- 毎朝、会社に行きたくない
- 日曜の夜になると気分が沈む
- 辞めたら負けな気がして、踏み切れない
- 辞めたら失業保険はいつ入るの?
- そもそも、いくらもらえるのか分からない
- 辞めたあとの健康保険・年金・住民税が怖い
- 休職したほうがいいのか、辞めたほうがいいのか分からない
- 誰かに決めてほしい
上記のような悩みに答えます。
仕事を辞めたい気持ちは、ある朝ふいに強くなることもあれば、何か月もかけて少しずつ積もっていくこともあります。どちらの場合も、頭の中では「辞めるか、続けるか」の二択になりやすく、決めきれない自分を責めてしまいがちです。検索で上に出てくるのは「辞めどきのサイン」「辞めていい人・ダメな人」といった診断や、転職サービスへの案内が中心で、辞めたら実際にいつ・いくらのお金が入り、何を払うことになるのかは、ほとんど並んでいません。そこで、辞めない道の選び方、辞める前の準備、相談先という基本を押さえたうえで、辞めた後に入るお金と出ていくお金を4つの費目で1表にまとめ、辞める連絡をいちばん最後に置く順番まで、厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構・総務省・協会けんぽの資料で確かめながら整理しました。
辞めるかどうかは、今日決めなくて大丈夫です。辞めた場合、失業保険は正当な理由のない自己都合なら待期7日と給付制限のあとから、解雇(重責解雇を除く)・倒産などなら待期のあとから支給の対象になり、日額は賃金日額のおよそ45〜80%(60歳未満は50〜80%・上限あり)です。出ていくのは健康保険・国民年金・前年の所得にかかる住民税の3つで、先に数字を確かめ、記録と相談先をそろえ、辞める連絡は最後にします。
自分の日額と、受け取れる日数の目安は 失業保険の計算ツール で出せます。
2026年10月時点の制度で確かめています
辞めたいと思った日は決めなくていい

辞めたいと思った日に、辞めるかどうかまで決める必要はありません。その日にできるのは、決めるための材料を集め始めることだけで、それで十分です。
決めなくていい理由は、辞めたい気持ちが強いときほど、比べる材料が手元に無いからです。辞めた後に何が起きるかが分からないまま考えると、「辞めたら生活できないかもしれない」という漠然とした怖さと、「もう限界だ」という今のつらさの、ぼんやりしたもの同士を比べることになります。どちらも形が無いので、何度考えても結論が出ず、決められない自分に疲れてしまいます。片方でも数字に置き換えられれば、比べる作業はぐっと楽になります。
辞めたい気持ちそのものを、甘えかどうかで裁く必要もありません。気持ちは、今の働き方のどこかが自分に合っていないという知らせです。その知らせを受け取ったうえで、何を変えれば楽になるのか、辞めることでしか変えられないのかを、順番に見ていけば足ります。
辞めたいと思った日にやっておくと、後で役に立つことは次のとおりです。
- 辞めたいと感じた日と、そのきっかけになった出来事をメモに残す
- 毎月の給与明細を1か所にまとめておく
- 雇用契約書(労働条件通知書)と就業規則の場所を確かめる
- 今月どれくらい残業したかを、手帳やスマホのメモに書いておく
たとえば、月曜の朝に「もう無理だ」と感じた人が、その日のうちに退職を伝えてしまうと、辞めた後の健康保険や失業保険のことを何も調べないまま、退職日だけが決まってしまいます。同じ人が、その日はメモを残すだけにして、1週間かけて下の表の数字を確かめれば、辞めるにしても続けるにしても、自分で選んだと言える形になります。
迷いが続いているうちは、決めないことも立派な選択です。決めるのは、辞めた後のお金の流れと、辞めずに済む道の両方が見えてからで構いません。
使わなくていい場合
辞めるという手段を使わずに済む人もいます。つらさの原因が、職場そのものではなく、今の部署・今の業務量・今の体調のどれかに絞られるなら、会社に残ったまま変えられる道があります。
辞めない道を先に見ておくのは、辞めることが一度きりの手続きだからです。いったん辞めると元の職場には戻りにくく、健康保険や年金の切り替えも始まります。一方で、有給休暇や休職、異動の相談は、試してみて合わなければ、あらためて辞めることを考え直せます。やり直しがきく道から試すほうが、選べる道を狭めずに済みます。
| 選べる道 | 向いている状況 | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 有給休暇でまとめて休む | 疲れがたまっていて、休めば戻れそうな気がする | 給与明細や勤怠システムで残りの日数を見る |
| 休職 | 体調が理由で、働き続けるのが難しい | 就業規則の休職の項目・人事・産業医 |
| 異動・配置換えの相談 | 原因が特定の上司・部署・業務に絞られる | 上司のさらに上の上司・人事 |
| 働き方の相談(残業を減らす等) | 仕事の中身より、量や時間がつらい | 上司・人事 |
| 退職 | 会社に残る道を試しても変わらない、または試せない | このあとの表と手順 |
どれが自分に当たるかを決めるのは、あなたです。この表は診断ではなく、辞めることと横に並べて比べるための一覧です。
たとえば、上司との関係だけがつらくて、仕事の内容は嫌いではない人なら、異動の相談で状況が変わることがあります。反対に、会社全体の働き方が合わない人は、部署が変わっても同じことが起きやすいので、辞める場合の数字を先に見ておくほうが早く進みます。体調を崩していると感じる人は、どの道を選ぶ前にも、医療機関や会社の産業医に相談してください。体の状態についての判断は、この記事ではしません。
休職から辞めることを考えている人は、休職中の手当と退職日の組み合わせで受け取れる額が変わります。辞める日を決める前に、就業規則の休職の項目と、会社の健康保険の案内を確かめておきます。
仕事を辞めた後のお金は4つ、1表で見る
辞めた後に動くお金は、入ってくるものが1つ、出ていくものが3つです。入るのは失業保険(雇用保険の基本手当)、出ていくのは健康保険・国民年金・住民税で、この4つを並べれば、辞めた後のお金の全体像がつかめます。
4つに絞れるのは、在職中は会社が給料から自動で処理していたものが、辞めた日を境に自分の手続きに変わるからです。在職中の給与明細には、厚生年金・健康保険・住民税の天引きの欄がありますが、辞めるとその欄ごと無くなり、自分で納める請求に置き換わります。入ってくる側も、給料が止まる代わりに、条件を満たせば失業保険の受給が始まります。
| 費目 | 入る・出る | いつから | いくら | 手続きの場所 |
|---|---|---|---|---|
| 失業保険 | 入る | 求職の申込みのあと、待期7日を経てから(正当な理由のない自己都合は原則さらに1か月の給付制限) | 日額は賃金日額のおよそ45〜80%(60歳未満は50〜80%)。年齢ごとに上限がある | ハローワーク |
| 健康保険 | 出る | 会社の健康保険の資格を失ったあと(国保の届出は14日以内) | 国保は市区町村と前年の所得で決まる。任意継続は全額自己負担 | 市区町村(国保は14日以内)/協会けんぽ(任意継続は退職日の翌日から20日以内。組合健保は各組合に確認) |
| 国民年金 | 出る | 退職日の翌日から14日以内に切り替え(次の会社にすぐ入らない場合) | 令和8年度は月額17,920円 | 市区町村(退職日の翌日から14日以内) |
| 住民税 | 出る | 辞めた後も続く | 前年の所得で決まる | 会社と市区町村 |
出典:厚労省「雇用保険の基本手当日額の変更」/厚労省パンフレット「離職されたみなさまへ」/日本年金機構「国民年金の保険料はいくらですか。」/厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」/協会けんぽ「任意継続」/総務省「地方税制度 個人住民税」
この表で見ておきたいのは、入るお金には「待つ期間」があり、出ていくお金には「待つ期間が無い」ことです。国保も国民年金も手続きの期限は14日以内ですが、失業保険の振込はハローワークでの手続きを経てからです。ここに、辞めた後のお金のずれが生まれます。
たとえば、自己都合で辞める人と、会社の倒産で辞める人を比べると、出ていく3つの費目の手続きは同じでも、失業保険が支給の対象になる時期は、給付制限の分だけ自己都合のほうが後ろになります。同じ給料・同じ年齢でも、辞め方ひとつで最初の入金の時期が変わるということです。
まずはこの表の「いくら」の列を、自分の数字で埋めることを目標にします。失業保険は下の項と計算ツールで、出ていく3つは市区町村の窓口で聞けば、ほとんど埋まります。
失業保険はいつから・いくら入るか

失業保険の日額は、辞める前6か月の賃金から出す賃金日額に、45〜80%(60歳未満は50〜80%)の給付率をかけて決まります。賃金が低い人ほど給付率が高く、年齢ごとに上限があります。入り始めるのは、ハローワークで求職の申込みをして待期7日が過ぎてからで、正当な理由のない自己都合で辞めた人は、その後に原則1か月の給付制限(2025年4月1日以降に退職した場合)がはさまります。
厚生労働省のパンフレットは、計算の流れを次のように説明しています。賃金日額は、離職の日以前の6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割った額で、賞与は含みません。そこに給付率をかけたものが基本手当日額です。賃金が低い人ほど給付率が高くなる仕組みです。
| 年齢(離職時) | 賃金日額の上限 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 14,900円 | 7,450円 |
| 30歳以上45歳未満 | 16,540円 | 8,270円 |
| 45歳以上60歳未満 | 18,220円 | 9,110円 |
| 60歳以上65歳未満 | 17,400円 | 7,830円 |
基本手当日額の下限は、年齢にかかわらず2,562円です。給付率は、賃金日額が5,480円未満なら80%、60歳未満で13,490円を超えると50%、60歳以上65歳未満で12,120円を超えると45%で、その間は賃金日額が上がるほど給付率が少しずつ下がります。これらの額は毎年8月1日に見直され、上の表は2026年8月1日からの額です。
出典:厚労省「雇用保険の基本手当日額の変更」/厚労省パンフレット「離職されたみなさまへ」
例1:35歳で、辞める前6か月の賃金の合計が3,600,000円の人
- 賃金日額:3,600,000円 ÷ 180 = 20,000円
- 30歳以上45歳未満の賃金日額の上限16,540円を超えるので、16,540円で計算
- 13,490円を超えているので給付率は50%:16,540円 × 50% = 8,270円(この年齢の上限額と同じ)
例2:25歳で、辞める前6か月の賃金の合計が900,000円の人
- 賃金日額:900,000円 ÷ 180 = 5,000円
- 5,480円未満なので給付率は80%:5,000円 × 80% = 4,000円
どちらも厚労省の「およその計算式」による目安です。正確な額は、離職票をもとにハローワークが計算します。
例1の人は、賃金がどれだけ高くても日額は上限で止まり、例2の人は、賃金の8割が日額になります。給料が高かった人ほど「思ったより少ない」と感じやすいのは、この上限と給付率のしくみのためです。
受け取れる日数(所定給付日数)は、辞め方と、雇用保険に入っていた期間で決まります。自己都合など一般の離職者は、次のとおりです。
| 雇用保険に入っていた期間 | 所定給付日数(一般の離職者) |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
倒産・解雇などで辞めた特定受給資格者や、一部の特定理由離職者は、年齢と期間に応じて90日から330日までの範囲で、一般の離職者より長くなる場合があります。自分の日数は 失業保険の計算ツール で、年齢・期間・辞め方を入れて確かめてください。
入り始める時期は、辞め方で次のように分かれます。
- 待期7日のあと、原則1か月の給付制限
- 支給の対象になる日が後ろへずれる
- 待期7日のあと、すぐ支給の対象
- 給付制限ははさまらない
支給の対象になってからも、お金が口座に入るのは失業の認定を受けてからです。認定は原則4週間に1回で、認定日から通常5営業日で振り込まれます。退職日からさかのぼって5年のうちに、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を2回以上受けている人は、3回目以降の給付制限が3か月になります。自分が当たるかは 給付制限は1か月 で確かめ、申込みから振込までの段取りは 失業保険のもらい方 を見てください。
出典:厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」/雇用保険法21条(待期)/ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」
自分が自己都合になるのか、会社都合として扱われるのかは、辞める理由で決まります。会社が倒産した、解雇された(自分の重大な理由による解雇を除く)、という場合だけでなく、残業が一定の時間を超えていた、上司や同僚から就業環境を著しく害する言動を受けた、会社から退職を勧められた(早期退職優遇制度に応募した場合は除く)、といった場合も、特定受給資格者に当たることがあります。当たるかどうかを決めるのはハローワークで、判断の材料になるのは、下の「辞める前にやる3つの手順」で残す記録です。具体的な基準は 会社都合退職の条件 にまとめています。
出ていく3つの費目と期限
健康保険・国民年金・住民税は、辞めた後も止まりません。国保は14日以内、任意継続(協会けんぽ)と国民年金は退職日の翌日から20日・14日以内と、手続きの期限が短く、住民税は前年の所得をもとに、辞めた後も納めることになります。
3つが止まらないのは、どれも「働いているかどうか」ではなく「住んでいること」や「前の年に稼いだこと」に結びついているからです。会社の健康保険から外れたら、任意継続や国保へ自分で切り替え、20歳以上60歳未満で次の会社にすぐ入らない人は国民年金へも切り替えます。住民税は前年の1月から12月までの所得で決まり、その年の1月1日に住んでいた市町村で課税されるため、今年辞めても、去年の分の支払いは残ります。
- 健康保険:国民健康保険(国保)なら、14日以内に市区町村へ届け出る。会社の健康保険を続ける任意継続(協会けんぽ)は、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あり、退職日の翌日から20日以内に手続きする。任意継続の保険料は全額自己負担で、標準報酬月額には上限32万円がある
- 国民年金:20歳以上60歳未満で、次の会社にすぐ入らないなら、退職日の翌日から14日以内に市区町村で切り替える。令和8年度の保険料は月額17,920円。払うのが難しいときは、退職した人の前年の所得をゼロとして審査する特例免除がある(世帯主・配偶者の所得も審査の対象になり、承認は審査で決まる)
- 住民税:在職中は給料から天引き(特別徴収)だったものが、辞めると市町村からの納税通知書で納める形(普通徴収)などに変わる。1〜5月に辞める人は、原則として残りの住民税が最後の給与や退職金からまとめて引かれる。6月以降に辞める場合も、本人の申出があれば最後の給与などからまとめて引くことができる
出典:厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」/協会けんぽ「任意継続」/協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」/日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」/日本年金機構「国民年金の加入、保険料免除・納付猶予制度のご案内」/総務省「住民税の特別徴収にご協力ください!」
国保の保険料は、市区町村ごとに計算の仕方が違うため、ここでは額を書きません。倒産・解雇などで辞めた特定受給資格者や、特定理由離職者で受給資格がある人は、前年の給与所得を100分の30とみなして国保の保険料を計算する軽減があり、期間は離職の日の翌日が属する年度の翌年度の末日までです。軽減を受けるには市区町村への申請が要ります。
たとえば、3月に自己都合で辞める人は、最後の給与から住民税の残りがまとめて引かれ、最後の手取りが普段より少なくなります。辞める月によって、まとめて引かれる場合と通知書で納める場合に分かれます。いつ辞めるかで、出ていくお金の「時期」が動くということです。
数字を並べてみて、貯金で何か月暮らせるのかが気になった人は、仕事辞めたいけどお金がないなら で、月ごとの家計表の作り方を見てください。任意継続と国保のどちらが安いかは、任意継続の保険料はいくら? で比べられます。この記事は、制度の側から入るお金と出るお金を並べるところまでにしておきます。
仕事を辞める前にやる3つの手順
辞めると決めていなくても、今日から始められる手順が3つあります。記録を残す、相談先を知っておく、受け取れる給付を確かめる、の3つで、どれも辞めるにしても続けるにしても無駄になりません。
この3つを辞める前に置くのは、辞めた後では取り返しにくいものばかりだからです。勤務時間の記録や上司とのやりとりは、退職して会社のパソコンやメールが使えなくなると集められません。相談先も、辞めた後に慌てて探すより、まだ給料が入っているうちに話を聞いておくほうが落ち着いて選べます。給付の条件も、辞める日や辞め方を決める前に知っていれば、損をしない日付を選べます。
- 1記録を残す勤務時間・給与明細・やりとり
- 2相談先を知る社内・公的な窓口・市区町村
- 3給付を確かめる計算ツールで日額と日数
1つ目の記録は、会社都合として扱われるかどうかの材料になります。たとえば、離職の日の前6か月のうち、いずれかの月に時間外・休日労働が100時間以上あった場合や、連続した2か月以上の平均で1か月80時間を超えていた場合は、特定受給資格者に当たる基準のひとつです。タイムカードの写し、勤怠システムの画面、給与明細の残業代の欄、上司とのメールやチャットを、日付が分かる形で手元に残します。
2つ目の相談先は、次の項で、どこに何を持って行けばいいかをまとめています。3つ目の給付は、失業保険の計算ツール に年齢・賃金・雇用保険に入っていた期間を入れれば、日額と日数の目安が出ます。そこに、市区町村で聞いた国保の額と、年金の額を書き足せば、上の4つの費目の表が自分の数字で埋まります。
たとえば、長時間の残業が続いて辞めたいと思っている人が、記録を残さないまま辞めると、ハローワークで残業の事実を示す材料が無く、自己都合として扱われることがあります。同じ人が、在職中に勤怠の画面と給与明細をそろえておけば、ハローワークで基準に当たるかを判断してもらう材料になります。人間関係が理由の人は、どんな記録を残せばいいかを 人間関係で仕事を辞めたい で整理しています。
3つの手順は、どれも上司に何も言わずに進められます。辞めるかどうかを決めるのは、この3つがそろってからで遅くありません。
辞めたいときの相談先と持ち物
辞めたいと思ったときの相談先は、会社の中、公的な窓口、市区町村の3つに分かれます。どこに行くかは「何を知りたいか」で決め、行くときは、聞かれることに答えられる書類を持っていきます。
相談先を分けて考えるのは、1つの窓口で全部が分かるわけではないからです。失業保険の受給資格や辞め方の扱いはハローワーク、健康保険・年金・住民税は市区町村、会社とのもめごとは労働の相談窓口、と担当が分かれています。間違った窓口に行くと「それはうちでは分かりません」と言われ、もう一度行き直すことになります。
| 相談先 | 聞けること | 持っていくもの |
|---|---|---|
| 上司・人事・産業医 | 異動・休職・働き方の相談、休職制度の中身 | 就業規則の該当箇所、困っていることのメモ |
| ハローワーク | 失業保険の受給資格、会社都合に当たるか、所定給付日数 | 雇用保険被保険者証(あれば)、給与明細、勤務時間の記録 |
| 都道府県労働局の総合労働相談コーナー | 解雇・賃金・いじめ・嫌がらせなど職場の労働問題(無料) | 雇用契約書、やりとりの記録、出来事を日付順に書いたメモ |
| 市区町村の窓口 | 国保の保険料の試算、国民年金の切り替えと特例免除、住民税の残り | 源泉徴収票か給与明細、本人確認の書類 |
| 医療機関 | 体調のこと | 眠れない・食べられないなど、いつから何があるかのメモ |
持っていく書類は窓口によって違うことがあるので、行く前に電話で確かめると二度手間になりません。
誰かに決めてほしい、という気持ちになるのは自然なことです。ただ、どの窓口も、辞めるべきかどうかは決めてくれません。窓口が教えてくれるのは、辞めた場合と辞めない場合のそれぞれで何が起きるかで、その答えを並べて選ぶのは自分です。そのぶん、窓口で聞いた答えはそのまま判断の材料になります。
たとえば、残業が多くて辞めたい人なら、まずハローワークで「この記録で会社都合に当たる可能性はあるか」を聞き、次に市区町村で国保の試算をしてもらえば、辞めた後の入るお金と出るお金の両方が分かります。家族に反対されて迷っている人も、窓口で聞いた数字を見せながら話すと、気持ちだけで話すよりも話が進みやすくなります。
動く順番は、辞める連絡が最後
辞めると決めた場合も、上司に辞めると伝えるのは最後です。数字を確かめ、記録をそろえ、退職日を決めてから伝えれば、伝えた後に慌てることがありません。
辞める連絡を最後にするのは、伝えた日から退職までの時間が動き出すからです。期間の定めのない雇用なら、退職日を指定せずに申し入れても、2週間たてば雇用は終わります(民法627条1項)。早ければ伝えてから2週間ほどで退職日が来て、その直後から健康保険と年金の切り替え、離職票の受け取り、ハローワークでの申込みが続きます。準備ができていないうちに伝えてしまうと、確かめたかったことを確かめる前に退職日が来てしまいます。
- 1数字を見る計算ツールと市区町村で4つの費目
- 2記録をそろえる勤務時間・給与明細・やりとり
- 3退職日を決める有給の残りと就業規則を見て
- 4上司に伝える退職日を添えて
- 5辞めた後の手続き年金・健康保険・ハローワーク
退職日を決めるときは、有給休暇の残りと、就業規則の「何日前までに申し出るか」の項目を見ます。有給を使い切ってから辞めると、在職中の給料が入る期間がその分延びます。何日前に伝えるかの考え方は 退職は何日前に言う? に、有給の使い方と退職日の組み合わせは 有給消化で退職するなら にまとめています。
たとえば、ボーナスの支給日が近い人は、支給の条件が就業規則でどう決まっているかを先に読んでおきます。支給日に在籍していることが条件なら、退職日がその前か後かで受け取れるかが変わるからです。ここも、伝えてから気づくより、伝える前に確かめておくほうが落ち着いて決められます。
上司に伝えるとき、辞める理由をどう言うかで迷う人もいますが、理由の言い方に正解はありません。伝え方そのものに不安がある人は、退職を言い出せない で、伝える手段ごとの進め方を見てください。
次に読むもの
辞めた後のお金を月ごとに並べたい人は 仕事辞めたいけどお金がないなら、失業保険の手続きを順に知りたい人は 失業保険のもらい方 と 給付制限は1か月 へ。会社都合に当たるかを確かめたい人は 会社都合退職の条件、任意継続を考えている人は 任意継続の保険料はいくら? を見てください。人間関係が理由の人は 人間関係で仕事を辞めたい、伝え方に迷う人は 退職を言い出せない と 退職は何日前に言う? へ。
よくある質問
仕事をやめたほうがいいサインはありますか?
この記事では、辞めたほうがいいかどうかの診断はしません。決めるのは数字を見てからで構いません。辞めた場合に入るお金と出ていくお金を1表で確かめ、辞めずに済む道(有給・休職・異動)と横に並べてから、自分で選んでください。
一番いい仕事の辞め方はありますか?
誰にでも当てはまる一番の辞め方はありません。ただ、順番は決められます。数字を確かめる、記録をそろえる、退職日を決める、上司に伝える、の順にすると、伝えた後に慌てずに済みます。
退職理由として最強なのは何ですか?
理由の言い方に正解は無く、最強の理由もありません。期間の定めのない雇用なら、退職日を指定せずに申し入れても2週間たてば雇用は終わるので、理由で引き止めに勝つ必要もありません。大事なのは理由の言い方より、退職日を添えて伝え、伝えた日を記録に残すことです。
毎日辞めたいと思うのは甘えですか?
甘えかどうかで裁く必要はありません。気持ちは、今の働き方のどこかが合っていないという知らせです。何が合っていないかをメモに残し、変えられるものか、辞めることでしか変えられないものかを、数字と一緒に見ていけば足ります。
休職と退職、どちらを先に考えればいいですか?
やり直しがきくのは休職のほうなので、体調が理由なら、先に就業規則の休職の項目と、医療機関・産業医への相談を確かめるのが順番です。休職から退職に進む場合は、手当と退職日の組み合わせで受け取れる額が変わるので、辞める日を決める前に会社の健康保険の案内を確かめてください。
自己都合で辞めると失業保険はもらえませんか?
自己都合でも、受給資格があればもらえます。違うのは入り始める時期で、正当な理由のない自己都合なら、待期7日のあとに原則1か月の給付制限がはさまります。残業や嫌がらせなどが理由の場合は会社都合として扱われることもあるので、記録を持ってハローワークで確かめてください。
数字だけ、もう一度
- 決めるのはいつ:辞めたいと思った日に決めなくていい。記録と数字をそろえてから
- 辞めない道:有給・休職・異動の相談は、やり直しがきくので先に試せる
- 4つのお金:入るのは失業保険、出るのは健康保険・国民年金・住民税
- 失業保険の日額:賃金日額(辞める前6か月の賃金÷180)× 給付率45〜80%(60歳未満は50〜80%)。基本手当日額の上限は30歳未満7,450円・30歳以上45歳未満8,270円・45歳以上60歳未満9,110円・60歳以上65歳未満7,830円、下限2,562円(2026年8月1日から)
- 入り始める時期:求職の申込みから待期7日。正当な理由のない自己都合は原則1か月の給付制限のあと。認定は原則4週間に1回、認定日から通常5営業日で振込
- 受け取れる日数:一般の離職者は雇用保険に入っていた期間で90日・120日・150日。倒産・解雇などは最長330日まで長くなる場合がある
- 出ていくお金の期限:国保は14日以内、任意継続は退職日の翌日から20日以内、国民年金は退職日の翌日から14日以内(令和8年度は月額17,920円)。住民税は前年の所得で、1〜5月に辞めると残りが一括で引かれる
- 動く順番:数字を見る → 記録をそろえる → 退職日を決める → 上司に伝える(期間の定めのない雇用なら、申し入れから2週間で雇用は終わる)
辞めたい気持ちが強い日は、辞めるか続けるかを決める日ではなく、決めるための材料を集め始める日だと考えてください。辞めた後に入るお金と出ていくお金が自分の数字で見え、辞めずに済む道も同じ紙の上に並んだら、そこで初めて選べば十分です。選んだ結果が「続ける」でも「辞める」でも、準備をしてから動いた人は、伝えた後に慌てることがずっと少なくなります。

