- 残っている有給は、退職前に全部使い切れるの?
- 自分の有給が何日残っているのか、正確には知らない
- 2年分たまっていて、会社に「全部は無理」と言われた
- 最終出社日と退職日は、何が違うの?
- 土日や祝日は、有給の日数に入るの?
- 有給消化中の給料や社会保険は、いつも通り?
- 有給を使うと、失業保険の受け取りが遅れる?
- 使い切れなかった有給は、買い取ってもらえる?
上記のような悩みに答えます。
有給消化は、辞める前に残っている年次有給休暇を使い切ってから退職することです。多くの人がつまずくのは「有給は使えるか」ではなく、「何日残っていて、いつまで出社し、退職日を何日にすればいいか」という日付の組み立てです。検索で上位に出るのは会社の人事向けの解説や転職サービスの記事が多く、「有給は労働者の権利」という説明までは書いてあっても、残日数から最終出社日を実際の日付で数える例や、退職日が後ろに動くと失業保険の始まりまで一緒に動くことにはほとんど触れていません。そこで、付与日数と時効・会社が時季を変えられる範囲という基本を押さえたうえで、実日付での逆算、月末退職かどうかで社会保険料が1か月分変わる境目、失業保険への影響まで、労働基準法・健康保険法・雇用保険法の条文と労働局の説明で確かめながら整理しました。
有給を全部使って辞めるなら、残日数を会社の出勤日で数えて最終出社日を出し、退職日は有給の最後の日に置きます。退職日を過ぎた有給は使えないので、先に退職日を決めて伝えることが交渉の起点になります。
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有給消化の退職日は残日数から逆算する
有給を全部使って辞めるときは、「最終出社日」と「退職日」を分けて考えます。最終出社日は実際に働く最後の日で、退職日は雇用が終わる日です。そのあいだを有給の消化にあて、退職日を有給の最後の日に重ねると、残日数を取りこぼさずに辞められます。
この順番が大事なのは、有給が「在職中に休む権利」だからです。雇用が終わった日より後には、休むべき出勤日そのものがありません。だから退職日を決めずに「有給を全部使いたい」とだけ伝えると、いつまでに何日を使うのかが決まらず、話がまとまりにくくなります。反対に、退職日と最終出社日を日付で出してから伝えれば、会社が考えるのは引き継ぎをいつまでに終えるかだけになります。
| 決めること | 何で決まるか |
|---|---|
| 残日数 | 給与明細・勤怠システム・人事への確認 |
| 最終出社日 | 退職日から、会社の出勤日だけを残日数ぶんさかのぼった日の前の出勤日 |
| 退職日 | 有給の最後の日。申し入れから2週間より後、就業規則の期限があればそれより後 |
| 伝える日 | 最終出社日までに引き継ぎが終わるように、できるだけ早く |
たとえば、残りが20日ある人が月末で辞めたい場合は、月末を退職日に置き、そこから出勤日を20日さかのぼった前の日が最終出社日になります(日付の例は下の「有給消化の最終出社日を出す手順」)。同じ人が、転職先の入社日に合わせて退職日を後ろにずらせないときは、最終出社日を前に出すしかありません。退職日が動かせるかどうかで、逆算の起点が変わります。
退職を何日前に伝えればいいか(民法の2週間と就業規則の関係)は 退職は何日前に言う? で確かめてください。
編集部の整理では、有給消化の話は「日数の話」ではなく「日付の話」です。残日数、最終出社日、退職日の3つを紙に書いてから上司に伝えれば、引き止めの話し合いに流されにくくなります。
有給消化の前に残日数と時効を確かめる

年次有給休暇は、雇われた日から継続して勤め、全労働日の8割以上出勤した人に与えられます。通常の労働者の日数は、勤続が延びるにつれて10日から最大20日まで増えます。
労働基準法39条は、1項で最初の付与を、2項で勤続に応じた加算を決めています。週の所定労働日数が少ないパート・アルバイトの人は、日数を減らした比例付与になります(3項)。会社がこれより多い日数を就業規則で決めていることもあるので、自分の日数は会社の記録で確かめるのが確実です。
| 継続勤務 | 付与日数(通常の労働者) |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
使わなかった有給は、翌年に繰り越せます。ただし有給を請求する権利は2年で時効になる、というのが行政の解釈です(労働基準法115条の「その他の請求権」を年休に当てはめたもの)。2年より前に付与された分は、使わないまま消えています。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」年次有給休暇の消滅時効
たとえば勤続が長く、毎年20日を付与されている人が、前年の20日を1日も使わずに繰り越していれば、今年の20日と合わせて残りは40日です。前年に5日使っていれば、繰り越し分は15日で、残りは35日になります。
残日数を確かめる方法は、給与明細の有給残の欄、勤怠システムの画面、人事への問い合わせの3つです。問い合わせるときは「付与日ごとの残日数」を聞くと、いつ付与された分がいつ時効になるかまで分かります。退職を切り出す前に日数だけ確かめたいなら、「年末に予定を立てたいので」と普段の確認として聞いても不自然ではありません。
有給消化の最終出社日を出す手順

逆算は、退職日を決め、そこから会社の出勤日だけを残日数ぶんさかのぼる、という順で行います。有給は「働く義務のある日」を休みにするものなので、土日や祝日が会社の所定休日なら、その日は有給の日数に入りません。
どの日が所定休日かは会社ごとに違います。土日祝が休みの会社もあれば、シフト制で曜日が決まっていない会社、年末年始や夏季休暇を所定休日にしている会社もあります。数え始める前に、就業規則の休日の項目と会社のカレンダーで、自分の出勤日を確かめます。
- 1退職日を決める有給の最後の日に置く
- 2所定休日を確かめる就業規則と会社のカレンダー
- 3出勤日だけをさかのぼる残日数ぶん数える
- 4その前の出勤日が最終出社日引き継ぎの締め切り
例1:残り20日、退職日を2026年11月30日(月)にしたい人。所定休日は土日と祝日だけ(文化の日の11月3日・勤労感謝の日の11月23日を含む)とします。
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| 有給の期間 | 2026年10月30日(金)〜11月30日(月)の出勤日20日 |
| 最終出社日 | 2026年10月29日(木) |
| 退職日 | 2026年11月30日(月) |
例2:同じ会社で、残りが40日ある人が、退職日を2026年12月31日(木)にしたい場合。年末も出勤日の会社として数えると、有給の期間は2026年11月5日(木)〜12月31日(木)の出勤日40日で、最終出社日は2026年11月4日(水)です。年末年始を所定休日にしている会社なら、その日は数えないので、最終出社日はさらに前に動きます。
例2のように残日数が多い人は、有給の期間だけで2か月近くになります。期間の定めのない雇用で、退職の申し入れから雇用が終わるまでの2週間(民法627条1項)よりずっと長いので、「2週間前に言えば間に合う」と考えていると、最終出社日がすでに過ぎていた、ということが起きます。残日数が多い人ほど、伝える日を早めに置く必要があります。
逆算した日付は、上司に伝える前に紙かメモアプリに書き出しておきます。「最終出社日」「有給の期間」「退職日」の3行があれば、話し合いで日付がずれても、どこを動かせばいいかがすぐ分かります。
退職日の後は有給消化できない
退職日より後に有給は使えません。だから退職日を先に決めて会社と共有することが、有給を取り切るための交渉の起点になります。
会社には、有給の時季を変える権利(時季変更権)があります。労働基準法39条5項は、請求された時季に与えることが事業の正常な運営を妨げる場合に、会社が「他の時季に」与えることができる、と書いています。
使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
「他の時季に」と書かれていても、退職日が決まっていれば、退職日より後に有給を使うことはできません。この点について労働局は、年次有給休暇は労働者の権利であり、退職間際の年休の申請を拒むことはできない、引き継ぎが必要なら退職日を遅らせてもらうなど話し合う、と説明しています。
- 「繁忙期だから無理」と言われた:退職日と有給の期間を日付で示し、引き継ぎの一覧を添えて、最終出社日までに終える案を出す
- 「引き継ぎが終わるまで有給は認めない」と言われた:退職日を後ろにずらして引き継ぎの期間を足すか、最終出社日を動かさずに引き継ぎの量を減らすかを相談する
- 「有給は半分まで」と言われた:残日数と付与日ごとの内訳を確かめ、何を根拠に半分なのかを聞いて、やりとりを記録に残す
たとえば、退職日を2026年11月30日に置いた人が、上司から「10月末までは忙しいので有給は11月からにしてほしい」と言われたとします。その場合、有給の期間を後ろに寄せると退職日も後ろに動くので、退職日を延ばしてよいかどうかを自分で決めます。延ばせないなら「退職日はこの日で動かせないので、引き継ぎの一覧をこの日までに終えます」と、最終出社日を守る形で返します。
どちらを選ぶにしても、先に退職日を言い、次に有給の期間を言う、という順番を崩さないことが軸です。
有給消化中の給料と最後の給与

有給消化中も、会社は賃金を払わなければなりません。有給は「給料が出る休み」なので、消化中の日も給料の計算に入ります。
労働基準法39条9項は、有給休暇の期間について、就業規則などで決めたところにより、平均賃金か、所定労働時間働いた場合に払われる通常の賃金か、それらを基準に省令で決めた額を払う、と定めています。労使協定があれば、健康保険の標準報酬月額の30分の1にあたる額にすることもできます。どの方式かは会社の就業規則で決まっているので、自分の会社の方式を確かめます。
| 何を確かめるか | どこで |
|---|---|
| 有給の日の賃金の方式 | 就業規則・賃金規程の年次有給休暇の項 |
| 手当(通勤手当など)の扱い | 賃金規程の手当の項 |
| 賞与の扱い | 賃金規程の賞与の項(支給日に在籍していることを条件にしている会社もある) |
| 最後の給与の締め日と支払日 | 給与明細・雇用契約書 |
通常の賃金の方式をとる会社もあり、その場合は出勤した日と同じ額が出ます。ただし通勤手当のように実際の出勤にかかる費用を払う手当は、有給の日には払わない、としている会社もあります。
たとえば、最終出社日を10月末に置き、11月を丸ごと有給にした人は、11月分の給料も出ます。一方で、賞与の支給日が退職日より後にある場合は、支給日に在籍していることを条件にしている会社だと受け取れないことがあります。賞与の時期が近い人は、退職日を支給日の後に置けるかどうかを先に確かめておくと、あとで悔やまずに済みます。
編集部の整理では、有給を使わずに辞めるのは、会社に払ってもらえるはずの給料を自分から手放すのと同じです。消化中の給料が出るかではなく、どの方式で出るかを確かめるのが先です。
月末退職かどうかで社会保険料が変わる
健康保険と厚生年金の資格は、退職日の翌日に失われます(健康保険法36条2号・厚生年金保険法14条2号)。保険料は、資格を失った月の前月分までかかります。そのため、月の末日に辞めると退職月の分までかかり、末日より前に辞めると退職月の分はかかりません(入社した月に辞める場合は除く)。
健康保険法156条3項は、前月から続けて被保険者だった人が資格を失った場合、その月分の保険料は算定しない、と書いています。厚生年金も、被保険者期間は資格を失った月の前月までで数え(19条1項)、保険料はその各月について徴収します(81条2項)。月末に辞めると資格を失う日は翌月1日になり、退職した月は丸ごと被保険者の月として数えられる、という仕組みです(条文からの導出)。
出典:健康保険法36条/健康保険法156条/厚生年金保険法14条/厚生年金保険法19条/厚生年金保険法81条
| 退職日 | 資格を失う日 | 11月分の会社の保険料 | 11月の残りの日 |
|---|---|---|---|
| 2026年11月30日(月) | 2026年12月1日 | かかる(給与から引かれる) | 在職のまま |
| 2026年11月27日(金) | 2026年11月28日 | かからない | 国民健康保険・国民年金に切り替え |
- 資格を失うのは翌月1日
- 退職月の分まで会社の保険料がかかる
- 次の月の頭から国保・国民年金へ
- 資格を失うのは退職日の翌日
- 退職月の分は会社の保険料がかからない
- 退職月から国保・国民年金を自分で払う
ここで注意したいのは、月末より前に辞めても保険料がゼロになるわけではないことです。次の会社にすぐ入らない人は、資格を失った日から国民健康保険(または健康保険の任意継続)と国民年金に切り替わり、その月の分を自分で払う側に回ります。会社の健康保険と厚生年金は保険料の半分を会社が負担していますが、切り替えた先は全額を自分で払います。国民健康保険料は住んでいる市区町村と前年の所得で変わり、国民年金保険料は全国一律の定額です。比べるときは、市区町村の窓口で国民健康保険料の見込みを聞いてから決めます。
転職先の入社日が翌月1日に決まっている人は、月末退職にすると健康保険と厚生年金が切れ目なくつながり、自分で国保や国民年金の手続きをする必要がありません。退職後に次の会社までの空白がある人は、協会けんぽの任意継続なら退職日の翌日から20日以内に手続きします。国民健康保険と国民年金への切り替えは、住んでいる市区町村の窓口で、退職したらすぐに手続きします。
出典:協会けんぽ「任意継続」
有給消化で失業保険の開始も後ろにずれる
有給消化中は在職しているので、離職日(退職日)は有給の最後の日になります。失業保険(基本手当)の手続きは離職したあとにしかできないため、有給消化で退職日が後ろに動くと、待期や給付制限の数え始めも同じだけ後ろに動きます。
失業保険は「失業している」ことが前提の給付です。有給消化中は会社との雇用が続いていて、給料も出ているので、失業していることになりません。失業保険の手続き(求職の申込みと受給資格の決定)には会社から届く離職票が要り、離職票は退職日を過ぎてから作られます。待期は求職の申込みをした日から7日(雇用保険法21条)、自己都合で2025年4月1日以降に辞めた人の給付制限は、待期が終わってから原則1か月です。
出典:雇用保険法21条(e-Gov法令検索)/厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」
例1の人(残り20日)で比べます。求職の申込みは、退職日から少しあとに離職票が届いてから行う、として日付を置いた例です。
| 有給を使わず辞める | 有給を全部使って辞める | |
|---|---|---|
| 退職日 | 2026年10月29日(木) | 2026年11月30日(月) |
| 求職の申込み(例) | 2026年11月6日 | 2026年12月8日 |
| 待期7日 | 11月6日〜11月12日 | 12月8日〜12月14日 |
| 給付制限1か月 | 11月13日〜12月12日 | 12月15日〜2027年1月14日 |
| 支給の対象になる日 | 12月13日から | 2027年1月15日から |
| 10月30日〜11月30日の収入 | なし | 有給の賃金(出勤日20日分) |
表のとおり、有給を使うと失業保険の始まりは後ろにずれますが、そのあいだは有給の賃金が出ています。失業保険が遅れるから有給を捨てて早く辞める、という選び方は、手元に入るお金の面では損になりやすい、というのが編集部の見方です。
気をつけたいのは、失業保険を受け取れる期間(受給期間)も離職日の翌日から数える点です。退職日が後ろに動けば受給期間の始まりも一緒に後ろへ動くので、有給消化そのもので受け取れる日数が減るわけではありません。遅らせて損をするのは、辞めたあとに申込みを先延ばしにした場合です。離職票が届いたら、早めにハローワークへ行きます。離職票がなかなか届かないときの動き方は 離職票が来ないときは? を見てください。
有給消化できず残った分の買取と相談先
法律で決まっている日数の有給を、お金で買い上げることは原則としてできません。会社が金銭を払っても有給を与えたことにはならず、買い上げを予約して請求できる日数を減らしたり、請求された日数を与えなかったりすることもできない、と労働局は説明しています。法定を上回る日数(会社が上乗せしている分)は、この限りではありません。
退職のときに使い切れずに残った分を、会社が任意にお金で精算する例は実務上あります。ただし会社の義務ではなく、応じるかどうかも、その法的な扱いも、ここでは書けません。精算の話が出たら、労働局の総合労働相談コーナーに確認してから返事をするのが安全です。先に「買い取ってもらえるから有給は使わなくていい」と決めてしまうと、会社が応じなかったときに有給も精算もなくなります。
- 何で変わるか:会社の就業規則に精算の定めがあるか、上乗せ分があるか、会社の方針
- 自分で確かめる方法:就業規則の年次有給休暇の項を読み、付与日ごとの残日数と一緒に書き出す
- 相談先と持っていくもの:労働局の総合労働相談コーナーや労働基準監督署。残日数の記録、退職日と有給の期間を伝えた日のメール、会社から言われた内容のメモ
たとえば、上司から「有給は使わせられないが、その分を最後の給料に上乗せする」と言われた人は、その場で了承せず、金額と支払日を書面でもらえるかを聞きます。書面が出ないなら、日付どおりに有給を使う案に戻して話を続けます。
有給の申請そのものを拒まれ続けて話が進まないときは、申請した日と内容の記録を持って、労働基準監督署に相談します。会社とのやりとりを自分で続けるのがつらい人は、下の「使わなくていい場合」の条件を見てください。
使わなくていい場合

有給消化のために退職代行を使わなくても、自分で伝えて足りるのは次の条件がそろっている人です。有給の申請は本人ができる手続きで、代行を通しても有給の日数や退職日の数え方は変わりません。
- 残日数、最終出社日、退職日を書面(メールでもよい)で出せる
- 上司や人事と連絡が取れる
- 強い引き止めを受けていない、または受けても日付を守って断れる
たとえば、上司と話すのが気まずいだけで、連絡は取れて、有給の期間にも強く反対されていない人は、この記事の逆算で日付を出し、口頭で伝えたあと同じ内容をメールで送れば足ります。
どれかが崩れているとき(会社と連絡が取れない・引き止めで有給の話まで進まない・出社できない)は、退職の手続きと退職代行 の記事で状況に合う方法を見てください。退職日の交渉や有給の扱いで会社とのやりとりが要りそうなら、労働組合や弁護士が対応するサービスかどうかで、できることが変わります。労働組合は、退職の意思を伝えるだけでなく、有給・退職日・未払い賃金などについて団体交渉ができ、会社は正当な理由なくこれを拒めません(労働組合法7条2号)。
次にやること
- 残日数を確かめる(給与明細・勤怠システム・人事。付与日ごとの内訳まで)
- 就業規則で所定休日、退職の申し出の期限、有給の日の賃金の方式、賞与の在籍条件を読む
- 退職日を決め、出勤日だけを残日数ぶんさかのぼって最終出社日を出す
- 月末退職にするか、転職先の入社日とつながるかを見て、退職日を確定する
- 上司に「退職日」「有給の期間」「最終出社日」の順で伝え、同じ内容をメールで送る
- 引き継ぎの一覧を作り、最終出社日までに終える
- 退職後は、健康保険と年金の切り替え、離職票が届いたらハローワークへの求職の申込み
次に読むもの
失業保険がいつから出るかを日付で確かめたい人は 給付制限1ヶ月はいつから? へ。退職の伝え方と日数は 退職は何日前に言う? へ。辞めたあとの手続き全体は 退職の手続きと退職代行 にまとめています。
よくある質問
退職前に有給を全部消化できますか?
退職日より前の出勤日であれば、残っている有給は使えます。労働局も、退職間際の年休の申請は拒めないと説明しています。退職日を過ぎると使えないので、残日数ぶんの出勤日が退職日までに収まるように、伝える日を早めに置いてください。
2年分たまった有給を全部は無理と言われるのはなぜですか?
残日数が多いと、有給の期間だけで2か月近くになり、会社が引き継ぎの時間を取れないと考えるからです。労働局は退職間際の年休の申請は拒めないとし、引き継ぎが必要なら退職日を遅らせるなど話し合う、と説明しています。退職日を後ろにずらすか、引き継ぎの量を減らすかを、日付を示して相談します。
有給が残ったまま退職したらどうなりますか?
退職日を過ぎると、残った有給は使えなくなります。法定の日数の買い上げは原則できないので、お金で戻ってくるとは限りません。会社が任意に精算を申し出たときは、金額と支払日を書面で確かめ、労働局にも確認してから返事をします。
有給消化中に失業保険の手続きはできますか?
できません。有給消化中は在職していて、離職票もまだ作られていないからです。退職日を過ぎて離職票が届いてから、ハローワークで求職の申込みをします。
有給消化中に転職先で働き始めてもいいですか?
有給消化中はまだ今の会社に雇われているので、今の会社の就業規則で副業や兼業がどう決まっているかを先に確かめます。転職先の入社日と退職日が重なるときは、両方の会社に日付を伝えて相談してください。
数字だけ、もう一度
- 付与日数:通常の労働者は勤続に応じて10日から最大20日。全労働日の8割以上の出勤が条件(労働基準法39条)
- 時効:有給を請求する権利は2年(行政の解釈)
- 逆算:退職日を有給の最後の日に置き、出勤日だけを残日数ぶんさかのぼる。所定休日は数えない
- 申し入れ:期間の定めのない雇用は、申し入れから2週間で終わる(民法627条1項)。残日数が多い人は、それよりずっと早く伝える
- 退職間際の有給:労働局は「退職間際の年休の申請を拒むことはできない」と説明している(時季変更権は労働基準法39条5項)
- 社会保険料:資格を失うのは退職日の翌日。月末退職なら退職月の分までかかる(条文からの導出)
- 失業保険:待期7日、自己都合の給付制限は原則1か月。有給消化で退職日が動くと、その分だけ後ろにずれる
- 退職後の保険:協会けんぽの任意継続は退職日の翌日から20日以内。国民健康保険と国民年金は、退職したらすぐ市区町村で切り替える
有給消化でいちばん大事なのは、「全部使えるか」を会社に聞く前に、自分で日付を出しておくことです。残日数を確かめ、退職日を有給の最後の日に置き、そこから最終出社日をさかのぼる。月末にするかどうかと、失業保険がいつから動くかまで見てから伝えれば、話し合いは「有給を使えるか」ではなく「引き継ぎをいつまでに終えるか」になります。

