辞めると決めたけれど、何日前に言えばいいかが分からない。就業規則には「1か月前まで」と書いてあるのに、ネットには「民法では2週間」とある。その2つの関係と、自分の契約で何日前になるかと、伝える順番を、条文から順に書きます。
正社員など期間の定めのない雇用なら、退職を申し入れた日から2週間で雇用は終わります(民法627条1項)。月給制でも同じです。
2026年9月時点の制度で確かめています
退職は何日前に言うか:民法では申し入れから2週間
期間の定めのない雇用(正社員の多く)は、いつでも辞めると申し入れることができます。申し入れた日から2週間が過ぎると、雇用は終わります。
民法627条1項は、こう書いています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
会社の同意は条件になっていません。上司が「認めない」と言っても、申し入れた日から2週間で終わります。アルバイトやパートでも、契約に期間の定めが無ければこの条文です。期間の定めがあるかは、雇用契約書(労働条件通知書)の「契約期間」の欄で確かめます。
月給制・年俸制でも民法の2週間でいい
「月給制なら月の前半に言わないといけない」「年俸制なら三箇月前」という説明を見かけることがあります。これは民法627条の2項・3項の話ですが、いまの条文では会社(使用者)から申し入れる場合のルールです。
期間によって報酬を定めた場合には、使用者からの解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。(2項)
六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三箇月前にしなければならない。(3項)
2項は「使用者からの解約の申入れ」と書いており、3項はその「前項の解約の申入れ」を指しています。辞める側(労働者)からの申し入れは、月給制でも年俸制でも1項の2週間です。
就業規則に「1か月前」とあるときの、民法との関係
就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」と書いてある会社は珍しくありません。民法627条1項は、辞める側が申し入れてから2週間で雇用が終わると定めていて、会社の同意も就業規則の期限も条件にしていません。ただ、就業規則の期限を守らなかったときに会社との間で何が起きるかは個別の事情で変わるため、ここでは判断しません。
揉めずに辞めたいなら、就業規則の期限に合わせて伝えるのが確実です。引き継ぎや有給の消化を話し合う時間も取れます。就業規則の期限まで待てない事情(体調・次の職場の入社日など)があるときは、2週間を軸に退職日を決め、その理由を上司に伝えます。話が進まないときは、下の「使わなくていい場合」と「認めない・損害賠償と言われたとき」を読んでください。
契約社員など期間の定めがある退職は何日前か
契約社員・派遣社員・期間を決めたアルバイトなど、期間の定めがある雇用は、民法627条ではなく別の条文になります。
- 原則:期間の定めがある契約は、期間の途中では辞められないのが基本です。ただし、やむを得ない事由があるときは直ちに辞めることができます(民法628条)。その事由が自分の過失で生じたときは、会社に損害を賠償する責任が生じます
- 期間が一年を超える契約:契約期間の初日から一年を経過した日以後は、会社に申し出ることで、いつでも退職できます(労働基準法137条)。一定の事業の完了に必要な期間を定めた契約や、労働基準法14条1項各号に当たる労働者は除かれます
出典:民法628条(e-Gov法令検索)/労働基準法 附則137条(e-Gov法令検索)
「やむを得ない事由」に当たるかどうかは個別の事情で決まるため、ここでは判断しません。契約期間の満了で辞めるなら、更新しないことを早めに伝えます。
- 民法627条1項
- 申し入れた日から2週間で終わる
- 月給制・年俸制でも同じ
- 民法628条・労働基準法137条
- 期間の途中は原則辞められない
- やむを得ない事由があれば直ちに
使わなくていい場合
退職代行を使わずに、自分で伝えて足りるのは次の人です。
- 上司と普通に話せる(連絡が取れる)
- 強い引き止めを受けていない、または受けても断れる
- 申し入れから2週間(または就業規則の期限)まで出社できる
どれかが崩れているとき(上司と連絡が取れない・引き止めで話が進まない・出社できない)は、退職の手続きと退職代行 の記事で、状況に合う型を見てください。
退職代行を選ぶときは、弁護士法の線引きを知っておくと迷いません。弁護士法は、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律事件について代理や和解などの法律事務を取り扱ったり、その周旋をしたりすることを業とすることを禁じています(法律に別段の定めがある場合を除く)。退職日や有給の扱いで会社とのやりとり(交渉)が要りそうなら、弁護士が対応するサービスかどうかを確かめます。
退職日から逆算して何日前に伝えるか(伝える順番)
- 退職日を決める(申し入れから2週間より後。就業規則の期限があればそれより後)
- 直属の上司に、口頭で「退職したい」と伝える。相談ではなく、決めたこととして伝える
- 退職届を出す(提出日と退職日を書く)
- 引き継ぎと有給の消化を相談する
2週間は「申し入れた日」から数えます。言った・言わないにならないよう、申し入れた日は残しておきます。口頭のあとに、同じ内容をメールでも上司に送っておくと、日付が記録に残ります。退職届の控え(写し)も手元に置きます。
退職を「認めない」「損害賠償」と言われたとき
- 「認めない」と言われた:民法627条1項は会社の同意を条件にしていません。申し入れた日を記録に残し、退職届を出します。受け取ってもらえないときは、日付の残る方法(メールなど)で送った記録を残します
- 「辞めたら違約金」「損害賠償を払え」と言われた:労働基準法16条は、会社が違約金を定めたり、損害賠償の額をあらかじめ決めておいたりする契約を禁じています
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
16条が禁じているのは「あらかじめ決めておく契約」です。実際に損害が出たときに請求されるかどうかは個別の事情なので、ここでは判断しません。具体的に請求されたら、弁護士に相談してください。
- 辞めたあと、退職を証明するものが欲しい:労働基準法22条により、退職した人が請求すれば、会社は退職証明書(使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由)を遅滞なく出さなければなりません
次に読むもの
辞めたあとのお金が気になる人は、いつ・どう辞めるか の記事へ。自分で伝えるのが難しい人は、退職の手続きと退職代行 の記事へ。
よくある質問
退職は2週間前に言えば辞められますか?
期間の定めのない雇用なら、申し入れた日から2週間で雇用は終わります(民法627条1項)。会社の同意は条件ではありません。→ 退職は何日前に言うか
就業規則の「1か月前」と民法の2週間、どちらに合わせればいいですか?
揉めずに辞めたいなら就業規則に合わせるのが確実です。待てない事情があるときは、2週間を軸に退職日を決めて理由を伝えます。→ 就業規則との関係
アルバイトやパートも2週間ですか?
契約に期間の定めが無ければ、正社員と同じ民法627条1項です。期間の定めがあれば民法628条・労働基準法137条になります。→ 期間の定めがある場合
退職届を受け取ってもらえないときは?
申し入れは会社の同意が無くても効きます。メールなど日付の残る方法で送り、記録を残してください。→ 認めないと言われたとき
数字だけ、もう一度
- 期間の定めのない雇用は、申し入れた日から2週間で終わる(民法627条1項)。月給制・年俸制でも辞める側は同じ
- 就業規則に期限があるなら、揉めずに辞めるにはそれに合わせるのが確実。契約社員は民法628条・労働基準法137条
- 伝える順番は、退職日を決める → 上司に口頭で → 退職届。申し入れた日は記録に残す

