- 労働組合がやっている退職代行って、違法じゃないの?
- 民間の退職代行と、何が違うの?
- 弁護士に頼むのと、労働組合に頼むのと、どっちがいい?
- 交渉できるって聞くけど、具体的に何を話し合ってくれるの?
- 残っている有給は、消化してから辞められる?
- 組合に入らないといけないの?会社に知られる?
- 「損害賠償を請求する」と言われていても、労働組合で大丈夫?
- 結局、自分は労働組合の退職代行で足りるの?
上記のような悩みに答えます。
労働組合が運営する退職代行は、民間の会社と弁護士のあいだにある型で、「交渉できる」と紹介されることがよくあります。ただ、何を交渉できて、どこから先は引き受けられないのかは、サービスの紹介文だけでは、境目が見えにくいことがあります。そこで、労働組合が交渉できる根拠、3つの型でできることの違い、労働組合では足りなくなる線を先に押さえたうえで、「非弁ではないか」と言われたときの考え方と、申し込む前に組合の中身を確かめる項目まで、憲法・労働組合法・弁護士法の条文と厚生労働省・法務省の資料で確かめながら整理しました。社の名前を並べたり、順位を付けたりはしていません。
労働組合は、組合員のために会社と交渉する権限を法律で持っているので、退職日や有給の消化などを団体交渉として話し合える型とされています。一方で、訴訟の代理や、損害賠償を請求されたときの対応は弁護士の領域とされ、会社が交渉に応じるか、希望どおりの結果になるかは保証されません。損害賠償を言われている、未払いを請求したいなら弁護士へ、交渉が要らず自分で伝えられるなら代行を使わなくて構いません。
この記事の数字と条文は2026年10月時点のものです(条文は2026年10月9日にe-Gov法令APIで確認)。
話し合いは労働組合、争いは弁護士

労働組合の退職代行でできるのは、辞める意思を会社に伝えることと、退職日や有給の扱いなどを団体交渉として話し合うことです。できないとされるのは、裁判で本人の代わりに立つことと、会社から損害賠償を請求されたときの対応で、ここは弁護士の領域とされています。
この線が引かれるのは、労働組合の「交渉する力」と、弁護士の「代理する力」が、別々の法律から出てきているからです。労働組合の交渉は、働く人がまとまって会社と話し合う権利として憲法と労働組合法が認めたもので、個人の代わりに法律上の争いを片づける権限とは成り立ちが違います。話し合いの席に着かせる力はあっても、本人の代わりに裁判をしたり、請求に対して法的な主張を組み立てたりする役目までは持っていない、と考えると整理しやすくなります。
- 辞める意思を会社に伝える
- 退職日の調整を団体交渉として話し合う
- 有給の消化を団体交渉として話し合う
- 訴訟で本人の代わりに立つ
- 損害賠償を請求されたときの対応
- 未払い賃金を法的に請求して回収する
たとえば、会社と顔を合わせずに辞めたい、残っている有給を使い切ってから辞めたい、という人なら、頼みたいことは労働組合の範囲に収まります。同じ人でも、会社から「辞めるなら損害を払え」と書面が届いた時点で、その書面への対応は労働組合の外に出ます。頼みたいことのうち、いちばん重いものがどこに入るかで、型を決めることになります。
迷ったときは、頼みたいことを「伝える」「話し合う」「争う」の3つの箱に分けて書き出してください。「争う」の箱が空なら労働組合の型で足り、何か入っているなら、その中身を持って弁護士に相談するのが先です。
労働組合なら交渉できる理由
労働組合が会社と交渉できるのは、団体交渉の権利が憲法で保障され、労働組合法が組合に交渉の権限を与えているからです。退職代行のための特別な決まりがあるわけではなく、労働組合が一般に持っている権限を、組合員の退職の場面で使う、という組み立てです。
憲法の条文は短く、次のとおりです。
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
この権利を具体的にしたのが労働組合法で、交渉の権限については次のように書かれています。
労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。
さらに労働組合法7条2号は、会社が「雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと」を不当労働行為として禁じています。会社は正当な理由なく話し合いを断れない、というのが、労働組合の型が「交渉できる」と言われる中身です。
ここで気をつけたいのは、条文が「退職」や「有給」を名指ししていないことです。交渉の権限は「労働協約の締結その他の事項」についてのもので、退職日や有給の消化が団体交渉の対象になると説明されるのは、条文の言葉からの整理です。また、禁じられているのは「正当な理由がなくて拒むこと」で、会社が話し合いの席に着いたあと、組合の求めどおりに応じる義務まで書かれているわけではありません。
たとえば、労働組合が「有給を使い切ってから退職日にしたい」と申し入れた場合、会社は正当な理由なくこの話し合いを断れませんが、話し合った結果、日程が希望どおりになるかは別の話です。交渉できることと、交渉で勝てることは同じではない、と分けて考えておくと、申し込んだあとの期待と結果のずれが小さくなります。
民間の会社が労働組合と連携する型もあります。この型では、交渉が要る場面になると、本人が組合に加入して、組合の団体交渉として話し合う形になります。申し込む先は民間の会社でも、交渉の力は組合から来ている、と理解しておくと、何に料金を払っているのかが見えやすくなります。
3つの型でできる行為の違い
民間の会社、労働組合、弁護士の3つの型は、「伝える」ところまでは同じで、「話し合う」「争う」に進むほど、引き受けられる型が絞られていきます。料金や評判の前に、自分が頼みたい行為がどの型に収まるかを見るのが近道です。
型の違いを分けているのは、弁護士法72条です。条文は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、法律事件について代理や和解などの法律事務を扱うことを業とすることを禁じています。そのうえで「この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない」というただし書きがあり、労働組合の交渉は労働組合法に根拠があるため、このただし書きとの関係で整理されます。条文は退職代行を名指ししていないので、どこまでがただし書きに当たるかは、条文だけでは言い切れません。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
行為ごとに並べると、次のようになります。どの行も、条文が退職代行を名指ししているわけではなく、条文からの整理として「〜とされる」と読んでください。
| 頼みたい行為 | 民間の会社 | 労働組合 | 弁護士 | 線の元になる条文 |
|---|---|---|---|---|
| 辞める意思を伝える | できる | できる | できる | 民法627条1項(本人の申し入れ) |
| 退職日の調整を話し合う | 交渉はできないとされる | 団体交渉としてできるとされる | できる | 労働組合法6条・7条2号 |
| 有給の消化を話し合う | 交渉はできないとされる | 団体交渉としてできるとされる | できる | 労働組合法6条・7条2号 |
| 未払い賃金について話し合う | 交渉はできないとされる | 団体交渉としてできるとされる | 請求までできる | 労働組合法6条/弁護士法72条 |
| 損害賠償を請求されたときの対応 | できないとされる | 弁護士の領域とされる | できる | 弁護士法72条 |
| 訴訟で本人の代わりに立つ | できない | できない | できる | 弁護士法72条 |
表で見ると、労働組合の型は「話し合う」の行まで埋まり、「争う」の行で止まります。未払い賃金は、組合が団体交渉として話し合うことはできるとされますが、会社が払わないときに法的に請求して回収するところまでは引き受けられないとされるので、回収まで見ているなら最初から弁護士の型が話の通りが早くなります。
たとえば、退職日と有給の話し合いだけが要る人なら、表の上から3行目までで足り、労働組合の型で収まります。未払いの残業代を取り返したい人は4行目、会社から賠償の話をされている人は5行目に当たるので、弁護士の型を見ることになります。弁護士の型が要る条件をもっと細かく見たい人は、弁護士に頼むのはどんな時かの整理 へ進んでください。
労働組合と話し合えることと限界
労働組合の型で話し合いに乗せやすいのは、退職日の調整、有給の消化、退職に伴う書類や貸与品のやり取りです。どれも「辞めること」に付いてくる話で、会社にとっても話し合いで片づけやすい中身です。
退職日については、期間の定めのない雇用なら、本人が申し入れた日から2週間で雇用が終わる、と民法627条1項は定めています。厚生労働省の「確かめよう労働条件」も、無期の雇用であれば退職の申し入れから原則2週間で労働契約は終了すると説明し、就業規則でこの期間を大幅に延ばす規定があっても無効とされることになる、としています。就業規則がどこまで効くかは、ここでは厚生労働省の説明を紹介するところまでにとどめます。
つまり、退職日の話し合いは「辞められるかどうか」の交渉ではなく、「いつを最終日にして、それまでの出社と有給をどう組み合わせるか」の調整です。ここで交渉の力が効いてくるのは、会社が「後任が決まるまで待て」「有給は認めない」と言ってきたときで、組合が団体交渉として申し入れれば、会社は正当な理由なく話し合いを断れません。
- 退職日を、申し入れの日からいつに置くか
- 残っている有給を、最終日までにどう使うか
- 離職票などの書類を、いつ・どこへ送ってもらうか
- 制服や鍵などの貸与品を、どう返すか
- 私物を、どう受け取るか
効きにくい場面もあります。会社が話し合いに応じても条件で折り合わない場合、組合はそれ以上、本人の代わりに裁判で争うことはできません。また、会社が「組合とは話さない、本人と話す」と言い張る場合、それが正当な理由のない拒否に当たるかは、事情しだいで、すぐに結論が出るものではありません。
たとえば、有給が残っていて最終日までに使い切りたい人なら、組合に「有給を使い切った日を退職日にしたい」と伝えてもらう形が合います。一方、会社が有給の残り日数そのものを争っていて、記録の付け方からして食い違っている人は、話し合いでは平行線になりやすく、記録をそろえて弁護士に見てもらうほうが早いことがあります。有給の日数の数え方そのものは、組合ではなく会社の記録と就業規則で確かめる話なので、手元に控えを残しておいてください。
申し込む前に、話し合ってほしい中身を上の箇条のどれに当たるかで書き出しておくと、組合側も最初の連絡で何を申し入れればいいかが決まり、やり取りの回数が減ります。
労働組合では足りなくなる線

労働組合で足りなくなるのは、会社との間で「お金や責任をめぐる争い」が、話し合いの外に出たときです。具体的には、損害賠償を請求されたときの対応、未払いの賃金や慰謝料を法的に請求して回収すること、訴訟になったときの代理の3つで、ここは弁護士の領域とされています。
この線は、弁護士法72条がどこまでを弁護士に限っているかから来ています。法務省の資料は、72条の「その他一般の法律事件」に当たるには、法律上の権利や義務について争いや疑義がある「事件性」が要る、と言葉の意味を整理しています。ただしこの資料は、AIを使った契約書のサービスについて書かれたもので、退職代行を扱ったものではありません。同じ資料は、72条の解釈と適用は最終的には裁判所の判断に委ねられる、とも書いています。
ここから言えるのは、「争いのない話し合い」と「争いを法的に片づける仕事」の間に線がある、というところまでです。どの場面で線を越えるかを官公庁がはっきり示した資料は見つかっていないので、迷う場面では、越えているかもしれない側に倒して弁護士に相談するのが安全です。
- 会社から、金額を書いた損害賠償の書面が届いた
- 未払いの残業代や退職金を、辞めるときに取り返したい
- 会社が「訴える」と言っていて、すでに争いになっている
たとえば、口頭で「辞めたら損害賠償だ」と言われただけの段階なら、いつ・誰に・何と言われたかを記録して、労働組合の型で退職を進め、書面が届いた時点で弁護士に相談する、という順番も取れます。反対に、すでに金額の入った書面が届いている人が労働組合に頼むと、退職日の話し合いは進んでも、書面への対応は別に弁護士を探すことになり、二度手間になりがちです。
労働組合の型を選ぶなら、申し込む前に「途中で損害賠償の話が出たら、どうなるか」を必ず聞いてください。弁護士に引き継ぐ流れがあるのか、そこで契約が終わるのかで、途中で慌てるかどうかが変わります。弁護士が要る場面の詳しい線は 弁護士に頼むのはどんな時か、弁護士型の1社の例は 弁護士型の1社の対応範囲 で見られます。
違法では?非弁と言われたら
労働組合が組合員のために会社と交渉することは、労働組合法に根拠がある活動で、弁護士法72条のただし書きにある「他の法律に別段の定めがある場合」との関係で整理されます。そのため、労働組合の型の退職代行は、交渉ができる型として説明されています。
一方で、「労働組合を名乗れば何をしてもよい」わけではありません。弁護士法72条が弁護士に限っているのは、報酬を得る目的で、争いのある法律事件について代理や和解などを扱う仕事で、労働組合の団体交渉の範囲を超えて、本人の代わりに法的な請求や争いを引き受ければ、その部分は組合の権限の外に出ます。違法かどうかは「労働組合かどうか」だけでなく、「何をしたか」も見られる、と考えると整理しやすくなります。最終的な判断は裁判所に委ねられます。
民間の会社についても同じで、条文は退職代行を名指ししていないので、「民間の会社が交渉したら必ず違法」と言い切れる根拠は、条文からは見つかりません。民間の会社は意思を伝えるところまで、と整理されているのは、報酬を得て代理や和解などの法律事務を扱うことが弁護士以外に制限されていることからの解釈です。交渉が要りそうな人は、最初から交渉できる型を選ぶほうが、余計な疑いを招きません。
会社から「それは非弁行為だ」と言われた場合も、本人がすぐに何かを失うわけではありません。辞める申し入れそのものは本人ができる手続きなので、代行側の対応に疑いが出ても、退職の申し入れが無かったことになるわけではないからです。言われた内容と日時を記録し、代行側に「どの法律に基づいて、何をしているか」を説明してもらい、それでも話がこじれるなら弁護士に相談する、という順で動けば足ります。
たとえば、民間の会社に頼んだあと、会社から「有給の話は代行業者とはしない」と言われた人なら、その時点で、有給の話し合いを労働組合の型か弁護士の型に移すか、自分で人事にメールで伝えるかを選べます。退職を伝えたこと自体は残るので、最初からやり直す必要はありません。
使った会社に恨まれないか、と心配する人もいます。会社側がどう受け止めるかは代行の型では決まらないので、ここでは扱いません。ただ、話し合いで決めた退職日や書類の送り先を文字で残しておけば、あとから言った言わないの争いになりにくくなります。
申し込む前に確かめる組合の中身

労働組合の型を選ぶときに確かめたいのは、看板の名前ではなく、その組合が法律の言う労働組合として動いているか、交渉が要る場面で実際に何をしてくれるか、の2点です。名前に「ユニオン」や「労働組合」と付いていることだけでは、中身は分かりません。
労働組合法2条は、労働組合を「労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」と定めています。会社の利益を代表する立場の人の参加を許すもの、運営の経費について会社から経理上の援助を受けるもの(最小限の広さの事務所の供与などは除かれます)、共済などの福利事業だけを目的とするもの、主に政治運動や社会運動を目的とするものは、ここに入りません。個人で加入する組合についての公的な定義は見当たらないので、確かめられるのはこの要件の範囲までです。
もう1つ、労働組合法5条1項は、労働組合が労働委員会に証拠を出して、2条などの要件に合うことを立証しなければ、この法律に定める手続に参与する資格がなく、救済も受けられない、と定めています。この立証の手続きは資格審査と呼ばれます。気をつけたいのは、これが労働委員会での手続き(会社が不当に話し合いを拒んだときの救済の申し立てなど)の話で、団体交渉を申し入れる資格そのものの話ではないことです。「資格審査を受けていない組合は交渉できない」とは、条文からは言えません。
そのうえで、申し込む前に代行側に聞いておきたいのは、次のような項目です。答えを文字で受け取れるか、はっきり答えられないかも、判断の材料になります。
- 交渉は、組合のどの立場の人が、組合の名前で行うのか
- 組合への加入が要るか、加入の手続きと、加入金や組合費が料金に含まれるか
- 退職のあと、組合からいつ・どう抜けられるか
- 会社が話し合いを拒んだとき、組合として次に何をするのか
- 損害賠償の話が出たら、どこで契約が終わり、誰に引き継ぐのか
- 返金の条件と、払った料金に何が含まれるか
加入金や組合費の額は組合ごとに違い、比べられる公的な統計も無いので、このサイトでは相場を書いていません。加入したことが会社に伝わるかも、交渉の申し入れのしかたで変わるので、申し込む前にその組合に直接聞いてください。料金の型ごとの組み立ては 退職代行の費用はいくら? で整理しています。
- 1交渉する主体を聞く組合の名前で、誰が会社と話すか
- 2加入の条件を聞く加入の手続きと、料金に含まれるもの
- 3引き受けない端を聞く損害賠償や訴訟になったときの扱い
- 4答えを文字で残す返金の条件まで、メールなどで受け取る
たとえば、「労働組合が交渉するので安心」とだけ書かれ、加入の手続きにも、損害賠償の話が出たときの扱いにも触れていない申し込み画面なら、申し込む前に問い合わせて文字で答えをもらうのが先です。反対に、引き受けない場面を先に書いている組合は、少なくとも自分の範囲を把握していると読めます。どちらの場合も、このサイトがその組合の中身を保証するものではありません。
労働組合の型で足りる人
労働組合の型で足りるのは、会社と話し合ってほしいことがあり、しかもその中身が「辞めること」に付いてくる話にとどまっている人です。退職日を調整したい、有給を消化してから辞めたい、書類や貸与品のやり取りを任せたい、という人がこれに当たります。
民間の会社の型との差は、会社が「有給は認めない」「最終日はこちらで決める」と言ってきたときに出ます。伝えるだけの型だと、そこで話が止まり、本人が自分で会社とやり取りすることになりかねません。労働組合の型なら、団体交渉として話し合いに乗せられるので、話し合いが要りそうな人ほど、この差に意味が出ます。
- 会社と顔を合わせたくないが、損害賠償の話はされていない
- 退職日や有給について、会社と話し合う必要がありそう
- 未払いを法的に請求して回収するつもりはない
- 会社からの借入や、訴訟の話が残っていない
たとえば、上司に退職を切り出したら「繁忙期が終わるまでは辞めさせない」と言われ、有給も使わせてもらえそうにない人なら、交渉が要るのでこの型が合います。同じ状況でも、すでに未払いの残業代を取り返したいと考えている人は、未払いの回収まで見据えて弁護士の型を選ぶほうが、話が一本でつながります。
民間の会社が労働組合と連携する型を選ぶ場合は、交渉が要る場面で組合に加入して団体交渉として行う形になることと、料金にその組合の分が含まれるかを、先に確かめてください。この型の1社の対応範囲は 労働組合と連携する型の例、別の1社は 個別の社の対応範囲 で見られます。
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退職日や有給の話し合いが要り、損害賠償や未払いの請求までは考えていないなら、労働組合が交渉を担う型で足りることがあります。民間の会社が労働組合と連携する型の1つとして、料金に何が含まれるか(組合の加入金・組合費・返金の条件)と、交渉は組合に加入して団体交渉として行う形になることを、公式サイトで確かめてから申し込んでください。損害賠償を言われている・未払いを請求したいなら、弁護士に相談するのが先です。
使わなくていい場合
代行を使わず、自分で伝えて足りる人もいます。辞める申し入れは本人ができる手続きで、話し合いが要らないなら、労働組合の交渉の力を借りる場面がそもそもありません。
- 上司か人事に、メールでも電話でも連絡が取れる
- 退職日も有給の扱いも、会社と揉めそうにない
- 損害賠償や違約金の話をされていない
- 未払いの請求や、会社からの借入の話が残っていない
期間の定めのない雇用なら、代行を使っても使わなくても、申し入れた日から原則2週間で雇用が終わるという数え方は変わりません(民法627条1項)。代行に払うのは、自分で連絡する気の重さと、話し合いの手間を引き受けてもらう分で、辞められる日が早まるわけではありません。
たとえば、上司に直接言うのは気が重いけれど、人事にはメールが送れる人なら、退職日を書いたメールを送れば申し入れになります。送り方と文面は 退職をメールで伝えるとき、切り出し方そのものに迷っている人は 辞めたいと言い出せないとき で整理しています。
公務員の人は、この記事の話がそのままは当てはまりません。国家公務員法と地方公務員法は、一般の職員には労働組合法を適用しないと定めているので、民間の労働組合が当局と団体交渉をする仕組みは使えない、と整理されます。詳しくは 公務員の退職代行 で見てください。
払わずに済んだお金は、辞めたあとの生活費に回せます。辞めたあとに受け取れる失業保険の見込みは、失業保険の計算ツール に自分の条件を入れると出せます。
よくある質問
労働組合の退職代行は違法ではないのですか?
労働組合が組合員のために会社と交渉することは労働組合法に根拠があり、交渉できる型として説明されています。ただし、団体交渉の範囲を超えて、本人の代わりに損害賠償への対応や訴訟を引き受けることは、弁護士の領域とされます。違法かどうかは型の名前より、何をしたかで決まると考えてください。
民間の退職代行と何が違うのですか?
民間の会社は、本人の意思を伝えるところまでと整理されていて、交渉はできないとされます。労働組合は、退職日や有給の消化などを団体交渉として話し合えるとされます。会社が「有給は認めない」と言ってきたときに、話を続けられるかどうかが差になります。
労働組合に加入しないといけませんか?
労働組合が団体交渉として話し合う形をとる以上、組合員として交渉してもらう形になると考えられ、民間の会社が組合と連携する型でも、交渉が要る場面では組合に加入して行う形になります。加入金や組合費が料金に含まれるか、退職のあとどう抜けるかは組合ごとに違うので、申し込む前に文字で確かめてください。
有給の消化や退職日は、必ず希望どおりになりますか?
保証はされません。会社は正当な理由なく団体交渉を拒めませんが、話し合いの結果まで決まっているわけではありません。有給の残りの日数や記録を手元にそろえておくと、話し合いが具体的になります。
「損害賠償を請求する」と言われていても、労働組合で大丈夫ですか?
口頭で言われただけなら、記録を残して労働組合の型で進め、書面が届いた時点で弁護士に相談する順番も取れます。金額を書いた書面がすでに届いているなら、その対応は弁護士の領域とされるので、最初から弁護士の型を選ぶほうが二度手間になりません。
公務員でも労働組合の退職代行は使えますか?
国家公務員法と地方公務員法は、一般の職員には労働組合法を適用しないと定めているので、民間の労働組合が団体交渉をする仕組みは使えないと整理されます。職員の範囲には例外もあり得るので、公務員の退職代行 で確かめてください。
退職代行を使うと、会社に恨まれますか?
会社側の受け止め方は代行の型では決まらず、このサイトでは確かめようがありません。決めた退職日や書類の送り先を文字で残しておけば、あとから言った言わないで揉めることは減らせます。
数字だけ、もう一度
- 交渉できる根拠:団体交渉の権利は憲法28条が保障し、労働組合法6条が組合に交渉の権限を与え、労働組合法7条2号は正当な理由のない団体交渉の拒否を不当労働行為としている。条文は退職や有給を名指ししていない
- 型の違い:民間の会社は意思を伝えるまで、労働組合は退職日・有給・未払い賃金などを団体交渉として話し合えて、訴訟の代理はできない、と整理されている。損害賠償への対応と訴訟の代理は弁護士の領域とされる
- 弁護士法72条:報酬を得る目的で、法律事件について代理や和解などの法律事務を扱うことを業とすることを弁護士以外に禁じる。ただし他の法律に別段の定めがある場合は別。退職代行は名指ししていない
- 組合の要件:労働組合法2条の「労働者が主体となつて自主的に」組織する団体であること。労働組合法5条1項の立証は労働委員会の手続に参与するためのもので、団体交渉を申し入れる資格の話ではない
- 退職日:期間の定めのない雇用なら、申し入れから原則2週間で雇用が終わる(民法627条1項)。代行を使っても数え方は同じ
- 公務員:一般の職員には労働組合法が適用されない(国家公務員法・地方公務員法)
労働組合の退職代行を選ぶかどうかは、組合の名前や料金より先に、自分が頼みたいことが「伝える」「話し合う」「争う」のどこまで及ぶかで決まります。話し合いまでなら労働組合の型が力を発揮し、争いが入っていれば弁護士、話し合いも要らなければ自分で伝えれば足ります。申し込む前に、頼みたいことを書き出し、組合に聞く項目の答えを文字で受け取っておけば、途中で型が合わなくなっても、次に誰へ相談すればいいかで迷わずに済みます。

