- 上司と合わなくて仕事を辞めたい。人間関係が理由だと自己都合になるの?
- パワハラを受けて辞めるなら、会社都合にできる?
- これはパワハラなのか、ただ厳しいだけなのか、自分では分からない
- 証拠になるものが何もない。今から何を残せばいい?
- 社内の窓口に相談したら、もっと居づらくなりそうで怖い
- 退職を伝える相手が、その上司本人しかいない
- 退職届に「一身上の都合」と書いたら、もう会社都合にはならない?
- 人間関係くらいで辞めるのは、もったいないと言われそう
上記のような悩みに答えます。
人間関係を理由に辞めると、失業保険の上では原則として自己都合の扱いになり、給付制限がかかります。ただし、上司や同僚から嫌がらせを受けて辞めた場合は、会社都合にあたる特定受給資格者と判定されることがあり、その分かれ目を決めるのは会社ではなくハローワークです。転職サービスの記事は気持ちの整え方と次の職場探しが中心で、離職理由の扱いにはほとんど触れず、法律事務所の記事はパワハラがある前提で話が始まるため、「パワハラとまで言えるのか分からない」という段階の人の居場所がありません。そこで、自己都合と会社都合の分かれ目という基本を押さえたうえで、パワハラの定義と失業保険の基準が別の物差しであること、辞める前に残しておく記録、社内と社外の相談先に何を持っていくか、加害者が直属の上司のときの伝え方まで、厚生労働省とハローワークの資料で確かめながら整理しました。
人間関係を理由に辞めると、失業保険では原則として自己都合で、待期7日のあとに給付制限(原則1か月)がかかります。上司や同僚から嫌がらせなどを受けて辞めた場合は特定受給資格者と判定されることがあり、判定はハローワークが会社と本人双方の主張と資料で行うので、辞める前に記録を残し、相談した記録も手元に置いておくことが分かれ目になります。
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自分の年齢・雇用保険に入っていた期間・退職日で、日額と給付日数、最初の振込の時期を出したい人は 失業保険の計算ツール へ。
人間関係で辞めると原則は自己都合

上司と合わない、職場の雰囲気がつらい、という理由で自分から辞めた場合、失業保険(基本手当)では原則として自己都合の扱いになります。2025年4月1日以降に辞めた人なら、求職の申込みのあと待期7日が過ぎ、さらに給付制限(原則1か月)が終わってから支給の対象になります。
支給の始まりは、辞めた理由で分かれます。厚生労働省のパンフレットは、解雇・定年・契約期間満了で辞めた人は待期が過ぎた後に支給、自己都合や懲戒解雇で辞めた人は待期に加えて給付制限が過ぎた後に支給、と分けて書いています。給付制限は、直近の自己都合での受給の回数によって長くなることがあるので、前にも自己都合で辞めて失業保険を受けたことがある人は、窓口で自分の長さを確かめてください。
出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」/厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」/雇用保険法21条(待期)
受け取れる日数(所定給付日数)も、自己都合(一般の離職者)は年齢に関係なく、雇用保険に入っていた期間(被保険者であった期間)だけで決まります。
| 雇用保険に入っていた期間 | 自己都合(一般の離職者)の日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
たとえば、上司との関係に疲れて自分から退職届を出し、離職票の理由も自己都合のままなら、雇用保険に入っていた期間が6年の人は90日です。上司と合わないという事情だけなら、扱いは原則として自己都合のままです。扱いが変わり得るのは、次の項で見る「嫌がらせを受けた」と言える事実があるときです。
自己都合のままだった場合と、会社都合と判定された場合で、自分の給付日数と最初の振込の時期がどう違うかは、失業保険の計算ツール で離職理由を切り替えて見比べられます。
上司や同僚の嫌がらせなら会社都合もある
人間関係が理由でも、上司や同僚から嫌がらせなどを受けたことが離職の理由なら、自分で退職届を出していても、特定受給資格者(いわゆる会社都合)と判定されることがあります。判定するのは会社ではなく、住所を管轄するハローワークです。
ハローワークが示す特定受給資格者の範囲には、「上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者」という項目があります。その根拠になっている雇用保険法施行規則の決まりは、事業主やその会社に雇われている人から、就業環境が著しく害されるような言動を受けたことを挙げています。どちらの文言も上司や同僚などからの言動を挙げていて、自分で退職届を出したかどうかを条件にはしていません。
出典:ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」/雇用保険法施行規則36条
特定受給資格者と判定されると、自己都合の給付制限はかからず、日数も年齢と雇用保険に入っていた期間の組み合わせで決まる表に変わります。差の大きさは人によってまったく違います。
例1:32歳・雇用保険に入っていた期間6年の人
- 自己都合:90日、待期7日のあと給付制限(原則1か月)
- 特定受給資格者:180日、給付制限なし
例2:26歳・雇用保険に入っていた期間3年の人
- 自己都合:90日、給付制限(原則1か月)
- 特定受給資格者:90日、給付制限なし
→ 日数は同じで、差は給付制限の原則1か月だけ
- 90日
- 待期7日のあと給付制限(原則1か月)
- 180日
- 待期7日のあと給付制限なし
ここで大事なのは、ハローワークが離職理由を、会社の主張と本人の主張、それぞれの資料で判断するとされていることです。厚生労働省のパンフレットもこの判断の仕方を示しています。会社が離職票に「自己都合」と書いても、それで確定するわけではありませんが、本人の側に事実を示す材料が無ければ、会社の書いた理由に反論しようがありません。年齢と期間ごとの日数の一覧や、ほかの会社都合の基準は 会社都合退職になる条件 に、会社都合で受け取れる総額と振込の時期は 会社都合の失業保険 にまとめています。
パワハラの定義と失業保険の基準は別物
職場のパワーハラスメントには厚生労働省の指針による定義があり、失業保険の離職理由にはハローワークの範囲の基準があります。この2つは目的の違う物差しで、言葉も同じではありません。
指針の定義は、会社がパワハラを防ぐために講じる措置の前提として置かれているものです。職場で行われる言動のうち、優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、働く人の就業環境が害されるもので、この要素を全て満たすものとされています。客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラに当たらないとも書かれています。一方、失業保険で見られるのは、前の項の基準に当たる事実があったかどうかです。
出典:厚生労働省「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」/厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
| 物差し | 何のためのものか | 誰が見るか |
|---|---|---|
| 指針のパワハラの定義 | 会社が講じる防止の措置の前提 | 会社・労働局の相談窓口など |
| ハローワークの範囲の基準 | 失業保険の離職理由(特定受給資格者か) | ハローワーク |
| 「上司と合わない」 | 制度の言葉ではない | 自分 |
分けて考えると、迷い方が変わります。「これはパワハラなのか」を自分で決めきれなくても、失業保険の判断に使うのは、何をされたのかという事実と、それを示す材料です。逆に、パワハラという言葉を使わなくても、事実が範囲の基準に当てはまるかどうかは窓口で見てもらえます。どの言動がどちらに当たるかは、言動の中身、続いた期間や回数、相手との関係で変わるので、この記事では個々の言動について判断しません。
たとえば、上司から毎日のように大勢の前で人格を否定する言葉を浴びせられている人と、上司と仕事の進め方が合わず厳しく注意される人とでは、事実の中身がまったく違います。後者でも、注意の範囲を超えた言動が続いているなら、その事実を記録しておく意味はあります。自分で線を引こうとして手を止めるより、起きたことを書き残し、次の項の窓口で見てもらうほうが、判断の材料がそろいます。
人間関係で辞める前に残しておく記録

人間関係が理由の退職で、あとから扱いが変わるかどうかを左右するのは、在職中に残した記録です。辞めてからでは、職場のメールやチャット、同僚の記憶に手が届かなくなります。
記録がものを言うのは、ハローワークが会社と本人の双方の主張と資料で判断するからです。会社は人事の記録や上司の説明を出せますが、本人の側は、自分で残したものしか出せません。「つらかった」という気持ちは伝わりにくくても、いつ・誰に・何を言われたかが並んでいれば、判断する側は事実として見ることができます。
- 言動のメモ:日時、場所、相手、言われたこと・されたことをそのままの言葉で、そばにいた人がいれば名前も
- メールやチャット:自分に宛てて送られたものの画面を、日付が分かる形で残す
- 相談した記録:社内窓口や上司のさらに上の人、外部の窓口に相談した日と、相談先の名前・答えの要点
- 仕事の割り当ての変化:急に仕事を外された、自分だけ会議に呼ばれなくなった、などの日付と内容
- 体調の変化:通院した日と、医療機関から受け取った書類
メモはその日のうちに書き、あとから書き足すときは書き足した日も添えておくと、記録としての重みが変わります。録音や会社の資料の持ち出しには、会社の決まりや別の問題が絡むことがあるので、迷ったら次の項の相談先で取り方から聞いてください。自分が受けた言動と、自分あての連絡の記録で足りる場面は多くあります。
たとえば、上司から無視される、自分だけ情報を回されない、という形の嫌がらせは、1回ごとでは小さく見えて記録を後回しにしがちです。「何月何日、朝の打ち合わせの連絡が自分にだけ来なかった」と短く書き続けておくと、数か月分を並べたときに、続いていたことそのものが事実として見えてきます。
社内窓口と総合労働相談コーナー
相談先は、会社の中と外に1つずつ持っておくと動きやすくなります。会社の中は会社が設けている相談窓口、外は都道府県の労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーです。
厚生労働省の指針は、会社が講じなければならない措置として、相談窓口をあらかじめ定めて働く人に周知すること、窓口の担当者が内容や状況に応じて適切に対応できるようにすることを挙げています。窓口の形は、担当者を決める、相談に対応する制度を設ける、外部の機関に委託する、などさまざまです。自分の会社にどんな窓口があるかは会社ごとに違うので、就業規則や社内の案内、入社時の資料で探してください。
総合労働相談コーナーは、各都道府県の労働局や全国の労働基準監督署の中などにあり、専門の相談員が面談か電話で対応します。いじめ・嫌がらせやパワハラも相談の対象で、無料・予約不要・秘密厳守です。ただし、行く前に受付の日時を電話などで確かめておくと確実です。厚生労働省のハラスメントのページは、社外で相談したいときの窓口としてここを案内し、匿名でも相談できると書いています。
出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」/厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
| 相談先 | 向いている場面 | 持っていくもの |
|---|---|---|
| 社内の相談窓口 | 会社に事実を知ってもらい、対応を求めたい | 言動のメモ、メールやチャットの写し |
| 総合労働相談コーナー | 社内に言いにくい、社内で対応されなかった | 同じ記録と、社内で相談した日と答えのメモ |
| ハローワーク | 辞めたあとの離職理由の判断 | 離職票、ここまでの記録すべて |
社内の窓口に相談するのが怖い人は、先に総合労働相談コーナーで、自分の状況をどう伝えればいいか、社内のどこに相談するのがよいかを聞いてから動く、という順番もとれます。どちらに相談しても、相談した日と相手、言われたことをメモしておけば、それ自体が前の項の記録の1つになります。
人間関係で辞めるか決める前に比べること
人間関係で辞めるかどうかを決めるのは、ほかの誰でもなく本人です。この記事では辞めたほうがいいとも、辞めないほうがいいとも言いません。そのかわり、決める前に比べられる材料を3つ挙げておきます。
1つ目は、辞めずに状況が変わる余地があるかです。相談窓口に事実を伝えて会社に対応を求める、異動を希望する、といった道が残っているかは職場ごとに違います。会社には相談に対応する体制を整えることが求められていて、相談窓口は辞める前でも後でも使えます。使ったうえで何も変わらなかったなら、その経過も記録になります。
2つ目は、辞めた場合のお金の流れです。自己都合のままなら、求職の申込みから待期7日と給付制限(原則1か月)が過ぎるまで支給の対象になりません。その間の生活費を何で埋めるかは、退職日を決める前に見ておきます。計算ツール で自己都合のままの日数と特定受給資格者と判定された場合の日数を並べ、差が給付制限だけなのか日数まで開くのかを見ると、記録をどこまでそろえてから辞めるか、退職日をいつに置くかを決めやすくなります。
3つ目は、体調です。体調を崩している人は、医療機関にも相談しておいてください。失業保険には、体力の不足や心身の障害、疾病などで辞めた人を「正当な理由のある自己都合」の類型とする扱いもありますが、当てはまるかはハローワークが判断するので、どんな書類が要るかは窓口で聞いてください。
出典:ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
たとえば、同じ「上司が嫌で辞めたい」でも、異動の制度がある会社で一度も相談していない人と、相談しても何も変わらず体調まで崩している人とでは、比べる材料がまるで違います。人間関係がよい職場かどうかも、辞めるのがもったいないかどうかも、外から一律には決められません。迷ったときは、記録と相談の経過、辞めた場合の数字を紙に並べてから決めると、あとで「あのとき何も確かめなかった」と悔やむことが減ります。
加害者が上司のときの退職の伝え方

退職は直属の上司に伝えるのが一般的ですが、その上司が嫌がらせの相手だと、話すこと自体がつらいはずです。その場合は、その上の上司や人事の担当者に伝える方法があります。
正社員など期間の定めのない雇用なら、辞めると申し入れた日から2週間で雇用は終わります。民法627条1項は「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」と書いています。会社の同意は条件になっていません。
- 就業規則で退職の申し出先と期限を確かめる(人事に出すと決まっている会社もある)
- 直属の上司に言えないときは、その上の上司か人事に、退職日を決めて伝える
- 口頭で伝えたら、同じ内容をメールでも送り、申し入れた日を記録に残す
- 嫌がらせの記録は、退職を伝える場で出すより、ハローワークで出すために手元に置いておく
退職届の理由欄に「一身上の都合」と書いたとしても、離職理由はハローワークが会社と本人双方の主張と資料で判断するので、退職届の文言だけで扱いが決まるわけではありません。ただ、書面に残る言葉なので、会社の側の資料にもなり得ます。嫌がらせが理由で辞める人は、退職届の控えと、辞めた理由を自分で書いたメモを一緒に保管しておくと、離職票が届いたときに話の筋を通しやすくなります。
契約社員など期間の定めのある雇用は、別の決まりになるので 退職は何日前に言うか を見てください。上司と顔を合わせるのがつらい人は、伝える日と最終出社日を分け、残った有給の扱いを人事に相談する方法もあります(有給消化と退職日)。
離職票の離職理由を自分で確かめる
辞めたあと会社から届く離職票には、会社が書いた離職理由が載っています。嫌がらせが理由で辞めたのに「自己都合」とされていたら、そのまま出さずに、記録を持ってハローワークで実態と違うことを申し出ます。申し出の書き方は窓口で確かめてください。
離職票は失業保険の手続きでハローワークに出す書類で、離職理由の判断はここから始まります。ハローワークは会社と本人双方の主張を、それぞれ確認できる資料で確かめて判断します。言動のメモ、メールやチャットの写し、社内窓口や総合労働相談コーナーに相談した日の記録は、ここで出すために残してきたものです。日付のそろった記録があるほうが、会社の説明と食い違ったときに判断してもらいやすくなります。
たとえば、上司からの無視と暴言が続いて辞めた人が「自己都合による退職」とされていた場合、数か月分のメモと、人事に相談した日のメールを持って窓口で説明します。異議の出し方と判定の流れは 会社都合退職になる条件 に、離職票がなかなか届かないときの動き方は 離職票が届かないとき にまとめています。
使わなくていい場合
人間関係が理由で辞める人の多くは、退職代行や弁護士に頼まなくても、自分で伝えることと、ハローワーク・相談窓口の利用で足ります。次に当てはまる人は、使わなくて足ります。
- 直属の上司には言えなくても、その上の上司か人事には連絡が取れる
- 申し入れから2週間(または就業規則の期限)まで、出社するか、有給の扱いを話し合える
- 離職理由については、記録を持ってハローワークで説明すればよい(判断するのはハローワークで、実態と違うと申し出るのは本人ができる)
- 職場の嫌がらせや退職の進め方の相談なら、まず無料の総合労働相談コーナーに聞ける
反対に、会社と連絡を取ること自体ができない、出社すると体調が崩れるほど追い詰められている、という人は、無理に自分で伝えようとせず、退職の手続きと退職代行 で状況に合う方法を見てください。嫌がらせについて会社や相手に慰謝料などを求めたい、会社から損害賠償を持ち出された、といった問題は、失業保険の手続きとは別の話なので、記録一式を持って弁護士に相談する段階です。
次にやること
辞めるか迷っている段階でも、辞めると決めた段階でも、最初にやることは同じで、記録を始めることです。そのうえで、相談、退職日の決定、伝え方の順に進めます。
- 今日から、言動のメモ(日時・場所・相手・内容・そばにいた人)を書き始める。自分あてのメールやチャットは日付の分かる形で残す
- 就業規則と社内の案内で、相談窓口と退職の申し出先・期限を確かめる
- 社内窓口か総合労働相談コーナーに、記録を持って相談する。相談した日と答えをメモする
- 辞めると決めたら、計算ツール で自己都合のままの場合と特定受給資格者の場合の両方を出し、退職日を決める
- 直属の上司に言えなければ、その上の上司か人事に伝え、メールでも送って日付を残す
- 離職票が届いたら離職理由を確かめ、実態と違えば記録一式を持ってハローワークで申し出る
- 1記録を始める日時・場所・相手・内容を、その日のうちに
- 2相談する社内窓口か総合労働相談コーナーへ記録を持って
- 3数字を見る自己都合のままと特定受給資格者の両方で
- 4伝える言えない上司は飛ばし、日付の残る形で
- 5離職票を確かめる違えば記録を持ってハローワークで申し出る
1番だけは、辞めるかどうかが決まっていなくても今日から始められます。記録が無駄になるのは、職場の状況がよくなったときだけで、それはそれで悪いことではありません。
次に読むもの
退職日をいつに置くかで迷っている人は いつ・どう辞めるか の記事へ。辞めるかどうか自体を迷っている人は 辞めるか迷っているとき の記事も参考にしてください。会社都合の基準と異議の出し方は 会社都合退職になる条件 に、自己都合のままだった場合の待ち期間は 給付制限1か月はいつから にまとめています。
よくある質問
人間関係がいい職場は、辞めないほうがいいですか?
人間関係がよいかどうかは辞めるかを決める材料の1つですが、給与や働き方、体調など、ほかの材料と比べて決めるのは本人です。失業保険の上では、人間関係がよくても悪くても、自分の都合で辞めれば原則として自己都合です。迷うときは、辞めた場合の給付制限と日数を数字で見てから決めると判断しやすくなります。
人間関係で辞めるのは、もったいないですか?
もったいないかどうかは一律には言えません。ただ、まだ誰にも相談していない、異動の希望を出していない、という人は、辞める前に試せる道が残っています。試しても変わらなかった経過は、そのまま記録になります。
人間関係で疲れやすいのは、自分に原因があるのでしょうか?
この記事では心理や性格の判断はしません。言えるのは、疲れの原因になっている出来事を日時と内容で書き出しておくと、自分を責める材料ではなく、相談先に伝えられる材料になるということです。体調に出ているときは、医療機関に相談してください。
証拠が少ないと、会社都合にはなりませんか?
どの資料で足りるかはハローワークが判断します。メールやチャットが無くても、日時と内容を書いたメモ、社内外の窓口に相談した記録、医療機関の書類などを持っていきます。手元にあるものは全部持って、窓口で聞いてください。
退職届に「一身上の都合」と書きました。もう会社都合にはなりませんか?
離職理由はハローワークが会社と本人双方の主張と資料で判断するので、退職届の文言だけで決まるわけではありません。嫌がらせが理由なら、記録を持ってハローワークで実態と違うことを申し出ます(書き方は窓口で確かめる)。
弁護士や退職代行に頼まないと、会社都合にできませんか?
離職理由が実態と違うと申し出るのは本人ができ、判断するのはハローワークです。記録を持って窓口で説明すれば足りる人は多くいます。慰謝料などを求めたい場合や、会社と連絡が取れない場合は、別の手段を考えます。
数字だけ、もう一度
- 人間関係が理由の退職:原則は自己都合。待期7日のあと給付制限(2025年4月1日以降の退職なら原則1か月)
- 自己都合の日数:雇用保険に入っていた期間で、1年以上10年未満は90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日
- 嫌がらせなどで辞めた場合:特定受給資格者と判定されることがあり、給付制限はかからない。判定はハローワーク
- 日数の差:年齢と雇用保険に入っていた期間しだいで、自己都合90日が特定受給資格者で180日になる人もいれば、どちらも90日のままの人もいる
- 退職の申し入れ:期間の定めのない雇用なら、申し入れた日から2週間で雇用が終わる(民法627条1項)
- 相談先:社内の相談窓口(会社が定めて周知することが指針で求められている)と、総合労働相談コーナー(無料・予約不要・秘密厳守。受付の日時は行く前に確かめる)
人間関係で辞めたいと思ったとき、辞めるかどうかは最後に決めればよいことで、先にできるのは、起きていることを記録に残し、社内か社外の誰かに一度相談しておくことです。それをしておけば、辞めずに状況が変わる道が開くこともあり、辞めることになっても、離職票の理由が実態と違うときに本人の側から事実を示せます。自己都合のままか特定受給資格者かで何日・いつから変わるのかを自分の数字で見ておけば、引き止めや会社の書いた理由に、必要以上に振り回されずに済みます。

