退職勧奨に応じたら会社都合?自己都合にされない手順と希望退職との違い

書類に記入する手元
  • 会社から「辞めてもらえないか」と言われた。応じたら会社都合になる?
  • 退職届を書いてしまったら、自己都合にされるの?
  • その場で返事をしないといけない?考える時間はもらえる?
  • 希望退職に手を挙げた場合や、早期退職制度に応募した場合も会社都合?
  • 「自己都合で出してくれれば円満に済む」と言われた。断れる?
  • 言われたことを、どう記録しておけばいい?
  • 離職票を見たら自己都合になっていた。今から変えられる?
  • 弁護士や退職代行に頼まないと、会社都合にはならない?

上記のような悩みに答えます。

退職勧奨は、会社が働く人に「辞めてほしい」と持ちかけることで、解雇とは違い、本人が応じて初めて退職になります。応じて辞めた場合、失業保険では会社都合の側(特定受給資格者)に当たる辞め方として、ハローワークの基準に書かれています。ところが、検索で上位に出るのは会社側向けの法律事務所の解説が多く、勧奨の進め方や会社の注意点が中心で、言われた側が「返事をする前に何を確かめ、何を残しておけばいいか」は後回しになりがちです。早期退職制度や希望退職との違いも、「どれも会社都合」とまとめられていることがあります。そこで、勧奨で辞めた場合の扱いと判定の仕組みという基本を押さえたうえで、早期退職優遇制度・企業整備の希望退職との区別、離職する前に確認させられる離職証明書の異議の欄、記録に残しておく言葉まで、ハローワークと厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。

先に答え

会社から退職を勧められ、それで辞めた人は、ハローワークの基準で特定受給資格者(会社都合)に当たる辞め方です。当たるかどうかはハローワークが事実を確かめて判定します。ただし、従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度などに応募して辞めた場合は当たりません。応じるかどうかは自由で、その場で答える必要もありません。

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目次

退職勧奨で辞めたら会社都合になる

書類に記入する手元

会社から退職を勧められ、それに応じて辞めた人は、失業保険で特定受給資格者として扱われる辞め方に当たります(当たるかどうかはハローワークが事実を確かめて判定します)。いわゆる会社都合の扱いで、退職届を自分で書いたかどうかは、それだけで扱いを分けるものではありません。

根拠は、特定受給資格者を定めた雇用保険法施行規則36条で、その中に「事業主から退職するよう勧奨を受けたこと」が挙げられています。ハローワークの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」は、同じ基準をもう少し詳しく、次のように書いています。

事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている「早期退職優遇制度」等に応募して離職した場合は、これに該当しない。)

雇用保険法施行規則36条(e-Gov法令検索)/ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」

厚生労働省の冊子(第5章)も、退職勧奨に応じて退職した場合は自己都合による退職とはならない、と説明しています。勧奨に応じた退職は、形の上では本人の合意で終わりますが、辞めるきっかけを作ったのは会社の側です。基準の文言も、本人が退職届を出したかどうかではなく、勧奨を受けたことで辞めたかどうかを見る書き方になっています。

出典:厚生労働省の冊子(第5章)

ここで見落としやすいのが、原文の「直接若しくは間接に」と「勧奨を受けたことにより離職した」という2つの言葉です。上司から面と向かって言われた場合だけでなく、人事を通じて伝えられた場合も、文言の上では含まれます。一方で、原文は「勧奨を受けたことにより離職した」ですから、編集部は、勧奨をはっきり断って働き続け、半年後に別の理由で自分から辞めた人は、この文言には当たらない可能性があると読んでいます(ハローワークの判断例ではありません)。

ただし、勧奨を受けたと言えば当たる、というものでもありません。当たるかどうかを決めるのは会社でも本人でもなく、ハローワークです(判定の仕組みは下の「離職証明書の異議の欄を確かめる」の項)。言われた側にできるのは、勧奨があったことと、それで辞めたことを、あとで説明できる形にしておくことです。

会社都合と判定された後に、年齢と勤続年数で何日分・総額いくらになるかは、会社都合の失業保険 で整理しています。

退職勧奨はその場で返事をしなくていい

退職勧奨に応じるかどうかは、働く人の自由です。厚生労働省の冊子(第5章)は、その場ですぐに答える必要もないこと、辞める意思がない場合は応じないことを明確に伝えるのが大切なことを説明しています。

出典:厚生労働省の冊子(第5章)

勧奨は、会社からの「辞めてもらえないか」という申し出で、解雇の通知とは違います。解雇は会社が一方的に雇用を終わらせるものですが、勧奨は本人が応じなければ退職にはなりません。だからこそ、面談の場で「今日中に返事を」と言われても、急いで決める理由はありません。応じるにしても、条件と離職理由の書き方を確かめてからのほうが、あとで困らずに済みます。

返事を保留するときは、次の3つを会社に聞いておくと、考える材料がそろいます。

  • 辞めてほしい理由(業績・部署の廃止・本人の評価など、会社はどう説明しているか)
  • 応じた場合の退職日と、それまでの扱い(有給の消化・出社の有無)
  • 離職証明書に離職理由をどう書くつもりか(退職勧奨と書くのか)

たとえば、面談で突然切り出され、頭が真っ白になった人は、「持ち帰って考えます。返事はいつまでに必要ですか」とだけ答えて席を立って構いません。そのうえで、帰ってから上の3つを書き出し、分からなかったものは後日メールで聞きます。メールで聞けば、会社の答えがそのまま記録になります。

応じない場合でも、勧奨が何度も続いたり、長い時間にわたったりすることがあります。冊子は、執拗に退職を勧められたときは、労働組合や全国の総合労働相談コーナーに相談するよう案内しています。勧奨のやり方そのものが問題かどうかは、個別の事情で判断が分かれる法律の話なので、この記事では扱いません。面談の日時・同席者・言われた内容のメモを持って、相談窓口か弁護士に聞いてください。

応じるか応じないかは、どちらが正しいというものではありません。決めるのはあなたです。この記事でできるのは、応じた場合に失業保険でどう扱われるかと、どちらを選んでもあとで説明に困らないための準備を並べることです。

希望退職・早期退職は会社都合か

封筒と万年筆

「辞めてほしい」という会社の働きかけには、個人への退職勧奨のほかに、希望退職者の募集や早期退職優遇制度があります。この3つは、失業保険ではそれぞれ扱いが分かれます。

ハローワークの概要は、退職勧奨の基準に、従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度などに応募して離職した場合は当たらない、という注記を付けています。制度の理由までは書かれていませんが、ふだんから用意されている制度に自分で応募した場合を、個別の勧奨と分けて扱う書き方です。一方、企業整備による人員整理などの場面で希望退職の募集に応じた人については、特定理由離職者の範囲の(6)に、次のように書かれています。

(6) その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(11)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等

ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」

会社からの働きかけ 失業保険での位置づけ 見られる点
個人への退職勧奨に応じた 特定受給資格者(会社都合) 勧奨を受けたことで辞めたか
企業整備による人員整理等での希望退職の募集に応じた 特定理由離職者の範囲の(6)に当たり得る 人員整理の中での募集か
従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度等に応募した 退職勧奨には当たらない いつからある制度か・応募の経緯

同じ「希望退職」という名前でも、会社が人員を減らすために期間を区切って募集したものなのか、ふだんから就業規則などで用意されている制度なのかで、置かれる場所が変わります。特定理由離職者のこの区分の判断は、給付制限を行う場合の「正当な理由」の認定基準と同様に行う、と注記されています(補足2)。(6)もこの区分の中に置かれているので、編集部は同じ基準で見られると読んでいます。希望退職に応じたことだけで給付制限の有無が決まるわけではなく、正当な理由があるとハローワークが判断した場合に、給付制限がかからない扱いになります。また、正当な理由のある自己都合で辞めた人の給付日数は、特定受給資格者の表ではなく、一般の離職者の日数の表で見ます。

同じ「辞めてほしい」でも、位置づけが分かれる
個人への退職勧奨に応じた

  • 特定受給資格者(会社都合)
  • 勧奨で辞めたかを見られる
恒常的な早期退職優遇制度に応募した

  • 退職勧奨には当たらない
  • いつからある制度か・応募の経緯

たとえば、業績の悪化で「今期に限って希望退職を募る」と案内されて応じた人と、何年も前から人事制度にある早期退職の上乗せ制度を使って辞めた人とでは、名前は似ていても見られ方が違います。さらに、希望退職の募集とは別に上司から個別に「あなたには応募してほしい」と言われていた場合は、個人への勧奨に当たるかどうかが問題になります。

自分がどれに当たるかは、募集の案内文(募集の時期・対象・理由が書かれたもの)と、個別に声をかけられたならその日時と内容のメモで説明します。案内文は配られた紙やメールを捨てずに残し、ハローワークの窓口で見せてください。どれに当たるかを決めるのはハローワークで、ここでの表は、窓口で何を聞かれるかの見当をつけるためのものです。

退職勧奨で「自己都合で」と言われたら

勧奨の場で「自己都合として退職届を出してほしい」「そのほうが次の転職にも有利だ」と言われることがあります。断ることはできますし、仮に退職届に「一身上の都合」と書いてしまっても、それだけで離職理由が決まるわけではありません。

離職理由は、会社が主張する理由と本人が主張する理由をそれぞれ確かめたうえで、最終的にハローワークが判定します。厚生労働省のパンフレット「離職されたみなさまへ」は、事業主と離職者の双方の主張を、それぞれを確認できる資料で事実確認したうえで、ハローワークが慎重に判定すると説明しています。判定は、双方の主張を確認できる資料で事実を確かめて行うとされています。退職届に何と書いたかだけで決まる、とは書かれていません。

出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」

会社が自己都合の形を望む理由は会社ごとにあり、編集部はそれを一律に言い切れる根拠を持っていません。理由が何であれ、それは会社の事情で、あなたの離職理由を決める基準ではない、というのが判定の仕組みから言えることです。

では、どう返せばいいか。編集部の整理では、次の順で考えると角が立ちにくくなります。

  1. 退職届を書くかどうかの前に、「離職証明書の離職理由はどう書かれますか」と聞く
  2. 自己都合と書くと言われたら、「勧奨を受けたので、事実どおり書いてほしい」と伝える
  3. 退職届の文面を求められたら、「一身上の都合」ではなく「貴社からの退職勧奨を受け」など経緯が分かる書き方にできないか相談する
  4. どうしても会社が譲らないときは、その場では書かず、やりとりをメールで残す

たとえば、すでに「一身上の都合」と書いた退職届を出してしまった人でも、勧奨の面談の日時のメモや、会社から届いた勧奨のメールが残っていれば、それを持って窓口で事情を説明できます。逆に、退職届の文面だけきれいに直しても、勧奨があったことを示すものが何も無ければ、説明は難しくなります。

合意書や退職届に何を書くかで迷ったら、文面の案をそのまま写して手元に置き、署名する前に読み返します。文面の法的な意味の判断が要るときは、案を持って弁護士に相談してください。

退職勧奨の面談で残しておく記録

勧奨があったことは、口頭のやりとりだけだと、あとで「本人から言い出した」と言われたときに説明が難しくなります。面談のたびに、日時・場所・同席者・言われた内容を、その日のうちに書き残しておきます。

ハローワークは双方の主張を、それぞれを確認できる資料で確かめます。本人の側の資料になるのは、勧奨の事実が分かるものです。特別な形式は要りませんが、日付が残っていて、後から書き足したものではないと分かる形が説明しやすくなります。

  • 面談のメモ:日時・場所・同席者・会社が言ったこと・自分が答えたこと
  • 会社からのメールや社内チャット、配られた資料(面談の案内・条件の提示)
  • 自分から送った確認のメール(「本日の面談で退職を勧められた件」など)
  • 希望退職の募集なら、その案内文
  • 退職届や合意書を出したなら、その控え

検索では「退職勧奨で言ってはいけない言葉」という問いがよく出てきますが、これは主に会社側の注意点です。言われた側にとって大事なのは、相手の言葉をそのまま書き残すことです。「あなたの席はもうない」「今月中に決めてほしい」「自己都合で出してくれれば」といった言葉は、要約せず、言われたとおりに書きます。

自分の側の言い方も、あとで読み返されることを意識しておくと安心です。たとえば面談の最後に「辞めます」とだけ言うと、経緯を知らない人には自分から申し出たように読めてしまいます。「退職を勧められた件、応じる方向で考えます」のように、勧奨を受けたことが分かる言い方で返しておくと、メモとメールがそのまま経緯の説明になります。

たとえば、何度かの面談を経て応じることにした人なら、最初の面談のあとに「本日、退職の勧奨を受けました。少し考えさせてください」と上司にメールを送り、その後の面談もその日のうちに要点をメモしておきます。こうして日付順に並んだ記録があれば、窓口で事情を説明するとき、時系列をそのまま見せれば足ります。

離職証明書の異議の欄を確かめる

離職理由の書かれ方は、離職票が届く前、離職証明書の段階で確かめられます。会社は離職する日までに、会社が記載した離職理由を本人に確認させることになっていて、離職証明書には、本人がその理由に異議があるかを示す欄(⑯欄)があります。

厚生労働省の「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」によると、⑯欄は「離職者本人の判断(○で囲むこと)」の欄で、事業主が○を付けた離職理由に、異議が有りか無しかを本人が示します。ハローワークの「雇用保険の具体的な手続き」も、会社が出す離職証明書は離職前に本人が氏名を記載することになっているので、離職理由などの記載内容も確かめるよう案内しています。離職者が主張する離職理由は、のちに交付される離職票-2の離職理由欄(⑦欄)で把握されます。

出典:厚生労働省「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」/ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」

離職理由は、この順で確かめる
  1. 1離職証明書を見せられる離職する日までに、会社が書いた離職理由を確認する
  2. 2⑯欄で異議を示す勧奨なのに自己都合なら、異議有りに○
  3. 3離職票-2が届く離職理由欄(⑦欄)を見直す
  4. 4窓口で申し出る記録を見せ、ハローワークが判定する

会社都合の条件全体の説明では「離職票が届いたら異議を」とまとめられがちですが、勧奨を受けた人には、その前に一度、離職証明書を目にする場面があります。ここで会社が「自己都合退職」の側に○を付けていたら、⑯欄で異議有りを選びます。言われるままに異議無しに○を付けてしまうと、あとで窓口で事情を説明するときに、その説明から始めることになります。

たとえば、最終出社の日に人事から「ここに名前を書いてください」と離職証明書を渡され、離職理由が自己都合になっていた人は、⑯欄で異議有りに○を付け、氏名を書きます。その場で書き直しを求めて揉める必要はありません。離職票-2が届いたら離職理由欄(⑦欄)をもう一度見て、求職の申込みのときに、面談のメモやメールを持って窓口で説明します。ハローワークは、離職理由に異議がある場合、事実関係を調べて判定するとしています。

離職証明書を見せられないまま退職日を迎えた人や、離職票がなかなか届かない人は、離職票が届かないとき の順番で動いてください。異議を出したあとの判定の流れや、ほかの会社都合の類型は 会社都合退職になる条件 にまとめています。

会社都合で変わる給付制限と日数

勧奨で辞めて特定受給資格者と判定されると、失業保険では給付制限がかからず、年齢と勤続年数によっては給付日数が自己都合より多くなります。受給資格の条件も短くなります。

厚生労働省のパンフレットは、解雇・定年・契約期間満了で離職した人は待期7日の経過後に支給され、自己都合・懲戒解雇で離職した人は待期7日に加えて給付制限が経過した後に支給される、と説明しています。自己都合の給付制限は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です。特定受給資格者には給付制限がかからない、というのは、このパンフレットの記述と、雇用保険法が給付制限をかける場面(正当な理由のない自己都合の退職と、重大な理由による解雇)からの編集部の整理です。会社都合と判定されれば、この1か月の待ちはありません。

出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」/厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」/ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

計算例

離職時の年齢・勤続 特定受給資格者 一般の離職者(自己都合)
33歳・勤続7年 180日 90日
41歳・勤続12年 240日 120日

受給資格の条件も違います。特定受給資格者と特定理由離職者は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば受給資格が付きます。入社して間もなく勧奨を受けた人も、まずここを確かめてください。

国民健康保険に入る人は、特定受給資格者などで受給資格がある人は、保険料の計算で前年の給与所得を100分の30とみなす軽減を、離職の翌日の属する年度の翌年度末まで受けられます。申請は市区町村です(国民健康保険法施行令29条の7の2(e-Gov法令検索))。詳しくは 会社都合退職になる条件 の国民健康保険の項を見てください。

日数の表の全体と、総額でどれだけ違うかは 会社都合の失業保険 に譲ります。ここで押さえておきたいのは、勧奨に応じるかを考える段階で、自分の場合に何日分・いくらの差になるかを先に出しておくと、返事を保留している間の判断材料になる、ということです。差が大きい人ほど、離職証明書の⑯欄を確かめる意味も大きくなります。計算ツールでは、離職理由を切り替えて見比べられます。

使わなくていい場合

手帳と2本のペン

条件の交渉が要らず、離職証明書と離職票の記載を確かめれば足りる人は、退職代行や弁護士に頼まなくて構いません。離職理由を判定するのはハローワークで、⑯欄で異議を示すことも、窓口で事情を説明することも、本人ができます。

  • 勧奨に応じること自体は決めていて、退職日や有給の扱いにも不満がない
  • 離職証明書で会社が書いた離職理由を確かめられる(または異議有りに○を付けられる)
  • 面談のメモやメールなど、勧奨があったことを示す記録が手元にある

一方で、退職日・有給の消化・未払いの賃金などで会社とのやりとり(交渉)が要る人は、誰に頼むかで、できることが変わります。労働組合は、退職の意思を伝えることに加えて、有給・退職日・未払い賃金などについて団体交渉ができます(労働組合法7条2号)。ただし、訴訟の代理はできません。条件の交渉そのものは労働組合でもできますが、勧奨のやり方が問題かどうかなど、個別の法律判断が要る場合は弁護士に相談してください。

出典:労働組合法7条(e-Gov法令検索)

弁護士に相談するときは、面談のメモ、会社とのメール、提示された条件の書面、雇用契約書と就業規則の写しを持っていくと、話が早く進みます。手続きと記録で足りる人が外部に頼んでも、ハローワークが判定するという仕組みは変わりません。

次にやること

勧奨を受けた日から、離職票で離職理由を確かめるまでを順に並べます。

  1. 面談の当日:日時・場所・同席者・言われた内容をメモし、勧奨を受けたことが分かるメールを上司か人事に送る
  2. 返事の前:辞めてほしい理由・退職日・離職理由の書き方を会社に聞き、答えをメールで残す
  3. 希望退職の募集なら:案内文を保存し、個別に声をかけられたならその日時と内容もメモする
  4. 応じると決めたら:退職届や合意書の文面を写して手元に置き、経緯が分かる書き方にできないか相談する
  5. 離職証明書を見せられたら:離職理由を確かめ、実態と違えば⑯欄で異議有りに○を付ける
  6. 離職票-2が届いたら:離職理由欄(⑦欄)を見直し、記録を持ってハローワークで求職の申込みをする

次に読むもの

会社都合と判定された後の日数と総額は 会社都合の失業保険 に、ほかの会社都合の類型と異議の流れは 会社都合退職になる条件 にまとめています。上司の言動がつらくて辞めるか迷っている人は 人間関係で辞めたいとき も参考にしてください。退職日の置き方で迷っている人は いつ・どう辞めるか の記事へ。

よくある質問

退職勧奨に応じて退職届を書いたら、自己都合になりますか?

退職届を書いたことだけで自己都合と決まるわけではありません。勧奨を受けたことで辞めた事実があれば、ハローワークの基準では特定受給資格者に当たる辞め方です。判定するのはハローワークなので、勧奨の記録を残しておいてください。

勧奨退職と自己都合退職の違いは何ですか?

失業保険では、勧奨で辞めた人は特定受給資格者、正当な理由のない自己都合の人は一般の離職者として扱われます。違いは給付制限(自己都合は原則1か月)、給付日数、受給資格に必要な被保険者期間の長さに出ます。自分の場合の差は 失業保険の計算ツール で見比べられます。

早期退職は自己都合になりますか?

従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度などに応募して辞めた場合は、退職勧奨の基準には当たらないとされています。一方、企業整備による人員整理などで希望退職の募集に応じた人は、特定理由離職者の範囲の(6)に当たり得ます。退職勧奨に当たらない場合の位置づけは、募集の案内文と経緯をもとにハローワークが判断します。どちらかは、案内文と経緯を持ってハローワークで確かめてください。

会社都合の退職勧奨に応じるデメリットは?

応じれば雇用は終わるので、働き続ける道はなくなります。会社都合と判定されれば、失業保険の面では不利はありませんが、退職日や条件を確かめずに応じると、あとで変えにくくなります。返事はその場でしなくてよいので、条件と離職理由の書き方を確かめてから決めてください。

会社はなぜ会社都合にしたがらないのですか?

理由は会社ごとに違い、編集部は一律に言い切れる根拠を持っていません。いずれにしても離職理由を判定するのはハローワークで、会社の希望で決まるものではありません。

離職票で自己都合にされていたら、今から変えられますか?

離職票-2の離職理由欄を見直し、求職の申込みのときに勧奨の記録を持ってハローワークで説明します。ハローワークは、会社と本人の双方の主張を資料で確かめて判定します。離職証明書の段階で異議有りに○を付けていなかった人も、窓口で事情を説明できます。

数字だけ、もう一度

  1. 勧奨を受けたことで辞めたら:特定受給資格者(雇用保険法施行規則36条)。判定はハローワーク。恒常的な早期退職優遇制度などへの応募は当たらない
  2. 希望退職:企業整備による人員整理等での募集に応じた人は、特定理由離職者の範囲の(6)に当たり得る
  3. 返事:応じるかは自由で、その場で答える必要はない(厚生労働省の冊子)
  4. 離職証明書:離職する日までに会社が書いた理由を確認させられる。異議は⑯欄、離職票-2では離職理由欄(⑦欄)
  5. 給付制限:会社都合ならかからない。自己都合は待期7日のあと原則1か月
  6. 日数の差:年齢と勤続年数で開く(上の表の例では会社都合180日と自己都合90日、240日と120日)。全体の表は会社都合の失業保険の記事へ
  7. 受給資格:特定受給資格者は離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上
  8. 交渉:労働組合は団体交渉ができる(訴訟の代理はできない)。個別の法律判断は弁護士へ

勧奨を受けたときにいちばん大事なのは、応じるかどうかを急いで決めることではなく、勧奨があったという事実を、日付のついた形で手元に残すことです。そのうえで、離職理由をどう書くのかを会社に確かめ、離職証明書の⑯欄を自分の目で見る。ここまでできていれば、応じても応じなくても、あとで経緯を説明しやすくなります。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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