65歳以上の失業保険はいくら?一時金は50日分か30日分・年金との関係

硬貨と紙幣
  • 65歳を過ぎて辞めても、失業保険はもらえるの?
  • いくら入る?30日分と50日分、自分はどっち?
  • 一時金って、まとめて1回で振り込まれるということ?
  • 年金をもらいながら受け取っても、年金は止まらない?
  • 定年で辞めたら自己都合の扱いになる?解雇なら日数は増える?
  • 少し休んでからハローワークに行っても間に合う?
  • 早く次の仕事が決まったら、再就職手当はもらえる?
  • 64歳のうちに辞めたほうが得だと聞いたけれど、本当?

上記のような悩みに答えます。

65歳以上で仕事を辞めた人の失業保険は、64歳までの人が受ける基本手当とは別の制度で、高年齢求職者給付金という一時金になります。4週ごとに認定を受けて少しずつ受け取る形ではなく、1回の認定でまとめて受け取るので、日数の数え方も、期限の考え方も、再就職したときの扱いも変わります。一般向けの解説やAI要約は「30日分か50日分」という表で終わりがちで、その日数を決める期間と受け取る条件が別の物差しであることや、期限ぎりぎりに行くと日数が減る仕組みまでは書かれていません。そこで、制度の形・条件・日数・額という基本を押さえたうえで、期限の逆算、再就職手当が原則対象外になる理由、64歳で辞める場合と比べる材料まで、雇用保険法の条文と厚生労働省・ハローワークの資料で確かめながら整理しました。

先に答え

65歳以上で辞めた人の失業保険は高年齢求職者給付金という一時金で、被保険者であった期間が1年以上なら基本手当の日額の50日分、1年未満なら30日分を、1回の失業の認定でまとめて受け取ります。受け取るには、辞めた日からさかのぼって前年の同じ日付の翌日までの間に被保険者期間が通算半年以上必要で、期限は翌年の、辞めた日と同じ日付までです。

2026年9月時点の制度で確かめています

64歳以下で辞める場合の基本手当の目安は、失業保険の計算ツール で出せます(ツールは64歳までの基本手当を計算するもので、65歳以上の一時金は下の式で出します)。

目次

65歳以上の失業保険は一時金で1回だけ

65歳以上で辞めた人が受けるのは、基本手当ではなく高年齢求職者給付金です。額は「基本手当の日額×50日分(または30日分)」で決まり、失業の認定は1回だけ、その認定で支給が決まります。

出典:雇用保険法37条の4

64歳までの人が受ける基本手当は、4週に1回ハローワークで失業の認定を受け、認定を受けた日数分をそのつど受け取る仕組みです。所定給付日数が90日なら、その90日分を何回かに分けて受け取ります。これに対して65歳以上の人は、求職の申込みをしたあと1回だけ失業の認定を受け、その時点で日数分がまとめて支給されます。

形が違う理由は、編集部では確認できていません。分かっているのは、認定が1回で済むという仕組みの違いです。

比べるところ 64歳までの人(基本手当) 65歳以上の人(高年齢求職者給付金)
受け取り方 4週ごとの認定で分けて受け取る 1回の認定でまとめて受け取る
日数 所定給付日数(年齢・理由・期間で変わる) 50日分か30日分の2通り
決める期間 年齢・離職理由・被保険者であった期間 原則、被保険者であった期間
期限 原則、翌年の辞めた日と同じ日付まで(延長の特例あり) 翌年の、辞めた日と同じ日付まで
再就職手当 条件を満たせば対象 原則対象外(下の項で説明)

たとえば、65歳の誕生日を過ぎてから会社を辞めた人は、何年勤めていても日数は50日分が上限です。一方で、認定が1回で済むので、ハローワークに通う回数は基本手当よりずっと少なくなります。「失業保険」と聞いて基本手当の分割払いを思い浮かべている人は、ここで頭を切り替えておくと、この先の話が読みやすくなります。

編集部の整理では、65歳以上の失業保険は「まとまった額を1回受け取る制度」として見ると迷いません。何日分かと、期限までに認定を受けられるかの2つで、受け取る額はほぼ決まります。

64歳までに辞める場合と比べたい人は、失業保険の計算ツール で基本手当の日額と日数の目安を先に出しておけます(65歳以上の一時金は下の式で出します)。

受け取れるのは直前に半年以上加入した人

高年齢求職者給付金を受け取るには、辞める前の一定の期間に、被保険者期間が通算して半年以上あることが必要です。条文の言い方では「離職の日以前一年間」で、辞めた日からさかのぼって前年の同じ日付の翌日までの間を指します(以下「直前の期間」)。

出典:雇用保険法37条の3

対象になるのは、65歳以上で雇用保険に入っていた人(高年齢被保険者)です。65歳を過ぎても、雇用保険の加入条件を満たす働き方をしていれば被保険者のままでいられるので、定年後に再雇用で働いていた人や、65歳を過ぎてから転職した人も対象になり得ます。

この直前の期間には例外があります。病気やけがなどで30日以上続けて賃金を受けられなかった期間がある人は、その日数を直前の期間に足して数えられ、足したあとの期間は最長4年までです。長く休職していた人は、「直前の期間では半年に届かない」と思っても、この加算で要件を満たすことがあります。

  • 65歳以上で辞めた(離職した日に65歳以上だった)
  • 雇用保険に入っていた(高年齢被保険者だった)
  • 直前の期間に被保険者期間が通算半年以上ある
  • 病気やけがで30日以上賃金を受けられなかった期間があれば、その分だけ直前の期間を延ばして数える(最長4年)
  • 働く意思と能力があり、ハローワークで求職の申込みをする

たとえば、定年後に週に何日かだけ働いていた人は、そもそも雇用保険に入っていたかどうかで答えが分かれます。入っていたかは、給与明細で雇用保険料が引かれていたかを見れば見当がつきます。引かれていなければ、この給付の対象になりません。

被保険者期間の数え方は、月ごとに働いた日数などで決まる細かい決まりがあります。自分が要件に届いているか迷う人は、離職票に書かれた賃金の欄と日数を持って、ハローワークで「高年齢求職者給付金の要件を満たすか」を聞くのが確実です。

50日分か30日分かは勤めた期間で分かれる

何日分を受け取れるかは、原則として被保険者であった期間が1年以上か1年未満かで決まります。1年以上なら50日分、1年未満なら30日分です(認定が期限の近くになると日数が減る例外は、期限の項で説明します)。

出典:雇用保険法37条の4

ここで間違えやすいのが、受け取れるかどうかを決める期間と、何日分かを決める期間が別の物差しだという点です。受け取れるかは「直前の期間に被保険者期間が半年以上あるか」、何日分かは「被保険者であった期間(算定基礎期間)が1年以上か」で決まります。受け取る要件を満たしても、被保険者であった期間が1年未満なら30日分です。

30日分か50日分かは、被保険者であった期間の1年で決まる
被保険者であった期間が1年未満

  • 30日分
被保険者であった期間が1年以上

  • 50日分
計算例

被保険者であった期間 日数 日額7,450円(上限)なら 日額2,562円(下限)なら
1年以上 50日分 7,450円×50日分=372,500円 2,562円×50日分=128,100円
1年未満 30日分 7,450円×30日分=223,500円 2,562円×30日分=76,860円

この区切りが効いてくるのは、65歳を過ぎてから新しい会社に入った人です。長く同じ会社にいた人は、たいてい1年以上になるので50日分です。一方で、65歳を過ぎて転職し、被保険者であった期間が1年未満のうちに辞める人は、辞める日によって30日分か50日分かが分かれます。1年以上になる少し手前で辞めるか、1年以上になってから辞めるかで、30日分か50日分かが入れ替わります。

被保険者であった期間は、前の会社の期間を通算できる場合があります。前の会社を辞めてから次の会社に入るまでの間が空いたかどうか、その間に失業保険を受けたかどうかで通算の扱いが変わるので、自分で決めつけず、ハローワークで確かめます。

編集部の整理では、1年以上か1年未満かの境目の近くにいる人だけが、辞める日で日数を動かせます。65歳を過ぎて入社した人は、辞める前に入社日を確かめ、1年以上になるまで待つかどうかを、次の仕事の予定とあわせて考えてください。

65歳以上の一時金はいくら?日額と上限で決まる

硬貨と紙幣

一時金の額は、基本手当の日額に50日分か30日分をかけて出します。日額は辞める前の賃金から出し、65歳以上の人の日額の上限は7,450円です。

一時金 = 基本手当の日額 × 50日分(または30日分)

日額の出し方は、64歳までの人の基本手当と同じ考え方です。辞める前の賃金から賃金日額を出し、賃金日額に給付率をかけて日額にします。給付率は賃金日額が低い人ほど高く、賃金日額が5,480円未満の帯なら80%です。賃金日額がそれより高い人は、式で率が少しずつ下がります。

出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」

65歳以上の人の日額の上限は、条文が「30歳未満の区分の上限」を使うよう定めているため、30歳未満と同じ7,450円になります。厚生労働省の資料には65歳以上の欄が無いので、これは条文(雇用保険法37条の4第2項)から導いた額です。60歳以上65歳未満の人に使う特別な式は、65歳以上には使いません。下限は日額2,562円です。

計算例

例1:賃金日額10,000円、被保険者であった期間1年以上

  • 日額の式(y = 0.8w − 0.3 × {(w − 5,480) ÷ (13,490 − 5,480)} × w、w=賃金日額)
  • 0.8 × 10,000 = 8,000
  • (10,000 − 5,480) ÷ (13,490 − 5,480) = 4,520 ÷ 8,010 = 0.5642…
  • 0.3 × 0.5642… × 10,000 = 1,692.8…
  • 8,000 − 1,692.8… = 6,307.1… → 1円未満を切り捨てて 6,307円
  • 6,307円は上限7,450円より低い → 6,307円 × 50日分 = 315,350円

同じ人で被保険者であった期間が1年未満なら、6,307円 × 30日分 = 189,210円

例2:賃金日額5,000円、被保険者であった期間1年以上

  • 5,480円未満の帯なので給付率80% → 5,000円 × 80% = 4,000円
  • 4,000円 × 50日分 = 200,000円
日額6,307円で1年以上なら315,350円
基本手当の日額×日数=高年齢求職者給付金
6,307円×50日分=315,350円

月給から賃金日額を出すところは、賞与や残業代の扱いで人によって変わります。自分の賃金日額が分からない人は、離職票の賃金の欄を持ってハローワークで聞くのが確実です。

ここで知っておきたいのは、失業保険の計算ツール は64歳までの基本手当を計算するもので、65歳以上の一時金は出せないことです。65歳以上の人は、ツールで出た日額をそのまま使わず、上の式と上限7,450円で出し直してください。

編集部の整理では、一時金の額は「日額」と「50日分か30日分か」の2つでほぼ決まり、本人があとから動かせる部分はほとんどありません。額を大きくする工夫を探すより、期限までに確実に認定を受けることのほうが大事です。

65歳以上は定年でも解雇でも日数は同じ

65歳以上の人の一時金は、会社都合でも自己都合でも日数は同じです。50日分か30日分かを決めるのは原則として被保険者であった期間で、離職理由は日数に入りません。

64歳までの人の基本手当では、解雇や倒産で辞めた人(特定受給資格者など)は、自己都合の人より所定給付日数が長くなる場合があります。65歳以上の人は、この区別で日数が増えることはありません。解雇されたから日数が多くなる、ということは無いのです。

ただし、離職理由がまったく関係ないわけではありません。高年齢求職者給付金にも、基本手当の待期(雇用保険法21条)と給付制限(同法33条1項・2項)の決まりが準用されます。つまり、手続きをしてから7日間の待期があり、正当な理由のない自己都合などで辞めた人には、給付制限の決まりが当てはまります。

出典:雇用保険法37条の4(第6項で21条・33条を準用)/雇用保険法21条

  • 日数(50日分か30日分か):離職理由で変わらない
  • 待期7日:離職理由にかかわらずある
  • 給付制限:自己都合など、離職理由によってかかる決まりが準用される
  • 給付制限の長さ:高年齢求職者給付金で何か月になるかは、ハローワークで確かめる

64歳までの人の自己都合の給付制限は、原則1か月です(退職日が2025年4月1日以降の場合)。ただ、この運用が高年齢求職者給付金に同じ長さで当てはまるかを示した公式の資料は確認できていないため、ここでは月数を書きません。基本手当の給付制限については 給付制限1か月の記事 で詳しく扱っています。

出典:厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」

たとえば、定年で辞めた人と、自分から辞めた人とでは、日数は同じでも、待つ期間が変わることがあります。離職理由は、離職票の記載と本人の申し立てをもとにハローワークが判断します。離職票を受け取ったら理由の欄を確かめ、実際と違うと思ったら、手続きのときにハローワークで申し出てください。

期限は翌年の同じ日付・逆算して動く

カレンダーに印をつけるペン

高年齢求職者給付金は、条文の言い方で「離職の日の翌日から起算して一年を経過する日」、つまり翌年の、辞めた日と同じ日付までに、ハローワークで求職の申込みをし、失業の認定を受けなければなりません。この日を過ぎると受け取れません。

出典:雇用保険法37条の4

見落とされやすいのは、期限に間に合えば満額、ではないことです。失業の認定を受けた日から期限の最後の日までの日数が50日(または30日)に足りないときは、認定日から期限の最後の日までの日数分しか受け取れません(同条第1項の括弧書き)。期限の直前に認定を受けると、日数そのものが減ります。

計算例

例:50日分の人が、認定日から期限の最後の日までの日数が20日しかない日に認定を受けた場合

  • 50日に足りない
  • 受け取れるのは20日分(日額6,307円なら 6,307円 × 20日分 = 126,140円)

同じ人が期限まで50日以上残した日に認定を受けていれば、6,307円 × 50日分 = 315,350円

期限の日付から逆算して動く
  1. 1離職票を受け取る届いたらすぐ手続きの準備をする
  2. 2求職の申込みハローワークで申し込む
  3. 3待期7日離職理由によっては給付制限の決まりもかかる
  4. 4失業の認定1回だけ。ここで支給が決まる
  5. 5期限の最後の日認定日からここまでが日数分あるか

求職の申込みのあとには待期7日があり、離職理由によっては給付制限の決まりもかかります。給付制限がある場合に認定日や支給がどこまで後ろにずれるかは、ハローワークで確かめてください。つまり「期限の少し前に申し込めば間に合う」とは言えません。申込みが遅いほど、認定日が期限に近づき、日数が削られる可能性が高くなります。

退職後しばらく休んでから動こうと考えている人は、休む期間を決める前に期限を手帳に書き、そこから逆に数えてください。期限の日付(翌年の、辞めた日と同じ日付)、そこから50日分(または30日分)を引いた日、さらに待期や給付制限の分を見込んだ日、の順に書き出すと、いつまでに申し込めばいいかが見えます。離職票が会社からなかなか届かないときは、離職票が来ないときの記事 を先に見てください。

編集部の整理では、65歳以上の人の一番の失敗は「額が少ないこと」ではなく「期限の近くで申し込んで日数が減ること」です。離職票が届いたら、その週のうちにハローワークへ行くくらいの気持ちで動くのが安全です。

65歳以上の再就職手当は原則対象外

65歳以上の人が一時金を受けたあとに早く就職しても、再就職手当は原則として対象外です。再就職手当は基本手当の受給資格者が対象で、高年齢求職者給付金を受ける人が就業促進手当の対象になるのは、就職が困難な人として定められた区分に限られるからです。

出典:雇用保険法56条の3

64歳までの人の基本手当は、所定給付日数を残して早く就職すると、条件を満たせば残りの一部を再就職手当として受け取れます。これは、基本手当が失業している日の分しか出ないため、手当を受け切ってから就職したほうが得にならないよう、早く就職する人を支える仕組みです。65歳以上の人の一時金は、はじめから1回の認定でまとめて渡されるので、そもそも「残りの日数」がありません。

ここから見えるのは、一時金を受けたあとは、いつ就職しても一時金の額が増えも減りもしない、という構造です。基本手当のように「早く決めると手当が少なくなるのでは」と迷う必要はありません。

  • 認定を受けて一時金の支給が決まったあとに就職:一時金の額は変わらない
  • 早く就職したことへの上乗せ(再就職手当):原則として無い
  • 就職が困難な人として定められた区分に当たる人:別の扱いになることがあるので、ハローワークで確かめる
  • 認定より前に働き始める:「失業している」ことの認定を受けられなくなるおそれがある

たとえば、辞めてすぐ知人から仕事の誘いがあった人は、認定を受ける前に働き始めるかどうかで結果が変わり得ます。認定は「失業していること」を確かめるものなので、仕事を始める日が認定日より前になりそうなときは、決める前にハローワークに事情を伝えて、どうなるかを聞いてください。

再就職手当そのものの額や条件は、再就職手当はいくらの記事 で扱っています。64歳までに辞める人の比較の材料として使ってください。

65歳以上の年金との関係は年金事務所で

書類に記入する手元

年金を受け取っている人、これから年金を請求する人は、一時金を受け取ったときに年金がどう扱われるかを、年金事務所で確かめてください。この記事では、年金と一時金の関係を断定しません。

断定しないのは、65歳以上の人の年金と高年齢求職者給付金の関係をはっきり示した公式の記述を、編集部が確認できていないからです。「両方もらえる」と書いてあるサイトもありますが、根拠の条文や公式の案内が示されていない限り、年金の話は自分の記録で確かめるのが確実です。

年金事務所では、次の3つを聞けば足ります。

  • 自分が受けている(受ける予定の)年金の種類は何か
  • ハローワークで高年齢求職者給付金を受けると、その年金に影響があるか
  • 影響があるなら、いつからいつまでで、何か届け出が要るか

持っていくものは、年金証書(すでに受けている人)、基礎年金番号が分かるもの、本人確認の書類、ハローワークでもらった書類か離職票です。年金の種類と受け始めた時期が分かれば、窓口の答えが早くなります。

たとえば、すでに年金を受けている人と、これから請求する人とでは、窓口で確かめることが違います。すでに受けている人は受けている年金の種類を、これから請求する人は請求の時期と一時金を受ける時期の関係を聞きます。自分の年金の種類が分からない人は、年金証書か、毎年届く通知を見てから窓口に行くと話が早く進みます。

編集部の整理では、年金の扱いは「一時金を受けるかどうか」を決める前に確かめておくのが順番です。ハローワークに申し込む前でも年金事務所には相談できるので、辞める日が決まった段階で、電話か窓口で一度聞いておくと安心です。

64歳で辞めるか65歳以上か、比べる材料

64歳で辞めた人は基本手当、65歳以上で辞めた人は高年齢求職者給付金を受けます。受け取る日数と受け取り方が変わるので、比べる材料を並べておきます。どちらが得かは、日額・年金・次の仕事の予定で変わるため、ここでは決めません。

64歳で辞めた人の所定給付日数は、自己都合など一般の離職者なら、被保険者であった期間が1年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。解雇などで辞めた特定受給資格者などは、60歳以上65歳未満の区分で、期間に応じて90日から240日です。

出典:ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

被保険者であった期間 64歳で辞めた一般の離職者 64歳で辞めた特定受給資格者など 65歳以上で辞めた人
1年未満 ― 90日 30日分
1年以上5年未満 90日 150日 50日分
5年以上10年未満 90日 180日 50日分
10年以上20年未満 120日 210日 50日分
20年以上 150日 240日 50日分

※64歳で辞めた一般の離職者の1年未満の欄は、この記事では扱っていません。基本手当は、受け取るための被保険者期間の要件も65歳以上とは違います。

日数だけを見ると、64歳で辞めた人のほうが多く見えます。ただし、基本手当は失業している日の分しか出ないので、日数分を受け取るには、その間ずっと仕事をしていない状態で4週ごとの認定を受け続ける必要があります。60歳以上65歳未満の人は日額の式と上限も違うため、1日あたりの額は同じになりません。さらに、年金との関係は年齢によって扱いが変わり得るので、日数の差だけで決めると見誤ります。

比べるときは、64歳で辞めた場合の日額と日数を 失業保険の計算ツール で出し、65歳以上で辞めた場合の一時金を上の式で出して、2つを並べます。そのうえで、年金の扱いを年金事務所で、辞める日による離職理由の扱いを会社とハローワークで確かめます。辞める日の決め方全般は、退職は何日前に言うかの記事 も参考にしてください。

使わなくていい場合

高年齢求職者給付金の手続きを手伝う、または受け取る額を増やすとうたう有料のサポートがあります。次に当てはまる人は、使わなくて足ります。

一時金の額は、日額と50日分か30日分かで決まり、日数は原則として被保険者であった期間で決まります。離職理由で日数が増えることもありません。失業の認定も1回だけなので、4週ごとに通う基本手当より、本人がやる手続きはずっと少なくなります。有料のサポートにできるのは書類や説明の手伝いで、法律で決まった日数や上限を動かすことはできません。

  • 離職票が手元にある人:ハローワークで求職の申込みをし、1回の認定を受ければ足ります
  • 自分の額を知りたいだけの人:上の式に日額と日数を入れれば出ます。サポートを使っても額は変わりません
  • 要件を満たすか迷っている人:満たすかを決めるのはハローワークです。まず窓口で聞けば足ります
  • 年金への影響が心配な人:答えを持っているのは年金事務所です。無料で相談できます

たとえば「高年齢の人も受給額を最大化できる」という案内を見て不安になった人でも、自分の被保険者であった期間と賃金が決まっていれば、額はすでに決まっています。迷うところは、無料のハローワークと年金事務所で聞けば足ります。

次にやること

65歳以上で辞める人がやることは、期限の日付を書き出すことと、ハローワーク・年金事務所で確かめることの2つです。

  1. 被保険者であった期間が1年以上か1年未満かを、入社日と辞める日から確かめる(境目の近くなら辞める日を考える)
  2. 期限(翌年の、辞めた日と同じ日付)を手帳に書き、そこから50日分(または30日分)と待期7日を引いた日を目安に、申込みの日を決める
  3. 離職票が届いたら、離職理由の欄を確かめてからハローワークへ行き、求職の申込みをする
  4. 年金を受けている人・受ける予定の人は、年金証書などを持って年金事務所で一時金の影響を聞く
  5. 次の仕事を始める予定がある人は、始める日が認定日より前にならないか、ハローワークで確かめる

1番と2番は、辞める前でもできます。先に期限の日付を書いておけば、退職後にしばらく休む場合でも、どこまで休んでいいかが分かります。3番の持ち物(離職票・本人確認書類・写真など)は、申込みの前にハローワークに電話して確かめておくと、1回で手続きが済みます。

次に読むもの

64歳までに辞めるか迷っている人は、失業保険の計算ツール で基本手当の目安を出してから、上の比較表と並べてください。辞める日の決め方は いつ・どう辞めるか、ハローワークの手続きは 手続き、給付の受け取り方は 失業保険と給付 の記事にまとめています。

65歳以上の失業保険でよくある質問

65歳以上の失業保険はいくらもらえますか?

基本手当の日額に、被保険者であった期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分をかけた額です。日額の上限7,450円なら、50日分で372,500円、30日分で223,500円が最も高い額です。自分の日額は、辞める前の賃金から出します。

年金をもらいながら高年齢求職者給付金を受けられますか?

受けている年金の種類や時期で確かめることが変わるため、この記事では断定しません。年金証書と離職票(またはハローワークの書類)を持って年金事務所で、一時金を受けたときの影響を聞いてください。

定年退職だと自己都合の扱いになりますか?

65歳以上の人は、離職理由で一時金の日数は変わりません。ただし給付制限の決まりが準用されるため、待つ期間に関わることがあります。離職票の離職理由の欄を確かめ、実際と違えばハローワークで申し出てください。

65歳以上でも再就職手当はもらえますか?

原則として対象外です。再就職手当は基本手当の受給資格者が対象で、65歳以上の人が就業促進手当の対象になるのは、就職が困難な人として定められた区分に限られます。当てはまるかはハローワークで確かめてください。

解雇されたら日数は増えますか?

増えません。65歳以上の人の一時金は、会社都合でも自己都合でも、原則として被保険者であった期間で50日分か30日分かが決まります。

辞めてから半年ほど休んでから手続きしても間に合いますか?

期限は翌年の、辞めた日と同じ日付までですが、認定日から期限の最後の日までが50日(または30日)に足りないと、その日数分に減ります。待期や給付制限もあるので、休む期間は期限から逆算して決め、離職票が届いたら早めに申し込むのが安全です。

もう一度働いて辞めたら、また受け取れますか?

そのときの直前の期間の被保険者期間が要件を満たすかで決まります。新しい仕事で雇用保険に入っているかを確かめ、辞めるときにハローワークで聞いてください。

数字だけ、もう一度

  1. 制度:65歳以上で辞めた人は高年齢求職者給付金。1回の失業の認定でまとめて受け取る一時金
  2. 条件:直前の期間(辞めた日からさかのぼって前年の同じ日付の翌日まで)に被保険者期間が通算半年以上(病気などで賃金を受けられなかった期間があれば延長、最長4年)
  3. 日数:被保険者であった期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分。離職理由では変わらない
  4. 額:基本手当の日額×日数。65歳以上の日額の上限は7,450円(条文からの導出)、下限は2,562円
  5. 期限:翌年の、辞めた日と同じ日付まで。認定日から期限の最後の日までが日数に足りないと、その日数分に減る
  6. 待期と給付制限:待期7日と給付制限の決まりが準用される。高年齢求職者給付金での給付制限の長さはハローワークで確かめる
  7. 再就職手当:原則対象外。一時金の支給が決まったあとは、いつ就職しても一時金の額は変わらない
  8. 年金:影響は年金事務所で確かめる。年金証書と離職票を持っていく

65歳以上の失業保険は、64歳までの基本手当の縮小版ではなく、まとまった額を1回で渡す別の仕組みです。額は日額と50日分か30日分かでほぼ決まり、本人が左右できるのは、1年以上か1年未満かの境目の近くで辞める日を選ぶことと、期限に余裕を持って認定を受けることの2つだけです。辞める日が決まったら期限の日付を書き、年金事務所とハローワークで一度ずつ確かめる。そこまで済ませれば、受け取り損ねることも、根拠のない「得な辞め方」に振り回されることもなくなります。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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