だけ、もう一度

  1. 役員の種類:取締役は原則として被保険者にならない。代表取締役はならない。兼務役員は雇用関係が認められる場合に限って被保険者
  2. 兼務役員の条件:従業員の身分・労働者的性格・雇用関係。加入の入口は週20時間以上・31日以上の見込み。手続きは会社
  3. 取締役でいる間:1日の労働時間にかかわらず就職している扱いで、受けられない。例外は非常勤で報酬が一定の範囲内と確実な場合
  4. 辞め方:取締役の地位が続くかどうかと、加入していたかどうかで分かれる
  5. 役員になる前の期間:就任の日に資格を失う。受給資格は離職前2年に12か月(11日以上または80時間以上の月)。役員の期間を理由に2年は延びない
  6. 給付額:役員報酬は計算に入らない。自分の額は計算ツールで
  7. 名ばかり役員:一律には決まらない。登記と加入の記録を持って管轄のハローワークで確かめる
  8. 待つ期間:解雇などは待期7日。正当な理由のない自己都合は待期7日のあと原則1か月

役員の失業保険は、「役員は対象外」と覚えるより、自分が辞める日に加入していたか、取締役の地位が続いているか、の2つを確かめるほうが早く答えにたどり着きます。兼務役員として加入していて地位も終わるなら、普通の会社員と同じ道です。どちらも当てはまらないなら、役員になる前の加入期間と受給期間の特例を窓口で確かめる。それが分かってから、退任の時期と生活費のつなぎ方を決めれば、辞めるか残るかを数字で考えられるようになります。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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