看護師・介護職の退職届が受理されない時は?何日前に出すかと有給の残し方

封筒と万年筆
  • 「人が足りないから無理」と言われて、退職届を受け取ってもらえない
  • 就業規則に「三か月前までに申し出ること」とある。守らないと辞められない?
  • 宛名は院長?施設長? 手渡すのは師長でいい?
  • 夜勤のシフトがもう組まれているのに、有給を使って辞めてもいい?
  • 「次の人が見つかるまで待って」と言われて、退職日が決まらない
  • 奨学金を一括で返して、と言われた。お礼奉公の期間も残っている
  • 手渡しできないときは、郵送やメールでもいい?
  • 看護師や介護職だけの、特別な退職の決まりがあるの?

上記のような悩みに答えます。

看護師・介護職・薬剤師の退職届は、書き方より、受け取り拒否や長い申出期間が論点になる手続きです。検索で上位に出るのは看護職向けの転職サイトの記事が中心で、退職届の書き方や提出時期、円満に辞めるコツは厚く書かれていますが、受け取ってもらえないときに退職の効力がどうなるのか、就業規則の「三か月前」を守れないとどう考えるのか、シフト制の職場で有給の時季変更がどこまで言えるのかは、転職の勧めに流れて手前で止まりがちで、介護職や薬剤師に向けた説明はさらに少なくなります。そこで、宛名と提出先、出す時期、有給という基本に加え、受け取り拒否と申入れの効力、長い申出期間の読み方、奨学金や違約金で確かめる書面まで、条文と厚生労働省・労働局の資料で確かめながら整理しました。

先に答え

看護師・介護職でも、期間の定めのない雇用なら、退職の申入れが届いてから2週間で雇用は終わります。人手不足を理由に退職届を受け取ってもらえなくても、届いた記録が残る方法で出せば辞められます。有給は退職日までに申請しておき、就業規則の「三か月前」や奨学金の話は書面を確かめてから動いてください。

2026年10月時点の制度で確かめています

辞めたあとの生活費が気になって退職届を出せずにいる人は、失業保険の計算ツール で、自分の場合いつ・いくら受け取れるかを先に出しておくと、話し合いで焦らずに済みます。

目次

受け取ってもらえなくても辞められる?

辞められます。期間の定めのない雇用なら、退職の申入れの日から2週間で雇用は終わり、会社が退職届を受け取るかどうかは条文の条件になっていません。人手不足や後任がいないことも、条件として書かれていません。

民法627条1項は、こう書いています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法627条(e-Gov法令検索)

条文は「雇用の期間を定めなかったとき」とだけ書いていて、職種を限っていません。看護師・介護職・薬剤師という言葉も出てきません。病棟の人員が足りない、夜勤を回せないといった事情で2週間の数え方を変える言葉も、条文の中にはありません。茨城労働局のQ&Aも、「新しい人が見つかるまで待て」と言われて辞められないという相談に対して、民法627条により、労働者の退職の申入れは使用者の承諾がなくても2週間を経過すれば効力が発生すると答えています。

出典:茨城労働局「やめたいのにダメと言われて困ってる」

「受け取ってもらえない」で問題になるのは、申入れが相手に届いたかどうかです。民法97条は、意思表示はその通知が相手方に到達した時から効力を生ずると定め、2項で、相手方が正当な理由なく到達を妨げたときは、通常到達すべきであった時に到達したものとみなすとしています。師長や施設長が退職届を突き返した場面がこの2項に当たるかは、そのときの事情で変わります。条文だけで「拒まれても届いたことになる」と決めつけず、届けた日と相手の反応を記録に残しておくのが確実です。

出典:民法97条(e-Gov法令検索)

たとえば、施設長に「人が足りないから預かれない」と押し返された介護職なら、日時と言われた言葉をメモし、同じ退職届を郵送するなどして届いた記録を作ります。反対に、パートや契約職員として期間を決めて雇われている人は、この2週間の条文ではなく別の条文の話になります(下の「契約期間がある人は扱いが違う」)。なお、公立の病院・施設で公務員として勤めている人は、ここで引いた条文が当てはまるかを、勤め先の人事担当に確かめてください。

目標は「受け取ってもらうこと」ではなく「申入れが届いた記録を残すこと」です。辞めさせてくれない職場への対処の全体は 会社が辞めさせてくれないとき、退職願と退職届の違いと撤回は 退職願と退職届の違い にまとめています。

退職届は誰に、どう出す?

封筒と万年筆

宛名と、手渡す相手は分けて考えます。宛名は就業規則や職場の書式が指定する人(指定が無ければ法人の代表者)、手渡す相手はふだん勤務を管理している直属の上司です。出し方は、手渡しでも郵送でも、届いた記録と控えが手元に残る形にします。

退職届を書面や口頭など、どの方法で出すかを限定した法律の条文は見当たりません。山形県の労働情報サイトも、労働基準法には退職に関する明確な定義はないとしたうえで、期間の定めのない従業員は口頭や文書で申し出ることで退職できると説明しています。厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、退職届を提出するなどして申し入れれば原則として2週間で終わるとし、確実に一定の期日で辞めたいなら、退職の意思をはっきり書いた退職届を出すのが無難だとしています。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」退職、解雇、雇止めなど/山形県「WEB労働やまがた」退職の定義、手続き、トラブル回避について

職場 宛名の例 手渡す相手の例
病院・クリニック 院長・理事長 師長・看護部長
介護施設・事業所 施設長・理事長 主任・ユニットリーダー・施設長
薬局・ドラッグストア 代表者 薬局長・管理薬剤師

表の名前は例で、決めるのは自分の職場の就業規則と書式です。退職届の様式があり、看護部や事務部の窓口に出すことになっている職場もあります。様式に「受理」「承認」の欄があっても、民法627条1項の条文は、2週間で終わる条件として承諾や承認を挙げていません。ただし退職願は、会社の承諾が要る合意退職の申し込みと読まれる余地があると厚生労働省は説明しています。

たとえば、夜勤明けで師長に会えない日が続く看護師なら、看護部長か人事の窓口に手渡し、その日のうちに師長へ提出した旨をメールで送れば、提出先と日付がそろいます。手渡しが難しいときは、郵送やメールで出す方法もあります。ただ、メールで足りるかを直接述べた公的な説明は見当たらないので、届いた記録と控えが残る形にして、就業規則の定めも確かめてください。メールで伝えるときの条件と書き方は 退職をメールで伝えてもいい?、書き方と日付の入れ方は 退職届の書き方 で見られます。

迷ったら、就業規則の退職の項目で「誰に」「何日前に」「どの様式で」を確かめ、控えと届いた日の記録を残します。

就業規則の「三か月前」と民法の2週間

病院・施設の就業規則には、「退職は三か月前までに申し出ること」のように長めの申出期間を定める例があります。民法の2週間より長い定めがどこまで効くかは、公的な説明でも書き方が分かれています。

厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、無期労働契約なら退職届を提出するなどして申し入れれば原則として2週間で終わるとし、就業規則などでこの期間を大幅に伸ばす規定や、この期間を超える場合にも会社の許可を条件とするような規定は、無効とされることになると説明しています。一方、鹿児島労働局のQ&Aは、会社の就業規則に退職について規定されている場合は原則として就業規則の規定が適用されるとし、ただし極端に長い申入れ期間を定めている場合などは、公序良俗の見地から無効とされる場合もあると書いています。茨城労働局のQ&Aは、就業規則の申出期間が社会通念上著しく長期間でない場合(例として1か月前まで)には、トラブル防止のため、まず就業規則の定めに沿った申出をした方がよいとしています。

出典:鹿児島労働局「よくあるご質問」Q5

就業規則の長い期間、公的な説明は2通り
厚生労働省「確かめよう労働条件」

  • 申し入れから原則2週間で終わる
  • 期間を大幅に伸ばす規定は無効とされる
  • 2週間を超える場合にも会社の許可を条件にする規定も同じ
鹿児島労働局・茨城労働局のQ&A

  • 原則として就業規則の規定が適用される
  • 極端に長い期間は無効とされる場合も
  • 著しく長くなければ、まず就業規則に沿った申出を

自分の職場の「三か月前」が「大幅」「極端」「著しく長期間」に当たるかは、個別の事情で変わるため、ここでは判断しません。そのかわり、何で変わるのか、どう確かめるのか、どこに相談するのかを書いておきます。

  • 何で変わるか:就業規則の書き方(申出期間だけか、許可を条件にしているか)、自分の担当している業務と引き継ぎの状況、職場とのそれまでのやりとり
  • 自分で確かめる方法:就業規則の退職の項目と雇用契約書の退職の欄を読み、期間と手続きが何と書かれているかを写しておく
  • 相談先と持っていくもの:総合労働相談コーナーや弁護士。就業規則の該当箇所の写し、雇用契約書、退職を伝えた日と相手の返事の記録

たとえば、次の職場の入職日が決まっていて三か月は待てない看護師なら、退職日と、その日にしたい理由(入職日)を書面で伝え、就業規則の期間にできるだけ近づけられないかを相談します。それでも話が進まなければ、申入れから2週間を軸に退職日を決め、届いた記録を残します。急ぐ事情がなければ、就業規則の期間に合わせると引き継ぎと有給の消化を組む時間が取れます。何日前に言うかの基本の数え方は 退職は何日前に言う? で整理しています。

編集部の整理では、軸は2つです。揉めないことを優先するなら就業規則の期間、待てない事情があるなら2週間。どちらを選んでも、退職日と理由を最初に書面ではっきり示すことが、引き止めの話し合いの土台になります。

契約期間がある人は扱いが違う

パートや契約職員として、期間を決めて雇われている看護師・介護職は、民法627条ではなく民法628条の話になります。契約期間の途中で辞めるには、原則としてやむを得ない事由が要ります。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

民法628条(e-Gov法令検索)

例外として、契約期間が一年を超える契約なら、契約期間の初日から一年を経過した日以後は、申し出ていつでも退職できます(労働基準法附則137条)。一定の事業の完了に必要な期間を定めた契約や、労働基準法14条1項各号に当たる労働者は除かれるので、自分が当たるかは雇用契約書で確かめます。

たとえば、一年ごとに更新している介護職のパートなら、契約期間が終わる日で辞めると早めに伝える形が揉めにくくなります。期間の途中で辞めたい事情があるときは、雇用契約書と事情を書いたメモを持って相談します。詳しくは 契約社員の期間途中の退職 を見てください。

シフト制・夜勤でも有給を残して辞められる?

卓上カレンダーと観葉植物の置かれた机

辞める前に有給を使うことはできます。会社には時季変更権がありますが、和歌山労働局は、退職間際の年休の申請に対して拒むことはできないと説明しています。シフト制・夜勤の職場で大事なのは、退職日と有給の日数をセットで、早めに申請しておくことです。

労働基準法39条5項は、こう書いています。

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

労働基準法39条(e-Gov法令検索)

「夜勤が回らない」は、この但し書きの「事業の正常な運営を妨げる場合」として持ち出されることがある言葉です。ただ和歌山労働局は事業主向けに、年次有給休暇は労働者の権利であり、退職間際の年休の申請に対して拒むことはできないとし、引継ぎが必要なら退職日を遅らせてもらうなど話し合う、と説明しています。

出典:和歌山労働局「事業主の方へ(年次有給休暇)」

残っている日数は、給与明細や勤怠のシステムで確かめます。法律で決まっている付与日数(通常の労働者)は次のとおりで、6か月間継続して勤め、全労働日の8割以上出勤した人が対象です。週の所定労働日数が少ないパートは、日数を比例して付与されます。

継続勤務 付与日数
六か月 10日
一年六か月 11日
二年六か月 12日
三年六か月 14日
四年六か月 16日
五年六か月 18日
六年六か月以上 20日

有給の請求権は2年で時効になります(厚生労働省の説明)。また、法定の有給を買い上げることは原則としてできず、お金を払っても有給を与えたことにはならないと労働局は説明しています。残った日数を「あとで買い取ってもらう」前提にせず、退職日までに使い切れるように組むのが先です。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A(年次有給休暇の消滅時効)/鹿児島労働局「年次有給休暇 Q8」

たとえば、病棟で夜勤のある看護師が、来月のシフトがすでに組まれた後に退職を伝える場合、最終出勤日と退職日を分けて考えます。引き継ぎを終えた翌日から退職日までを有給にあてる形で、退職届と一緒に有給の申請日を書面で出しておくと、後から「聞いていない」と言われにくくなります。シフト希望の締め切りがあるなら、その前に出します。一方、勤め始めて6か月に満たない人は、まだ付与されていないことがあるので、まず日数を確かめます。

有給と引き継ぎは、どちらかを諦める話ではありません。引き継ぎにかかる日数を見積もり、そのぶん退職日を後ろに置けるかを相談すれば、両立を目指せます。逆算の細かい組み方と、その間の給料・社会保険の扱いは 有給消化と退職日の決め方 にまとめています。

奨学金・違約金と言われたら

まず、お金を借りたときの書面(貸与契約書・誓約書)を確かめます。違約金を定めたり、損害賠償の額をあらかじめ決めておいたりする契約は労働基準法16条が禁じています。ただ、借りたお金そのものを返す必要があるかどうかは、その契約の中身で変わります。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法16条(e-Gov法令検索)

16条が禁じているのは「あらかじめ決めておく契約」です。「途中で辞めたら違約金を払う」という定めは、この条文に照らして問題になりえます。一方で、実際に生じた損害の賠償を請求すること自体を禁じた条文ではありません。また、奨学金・修学資金は、勤め先の病院・法人から借りたものか、それ以外の貸与元から借りたものかで、契約の相手も中身も違います。言われた言葉だけで「返さなくていい」「全部返さないといけない」と決めず、書面を読むところから始めます。

  • 誰から借りたか(勤め先の病院・法人か、それ以外の貸与元か)
  • 返還を免除する条件(何年勤めたら免除、など)と、途中で辞めたときの返し方(一括か分割か)
  • 雇用契約書・就業規則とは別の書面か、雇用契約の中に組み込まれているか
  • 「辞めたら◯円払う」のような違約金や賠償額の定めがあるか

判断に迷うときは、総合労働相談コーナーか弁護士に相談します。持っていくのは、貸与契約書・誓約書、雇用契約書、就業規則の該当箇所、そして「いつ・誰に・何と言われたか」のメモです。

たとえば、介護福祉士が退職を伝えたところ、口頭で「辞めるなら奨学金を一括で返して」と言われた場合は、まず貸与契約書で途中退職のときの返し方を確かめます。看護師が採用時に「早く辞めたら違約金を払う」という誓約書にサインしていた、という場合は、16条に照らして相談先に見てもらう段階です。

民法627条1項は、借りたお金を返し終えることを退職の条件にしていません。退職の申入れと、お金の精算は別の話として分けて進めると、「返すまで辞めさせない」という言葉を受けても、退職の申入れの話を分けて考えられます。

辞める時に返すもの、もらうもの

開いた段ボール箱

職場から借りているもの(制服・名札・鍵・ロッカー・カードキーなど)を返し、自分のもの(私物・最後の給料・積立金など)は返してもらいます。退職証明書は、請求すれば会社は遅滞なく出さなければなりません。

労働基準法23条は、退職の場合に権利者の請求があったときは、7日以内に賃金を支払い、積立金・保証金・貯蓄金その他名称を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならないと定めています。22条は、退職した人が請求すれば、会社は使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由(解雇の場合はその理由も)を書いた証明書を遅滞なく出さなければならないとしています。

出典:労働基準法23条(e-Gov法令検索)/労働基準法22条(e-Gov法令検索)

  • 返すもの:制服・白衣、名札・職員証、鍵・カードキー、ロッカー、貸与されたスマートフォンや端末
  • もらうもの・請求できるもの:最後の給料、ロッカーの私物、積立金など自分の権利に属する金品、退職証明書(請求したとき)、退職後の手続きに使う書類

看護職には離職時の届け出の仕組みがあるので、日本看護協会・都道府県ナースセンターの案内で確かめてください。

たとえば、最終勤務が夜勤明けでロッカーを空けきれない人は、私物の郵送を頼めるか事前に聞いておきます。会社が私物や最後の給料を渡してくれないときは、23条の「請求があった場合」に当たるよう、請求した日が残る形(メールか書面)で求めると、7日の起点がはっきりします。

返すものと、もらうものは一覧にして、最終出勤日の前に上司か事務に渡しておきます。

辞めさせてもらえない時の順番

辞めさせてもらえないときは、口頭で伝える、退職届を出して控えを残す、メールや郵送で届いた記録を作る、内容証明で出す、総合労働相談コーナーに相談する、の順に一段ずつ上げていきます。それでも自分で続けるのが難しいときに、退職代行や弁護士を考えます。

辞めさせてもらえないときに上げていく順番
  1. 1口頭で伝える退職日を決めてから、直属の上司に
  2. 2退職届を出す控えを残し、宛名と提出先を確かめる
  3. 3届いた記録を作るメールや郵送で、日付が残る形に
  4. 4内容証明で出すどんな内容の文書を誰あてに出したかが残る
  5. 5相談する・任せる総合労働相談コーナー、退職代行・弁護士

内容証明は、日本郵便が、いつ、どんな内容の文書を誰から誰あてに出したかを、差出人が作った謄本で証明する制度です。証明するのは文書の存在で、書いた内容が真実かどうかを証明するものではありません。差し出すときは、相手に送る内容文書と、謄本2通(差出人と郵便局が1通ずつ保存)を用意し、取り扱う郵便局は一部に限られます。

出典:日本郵便「内容証明」/日本郵便「内容証明の差出方法等を教えてください。」

総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などに置かれていて、相談は無料・予約不要です。茨城労働局のQ&Aも、辞めさせてもらえないという相談の照会・相談先としてこの窓口を挙げています。持っていくのは、就業規則の写し、雇用契約書、退職届の控え、伝えた日と相手の返事の記録です。

出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

退職代行は、運営元によって頼める範囲が違うとされています。民間の会社は、本人に代わって退職の意思を伝えるところまでとされ、報酬を得て代理や和解などの法律事務を扱うことは弁護士法で弁護士以外に制限されています。労働組合が運営・連携する形なら、有給や退職日について団体交渉ができるとされます。損害賠償を言われているなど、請求や訴訟が絡むなら弁護士の領分です。違いは 労働組合が運営する退職代行 にまとめています。

たとえば、看護部長に「辞めさせない」と言われ続け、退職届も机に置いたまま返された人は、同じ退職届を内容証明で病院あてに送り、控えと郵便局で受け取った書類をそろえて、総合労働相談コーナーに相談する、という順番が無理がありません。上司と話すだけで体調が崩れる人は、途中の段を飛ばして最初から任せる選び方もあります。自分で言い出せないときの手段の選び方は 退職を言い出せないとき で整理しています。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

自分で伝えるのが難しく、会社とのやりとりを任せたい場合は、料金に何が含まれるか(組合費・返金の条件)と、退職日や有給の話し合いが要るときは連携する労働組合に加入して交渉してもらう形になることを、公式サイトで確かめてから申し込んでください。損害賠償を言われているなら、弁護士に相談するのが先です。

退職代行Jobsの料金を公式サイトで見る

使わなくていい場合

退職代行を使わずに、自分で退職届を出して足りるのは次のような人です。退職の申入れは本人ができる手続きで、代行を使っても、申入れが届いてから2週間という数え方が変わるわけではありません。

  • 師長・施設長・薬局長など、退職届を渡す相手と連絡が取れる
  • 退職日を自分で決めて、書面やメールに書ける
  • 引き止められても、届いた記録を残しながら話を進められる
  • 有給や退職日について、会社と交渉が要るほど揉めていない

この条件がそろうなら、上の順番の「口頭で伝える」から「内容証明で出す」までを自分で進められます。

たとえば、人手不足を理由に引き止められているが、上司とは普通に話せていて、有給の申請も受け付けてもらえている看護師なら、退職届と、届いた記録を残す方法の組み合わせで進められます。介護職で「次の人が見つかるまで」と言われている人も、退職日を書いた退職届を出し、届いた記録を残せていれば、自分で進められます。

渡す相手と連絡が取れない、有給や退職日で交渉が必要になった、奨学金や違約金を持ち出されて話が進まない、話すこと自体ができないほど追い詰められている、といったときは、上の順番の最後の段を考えてください。

よくある質問

看護師の退職届は、いつ出せばいいですか?

期間の定めのない雇用なら、申入れから2週間で雇用は終わります(民法627条1項)。ただ、就業規則に申出期間がある職場では、揉めずに辞めたいなら、その期間に合わせて出す選び方があります(期間が長い場合の公的な説明は割れています)。待てない事情があるときは、退職日と理由を書面で伝えます。

退職届は誰に出せばいいですか?

宛名は就業規則や職場の書式が指定する人(指定が無ければ院長・施設長などの代表者)、手渡す相手は直属の上司です。職場に様式があればそれを使い、控えを手元に残してください。

手渡しでないとダメですか?

退職届の出し方を手渡しに限る条文は見当たりません。郵送やメールで出す方法もあります。メールで足りるかを直接述べた公的な説明は見当たらないので、届いた記録と控えが残る形にして、就業規則の定めも確かめてください。受け取ってもらえないときは、内容証明で出す方法もあります。

薬剤師や介護職も同じ考え方ですか?

民法627条1項は職種を限っていないので、雇用契約に期間の定めがなければ同じ条文で考えます。期間を決めて雇われている人は、民法628条と労働基準法附則137条の話になります。

有給は全部使ってから辞められますか?

付与されている日数は、退職日までに申請します。和歌山労働局は、退職間際の年休の申請に対して拒むことはできないと説明しています。

退職願と退職届、どちらを出せばいいですか?

厚生労働省は、確実に一定の期日で辞めたいなら、退職の意思をはっきり書いた退職届が無難だとしています。退職願は会社の承諾が要る合意退職の申し込みと読まれる余地があります。

数字だけ、もう一度

  1. 何日で終わるか:期間の定めのない雇用は、申入れの日から2週間で終わる(民法627条1項)。条文は職種を限っていない
  2. 受け取ってもらえない:意思表示は相手に到達した時から効力(民法97条)。届いた記録を残す
  3. 就業規則の長い期間:厚生労働省は「大幅に伸ばす規定は無効とされる」、労働局のQ&Aは「原則就業規則が適用・極端に長ければ無効の場合も」。揉めないなら就業規則、待てないなら2週間を軸に
  4. 契約期間がある人:民法628条(やむを得ない事由)・労働基準法附則137条(一年を超える契約で、一年を経過した日以後)
  5. 有給:付与は六か月で10日から六年六か月以上で20日まで。時効は2年。退職間際の申請は拒めないと労働局が説明
  6. 奨学金・違約金:違約金や賠償額の予定は労働基準法16条が禁止。返す必要があるかは貸与契約の書面で確かめる
  7. 退職時の金品:請求から7日以内に賃金と金品の返還(労働基準法23条)。退職証明書は請求すれば遅滞なく(22条)

人手不足の職場で退職届を出すとき、「辞めていいのか」という気持ちと「辞められるのか」という手続きは分けて考えます。手続きの側は、期間の定めがあるかを確かめ、退職日と有給の日数を決め、届いた記録を残す、の3つで足ります。話し合いには応じつつ、退職日の線は自分で引いておく。まずは就業規則の退職の項目と雇用契約書の契約期間の欄を開いて、自分がどの条文の人かを確かめるところから始めてください。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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