- 公務員でも、退職代行って使えるの?
- 民間の会社がやっている安い代行でも、公務員の退職に足りる?
- 公務員は弁護士の代行しか使えないって聞いたけど、本当?
- もう職場に行けない。今日、明日で辞めることはできる?
- 辞めたいと出しても、承認してもらえなかったらどうなる?
- 国家公務員と地方公務員で、辞め方は違うの?教員や警察、消防は?
- 辞め方しだいで、処分を受けたりしない?
- そもそも、誰に、どうやって伝えればいいのか分からない
上記のような悩みに答えます。
公務員の退職は、会社員の退職と同じ感覚で考えると、つまずきやすい手続きです。会社員なら「申し入れから2週間」という話がよく出てきますが、国家公務員の辞職は、本人が書面で辞職を申し出て、任命権者がそれを承認するという別の仕組みで動いています(地方公務員は自分の自治体の規則・規程で決まります)。検索で上位に出るのは、公務員向けをうたう代行の紹介ページや、法律事務所が自分の事務所を案内するページが中心で、「弁護士でなければだめ」で話が終わり、自分の場合に弁護士まで要るのか、自分で書面を出せば済むのかを条件で切った説明は、ほとんど見当たりません。そこで、公務員の辞め方が民間とどう違うか、代行の型ごとに何が当てはまらないか、という基本を押さえたうえで、国家・地方・職種ごとに確かめる先、承認が出ないときの動き方、弁護士まで要る人と代行を使わなくていい人の線まで、国家公務員法・人事院規則・地方公務員法・弁護士法の条文で確かめながら整理しました。代行の会社や事務所の名前を並べたり、順位を付けたりはしていません。この記事に広告の枠はありません。
公務員でも、辞める意思を伝えることを代行に頼むこと自体はできます。ただ、国家公務員の辞職は書面での申出と任命権者の承認で進み(地方公務員は自治体の規則で確かめます)、労働組合法は国家公務員と地方公務員(一般の職員)には適用されないので、労働組合が団体交渉できるという代行の強みは公務員には当てはまりません。辞職の日や承認をめぐって話し合いが要る、処分や損害の話をされている、という人は弁護士に相談します。自分で書面を出せる人なら、代行は使わなくて足ります。
この記事の数字と条文は2026年10月時点のものです(公務員に関する条文は2026年10月9日、弁護士法72条は2026年10月7日、民法627条と労働組合法7条2号は2026年9月21日にe-Gov法令検索で確認)。
公務員も退職代行は使える?民間と違う辞め方

公務員でも、辞めたいという意思を代わりに伝えてもらうことは禁じられていません。ただし、伝えてもらったその時点で辞職が決まるわけではなく、国家公務員なら、本人の書面での申出と、任命権者の承認という手順を通ります(地方公務員は自治体の規則で確かめます)。代行が使えるかどうかより先に、この手順の違いを知っておくと、何を頼めば足りるのかが見えてきます。
国家公務員(一般職)の場合、退職を誰が行うかは国家公務員法61条が決めています。
職員の休職、復職、退職及び免職は任命権者が、この法律及び人事院規則に従い、これを行う。
そのうえで、辞職の申出の扱いは人事院規則8-12(職員の任免)第51条に書かれています。2026年10月時点でe-Gov法令検索に載っている条文は次のとおりです。
任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、特に支障のない限り、これを承認するものとする。
2つの条文を合わせて読むと、国家公務員の辞職は「本人が書面で申し出る」「任命権者が承認する」の2段で進む形になっています。承認は「特に支障のない限り」するものとされているので、承認しないことが原則なのではなく、承認するのが前提の書き方です。一方で、本人が申し出た瞬間に辞職が完了するとは書かれていません。
国家公務員法61条は、退職を任命権者が法律と人事院規則に従って行うと定めています。そのうえで人事院規則8-12第51条が、辞職の申出を書面で受け、任命権者が承認する形を決めている、という並びです。会社員の退職でよく言われる「申し入れから2週間」は、民間の雇用契約について説明される考え方で、国家公務員の辞職は書面での申出と承認という、別の手続きで考えます(地方公務員は自治体の規則で確かめます)。会社員の場合の数え方と根拠の条文(民法627条・e-Gov法令検索)は、退職は何日前に言う? にまとめています。
- 1書面で申し出る辞職したいことを書面で任命権者に出す
- 2承認を待つ特に支障のない限り承認するものとされる
- 3退職日を確かめる退職の日付と書類の受け取り方を人事担当に聞く
たとえば、霞が関の本省で働く国家公務員の人が、上司と顔を合わせずに辞めたいと考えた場合、条文が書いているのは「書面をもって辞職の申出があったとき」の扱いです。口頭で上司に言うことは、条文の手順には入っていません。条文は「書面をもって」とだけ書いていて、決まった様式や書く項目までは書いていないので、所属に辞職の申出の様式があるかどうかは、人事担当に確かめます。
代行を考えている人は、まず「自分に代わって何をしてほしいのか」を書き出してください。辞職の申出は本人の名前で出すものなので、代行に頼めるのは、意思を伝えることや、書面の出し方・退職日について職場とやりとりすることです。どこまで頼みたいかによって、足りる型が変わります。
退職代行の型で、公務員は何が違うか
公務員の退職では、民間の会社の代行は意思を伝えるところまで、労働組合の代行は団体交渉という強みが当てはまらない、弁護士は代理や交渉まで引き受けられる、と整理されます。会社員なら選択肢になる労働組合の型が、公務員では強みを失うのが一番の違いです。
代行の型の違いの元になっているのは、弁護士法72条です。条文は、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、法律事件に関して「代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務」を扱うことを業とすることを制限しています。条文は退職代行を名指ししていません。そこから、民間の会社は本人の使者として意思を伝えるところまで、弁護士は交渉や代理まで、と整理されています(弁護士法72条(e-Gov法令検索))。民間の会社が職場と話した瞬間に必ず違法になる、という条文ではありませんが、話し合いが要りそうなら、最初から話し合いを引き受けられる型を考えるほうが安全です。
会社員の退職で労働組合の代行に強みがあるのは、労働組合法にもとづいて団体交渉ができ、会社が正当な理由なく団体交渉を断れないからです(労働組合法7条2号)。ところが、国家公務員と地方公務員(一般の職員)にはこの労働組合法が適用されません。国家公務員法附則第6条は、労働組合法、労働基準法などを「職員には適用しない」と定め、地方公務員法58条1項は、労働組合法、労働関係調整法、最低賃金法を「職員に関して適用しない」と定めています。
出典:国家公務員法(附則第6条・e-Gov法令検索)/地方公務員法58条(e-Gov法令検索)
国家公務員には、登録された職員団体が当局と交渉する仕組みがあります(国家公務員法108条の2・108条の5)。ただ、その交渉は「団体協約を締結する権利を含まないものとする」と定められていて(108条の5第2項)、民間の労働組合法とは別の仕組みです。
このため、退職代行を名乗る民間の労働組合が、公務員の職場に団体交渉を申し入れて退職日を話し合う、という会社員向けの説明は、公務員にはそのまま当てはまらないと整理されます。労働組合の代行が会社員の退職で何をしてくれるかは、労働組合の退職代行 にまとめています。
| 型 | 公務員の退職で頼めること(整理) | 当てはまらないこと |
|---|---|---|
| 民間の会社 | 本人に代わって辞めたい意思を伝える | 退職日などの話し合いは引き受けられないとされる |
| 労働組合 | 意思を伝える | 労働組合法が職員に適用されないため、団体交渉の強みは使えないと整理される |
| 弁護士 | 意思を伝える・代理人として話し合う・処分や損害の話に対応する | 承認するかを決めるのは任命権者で、弁護士が決められるわけではない |
注意したいのは、適用しないとされるのは各法律の「職員」だという点です。特別職の人や、地方の公営企業で働く人など、別の法律の扱いになりうる人がいて、このサイトではそこまで確かめていません。自分がどの法律の「職員」に当たるかが分からない人は、採用時の辞令や人事担当で確かめてください。
たとえば、市役所の窓口で働く地方公務員の人が、会社員向けに作られた労働組合の代行に申し込んだとします。組合が「団体交渉として退職日を話し合う」と案内していても、その根拠になる労働組合法は職員には適用されないので、会社員と同じ形で話し合いが進むとは限りません。結局、意思を伝えるだけの役割になるなら、民間の会社の代行と頼めることは変わらず、料金の差だけが残ることがあります。
型を選ぶときは、「意思を伝えるだけでいいのか」「職場と話し合ってほしいことがあるのか」を先に分けてください。伝えるだけなら、代行を使わずに書面を出す道もあります。話し合いが要るなら、公務員の場合は弁護士が現実的な選択肢になります。
国家・地方・職種で確かめる先が変わる

辞職の手続きの根拠は、国家公務員か地方公務員かで置き場所が違います。国家公務員(一般職)は人事院規則に辞職の申出の条文があり、地方公務員は自治体ごとの規則や規程で決まります。教員・警察・消防などは、任命権者が誰かも職種で変わるので、「どこに書いてあるか」と「誰に聞くか」を先に押さえます。
地方公務員法には、「辞職」という語が出てきません。地方公務員法6条は、任命権者が「この法律並びにこれに基づく条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い」、職員の任命や免職などを行うと定めています。そのため、地方公務員の辞職の申出の出し方や、承認から退職日までの流れは、自分の自治体の規則・規程で確かめることになります。6条には、任命権者として、地方公共団体の長、議会の議長、教育委員会、人事委員会、警視総監、道府県警察本部長、市町村の消防長などの名前が並んでいます。
下の表は、辞職の根拠を「どこで確かめるか」をまとめたものです。職種ごとの特別な決まりがあるかどうかは、このサイトでは確かめていないので、表に条文や日数は入れていません。職種によって根拠となる規則が違うことがある、という前提で使ってください。
| 区分 | 辞職の根拠を探す場所 | 聞く相手 |
|---|---|---|
| 国家公務員(一般職) | 人事院規則8-12第51条(書面での申出と承認)と、所属の定め | 所属の人事担当 |
| 地方公務員(市区町村・都道府県の一般の職員) | 自分の自治体の規則・規程(地方公務員法6条で任命権者が従うもの) | 所属の人事担当(任用・服務の係) |
| 公立学校の教員 | 任命権者(教育委員会など)が定める規則・規程 | 学校の事務担当、教育委員会の担当 |
| 警察 | 任命権者(警視総監・道府県警察本部長など)の定め | 所属の警務・人事の担当 |
| 消防 | 任命権者(市町村の消防長など)の定め | 所属の総務・人事の担当 |
| 自衛隊などそのほかの職種 | このサイトでは根拠を確かめていない | 所属の人事担当 |
聞くときに知りたいのは3つです。辞職の申出に決まった様式があるか、書面をどこに出せばよいか(郵送でもよいか)、申出から承認、退職日まで、どんな流れで進むか。この3つが分かれば、自分で出すか、代行や弁護士に頼むかを決められます。職場の人に直接聞きにくい人は、自治体の例規集(規則を載せた公式のページ)で「辞職」と検索すると、該当する規則が見つかることがあります。
たとえば、県立高校の教員の人なら、辞職の申出の扱いは、勤務先の学校ではなく任命権者の側の規則で決まっていることがあります。校長に口頭で伝えるだけで済むと思い込まず、学校の事務担当に「辞職の申出の様式と、出す先」を聞いておくと、出したのに受け取られていなかった、という行き違いを防げます。
国家公務員(一般職)は、人事院規則8-12第51条で、書面での申出と任命権者の承認という骨組みが確かめられています。地方公務員は、地方公務員法に「辞職」の語がなく、申出の形も承認の流れも自分の自治体の規則・規程で決まるので、このサイトでは確かめていません。代行に申し込む前に、自分の根拠が何で、誰が承認するのかだけは押さえておいてください。そこが分からないまま頼むと、代行側も手探りになります。
即日にならない理由と、承認が出ないとき
公務員の辞職は、書面で申し出たその日に完了する、とは言えません。国家公務員の辞職は任命権者の承認を経て決まる仕組みで、地方公務員も自治体の規則で流れが決まるので、いつ辞められるかは、承認がいつ出て、退職日がいつになるかで決まります。承認が出るまでの日数を定めた条文は、このサイトでは確かめられていません。
代行に頼んでも、弁護士に頼んでも、この仕組みは変わりません。代行や弁護士ができるのは、本人に代わって意思を伝えることや、退職日について職場と話すことで、承認するかどうか、いつ承認するかを決めるのは任命権者です。「即日退職」をうたう案内を見かけても、それが「依頼した日に職場へ連絡する」という意味なのか、「その日に辞職が完了する」という意味なのかは、分けて読んでください。
承認が出ないとき、あるいは引き延ばされていると感じるときは、次の順で動きます。
- 辞職の申出をいつ、誰に、どんな形で出したかを記録する(控えを取る、郵送なら記録が残る方法で送る)
- 承認がまだ出ていない理由と、見込みを人事担当に聞き、答えを文字で受け取る
- 「後任が決まるまで」など、条文にない理由を言われたら、その言葉と日付をメモする
- 処分や損害の話が出た、話し合いが進まない、という段階で弁護士に相談する
承認は「特に支障のない限り」するものとされているので、承認しないことが原則ではありません。ただ、何が「支障」に当たるかは、この条文には書かれていません。このサイトでは、支障の中身を確かめていません。自分の場合に何が支障とされているのかは、人事担当に理由を聞いて確かめ、納得できないときに弁護士へ相談する、という順番になります。
たとえば、年度の途中で辞職の申出を出した人が、上司から「年度末まで待ってほしい」と言われたとします。これがお願いなのか、承認しないという意味なのかで、取るべき動きは変わります。お願いなら、自分の希望する退職日を書面に書いたうえで、話し合う余地があります。承認しないという意味なら、その理由を人事担当に確かめ、記録を残して、弁護士に相談する段階です。
承認を待つ間、職場に行けない状態が続くなら、出勤しない日をどう扱うか(年次休暇を使えるか、病気休暇に当たるか)は、所属の規則と、残っている休暇によって変わります。無断で休む形にしないために、休むなら休むと、書面かメールで連絡だけは入れておいてください。体調が理由なら、主治医の診断書を取っておくと、休暇の手続きで役に立つことがあります。
処分の話・病気休暇中・採用直後のとき
状況によっては、書面を出すだけでは済まず、先に専門家に相談したほうがよい場面があります。特に、懲戒などの処分の話が出ているときは、辞職の申出がどう扱われるかを、このサイトでは条文で確かめられていません。自分で判断せず、弁護士に相談する場面です。
処分の話が絡むと迷いやすいのは、辞職の申出と、処分の手続きが、同じ職場の中で並んで進みうるからです。「処分が決まる前に辞めれば済む」「辞めたら処分はなくなる」といった話は、この手の相談でよく出てきますが、条文で裏付けられる話としてこのサイトが確かめたものはありません。処分の可能性を言われている人ほど、代行で意思を伝えるだけの形にせず、事情を整理して弁護士に相談してください。
- 処分の話が出ている:言われた日時・相手・内容を記録し、届いた書面を持って弁護士に相談する
- 病気休暇中・休職中:書面を郵送で出せるか、休暇中の辞職の申出の扱いを人事担当に確かめる
- 採用されて間もない:辞職の申出の出し方は、ほかの職員と同じ規則で決まっているかを人事担当に確かめる
- 自分が一般職かどうか分からない:採用時の辞令と、所属の人事担当で確かめる
病気休暇や休職で職場に出られない人は、書面を出しに行くこと自体が負担になります。書面を郵送で受け付けてもらえるか、様式を郵送かメールで送ってもらえるかを、電話か文書で一度だけ聞けば、出向かずに済む道が見えることがあります。家族に頼んで問い合わせてもらうこともできますが、申出の書面そのものは本人の名前で出すものです。
たとえば、パワハラが原因で休職中の地方公務員の人が、職場と一切やりとりしたくないと考えた場合、まず確かめたいのは「郵送で辞職の申出を出せるか」です。出せるなら、代行を通さなくても、書面を送るところまでは自分でできます。そのうえで、パワハラについて職場に何か求めたい、休職中の扱いで揉めている、という事情があるなら、それは意思を伝えるだけの話ではないので、弁護士の領分になります。
自分の状況がどれに当たるか迷ったら、「辞める意思を伝えるだけで済むか」「職場との間に、ほかに片づけたい話があるか」の2つで考えてください。前者だけなら書面で足り、後者があるなら弁護士に相談する場面です。
弁護士まで要る人、自分で伝えられる人
弁護士まで要るのは、辞める意思を伝える以外に、職場と話し合いが必要な事情がある人です。処分や損害の話をされている、承認が出ず退職日をめぐって話し合いが要る、職場に何かを求めたい、のどれかに当てはまるなら、弁護士に相談する場面です。どれにも当てはまらないなら、自分で書面を出すことを先に考えてください。
公務員の場合に弁護士が現実的になりやすいのは、上で見たように、労働組合の代行が持つ団体交渉の強みが当てはまらないからです。会社員なら、話し合いの一部を労働組合に任せる選択肢がありますが、公務員では、職場と話し合う必要が出た時点で、弁護士が現実的な選択肢になります。会社員の場合も含めた弁護士の代行が要る目安は、弁護士の退職代行が要るのはどんな時? にまとめています。
- 辞める意思を伝えるだけでいい
- 書面の出し方を人事担当に聞ける
- 職場に求めたいことが特にない
- 処分や損害の話をされている
- 承認が出ず退職日をめぐって話し合いが要る
- 職場に何かを求めたい事情がある
費用は、公務員向けの額をこのサイトでは確かめていません。弁護士の退職代行の料金の組み立ては事務所によって違います。型ごとの料金の幅は 退職代行の費用はいくら? で見られます。弁護士型の1つの事務所を詳しく見た例は 弁護士法人の退職代行を詳しく見た記事 にあります。公務員の退職を扱っているか、扱うなら総額がいくらになるかは、相談のときに必ず確かめてください。
弁護士に相談するときに持っていくものと、聞くことは次のとおりです。
- 持っていくもの:採用時の辞令や身分が分かるもの、辞職の申出の控え(出していれば)、職場から言われたことの記録、届いた書面
- 聞くこと:公務員の辞職を扱った経験があるか、自分の場合に何を代理してもらえるか、総額はいくらか、退職日の見込みをどう考えるか
たとえば、辞めたいと伝えたら上司から「辞めるなら処分も検討する」と言われた国家公務員の人なら、言われた日時と内容のメモを持って、弁護士に「処分の可能性があるなかで辞職の申出をどう出すか」を相談します。一方、上司に言い出しにくいだけで、職場と揉めている事情がない人なら、弁護士に払う前に、人事担当に書面の出し方を聞くところから始められます。
迷うときは、職場に伝えたい内容を書き出してみてください。「辞めます」と「退職日はこの日を希望します」だけで書き終わるなら、自分で出せる側です。それ以外に、言い返したいこと、求めたいことが書き出されるなら、それが弁護士に任せる部分です。
退職代行に申し込む前に確かめること

代行や弁護士に申し込む前に、辞職の申出の出し方、退職の書類の受け取り方、職場に返すもの、辞めたあとの手続きの問い合わせ先、の4つを確かめておきます。これを決めずに頼むと、代行側が職場とやりとりする中で、本人に確認の連絡が何度も戻ってくることがあります。
公務員の退職では、民間の会社員とは違う書類や手続きが関わることがあります。退職手当や共済組合の手続きがその例で、これらの金額や条件は、このサイトでは確かめていません。どれも辞職が承認されたあとに人事担当や共済組合の窓口で進む話なので、代行に頼む前に「誰に聞けばよいか」だけ確かめておけば十分です。
- 1申出の出し方様式・出す先・郵送でよいか
- 2書類の受け取り方退職の書類を郵送してもらえるか
- 3返すもの身分証・鍵・貸与された端末
- 4辞めたあとの窓口退職手当・共済・保険の問い合わせ先
- 申出の出し方:様式の有無、出す先、郵送でよいか
- 書類の受け取り方:退職に関する書類を郵送で受け取れるか、送り先の住所
- 返すもの:職員証などの身分証、鍵、貸与されたパソコンや携帯電話、制服など
- 辞めたあとの窓口:退職手当、共済組合、健康保険や年金の切り替えをどこに聞くか
返すものは、出勤せずに辞める人ほど早めに数えておきます。身分証や鍵は、郵送で返してよいか、返す先はどこかを確かめ、送るときは記録が残る方法を選びます。私物が職場に残っている人は、送り返してもらえるかも一緒に聞いておくと、あとで取りに行かずに済みます。
家族への連絡も、先に決めておくと安心です。職場から家族に連絡がいくことを避けたいなら、連絡先は本人あてにしてほしいと、申出の書面か、代行・弁護士を通じて伝えておきます。職場が家族に連絡するかどうかをこちらで決めることはできませんが、本人に連絡がつく状態にしておけば、その必要は減ります。
たとえば、市の水道局で働いていて、出勤せずに辞めたい人なら、まず「自分の勤め先で適用される法律が、一般の職員と同じか」を確かめる必要があります。地方の公営企業で働く人は別の法律の扱いになりうる、とされているからです。そのうえで、申出の書面、身分証の返し方、書類の送り先の3つを決めてから、自分で出すか、弁護士に頼むかを選びます。
使わなくていい場合
退職代行を使わず、自分で書面を出して足りるのは次の人です。国家公務員の辞職は、本人が書面で申し出るのが出発点で、地方公務員は自治体の規則を確かめたうえで、条件がそろっていれば、代行にも弁護士にも費用はかかりません。
- 辞職の申出の様式と出す先を、人事担当に聞ける(電話・メール・郵便のどれかで)
- 所属が決めた形で書面を出せる(郵送でよいかは人事担当に確かめる)
- 処分や損害の話をされていない
- 退職日について、職場と話し合う必要がない、または自分で話し合える
代行に頼んでも、国家公務員なら本人の書面での申出と任命権者の承認という手順は変わりません。代行が肩代わりできるのは、職場に連絡する手間と、その場の気まずさです。その手間を自分で負える条件がそろっているなら、料金を払う理由はほとんど残りません。言い出せないときの伝え方は 辞めたいと言い出せないとき、書面の書き方の基本は 退職届の書き方 にまとめています。退職届の記事は会社員向けなので、様式は所属で決まっているものを優先してください。
たとえば、上司と話すのは気が重いけれど、人事担当にはメールを送れる人なら、メールで様式と出す先を聞き、郵送でよいかも確かめたうえで書面を出す、という進め方ができるかもしれません。上司への報告を先にすべきか迷う人も多いですが、人事院規則8-12第51条の文言に上司への口頭の報告は書かれていません。所属に決まりがあるかは人事担当に聞いてください。
自分で出せるか迷ったら、上の4つのうち、崩れているものを数えてください。1つも崩れていなければ、払わずに済むお金です。辞めたあとの生活費の見通しを立てるときは、公務員の退職後の給付がどうなるかを、このサイトでは確かめていない点に注意してください。失業保険の計算ツール は民間の雇用保険の計算なので、民間の会社に転職したあと、次の退職を考えるときに使ってください。
次に読むもの
会社員の場合の型の違いや弁護士が要る目安を知りたい人は 弁護士の退職代行が要るのはどんな時? へ。労働組合の代行が会社員の退職で何をしてくれるかは 労働組合の退職代行 へ。料金の幅を型ごとに見たい人は 退職代行の費用はいくら? へ。自分で伝えるかどうかを決めたい人は 辞めたいと言い出せないとき へ進んでください。
よくある質問
公務員は退職代行を使えますか?
辞める意思を伝えることを代行に頼むこと自体はできます。ただ、国家公務員の辞職は本人の書面での申出と任命権者の承認で進み、地方公務員は自治体の規則・規程で手続きが決まるので、代行に連絡してもらっただけで辞職が決まるわけではありません。話し合いが要る事情があるなら、代理人として動ける弁護士に相談してください。
公務員の退職は、誰に言えばいいですか?
国家公務員の場合、辞職の申出を受けて承認するのは任命権者です。地方公務員は、申出の出し方が自治体の規則・規程で決まります。実際の窓口は所属の人事担当になることが多いので、まず人事担当に、申出の様式と出す先を聞いてください。上司に先に伝えるかどうかは、人事院規則8-12第51条の文言には書かれていないので、所属の決まりを人事担当に聞いてください。
公務員は即日退職できますか?
書面で申し出たその日に辞職が完了する、とは言えません。国家公務員の辞職は任命権者の承認を経て決まり(地方公務員は自治体の規則で決まります)、承認までの日数を定めた条文は、このサイトでは確かめられていません。「即日」をうたう代行の案内は、職場への連絡がその日という意味なのかを確かめてください。
民間の会社の退職代行でも足りますか?
辞める意思を伝えてもらうだけなら、民間の会社の代行でも頼めることは変わりません。ただ、退職日などの話し合いは民間の会社は引き受けられないとされ、労働組合の代行も、労働組合法が職員に適用されないため団体交渉の強みは使えないと整理されます。話し合いが要るなら弁護士です。
公務員が弁護士に頼むと、費用はいくらかかりますか?
公務員向けの額は、このサイトでは確かめていません。弁護士の退職代行の料金の組み立ては事務所によって違い、型ごとの料金の幅は費用の記事で見られます。公務員の退職を扱っているかと、自分の場合の総額は、相談のときに文字で受け取ってください。
教員や警察官、消防士でも同じですか?
辞職の根拠となる規則は、職種や任命権者によって違うことがあります。地方公務員法6条には、教育委員会、警視総監、道府県警察本部長、市町村の消防長などが任命権者として挙げられています。職種ごとの特別な決まりは、このサイトでは確かめていないので、所属の人事担当で確かめてください。
辞職の申出を承認してもらえないと、どうなりますか?
国家公務員の場合、任命権者は書面で辞職の申出があったとき、特に支障のない限り承認するものとされています。地方公務員は自治体の規則・規程で扱いが決まるので、自分の自治体の人事担当で確かめてください。何が支障に当たるかは条文に書かれていないので、承認が出ない理由を人事担当に聞き、答えを記録してください。処分や損害の話が出ている、話し合いが進まないときは、弁護士に相談します。
数字だけ、もう一度
- 辞め方の違い:国家公務員の退職は任命権者が行う(国家公務員法61条)。辞職は書面での申出があれば、特に支障のない限り承認するものとされる(人事院規則8-12第51条・2026年10月時点でe-Gov法令検索に載っている条文)
- 代行の型:報酬を得て代理や和解などの法律事務を扱うことは弁護士以外に制限されている(弁護士法72条・退職代行を名指しはしていない)。会社員の労働組合の強みは労働組合法7条2号の団体交渉
- 労働組合法の適用:国家公務員は附則第6条、地方公務員は地方公務員法58条1項で、職員には適用しない。国家公務員の職員団体の交渉は団体協約を締結する権利を含まない(108条の5第2項)
- 地方公務員:地方公務員法に「辞職」の語は無く、任命権者は条例・規則・規程に従う(6条)=自分の自治体の規則で確かめる
- 即日:申出の日に完了するとは言えない。承認までの日数の条文は確かめられていない
- 弁護士の費用:公務員向けの額は確かめていない。相談のときに総額を文字で受け取る
- 使わなくていい場合:様式と出す先を聞ける・書面を出せる・処分や損害の話がない・話し合いが要らない、の4つがそろえば費用はかからない
公務員の退職代行で迷ったときに先に見るべきなのは、どの代行が良いかではなく、自分が職場に伝えたいことが「辞めます」だけで終わるかどうかです。終わるなら、人事担当に様式と出す先を聞いて書面を出すのが、いちばん確実で、費用もかからない道です。終わらないなら、労働組合の型では強みが届かないので、記録をそろえて弁護士に相談します。どちらの道でも、手続きの骨組みは自分の根拠の規則で決まるので、まず自分の根拠の規則と、承認する人を確かめるところから始めてください。

