- 仕事を辞めたいけど、貯金が少なくて踏み切れない
- 貯金がないのに辞めたら、どうなるんだろう
- 3か月無職になったら、いくらあれば足りるの?
- 失業保険って、辞めたらすぐ口座に入るの?
- 会社が天引きしていた年金や保険料は、辞めたらいくら来る?
- 住民税は辞めたあとも払うの?
- 払えないときに、減らしてもらえる仕組みはある?
- 結局、自分は辞めても大丈夫なのか知りたい
上記のような悩みに答えます。
お金の不安で辞めるかどうかを決められないとき、知りたいのは「自分の場合、辞めたら何か月もつか」です。よく見かける「貯金は生活費の数か月分」「まとまった額があれば大丈夫」という一律の目安は、家賃も家族も辞め方も違う人に同じ答えを出しているので、自分に当てはまるかは分かりません。求人や転職の会社の記事は「次を決めてから辞める」へ話を進めますが、辞めたあとに天引きが請求に変わる月と、失業保険がまだ入らない月を1枚の表に並べるところはほとんどありません。そこで、失業保険・国民年金・健康保険・住民税の決まりを押さえたうえで、それらを月ごとの家計表に並べ、貯金で何か月もつかを自分で出す手順まで、日本年金機構・厚生労働省・総務省・協会けんぽ・ハローワークの資料で確かめながら整理しました。
辞めたあと何か月もつかは、「出ていくお金(生活費+国民年金+健康保険+住民税)」から「入ってくるお金(失業保険)」を引いた不足を、貯金から月ごとに引いていけば出せます。いちばん苦しいのは失業保険が入る前の空白の月で、その長さは辞め方と申込みの日で変わります。
2026年9月時点の制度で確かめています
お金がない人が先に出すのは何か月もつか

先に出すのは「いくら貯金があれば大丈夫か」ではなく、「自分の貯金で何か月もつか」です。式は次の1本で、入れる数字はすべて自分の家計と手続きの窓口で分かります。
何か月もつか = 貯金を、月ごとの「出ていくお金 − 入ってくるお金」で順に減らしていき、ゼロになるまでの月数
一律の目安を出さないのは、出ていくお金の中身が人によって大きく違うからです。家賃や家族の人数はもちろん、国民健康保険の保険料は住んでいる市区町村と前年の所得で変わり、住民税も前年の所得をもとに計算されます。入ってくるお金も、失業保険の日額は辞める前の賃金と年齢で、入り始める時期は辞め方と申込みの日で変わります。同じ貯金額でも、もつ月数は人によって何倍も違ってきます。
辞めたあとに出ていくお金は、大きく4つです。
| 出ていくお金 | 在職中 | 辞めたあと | 額が分かるところ |
|---|---|---|---|
| 生活費(家賃・食費・通信など) | 給料から払っていた | 同じく自分で払う | 自分の通帳・家計簿 |
| 国民年金 | 厚生年金を給料から天引き | 国民年金を自分で納める(扶養に入る場合などを除く) | 日本年金機構(全国一律の月額) |
| 健康保険 | 会社の健康保険を天引き(会社が一部負担) | 国民健康保険・任意継続・家族の扶養のどれか | 市区町村の窓口/加入していた健康保険 |
| 住民税 | 給料から天引き(特別徴収) | 残りを自分で納めるか、最後の給与などからまとめて引かれる | 市区町村の窓口/会社 |
在職中は、このうち年金・健康保険・住民税が給料から自動で引かれていました。辞めると、この3つが「自分で払う請求」に変わるので、手取りで暮らしていた感覚のまま計算すると、出ていくお金を少なく見積もってしまいます。
たとえば同じ貯金額の2人でも、実家暮らしで家賃のない人と、一人暮らしで家賃を払う人とでは、もつ月数が大きく変わります。会社都合で辞めた人は失業保険が早く入り始め、国民健康保険料の軽減を受けられる場合もあるので、さらに差がつきます。
数字をそろえる順番は、まず失業保険の日額と入り始める時期を出し、そのあとに出ていくお金を4つ埋めることです。失業保険の日額と受け取れる日数は、失業保険の計算ツール で自分の条件を入れれば出せます。
自分の日額と、最初にお金が入る目安を先に知りたい人は、失業保険の計算ツール で出してから下の家計表に入れてください。
国民年金は月17,920円、払えないなら特例免除
会社員だった人が辞めて次の会社にすぐ入らない場合、国民年金の保険料を自分で納めることになります。令和8年度(令和8年4月〜令和9年3月)の保険料は月額17,920円で、全国一律です。保険料は毎年度見直されます。
在職中の厚生年金は給料に応じた額でしたが、国民年金は所得に関係なく同じ額です。家計表の「出ていくお金」には、毎月この額を入れておきます。
切り替えの手続きは、住んでいる市区役所・町村役場で、退職日の翌日から14日以内です。提出するのは本人または世帯主です。配偶者の扶養に入る人は別の手続きになり、配偶者の勤務先を通します。
払うのが難しいときに知っておきたいのが、退職(失業)による特例免除です。日本年金機構の説明では、退職した人の前年の所得をゼロとして審査し、退職した人を除く審査の対象者(本人・世帯主・配偶者)の前年の所得が一定額以下であれば、保険料の納付が免除または猶予されます。申請には、離職票や雇用保険受給資格者証のコピーなど、失業したことが分かる書類が要ります。
出典:日本年金機構「国民年金の加入、保険料免除・納付猶予制度のご案内」/同「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 前年に自分が稼いだ所得は、審査ではゼロとして扱われる
- 世帯主や配偶者の所得は審査の対象に残る(家族と暮らしている人は、その所得で結果が変わる)
- 承認されるかは審査で決まる
- 承認されても、翌年度も続けるなら改めて申請が要る
- 免除・猶予された保険料は、決められた期間内なら後から納められる(追納。期間は日本年金機構の案内で確かめる)
たとえば親と同居していて世帯主が親の人は、自分の所得がゼロとして見られても、親の所得が審査に入ります。承認されるかは申請してみないと分からないので、家計表では「承認されなかった場合(月17,920円を払う)」で計算しておき、承認されたら余裕が増えた、と考えるのが安全です。
窓口に行くときは、離職票か受給資格者証のコピーを持っていき、「退職による特例免除を申請したい」と伝えます。ほかの持ち物は窓口によって違うことがあるので、行く前に電話で確かめておくと二度手間になりません。
健康保険は国保・任意継続・扶養で額が変わる
辞めたあとの健康保険は、国民健康保険(国保)、会社の健康保険を続ける任意継続、家族の健康保険の扶養、のどれかになります。家計表の中で、いちばん人によって差が出る行です。
国保の保険料は、住んでいる市区町村と前年の所得で決まります。自治体ごとに計算の仕方が違うので、この記事では額を示しません。住んでいる市区町村の国保の窓口で、前年の所得が分かるもの(源泉徴収票など)を見せて試算してもらうのが確実です。国保に入るときは、14日以内に市区町村の窓口へ届け出ます。
任意継続は、辞めた会社の健康保険にそのまま入り続ける仕組みです。協会けんぽの場合、在職中に会社と分けていた保険料を全額自分で払うので、協会けんぽは「退職時の健康保険料の約2倍」と説明しています。ただし保険料の計算に使う標準報酬月額には上限(令和8年度は32万円)があり、住む都道府県が在職中と違う場合なども含めて、2倍にならない人もいます。加入するには、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あり、退職日の翌日から20日以内に手続きします。額の出し方と国保との比べ方は、任意継続の保険料はいくら? に式と例を載せています。
出典:協会けんぽ「任意継続」/協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」
| 選び方 | 毎月の額の決まり方 | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 住んでいる市区町村と前年の所得で決まる | 市区町村の国保の窓口で試算 |
| 任意継続(協会けんぽ) | 退職時の標準報酬月額(上限32万円)×住む都道府県の料率。全額自己負担 | 加入していた協会けんぽの支部 |
| 家族の扶養 | 本人の保険料はかからない(扶養に入れた場合) | 家族の勤務先の健康保険 |
家族の扶養に入れるかは、家族が入っている健康保険の基準で決まります。失業保険を受けている間の扱いも含めて、家族の勤務先を通して、その健康保険に確かめてください。
国保には、会社の倒産・解雇などで辞めた人向けの軽減があります。対象は、ハローワークで特定受給資格者、または特定理由離職者と判定されて受給資格がある人です。前年の給与所得を100分の30とみなして保険料を計算し、期間は離職の日の翌日が属する年度の翌年度の末日までです。申請は住んでいる市区町村の窓口で、持っていく書類(受給資格者証など)は窓口で確かめます。ハローワークでどちらにも当たらないと判定された人(正当な理由のない自己都合退職など)は、この軽減の対象になりません。
出典:厚生労働省「非自発的失業者に係る国民健康保険料(税)の軽減措置」/国民健康保険法施行令(e-Gov法令API)
迷ったら、国保の試算額と任意継続の額を両方出して、低いほうを家計表に入れます。会社都合などで辞めた人は、国保の試算を軽減を受けた場合と受けない場合の両方で出してもらうと、比べ間違いがありません。
住民税は辞めたあとも前年の所得でかかる

住民税は、辞めて収入がなくなっても、すぐにはゼロになりません。総務省の説明では、個人住民税の所得割は前年の1月1日から12月31日までの所得で算定され、その年の1月1日に住所がある市町村で課税されます。前年に働いて所得があった人には、辞めたあとも、その所得をもとにした住民税がかかることになります。
在職中の住民税は、会社が給料から引いて代わりに納める「特別徴収」でした。辞めると会社は引けなくなるので、残りの納め方が変わります。市町村から届く納税通知書で自分で納める形を「普通徴収」といいます。
いつ辞めるかで、残りの扱いに違いがあります。総務省の資料では、本人から申し出があれば、退職時に支給する給与や退職金から、残りの住民税をまとめて引く(一括徴収)ことができます。1〜5月に辞める場合は、申し出の有無にかかわらず一括徴収を行うとされています。
- 前年に所得がある人は、辞めたあとも住民税の支払いが続く
- 1〜5月に辞める人は、残りが最後の給与や退職金からまとめて引かれる(一括徴収)
- それ以外の時期に辞める人は、残りをどう納めるかを会社と市区町村に確かめる(申し出れば一括で引いてもらうこともできる)
- 自分で納める回数や納期は市区町村ごとに違う
家計の面で気をつけたいのは、1〜5月に辞める人の最後の給与です。残りの住民税がまとめて引かれると、最後の手取りがいつもより少なくなります。最後の給与を「辞めたあとの生活費」に数えていた人は、その分を差し引いて家計表に入れてください。
それ以外の時期に辞めて自分で納める人は、辞めたあと、市区町村から納税通知書が届いた月に支払いが来ます。額と納期は通知書で分かるので、届くまでは在職中の給与明細の住民税の欄を目安に、家計表に仮の額を入れておきます。住民税の額や納め方で分からないことは、住んでいる市区町村の住民税の窓口で、給与明細か源泉徴収票を見せて聞けば答えてもらえます。
失業保険のお金が入るまでの空白
失業保険(雇用保険の基本手当)は、辞めた日から入るものではありません。ハローワークで求職の申込みをしたあと、待期・失業の認定・振込という順番を経て、初めて口座に入ります。辞め方によっては、その間に給付制限もはさまります。このお金が入らない期間が、家計表でいちばん苦しい「空白の月」になります。
- 会社から離職票が届いたら、ハローワークで求職の申込みをする
- 申込みの日から、失業している日が通算7日になるまでは待期で、基本手当は出ない
- 正当な理由のない自己都合退職の人は、待期のあとに給付制限(原則1か月)がかかる
- 失業の認定は原則4週間に1回で、認定を受けた日から通常5営業日で口座に振り込まれる
出典:雇用保険法21条(待期)/厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」/ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」
辞めた理由による給付制限がかかるかどうかで、空白の長さが大きく変わります。会社都合などで給付制限がない人は、待期が終わればその翌日から支給の対象になります。給付制限がある人は、その分だけ支給の対象になる日が後ろへずれます。給付制限の長さは、過去の自己都合での受給の回数によって長くなることがあるので、自分が何か月かは 失業保険の給付制限は1か月 で確かめてください。
もうひとつ見落としやすいのが、支給の対象になる日と、お金が口座に入る日のずれです。振込は失業の認定を受けてからなので、支給の対象になってからも、最初の認定日と振込までの日数を待つことになります。認定日はハローワークで渡される日程で決まるため、最初の振込の目安は 失業保険の計算ツール で出し、申込み後は渡された日程で確かめます。申込みから振込までの段取りは 失業保険のもらい方 にまとめています。
申込みが遅れると、待期も給付制限も、申込みの日から同じ順に後ろへずれます。会社からの離職票がなかなか届かないと、その間も空白が延びていきます。離職票が届かないときの動き方は 離職票が来ない にあります。
家計表では、退職日から最初の振込の日までを「入ってくるお金がゼロの月」として数えます。給付制限がある人は、ない人より空白がおよそ1か月長くなる、と見込んでおくと見誤りません。教育訓練を受けて給付制限が外れる道もありますが、対象と時期に条件があるので、給付制限は1か月 の教育訓練の項で確かめてください。
1枚の家計表で何か月もつかを出す

ここまでの数字を、月ごとの家計表に並べます。期間を「空白の月」「失業保険を受けている月」「失業保険が終わったあとの月」の3つに分けると、どこで貯金が減り、どこで減り方がゆるやかになるかが見えます。
| 期間 | 入ってくるお金 | 出ていくお金 | 貯金の動き |
|---|---|---|---|
| 空白の月(退職〜最初の振込) | なし | 生活費+国民年金+健康保険+住民税 | 出ていくお金の分だけ減る |
| 失業保険を受けている月 | 基本手当(認定ごと) | 同じ | 不足の分だけ減る |
| 失業保険が終わったあとの月 | なし | 同じ | 出ていくお金の分だけ減る |
数字を入れる手順は次のとおりです。失業保険の日額と受け取れる日数は、計算ツールで出した値を使います。国保と住民税は、市区町村で聞いた額を入れます。
例:自己都合で辞める30歳・一人暮らし・貯金90万円の人(生活費と、国保・住民税の額は、手順を見せるための仮の数字です。実際の額は市区町村で聞いてください)
毎月出ていくお金
- 生活費(家賃・食費・通信など):仮に150,000円
- 国民年金:17,920円
- 国保と住民税:仮に合わせて30,000円
- 合計:197,920円
入ってくるお金
- 賃金日額10,000円(計算ツールで出した値)の人の基本手当日額:6,307円
- 認定1回(28日分)で:6,307円 × 28日 = 176,596円
| 期間 | 計算 | 残る貯金 |
|---|---|---|
| 空白の月(仮に2か月) | 900,000円 − 197,920円 × 2 | 504,160円 |
| 受給中(仮に認定3回。受け取れる日数が84日分以上ある場合で、所定給付日数は人によって違う) | 504,160円 − (197,920円 − 176,596円)× 3 | 440,188円 |
| 受給が終わったあと | 440,188円 ÷ 197,920円 = 2.2… | 2か月あまり |
この例の人は、退職からおよそ7か月あまりで貯金がなくなる計算です(認定1回の4週間を1か月と見なした、おおまかな数字です)。この月数は例の人のもので、ほかの人の目安ではありません。
この例で分かるのは、貯金がいちばん速く減るのは空白の月だということです。失業保険を受けている間は、出ていくお金の多くを基本手当が埋めるので、減り方がゆるやかになります。受給が終わると、また出ていくお金の全部が貯金から出ていきます。
自分の数字で出すときは、空白の月数を「退職日から最初の振込の目安まで」で数え、受給中の回数を「受け取れる日数を、認定1回分の日数で割った回数」で数えます。日数がちょうど割り切れないときは、最後の認定の分が少なくなるので、そこも小さめに見ておきます。
たとえば同じ人が会社都合で辞めた場合は、給付制限がない分だけ空白の月が短くなり、受給が始まる時点の残りが増えます。反対に、離職票が届くのが遅れて申込みが遅くなると、空白の月が延びます。表を1つ作っておけば、条件を1つ変えたときに何か月動くかを、その場で出し直せます。
何か月もつかを延ばせるところ
家計表ができたら、どの行を動かせるかを見ます。延ばせるところは、出ていくお金を減らすものと、空白の月を短くするものに分かれます。どれも額や期間が数字で動くので、1つずつ家計表に入れ直して、何か月延びるかを確かめます。
| 動かせるところ | 何が変わるか | 条件・確かめる先 |
|---|---|---|
| 国民年金の特例免除 | 承認されれば、月17,920円の支払いが免除または猶予 | 世帯主・配偶者の所得で審査。市区町村の窓口 |
| 国保の非自発的失業の軽減 | 前年の給与所得を100分の30とみなして計算 | 特定受給資格者・特定理由離職者で受給資格がある人だけ。市区町村 |
| 国保と任意継続の比較 | 低いほうを選べる | 両方の額を出して比べる |
| 求職の申込みを早める | 待期と給付制限が早く始まり、空白が短くなる | 離職票が届いたら早めにハローワークへ |
| 住民税の納め方を確かめる | 額は変わらないが、払う月が分かる | 会社と市区町村 |
上の例の人で、国民年金の全額免除(または猶予)が承認された場合(毎月出ていくお金が180,000円になる)
| 期間 | 計算 | 残る貯金 |
|---|---|---|
| 空白の月(仮に2か月) | 900,000円 − 180,000円 × 2 | 540,000円 |
| 受給中(仮に認定3回) | 540,000円 − (180,000円 − 176,596円)× 3 | 529,788円 |
| 受給が終わったあと | 529,788円 ÷ 180,000円 = 2.9… | 3か月近く |
退職からおよそ8か月近くになり、承認されない場合より1か月近く延びる計算です。
延ばせるところが多いのは、会社都合などで辞めた人です。給付制限がないうえに、国保の軽減も受けられる場合があります。自己都合で辞める人が使えるのは、主に国民年金の特例免除と、国保と任意継続の比較、申込みを早めること、の3つです。ただし自己都合でも、ハローワークで特定理由離職者と判定されて受給資格がある人は、国保の軽減も受けられます。
退職日をいつにするかで、最後の給与や社会保険料の扱いが変わることもあります。有給休暇が残っている人は、使い切ってから辞めると、在職中の給料が入る期間がその分延びます。退職日の決め方は 有給消化で退職するなら と 退職は何日前に言えばいい? で確かめてください。
動かせる行を全部試しても足りないときも、家計表があれば足りない額と月数がはっきりしているので、次の項の選び方につなげられます。
お金が足りないと分かったときの考え方
家計表を作って足りないと分かったとき、選び方は「辞めるのをやめる」か「辞める」かの二択ではありません。辞める日や準備の順番を変えるだけで、もつ月数が変わることがあります。どれを選ぶかを決めるのは、あなたです。
- 辞める日を後ろにして、その間に貯金を足す
- 辞める前に、国保の試算・特例免除の条件・住民税の残りを窓口で聞いて、家計表の仮の数字を本当の数字に置き換える
- 在職中に次の仕事を探し始めて、空白の月を短くする
- 生活費の行(家賃・通信など)を見直して、毎月出ていくお金を減らす
- 生活費そのものが払えない状態なら、住んでいる市区町村の福祉の相談窓口で、使える仕組みがないかを聞く
たとえば、家計表で「4か月しかもたない」と分かった人がいたとします。その人が辞める日を2か月後ろにして、その間の給料から貯金を足せば、もつ月数はその分延びます。一方で、体調を崩しかけていて2か月も待てない人もいます。その場合は、辞めたあとの家計表を先に作り、特例免除や国保の試算を辞める前に済ませて、空白の月をできるだけ短くする段取りを組むことになります。
お金が足りないことを理由に、借り入れで埋めることはこの記事では勧めません。借りたお金は、辞めたあとの「出ていくお金」の行を増やすだけで、家計表の答えを変えないからです。
辞めずに今の職場で働き方を変える道があるかを知りたい人は、辞めるか迷う の記事も見てください。人間関係が理由の人は 人間関係で仕事を辞めたい で、辞める前にできることを整理しています。
数字を並べたうえで辞めると決めた人も、まだ辞めないと決めた人も、どちらも家計表があれば次に何をするかが分かります。表は条件が変わるたびに作り直せばよいので、まずは今の数字で一度作ってみてください。
使わなくていい場合
退職後のお金について、手続きを代わりに進める、または「もらえるお金を増やす」とうたう有料の給付金サポートがあります。次に当てはまる人は、使わなくて足ります。
国民年金の特例免除、国保の非自発的失業の軽減、住民税の納め方の確認は、どれも本人が窓口に申し出れば足りる手続きです。特例免除の申請に要るのは、離職票や受給資格者証のコピーなど、失業保険の手続きで手元に来る書類です。承認されるか、軽減の対象になるかを決めるのは日本年金機構や市区町村で、誰が申請しても結果は変わりません。
- 国民年金の特例免除を受けたい人:市区町村の国民年金の窓口で、本人が申請できる
- 国保の軽減を受けたい人:市区町村の国保の窓口で、本人が申請できる(持ち物は窓口で確かめる)
- 住民税の納め方を知りたい人:会社と市区町村の窓口で聞けば分かる
- 失業保険の手続きをしたい人:ハローワークで本人が手続きできる
たとえば「辞めたあとのお金を最大にします」という案内を見て不安になった人でも、失業保険の額は日額と日数で、出ていくお金は上の家計表の4つの行で決まります。どれも無料の窓口で数字が出せるので、まず家計表を自分で作ってみれば足ります。
次にやること
辞めるかどうかを決める前にできることと、辞めると決めたあとにすることがあります。前半は在職中でもできるので、先に済ませておくと決めやすくなります。
- 失業保険の計算ツール で、自分の日額・受け取れる日数・最初の振込の目安を出す
- 通帳か家計簿で、毎月の生活費(家賃・食費・通信など)を出す
- 市区町村の窓口で、国保の試算と、住民税の残りの納め方を聞く(源泉徴収票か給与明細を持っていく)
- 上の家計表に数字を入れて、何か月もつかを出す
- 辞めると決めたら、国民年金の切り替え(退職日の翌日から14日以内)と、健康保険の手続き(国保なら14日以内・任意継続なら退職日の翌日から20日以内)をする
- 離職票が届いたら、ハローワークで求職の申込みをする。特例免除や国保の軽減を申請する人は、離職票か受給資格者証のコピーを取っておく
- 1日額を出す計算ツールで日額と振込の目安
- 2生活費を出す通帳か家計簿から
- 3窓口で聞く国保の試算と住民税の残り
- 4家計表を作る何か月もつかを出す
- 5辞めたら手続き年金・健康保険・ハローワーク
1番から4番までは、辞めると決める前の材料です。ここまでやれば、「辞めたら何か月もつか」を自分の数字で言えるようになります。
次に読むもの
失業保険の申込みから振込までの段取りは 失業保険のもらい方 へ、任意継続と国保の比べ方は 任意継続の保険料はいくら? へ。会社都合に当たるかを確かめたい人は 会社都合退職の条件 を、辞める時期を考えている人は いつ・どう辞めるか の記事を見てください。
仕事を辞めたいけどお金がない人のよくある質問
仕事を辞めてお金がないときは、どうしたらいいですか?
まず、国民年金の特例免除と、国保・住民税の納め方を市区町村の窓口で相談してください。特例免除では退職した本人の前年の所得はゼロとして審査されますが、世帯主・配偶者の所得も審査に入り、承認されるかは審査で決まります。失業保険の手続きがまだなら、離職票が届きしだいハローワークで申込みをすると、空白の月が延びずに済みます。
貯金がないのに退職したらどうなりますか?
失業保険が入るまでの空白の月に、生活費と国民年金・健康保険・住民税の支払いが重なります。この期間をどうつなぐかが一番の問題になるので、辞める前に家計表を作り、空白の月数と毎月の不足を出しておくことをおすすめします。
3か月無職で貯金はいくら必要ですか?
一律の額はありません。毎月出ていくお金(生活費+国民年金+健康保険+住民税)に月数をかけ、その間に入ってくる失業保険を引いた額が、その人に必要な額です。国保と住民税の額は人によって違うので、市区町村で試算してもらった額を入れてください。
仕事を辞めたいけどお金が不安なときは、どうしたらいいですか?
辞めるかどうかを決める前に、辞めたら何か月もつかを家計表で出してみてください。数字が見えると、辞める日を後ろにする、在職中に次を探す、このまま続けるなど、選べる道がはっきりします。決めるのはそのあとで構いません。
失業保険は辞めてからいつ口座に入りますか?
求職の申込みのあと、待期7日、正当な理由のない自己都合退職なら原則1か月の給付制限を経て、失業の認定を受けてから通常5営業日で振り込まれます。申込みの日と辞め方で変わるので、自分の目安は計算ツールで出してください。
国保と任意継続はどちらが安いですか?
人によって違います。国保は住んでいる市区町村と前年の所得で、任意継続は退職時の標準報酬月額と住む都道府県の料率で決まるので、両方の額を出して比べてください。比べ方は任意継続の保険料の記事にあります。
数字だけ、もう一度
- 何か月もつか:貯金を、月ごとの「出ていくお金 − 入ってくるお金」で減らしていき、ゼロになるまでの月数。一律の目安はない
- 国民年金:令和8年度は月額17,920円。切り替えは退職日の翌日から14日以内。払えないときは退職による特例免除(前年の所得をゼロとして審査・承認は審査次第)
- 国保:額は市区町村と前年の所得で決まる。届出は14日以内。特定受給資格者・特定理由離職者で受給資格がある人は、前年の給与所得を100分の30とみなす軽減がある
- 任意継続(協会けんぽ):全額自己負担で、協会けんぽの説明では退職時の約2倍(標準報酬月額の上限32万円があり、2倍にならない人もいる)。退職日の翌日から20日以内
- 住民税:前年の所得で算定。1〜5月に辞めると残りは最後の給与などから一括徴収
- 失業保険が入る順番:求職の申込み→待期7日→(正当な理由のない自己都合退職は原則1か月の給付制限)→原則4週間に1回の認定→認定から通常5営業日で振込
- 苦しいのは空白の月:退職から最初の振込までは、貯金だけでつなぐ
お金の不安で辞めるかどうかを決められないときは、決める前に家計表を1枚作るのが近道です。出ていくお金の4つの行と、失業保険が入る月が並べば、「辞めたら何か月もつか」が自分の数字で出ます。その数字を見て、辞める日を動かすのか、今は続けるのか、すぐに辞めて手続きを急ぐのかを決めればよく、どれを選んでも、次にやることははっきりしています。

