失業保険だけでは生活できない時は?住居確保給付金や貸付の条件といくら出るか

書類に記入する手元
  • 失業保険の手続きはしたけれど、最初の振込まで家賃が払えない
  • 失業保険の額では、家賃と生活費の両方はまかなえない
  • 住居確保給付金は、失業保険をもらっていても受けられるの?
  • 家賃の補助は、いくら出て、何か月続くの?
  • お金を借りられる公的な制度があると聞いた。返さないといけない?
  • 生活保護は、失業保険を受けている人は申請できない?
  • 役所のどの窓口に、何を持って行けばいいのか分からない
  • 給付金サポートに頼まないと、もらい損ねるのでは

上記のような悩みに答えます。

失業保険(基本手当)は、原則4週間に1回、失業の認定を受けた日の分が振り込まれる仕組みで、額によっては家賃と生活費の両方には届きません。しかも最初の振込までには待つ期間があり、その間は手元のお金だけでつなぐことになります。足りない分を埋める公的な制度は、住居確保給付金・生活福祉資金・求職者支援制度・生活保護の4つですが、制度の名前を挙げた一般的な説明は多いものの、失業保険を受けている間にどう扱われるかまで書いたものは多くありません。そこで、4つの制度の対象・額・窓口を押さえたうえで、基本手当が収入として数えられたときに家賃補助がいくらになるか、受給中は使えない場合がある制度はどれかまで、法令の条文と厚生労働省・自治体の資料で確かめながら整理しました。

先に答え

失業保険だけで家賃が払えないときは、離職から2年以内で世帯の収入と資産が自治体の基準以下なら住居確保給付金で家賃分(上限あり・原則3か月)を受けられ、生活費の不足は社会福祉協議会の緊急小口資金(10万円以内・無利子)などの貸付が使えます。基本手当は収入として数えられるため、受給中は額が減ることがあり、条件と額は自治体の窓口で確かめます(2026年10月時点)。

2026年10月時点の制度で確かめています

目次

足りないときに使える4つの制度

書類に記入する手元

失業保険で足りない分を埋める公的な制度は、住居確保給付金、生活福祉資金、求職者支援制度、生活保護の4つです。何に使えるか、返す必要があるか、失業保険を受けている間に使えるかが、それぞれ違います。

4つは根拠になる法律も窓口も別々です。住居確保給付金は生活困窮者自立支援法、生活保護は生活保護法に基づく給付で、生活福祉資金は社会福祉協議会の貸付、求職者支援制度はハローワークの訓練と給付金です。1か所で全部の答えが出るとは限らないので、先に全体を見ておきます。

制度 何に 額の目安 窓口 失業保険との関係
住居確保給付金(家賃補助) 家賃 家賃額(住宅扶助基準額が上限)。原則3か月、延長で最長9か月 自立相談支援機関 受給中も申請できるが、基本手当は収入に数える
生活福祉資金(緊急小口資金) 一時的な生活費 10万円以内・無利子(貸付) 市区町村の社会福祉協議会 審査は社協が行う
生活福祉資金(総合支援資金) 生活再建までの生活費 単身は月15万円以内・二人以上は月20万円以内(貸付) 市区町村の社会福祉協議会 受給中は対象にならない場合がある
求職者支援制度 訓練中の生活費 職業訓練受講手当 月10万円 ハローワーク 雇用保険の受給資格者でない人が対象
生活保護 最低限度の生活 最低生活費と収入の差額 福祉事務所 失業保険は収入として認定され、差額が出る

出典:厚生労働省「住居確保給付金のご案内」/厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」/厚生労働省「求職者支援制度のご案内」/厚生労働省「生活保護制度」

表のうち、返す前提の貸付なのは生活福祉資金で、住居確保給付金と求職者支援制度の給付金は貸付ではなく給付です。編集部の読み方では、借りる前に住居確保給付金で家賃の分を軽くできないかを先に確かめるほうが、借りる額を抑えられる場合があります。

たとえば、失業保険の手続きを済ませて受給中の単身の人なら、候補になるのは住居確保給付金と緊急小口資金です。総合支援資金と求職者支援制度は、受給中は使えない場合や対象外になる仕組みなので、後回しになります。反対に、雇用保険に入っていなかった人や、失業保険の受給が終わった人は、求職者支援制度と総合支援資金が候補に入ってきます。

どれから当たるかを決めるのは、失業保険を受けているかどうか、世帯の収入と預貯金、家賃の額の3つです。窓口に行く前に、この3つを紙に書き出しておきます。

最初の振込までの空白はどれくらいか

失業保険は手続きをしてすぐには入りません。求職の申込みのあと、待期7日、自己都合なら給付制限、そのあと失業の認定を受けてから振込という順で進むので、この間は手元のお金だけでつなぐことになります。

待期は雇用保険法21条で、求職の申込みをした日以後、失業している日が通算して七日に満たない間は支給しない、と決まっています(雇用保険法21条)。辞めた理由に関係なく全員にかかります。自己都合や懲戒解雇で辞めた人には、待期のあとに給付制限(1〜3か月。現行の自己都合は原則1か月)が付き、その期間が過ぎた後の認定日から支給されます。

段階 長さ 根拠
待期 失業している日が通算7日 雇用保険法21条
給付制限(自己都合など) 1〜3か月(現行の自己都合は原則1か月) 厚生労働省のパンフレット
認定 原則として4週間に1回 雇用保険法30条
認定から振込 通常5営業日/約7日後/おおむね1週間程度(資料により表現が違う) ハローワーク・厚生労働省

出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」/ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」/厚生労働省「基本手当についてのQ&A」

厚生労働省のQ&Aは、個々の受給者の振込日は公的機関でも把握できない、としています。家計は認定日から1週間前後の幅を持たせて見込みます。自分の場合の日付は 初回振込はいつ、給付制限の月数は 給付制限は1か月、付かない例外は 給付制限なしでもらう方法 で確かめられます。

たとえば自己都合で辞めた人は、待期と給付制限、最初の認定と振込までを合わせると、手続きの日から1か月以上お金が入らない期間ができます。会社都合などで給付制限が付かない人でも、待期と最初の認定、振込までの日数は空きます。この空白に家賃の支払い日が重なる人は、住居確保給付金の申請を早めに考える理由になります。

この時期にアルバイトをする人は、働いた日と収入を失業認定申告書に書く必要があります(受給中のバイト)。退職後の住民税の請求もこの時期に重なりやすいので、退職後の住民税 もあわせて見ておくと、出ていくお金の見落としが減ります。辞める前の段階で読んでいる人は、お金がないけど辞めたい の家計表で、空白の月を先に数えておけます。

住居確保給付金を受けられる条件

住居確保給付金の家賃補助は、離職から2年以内で、離職のときに世帯の生計を主に支えていた人が、収入・資産の基準を満たし、ハローワークなどで求職活動をする場合に受けられます。失業保険を受けているかどうかは条件に入っていません。

根拠は生活困窮者自立支援法です。3条3項は、離職などで経済的に困窮し、現に賃借して居住する住宅の家賃を支払うことが困難となった者で、就職を容易にするため住居を確保する必要があると認められるもの、と対象を定めています(生活困窮者自立支援法3条)。細かい要件は省令(施行規則10条)にあり、支給するのは都道府県等で、福祉事務所のある市や区のほか、町村部は原則として都道府県です。

  • 期間:申請日に、離職した日から2年を経過していない(病気・けが・育児などで引き続き30日以上求職活動ができなかった人は、その日数を加算。最長4年)
  • 生計維持:離職した日に、世帯の生計を主として維持していた
  • 収入:申請日の属する月の世帯収入が「基準額+家賃額」以下(家賃額は住宅扶助基準額が上限)
  • 資産:世帯の金融資産の合計が「基準額×6」以下(省令の言葉では、その額が百万円を超える場合は百万円)
  • 求職活動:ハローワークなどに求職の申込みをし、期間の定めのない仕事か、6か月以上の契約の仕事を目指して求職活動をする

出典:生活困窮者自立支援法施行規則10条/厚生労働省「自治体事務マニュアル」

家賃補助を受けるまでに確かめる順番
  1. 1離職から2年以内か求職できなかった期間があれば最長4年
  2. 2生計を主に支えていたか離職した日に世帯の主な稼ぎ手だった
  3. 3収入と資産が基準以下か自治体の公表額で確かめる
  4. 4求職活動ができるかハローワークへの求職の申込み

国の事務マニュアルは、離職したときの雇用形態や離職理由は問わないとしています。自己都合で辞めた人も、派遣やパートで働いていた人も、要件を満たせば対象です。また、ここでいう「2年」は離職した日から申請日までの期間で、失業保険を受け取れる期間(離職日の翌日から1年)とは別のものです。失業保険の受給期間が過ぎても、2年以内でほかの要件を満たせば、住居確保給付金の申請はできます。

金融資産に数えるのは、預貯金・現金・債券・株式・投資信託で、生命保険や個人年金保険は含みません。借金があっても、預貯金と差し引きはしません。

たとえば、配偶者の扶養の範囲で働いていて離職した人は、離職した日に世帯の生計を主として維持していたとは言えず、生計維持の要件に当たらない可能性があります。ただし、離職のときは主な稼ぎ手でなくても、その後の離婚などで申請時に主な稼ぎ手になっていれば対象になる、と国の資料にあります。扶養の範囲で働いていた人は、自分が当たるかを自立相談支援機関で確かめてください。

もうひとつ見落とされやすいのが、求職活動の義務が2つ重なることです。支給が決まると、自立相談支援機関の面接などを月4回以上、ハローワークなどでの職業相談を月2回以上、求人への応募か面接を原則週1回以上、受けるよう求められます。失業保険の側でも、認定対象期間ごとに原則2回以上(最初の認定日までは1回)の求職活動の実績が要ります。どちらも別の制度の義務なので、両方の予定を同じ手帳に書いておくと、片方を落とさずに済みます。

住居確保給付金はいくら・何か月

集合住宅の外観

支給額は、世帯収入が基準額以下なら家賃額、基準額を超えるなら「基準額+家賃額−世帯収入」です。どちらも住宅扶助基準額が上限で、支給期間は原則3か月、延長と再延長で最長9か月です。

額の決め方は施行規則11条にあります(施行規則11条)。基準額は、市町村民税の均等割が非課税になる収入額の12分の1で、非課税になる額は市町村の条例で決まります(地方税法295条3項)。だから基準額も家賃の上限も、住んでいる自治体と世帯の人数で違い、全国で同じ額はありません。

ここでは例として、東京都目黒区の公表額(更新日2026年7月3日)を載せます。国の手引きにある1級地の計算例と、1人・2人の基準額が一致しています。

世帯人数 基準額 家賃額(上限) 収入基準額 金融資産の基準
1人 92,000円 53,700円 145,700円 552,000円
2人 139,000円 64,000円 203,000円 834,000円

出典:目黒区「住居確保給付金のごあんない」(目黒区の例。ほかの自治体では額が違います)

ここで失業保険とつながるのが、収入の数え方です。国の事務マニュアルは、定期的に支給される雇用保険の失業等給付を収入に含めるとしています。基本手当を受けている間に申請すると、その分も世帯収入に入り、額が減ったり、基準を超えて対象外になったりします。反対に、退職金や借入金は収入に数えません。

計算例

例:目黒区に住む単身の人で、家賃が上限と同じ53,700円、申請した月の世帯収入が仮に120,000円(基本手当を含む)だった場合(編集部の仮定の数字です。基本手当を月にいくらと数えるかは窓口で確かめてください)

  • 収入120,000円は、基準額92,000円を超え、収入基準額145,700円以下
  • 支給額:92,000円+53,700円−120,000円=25,700円
  • 家賃53,700円との差額28,000円は自己負担

同じ人の申請した月の収入が基準額92,000円以下なら、家賃額の53,700円が上限まで出ます。収入が145,700円を超えると、対象になりません。

基本手当も収入に入るので、額が減ることがある
基準額+家賃額 − 世帯収入=支給額
92,000円+53,700円 − 120,000円=25,700円

支給の対象は、賃貸借契約書にある家賃だけです。管理費・共益費・初期費用は対象外で、滞納した家賃にも充てられません。基準額を超えて一部支給になる場合は100円未満の端数を切り上げ、お金は原則として自治体から大家さんや不動産会社に直接振り込まれます。住居確保給付金には税金がかかりません(生活困窮者自立支援法20条)。

期間は施行規則12条で、原則3か月です(施行規則12条)。延長は自動ではなく、支給期間の最終月の末日までに延長を申請し、受給中に求職活動の要件を守っていて、延長申請のときに収入・資産の要件を満たしていることが条件です。額は延長申請時の収入で計算し直されます。受給の途中で基本手当の受給が始まった人は、延長のときに額が変わることがあります。

一度受けた人の再支給には、就職などのあとに会社都合の離職などがあり、前の支給が終わった月の翌月から1年を過ぎていることなどの条件があります。何度でも使える制度ではないので、過去に受けた人は自治体に確かめてください。

あなたの場合の額を出す手順は、①住んでいる市区町村の名前と「住居確保給付金」で検索し、世帯人数ごとの基準額と家賃の上限を探す、②申請する月の世帯全員の収入(給与は手取りではなく総支給額、基本手当も含む)を書き出す、③上の式に入れる、の3つです。公表が見つからなければ、自立相談支援機関に世帯人数を伝えて聞けば教えてもらえます。

家賃の安い部屋に引っ越して家計を立て直したい人には、2025年4月1日から転居費用補助もできました。世帯収入が大きく減り、家計改善の支援で転居により家計が改善すると認められた人が対象で、引っ越し代・礼金・仲介手数料などが出ます。上限は原則として転居先の住宅扶助基準額の3倍で(これによりがたいときは厚生労働大臣が定める額)、敷金と前家賃は対象外です。

生活福祉資金で借りられる額と返し方

生活費そのものが足りないときの公的な貸付が、社会福祉協議会の生活福祉資金です。一時的に困ったときの緊急小口資金と、生活再建までの生活費を借りる総合支援資金があり、どちらも返す前提のお金です。

対象は、必要な資金を他から借りることが難しい低所得者世帯(市町村民税非課税程度)、障害者世帯、65歳以上の人がいる高齢者世帯です。実施主体は都道府県の社会福祉協議会で、申込みは市区町村の社会福祉協議会です。貸付を決めるときは、返せる見込みがあるかも考慮されます。失業していれば誰でも借りられる、という制度ではありません。

種類 限度額 据置期間 返す期限 利子
緊急小口資金 10万円以内 貸付けの日から2か月以内 据置後12か月以内 無利子(保証人不要)
総合支援資金(生活支援費) 単身 月15万円以内/二人以上 月20万円以内。原則3か月(最長12か月) 最終貸付日から6か月以内 据置後10年以内 保証人ありは無利子/なしは年1.5%
総合支援資金(住宅入居費) 40万円以内(敷金・礼金など) 6か月以内 据置後10年以内 同上
総合支援資金(一時生活再建費) 60万円以内 社協で確かめる 社協で確かめる 同上

出典:厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」/厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」

ネットには、新型コロナの特例貸付の頃の条件で書かれた古い記事もあります。特例の申請受付は終わっていて、いま借りられるのは上の表の本則の条件です。緊急小口資金の返す期限を短く書いた古い資料もありますが、現行の一覧では据置後12か月以内です。

失業保険を受けている人が気をつけたいのは、総合支援資金の要件です。国の手引きには、失業等給付や職業訓練受講手当、生活保護、年金などの他の公的給付を現に受けることができず、生活費をまかなえないこと、という要件があります。基本手当を受けて生活費がまかなえている間は、総合支援資金の対象にならない場合があります。ただ、利用できるかを判断するのは社会福祉協議会なので、受給中でも足りない事情があるなら、受給額が分かる受給資格者証を持って相談してください。

住居確保給付金と社協の貸付は併用できる、と国の手引きにあります。住居確保給付金の支給が始まるまでの生活費、引っ越し先の敷金・礼金、その後の生活費を、それぞれ貸付で補う形です。借りる前に、返す月と失業保険の受給が終わる時期を並べて書いておくと、無理のない額で申し込めます。

求職者支援制度は受給が終わった人の制度

求職者支援制度は、雇用保険の受給資格者でない人のための制度です。基本手当を受けている間は対象外で、使うのは受給が終わってから、または雇用保険に入っていなかった人です。

厚生労働省の案内では、訓練を受けられるのは、求職の申込みをしていて、雇用保険の被保険者や受給資格者でない人です。給付金を受けて訓練を受ける人の例として、雇用保険の適用がなかった離職者、フリーランス・自営業を廃業した人、雇用保険の受給が終了した人が挙がっています。基本手当の受給中に訓練を受けたいなら、雇用保険の側の公共職業訓練になり、求職者支援制度の給付金とは別の制度です。

  • 職業訓練受講手当:月10万円
  • 通所手当:通う交通費(月上限42,500円)
  • 寄宿手当:月10,700円(家族と別居して寄宿し、ハローワークが認めた場合)
  • 主な要件:本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯の金融資産が300万円以下、訓練の全日に出席(やむを得ない欠席でも8割以上)、過去6年以内にこの給付金を受けていない

出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」

給付金だけでは訓練中の生活費が足りない人には、求職者支援資金融資があります。単身者は月5万円、扶養家族がいる人は月10万円に、受講予定の月数を掛けた額で、利率は2%、担保と保証人は要りません。給付金の要件を満たさない人でも、無料の職業訓練そのものは受講できます。

たとえば、所定給付日数が残り少なく、終わったあとが不安な人は、受給が終わる時期に合わせて訓練を探しておく順番になります。受給資格者のうちは、月10万円の給付金の対象になりません。

受給が終わる日を受給資格者証で確かめ、その少し前にハローワークで訓練の開講予定を聞いておくと、受給が終わってからの空白を短くしやすくなります。

生活保護は失業保険を受けていても申請できる

生活保護は、失業保険を受けている人でも申請できます。失業保険は収入として認定され、世帯の収入が最低生活費に満たなければ、その差額が保護費として支給されます。

生活保護法7条は、保護は、要保護者、その扶養義務者又はその他の同居の親族の申請に基いて開始する、と定めています(生活保護法7条)。厚生労働省は、必要な書類が揃っていなくても申請できる、住むところがない人でも申請できる、持ち家がある人でも申請できる、と案内しています。申請することと、保護を受けられることは別で、受けられるかは要件で決まります。

その要件が4条の補足性です。1項は、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる、と定め、2項は、扶養義務者の扶養と他の法律に定める扶助が保護に優先する、としています(生活保護法4条)。3項には、急迫した事由がある場合に必要な保護を行うことを妨げない、とあります。

  • 基本手当は、実際の受給額が収入として認定される(厚生労働省の実施要領)
  • 世帯の収入が最低生活費に満たなければ、その差額が保護費になる
  • 申請のときは、預貯金・保険・不動産などの資産、扶養義務者の扶養、年金などの給付、働けるかどうかが調べられる
  • 受給中は、収入の状況を毎月申告する

出典:厚生労働省「生活保護制度」/厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」

条文は、失業保険を先に使い切らなければ申請できない、とは書いていません。失業保険を受けていることだけを理由に、申請をあきらめる必要はありません。一方で、基本手当は収入として認定されるので、その分だけ保護費は少なくなります。最低生活費の額は地域と世帯の人数で違うので、ここでは額を書きません。

たとえば、家賃補助を受けてもなお食費や光熱費が足りない世帯は、福祉事務所で相談する対象になり得ます。厚生労働省は、生活保護の相談のときに生活福祉資金や各種の社会保障施策の活用もあわせて検討するとしているので、貸付やほかの制度を案内されても、断られたという意味とは限りません。申請したい意思があるなら、窓口ではっきり伝えます。

相談に行く順番と持っていくもの

どこから行けばいいか迷ったら、家賃の悩みは自立相談支援機関、生活費の貸付は社会福祉協議会、訓練と失業保険はハローワーク、生活保護は福祉事務所が窓口です。編集部の読み方では、最初の1か所は自立相談支援機関が向いています。

自立相談支援機関を先にすすめるのは、住居確保給付金の受付をするだけでなく、社協の貸付も併用できることを説明する役割を国の手引きで持っているからです。全国の窓口は、厚生労働省のリーフレットにある一覧(みんなつながるネットワーク)で探せます。市や区によって「生活困窮者自立相談支援窓口」など名前が違うので、住んでいる自治体の名前と「自立相談支援」で検索するのが確実です。

窓口 聞くこと 持っていくと話が早いもの(例)
自立相談支援機関 住居確保給付金の対象か・いくらか 本人確認書類、賃貸借契約書、離職が分かる書類、世帯の収入と預貯金が分かるもの、雇用保険の受給資格者証
社会福祉協議会 緊急小口資金・総合支援資金を借りられるか 本人確認書類、収入と支出が分かるもの、受給資格者証
ハローワーク 失業保険の認定日・求職者支援訓練 受給資格者証、失業認定申告書
福祉事務所 生活保護の相談・申請 そろわなくても申請はできる。あれば通帳・受給資格者証・賃貸借契約書

持ち物は窓口で違うことがあるので、行く前に電話で「失業保険を受けていて、家賃と生活費が足りない。住居確保給付金と貸付の相談をしたい」と伝え、必要な書類を聞いておくと二度手間が減ります。

たとえば、給付制限中で家賃の支払い日が近い人は、自立相談支援機関で住居確保給付金の申請を進めながら、支給が始まるまでの分を社協の貸付で補えるかをその場で聞く、という順番になります。食費にも困っている場合は、同じ日に福祉事務所にも相談すると、どの制度で何をまかなうかを一度に整理できます。

窓口での説明は、延長の申請期限・求職活動の回数・返済が始まる月を日付と一緒に1冊にまとめておくと、制度ごとの義務を落とさずに済みます。

給付金サポートを使わなくていい場合

失業保険や給付金について、手続きを手伝う、受け取れる額を増やすとうたう有料の給付金サポートがあります。次に当てはまる人は、使わなくて足ります。

この記事で扱った4つの制度は、どれも本人が窓口に行けば申請や相談ができます。支給するか、貸すか、保護するかを決めるのは自治体・社会福祉協議会・ハローワーク・福祉事務所で、業者が決めるものではありません。

  • 住居確保給付金を受けたい人:自立相談支援機関で本人が申請できる
  • 生活費を借りたい人:市区町村の社会福祉協議会で本人が申し込める
  • 生活保護を考えている人:福祉事務所で本人・扶養義務者・同居の親族が申請できる
  • 求職者支援制度を使いたい人:ハローワークで本人が申し込める

家賃と生活費が足りない時期に、手数料で手元のお金を減らすことは、それ自体が家計を苦しくします。まず公的な窓口に行き、そこで分からないことが残ったときに、ほかの手を考えれば間に合います。

再就職手当をもらえる条件は?失業保険の残り日数と就職の決め方で分かれる可否

就業促進定着手当はいくら・いつ申請?再就職後に賃金が下がった時の条件と計算

失業保険をもらいながらバイトは何時間・いくらまで?1日4時間と週20時間の線

よくある質問

住居確保給付金と失業保険は、同時に受けられますか?

同時に申請できます。併給を禁じる定めは資料に出てきませんが、基本手当は収入として数えられるので、申請した月の世帯収入が基準額を超えると額が減り、収入基準額を超えると対象になりません。額は住んでいる自治体の基準額と家賃の上限で決まるので、自立相談支援機関で確かめてください。

住居確保給付金は9か月までもらえますか?

原則は3か月で、延長と再延長で最長9か月です。延長は自動ではなく、支給期間の最終月の末日までに申請し、求職活動の要件を守っていて、収入・資産の要件を満たしていることが条件です。

緊急小口資金は返さなくていいのですか?

返す必要がある貸付です。10万円以内・無利子・保証人不要で、貸付けの日から2か月以内の据置のあと、12か月以内に返します。新型コロナの特例貸付の条件を書いた古い資料もありますが、いまの本則とは別です。

失業保険をもらっていると、生活保護は受けられませんか?

申請はできます。基本手当は収入として認定され、世帯の収入が最低生活費に満たなければ差額が支給されます。最低生活費は地域と世帯で違うので、福祉事務所で相談してください。

失業保険をもらいながらパートはできますか?

働くことはできますが、働いた日と収入を失業認定申告書に書く必要があります。働き方によってはその日の分が支給されなかったり減ったりするので、扱いは 受給中のバイト とハローワークで確かめてください。

住居確保給付金をもらうと税金はかかりますか?

かかりません。生活困窮者自立支援法20条で、住居確保給付金として受けたお金を基準に税金を課すことはできない、と定められています。

数字だけ、もう一度

  1. 4つの制度:住居確保給付金・生活福祉資金・求職者支援制度・生活保護。返す前提の貸付は生活福祉資金
  2. 最初の振込まで:待期7日、自己都合などは給付制限1〜3か月(現行の自己都合は原則1か月)、認定は原則4週間に1回、振込は認定から通常5営業日〜おおむね1週間程度
  3. 住居確保給付金の条件:離職から2年以内(最長4年)、離職した日に生計を主に維持、収入は基準額+家賃額以下、資産は基準額×6以下(百万円が上限)、求職活動
  4. 住居確保給付金の額:基準額以下なら家賃額、超えたら基準額+家賃額−世帯収入。基本手当も収入に入る。目黒区の単身の例は基準額92,000円・家賃上限53,700円。原則3か月・最長9か月
  5. 生活福祉資金:緊急小口資金は10万円以内・無利子・据置後12か月以内に返す。総合支援資金は単身 月15万円以内・二人以上 月20万円以内で、受給中は対象にならない場合がある
  6. 求職者支援制度:雇用保険の受給資格者でない人が対象。職業訓練受講手当は月10万円
  7. 生活保護:申請は誰でもでき、失業保険は収入として認定され、最低生活費との差額が出る

失業保険で足りないとき、編集部の読み方では、いきなり借りる方法を探すより、返さなくてよい家賃補助から当たるほうが、あとの家計が軽くなりやすいです。そのためにまず、世帯の人数と申請する月の収入、預貯金、家賃の4つを書き出し、住んでいる自治体の公表額と並べてみてください。数字が見えれば、自立相談支援機関で何を聞けばいいかがはっきりし、貸付や生活保護が必要かどうかも、窓口と一緒に順番に決めていけます。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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