- 再就職手当をもらえる条件は、結局いくつあるの?
- 残り日数3分の1以上って、いつの時点で数えるの?
- 辞める前から内定をもらっていたら、もうアウト?
- 給付制限のあいだに自分で応募した会社に決まったら?
- 契約社員や派遣でも、再就職手当は出る?
- 前の会社の関連会社に入るのはだめ?
- もらえないと分かったら、失業手当を最後まで受けたほうがいい?
- 申請を忘れそうで怖い。いつまでに何をすればいい?
上記のような悩みに答えます。
再就職手当は、失業保険(基本手当)の日数を残して安定した仕事に就いた人が、残りの一部をまとめて受け取れる手当です。条件はハローワークの案内に8つ並んでいますが、どれも「いつ就職したか」「いつ内定したか」「誰の紹介か」という日付と順番の話なので、一覧を読んだだけでは自分がどれに引っかかるのかが見えにくい制度です。上位に並ぶ人材会社の記事は条件を並べたあと早めの転職を勧め、AI要約も一覧までで止まり、内定日や就職日を自分の予定に当てはめて対象か外れるかを決める見方や、外れたときに失業手当を受け続ける道まではほとんど書きません。そこで、8つの条件と残り日数の数え方、内定・待期・給付制限の順番を押さえたうえで、条件ごとの外れ方の逆引きと、もらえないと分かったときの次の手まで、雇用保険法・施行規則の条文とハローワークの案内で確かめながら整理しました。
再就職手当は、待期7日が終わってから就職し、就職日の前日の時点で支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っているなど、ハローワークの案内にある8つの条件をすべて満たした人が受け取れます。申請は就職日の翌日から1か月以内です。
2026年10月時点の制度で確かめています
自分の基本手当日額と所定給付日数をまだ知らない人は、先に 失業保険の計算ツール で出しておくと、下の条件をそのまま自分の数字で当てはめられます。
8つの条件をすべて満たした人が対象

再就職手当を受け取れるのは、ハローワークの案内に並ぶ8つの条件を、ひとつ残らず満たした人です。7つ満たしていても、1つ欠ければ対象になりません。
条件が8つに分かれているのは、法律が対象者の枠(受給資格者・残日数)を決め、施行規則が就職の仕方の基準を決めているためです。法律(雇用保険法56条の3)は、対象を「安定した職業に就いた受給資格者」で、就職日の前日の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある人としています。そのうえで、待期のあとの就職か、前の会社に戻っていないか、といった細かい基準を施行規則が決め、ハローワークの案内がそれを8つにまとめています。
| # | 条件(ハローワークの案内の言い方を要約) | 主に見られること |
|---|---|---|
| ① | 受給手続き後、待期7日が終わってから就職・事業を開始した | 就職日がいつか |
| ② | 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある | 残り日数 |
| ③ | 前の会社に再び就職したのではない。前の会社と資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがない会社への就職 | 就職先 |
| ④ | 給付制限がある人は、待期満了後1か月の間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職 | 就職の経路 |
| ⑤ | 1年を超えて勤めることが確実 | 雇用の期間 |
| ⑥ | 原則として、雇用保険の被保険者になる | 雇用保険の加入 |
| ⑦ | 過去3年以内の就職で、再就職手当又は常用就職支度手当を受けていない(事業開始の再就職手当も含む) | 過去の受給 |
| ⑧ | 受給資格決定(求職申込み)の前から内定していた会社に雇われたのではない | 内定の時期 |
8つを眺めると、本人の努力で変えられるものと、変えられないものに分かれます。①②④は就職日や応募の仕方しだいで結果が変わります。⑧は内定した時点で決まるので、求職の申込み前に内定していればあとから変えられません。③⑤⑥は就職先と雇用契約の中身で決まり、⑦は過去の事実なので今から動かせません。
たとえば、30代で自己都合で辞め、待期満了後1か月のうちに知人の紹介で前の会社の取引先に入社する人は、③(取引面で密接な関わり)と④(紹介の経路)の2つで引っかかる可能性があります。同じ人が待期満了後1か月が過ぎてから入社する会社を求人サイトで探して決めたなら、④の心配は消え、残るのは③だけです。条件は一つずつ独立しているので、自分の予定を8行それぞれに当てはめていくのが確実です。
もうひとつ押さえておきたいのは、再就職手当の対象が基本手当の受給資格者だという点です。高年齢求職者給付金を受ける人は、原則として再就職手当の対象になりません。
迷ったときの軸は、8つを「日付で決まる4つ」「就職先で決まる3つ」「過去で決まる1つ」に分けて見ることです。日付で決まる4つのうち①②④は、内定の返事や入社日を決める前なら、まだ手の打ちようがあります。
残り3分の1は就職日の前日で数える
支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるかは、就職日の前日の時点で数えます。内定の日でも申請の日でもありません。
前日で数えるのは、法律が「当該職業に就いた日の前日における基本手当の支給残日数」と定めているからです。ハローワークの案内は、前日までの失業の認定を受けたうえで数える、としています。
- 数える日:就職日の前日
- 数える前にやること:前日までの失業の認定を受ける
- 基準になる日数:自分の所定給付日数(90日・120日・150日など、離職理由と雇用保険に入っていた期間で決まる)
- 対象になる線:所定給付日数の3分の1以上残っていること
- 給付制限や待期のあいだ:基本手当が出ないので、残り日数は減らない
たとえば所定給付日数が90日の人なら、就職日の前日の時点で30日以上残っていることが条件です。ハローワークの案内にも、所定給付日数90日の人が給付制限のあいだに就職した例があり、この場合は1日も基本手当を受けていないので、支給残日数は90日のまま数えます。
反対に、同じ90日の人が基本手当を70日分受け取ってから就職すると、残りは20日です。30日に届かないので、他の7つの条件を満たしていても再就職手当の対象にはなりません。
ここで取り違えやすいのが、「3分の1以下ならもらえない」の境目そのものです。3分の1ちょうど残っていれば対象で、それを1日でも下回ると外れます。境目の近くにいる人は、受給資格者証で支給済みの日数を確かめ、入社日を1日ずらすだけで線をまたぐかどうかを先に計算しておく価値があります。
残りが3分の1以上ある人の中でも、3分の2以上残っているかで給付率が70%と60%に分かれます。この境目の日数と、いくら受け取れるかの計算は 再就職手当はいくら にまとめています。ここで確かめたいのは、そもそも対象に入るかどうかの線です。
自分の数字で確かめる手順は、受給資格者証で所定給付日数と支給済みの日数を見て、入社予定日の前日までに何日分の認定を受けることになるかを足すことです。認定日がいつ来るかで前日までの日数が変わるので、入社日が決まりそうになった時点で、ハローワークに「入社日の前日までの認定はいつ受ければいいか」を聞いてください。
内定の時期と就職の経路で外れる境目

内定と就職のタイミングで外れるのは、3つの場面です。求職の申込みより前に内定していた、待期7日のうちに就職した、給付制限がある人が待期満了後1か月のうちに紹介以外の経路で就職した、のどれかに当たると対象になりません。
この3つは、施行規則の基準がそのまま反映されたものです(雇用保険法施行規則82条)。規則は、待期が経過したあとに職業に就いたこと、給付制限を受けた人は待期の満了後1か月の期間内は公共職業安定所か職業紹介事業者等の紹介により職業に就いたこと、求職の申込みをした日より前に雇い入れを約した事業主に雇われたのではないこと、を基準にしています。
| 場面 | 対象になるか | 理由 |
|---|---|---|
| 辞める前・求職申込みの前に内定していた会社に入る | 対象外 | 条件⑧ |
| 待期7日のうちに入社した | 対象外 | 条件① |
| 給付制限があり、待期満了後1か月のうちに自分で応募した会社に入社した | 対象外 | 条件④ |
| 給付制限があり、待期満了後1か月のうちにハローワークや職業紹介事業者の紹介で決まった会社に入社した | ほかの条件しだいで対象 | 条件④を満たす |
| 給付制限がない人が、待期のあとに自分で応募した会社に入社した | ほかの条件しだいで対象 | 経路は問われない |
ハローワークの案内には、注意書きが2つあります。1つは、待期のあいだに仕事などをして失業の状態でなかった日は、待期の7日に数えないことです。待期中に働くと待期の終わりが後ろへずれ、その分だけ①の線も後ろへ動きます。もう1つは、教育訓練を受けて給付制限が解除された人でも、待期満了後1か月の間は紹介による就職が必要なことです。給付制限が外れたからといって、④まで外れるわけではありません。
たとえば、在職中に転職活動をして内定をもらい、退職してからハローワークで手続きをした人は、⑧に当たるので再就職手当の対象になりません。一方、求職の申込みをしたあとに初めて応募して内定した会社なら、⑧には当たりません。在職中にやり取りのあった会社の場合は、⑧に当たるかをハローワークで確かめてください。ただし給付制限がある人なら、待期満了後1か月の間は④の紹介経路も満たす必要があります。
「自分で見つけた会社でも出るのか」という疑問の答えは、給付制限があるかどうかで分かれます。給付制限がない人(会社都合や正当な理由のある自己都合など)は、待期が終わっていれば経路を問われません。給付制限がある人は、待期満了後1か月の間に就職する場合だけ、ハローワークか職業紹介事業者の紹介が必要です。ここでいう職業紹介事業者には民間の紹介会社も含まれますが、その会社が紹介に当たるかどうかはハローワークで確かめるのが確実です。
判断の順番は、自分の求職申込みの日と待期が終わる日を手帳に書き、内定の日と入社予定日をその上に並べることです。給付制限の長さと数え方は 給付制限1ヶ月はいつから で扱っています。内定の返事をする前に日付を並べておけば、④と⑧で外れるかはその場で分かります。
1年を超えて勤める見込みと雇用保険
条件⑤の「1年を超えて勤めることが確実」は、雇用契約の期間と更新の見込みで見られます。正社員かどうかの呼び名ではなく、契約の中身で決まります。
施行規則は、再就職手当の対象になる「安定した職業」を、1年を超えて引き続き雇用されることが確実と認められる職業、または公共職業安定所長が自立できると認めた事業の開始としています(雇用保険法施行規則82条の2)。1年を超える雇用が見込めない仕事は、この「安定した職業」に当たらないため、対象外になります。
ハローワークの案内には、⑤に当たらない例が2つ書かれています。
- 1年以下の雇用期間を定め、更新に一定の目標の達成が条件になっている場合
- 派遣で、更新が見込まれない場合
編集部の整理では、期間の定めのない雇用(いわゆる正社員)は通常この心配が小さく、契約社員・派遣でも更新が前提で1年を超えて続く見込みなら対象になりえます。開業は、自立できると公共職業安定所長が認めた場合に限られます(施行規則82条の2)。
あわせて⑥の、原則として雇用保険の被保険者になっていることも見られます。パートやアルバイトとして入る場合は、雇用保険に入る働き方かどうかを就職先に確かめておく必要があります。受給中のアルバイトの扱いや申告は 失業保険の受給中のバイト で扱っており、ここでの話は「再就職として就職する」場合です。
たとえば、契約期間6か月で「更新あり」と書かれた契約社員の求人に決まった人は、更新が見込まれて1年を超えて働くことが確実と言えるかが問われます。更新の条件が「営業成績の達成」のように目標で決まる契約なら、案内の例に近づきます。同じ会社でも、期間の定めのない雇用で入るなら⑤の心配はほぼありません。
雇用期間と更新の書き方は、内定時に受け取る労働条件通知書か雇用契約書に書かれています。迷う人は、その書類を持ってハローワークで「この契約で1年を超えて勤めることが確実と見てもらえるか」を聞いてください。会社に更新の実績や方針を聞いておくと、窓口での説明が早く済みます。
前の会社と過去3年でもらえない場合
離職した前の会社に戻る場合と、過去3年以内に再就職手当などを受けている場合は、ほかの条件を満たしていても対象になりません。前の会社と密接な関わりがある会社への就職も同じです。
前の会社に戻る就職は、施行規則の基準で対象から外されています。施行規則は「離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと」を基準にしています。ハローワークの案内はさらに、前の会社と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない会社に就職したこと、を条件に入れています。
過去の受給については、法律が、就職の日前の一定期間内の就職について就業促進手当を受けたことがあるときは支給しない、と定め、その期間を施行規則が3年としています(雇用保険法施行規則82条の4)。ハローワークの案内では、過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当を受けたことがないこと、と書かれ、事業開始のときの再就職手当も含みます。
| 場面 | 対象になるか |
|---|---|
| 辞めた会社に再び雇われる | 対象外 |
| 前の会社の親会社・子会社・取引の深い会社に入る | 密接な関わりがあると判断されれば対象外 |
| 前の会社と関係のない会社に入る | ほかの条件しだいで対象 |
| 過去3年以内の就職で再就職手当又は常用就職支度手当を受けた | 対象外 |
| 前回受けた再就職手当が3年より前の就職のもの | ほかの条件しだいで対象 |
「3年以内とは」と聞かれることが多いのは、数え方がつかみにくいからです。案内の書き方は「過去3年以内の就職について」なので、見るのは前回の手当を受けた日よりも、前回の就職の時期です。前回の就職日と今回の就職日のあいだが3年に収まるかどうかを、受給資格者証や当時の書類で確かめてください。
たとえば、2年前に再就職手当を受けて転職し、その会社を辞めて今回また手続きをしている人は、今回の就職では対象になりません。一方、前の会社のグループ会社から声をかけられた人は、関わりの深さしだいなので、会社名と資本関係が分かる情報を持って窓口で聞くまで結論は出ません。
どちらも自分では動かしようのない事実で決まる条件です。だからこそ、内定の返事より前に確かめておくと、手当を前提にした家計の計算を立て直す時間が取れます。
外れやすい落とし穴を条件から逆引きする
再就職手当が外れる場面は、条件の知識より、入社日や応募の順番といった日付の扱いで決まるものが目立ちます。つまずきごとに、どの条件で外れるかを逆から引くと、防ぎ方が見えます。
条件の一覧は「満たすべきこと」を並べているので、読み手は自分が満たしているかを確かめるつもりで読みます。入社日を早めた、待期中に少し働いた、申請を後回しにした、といった行動の側から引いておくと、どこで手を止めればいいかが分かります。
| よくあるつまずき | 外れる条件 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 退職前に内定をもらい、そのまま入社した | ⑧ 求職申込み前の内定 | 内定済みなら再就職手当を前提にしない |
| 待期の7日のうちに入社日を設定した | ① 待期満了後の就職 | 待期が終わる日を確かめてから入社日を決める |
| 待期中に働き、待期の終わりがずれた | ① 待期満了後の就職 | 働いた日は申告し、待期の終わりを窓口で確かめる |
| 待期満了後1か月のうちに、自分で応募した会社へ入社した | ④ 紹介による就職 | 待期満了後1か月の間は紹介経由で応募する |
| 入社日の前日までの認定を受けなかった | ② 残り日数 | 入社日を伝え、前日までの認定の受け方を聞く |
| 契約期間が短く更新が条件つき | ⑤ 1年を超える見込み | 雇用契約書の期間と更新の条件を確かめる |
| 申請を後回しにした | 申請期限 | 就職日の翌日から1か月以内に出す |
申請の期限は、就職した日の翌日から1か月以内です(雇用保険法施行規則82条の5)。再就職手当支給申請書に受給資格者証を添えて、管轄のハローワークに、本人・代理人・郵送のいずれかで出します。支給が決まると、決定の翌日から7日以内に支給されます。申請から7日ではなく、決定から7日です。
- 1入社日を仮に決める前日時点の残り日数を数える
- 2前日までの認定を受ける認定の受け方をハローワークに聞く
- 3条件を窓口で確かめる会社名・雇用期間・前の会社との関係を持って
- 4翌日から1か月以内に申請本人・代理人・郵送のどれか
入社したあとに試用期間などで辞めてしまった場合も、すぐにあきらめる必要はありません。ハローワークの案内には、再就職手当を受けたあとに離職して失業の状態になったときは、再就職手当の分を除いた残りの日数分の基本手当を受けられる可能性がある、と書かれています。まずハローワークに相談するのが順番です。
たとえば、内定の連絡を受けて「来週から来てほしい」と言われた人は、その日が待期の7日に入っていないか、給付制限がある人で入社日が待期満了後1か月の間なら紹介経由の求人だったかを、返事をする前に確かめるだけで①と④の取りこぼしを防げます。入社の準備で忙しくなるので、申請書の受け取りまで同じ日に済ませると安心です。
再就職手当か失業手当かを考える観点
再就職手当と失業手当のどちらが得かは、人によって答えが変わるので、ここでは決めません。比べるときの観点は、手当の差、その期間の給料、次の仕事の確かさの3つです。
再就職手当の額は、基本手当日額×支給残日数×60%または70%で、残りの日数分の基本手当を全部くれるわけではありません。手当の額だけを並べると、最後まで基本手当を受けた場合のほうが額は大きくなります。その一方で、基本手当は失業している日の分しか出ず、就職すればその期間の給料が入ります。額の計算と、最後まで受けた場合との差は 再就職手当はいくら で同じ式を使って出しています。
- 手当の差:残りの日数分の基本手当のうち、再就職手当で受け取れない割合(給付率70%なら3割、60%なら4割)
- その期間の給料:早く就職した日数分の給料が、手当の差より多いか
- 次の仕事の確かさ:1年を超えて勤められる見込みがあり、条件が自分に合っているか
- 家計の都合:給料の入り始めと、手元の貯金がどこまで持つか
- 条件を満たすか:そもそも8つの条件を満たさなければ比べる意味がない
たとえば、条件のいい仕事が早い時期に見つかった人は、手当の差と、早く入社して得られる給料を並べて比べることになります。逆に、条件に納得できない仕事しか見つかっていない人が、手当をもらうためだけに急いで決める必要もありません。
自分の場合を比べたい人は、失業保険の計算ツール で基本手当日額を出し、残りの日数分の基本手当と、再就職手当の見込み、その期間の給料の見込みを同じ紙に並べてください。数字が3つそろえば、どちらを選んでも後から理由を説明できる決め方になります。
もらえないと分かったときの次の手
8つの条件のどれかを満たさず再就職手当がもらえないと分かっても、失業保険そのものがなくなるわけではありません。打てる手は、失業手当を受け続ける、日付で外れる条件なら入社日を相談する、境目の判断をハローワークに確かめる、の3つです。
再就職手当は、失業手当とは別にある就職のときの手当です。対象から外れても、就職せずに失業の認定を受けている限り、基本手当は受け続けられます。再就職手当がもらえない=損、と考えて焦って就職先を決めたり、逆に急いで就職を取りやめたりする前に、外れた理由がどの条件かを確かめます。
- 外れた理由を、8つのうちどの条件かで特定する
- 日付で外れる条件のうち①②④なら、入社日や応募の経路を変えて間に合うかを考える(⑧は動かせない)
- 就職先で外れる条件のうち⑤⑥なら契約の中身で変わる余地があるかを会社に確かめ、③なら会社名と資本関係を確かめる
- 過去で外れる条件(⑦)なら、再就職手当を前提にしない家計に組み直す
- 失業手当を受け続ける場合の振込の時期を確かめる
たとえば、待期満了後1か月のうちに入社する予定で、自分で応募した会社から内定をもらい、④で外れると分かった人は、入社日を待期満了後1か月より後ろにできないかを会社に相談する、という選択肢があります。待期満了後1か月の間の経路の条件なので、入社日がその後ろなら④は問われないからです。ただし、内定の日付が⑧に当たらないことが前提です。入社日を後ろにずらして、給付制限が終わり基本手当の認定を受ける日が増えると、その日数分だけ支給残日数が減ります。②の3分の1以上が残るかを数え直してから決めてください。会社が入社日を動かせるかは会社しだいです。
反対に、退職前に内定していた会社に入る人(⑧)は、日付を動かしても結果は変わりません。この場合は、再就職手当がない前提で、給料が入るまでの生活費を見積もるほうが先です。次の振込の時期は 初回の振込はいつ を見てください。
どの手を選ぶかを決める前に、ハローワークで聞くことは3つです。「この就職で、8つのうちどの条件で外れるのか」「入社日をずらした場合に対象になるか」「対象外のまま就職したら、基本手当の扱いはどうなるか」。持っていくのは、受給資格者証、内定の通知や労働条件通知書、求人を見つけた経路が分かるものです。
民間の祝い金や6か月後の手当とは別物
再就職手当は、ハローワークで手続きをする雇用保険の給付で、民間の転職サイトや求人サイトが出す「就職祝い金」とは別のものです。再就職手当を受けた人が6か月勤めて賃金が下がっていた場合には、就業促進定着手当という別の給付もあります。
呼び名が似ているので、混ざらないように分けておきます。再就職手当は雇用保険法に根拠があり、条件と額は法令で決まり、当てはまるかはハローワークが判断します。民間の祝い金は、その会社が自分で決めた条件で出すもので、雇用保険とは関係がありません。どちらかを受けたからといって、もう一方の条件が変わるわけではありませんが、民間の祝い金の条件は各社の規約で確かめるしかありません。
| 再就職手当 | 就業促進定着手当 | 民間の就職祝い金 | |
|---|---|---|---|
| 出すところ | ハローワーク(雇用保険) | ハローワーク(雇用保険) | 求人サイト・紹介会社など |
| もらえる人 | 8つの条件を満たして就職した人 | 再就職手当を受け、同じ会社に6か月以上勤め、賃金が離職前より下がった人 | 各社の規約で決まる |
| 申請 | 就職日の翌日から1か月以内 | 就職日から6か月目に当たる日の翌日から2か月以内 | 各社の規約で決まる |
就業促進定着手当の額は、離職前の賃金日額と再就職後6か月間の賃金で出した賃金日額の差に、6か月のうち賃金の支払の基礎となった日数をかけた額です(雇用保険法施行規則83条の3)。上限は、基本手当日額×支給残日数×10分の2と法律(雇用保険法56条の3)で決まっています。賃金が下がっていなければ支給されません。申請には、6か月間の賃金の額を証明する賃金台帳などと、賃金の支払の基礎となった日数を証明する出勤簿などを添えます。
たとえば、再就職手当を受けて前より給料の低い会社に入り、6か月続けて勤めた人は、就業促進定着手当の対象になりうるので、6か月目が近づいたら会社に賃金台帳と出勤簿の写しを頼んでおくと申請が早く進みます。給料が前と同じか上がった人は、対象になりません。
再就職手当を受けた人は、受給資格者証と一緒に、就職日と6か月目の日付を手帳に書いておいてください。2つ目の申請の期限は、1つ目よりずっと後に来るので忘れやすいところです。
使わなくていい場合と次にやること
再就職手当の申請を手伝う有料のサポートや、祝い金をうたうサイトを通さなくても、再就職手当はハローワークでの本人の手続きで足ります。条件に当てはまるかを判断するのはハローワークで、申請書も本人・代理人・郵送で出せるからです。
- 条件のどれかで迷っている人:窓口で「この就職で対象になるか」を聞けば、判断する側から直接答えが返ります
- 申請の書き方が不安な人:申請書はハローワークで受け取り、その場で書き方を聞けます
- 額を増やしたい人:額は式で決まり、誰が申請しても給付率や上限は変わりません
本人がやることは、日付をそろえることと、内定の返事の前に窓口で確かめることの2つです。
- 受給資格者証で、所定給付日数・支給済みの日数・求職申込みの日・待期が終わる日を確かめる
- 内定の日と入社予定日を、待期・給付制限の日付の上に並べる
- 入社予定日の前日時点で、残りが所定給付日数の3分の1以上あるかを数える
- 労働条件通知書と前の会社との関係が分かる情報を持って、ハローワークで条件を確かめる
- 入社したら、翌日から1か月以内に申請する
手続き全体の流れは 失業保険のもらい方 にまとめています。次の仕事をこれから探す人・決めかねている人は、次の仕事 の記事もあわせて見てください。
再就職手当の条件でよくある質問
再就職手当をもらえる条件は何ですか?
ハローワークの案内にある8つの条件をすべて満たすことです。待期満了後の就職、就職日の前日の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上、前の会社への再就職でない、給付制限がある人は待期満了後1か月は紹介による就職、1年を超えて勤めることが確実、原則として雇用保険の被保険者になる、過去3年以内に再就職手当又は常用就職支度手当を受けていない、求職申込み前からの内定でない、の8つです。
月給30万円だと再就職手当はいくらですか?
額は月給ではなく、基本手当日額×支給残日数×60%または70%で決まります。月給から基本手当日額を出す計算例は 再就職手当はいくら にあり、自分の日額は 計算ツール で出せます。
再就職手当の落とし穴は何ですか?
退職前の内定、待期中の入社、待期満了後1か月のうちに自分で応募した会社への入社、入社日の前日までの認定の受け忘れ、申請の後回し、の5つは、日付と順番で外れやすい例です。どれも日付と順番で決まるので、内定の返事をする前に日付を並べて確かめれば防げます。
再就職手当と失業手当は、どちらが得ですか?
手当の額だけを並べると、最後まで基本手当を受けた場合のほうが額は大きくなりますが、就職すればその期間の給料が入るので、一概には決まりません。手当の差、その期間の給料、次の仕事の確かさを並べて決めてください。
待期の7日の間に就職が決まったら、もらえませんか?
内定が決まるだけなら問題ありませんが、就職(入社)が待期の7日のうちだと対象になりません。入社日が待期の終わった後なら、この条件は満たします。待期中に働いた日は待期に数えないので、待期が終わる日は窓口で確かめてください。
申請を忘れたらどうなりますか?
申請の期限は、就職した日の翌日から1か月以内です。期限を過ぎた場合の扱いはこの記事では確認できていないので、気づいた時点ですぐハローワークに連絡してください。
試用期間中に辞めたら、再就職手当は返すのですか?
返還の扱いはこの記事では確認できていません。ハローワークの案内には、再就職手当を受けたあとに離職して失業の状態になった場合、再就職手当の分を除いた残りの日数分の基本手当を受けられる可能性があるとあります。辞めることになったら、まずハローワークに相談してください。
数字だけ、もう一度
- 条件の数:ハローワークの案内で8つ。すべて満たすこと
- 残り日数:就職日の前日の時点で、所定給付日数の3分の1以上(前日までの認定を受けたうえで数える)
- 待期:受給手続きのあとの7日。この間の就職は対象外。働いた日は待期に数えない
- 給付制限がある人:待期満了後1か月の間は、ハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職だけが対象
- 雇用の期間:1年を超えて勤めることが確実。過去の受給は3年以内の就職について見る
- 申請:就職した日の翌日から1か月以内。支給は決定の翌日から7日以内
- 額の式:基本手当日額×支給残日数×60%または70%(計算は /saishuushoku-gaku/)
- 就業促進定着手当:再就職手当を受け、同じ会社に6か月以上勤め、賃金が下がった人。申請は6か月目に当たる日の翌日から2か月以内
再就職手当の条件は、8つあっても、半分は「いつ・どうやって決めたか」の日付の問題です。内定の返事と入社日を決めるのは自分なので、その前に求職申込みの日、待期の終わり、給付制限の1か月、入社日の前日の残り日数を一枚に並べておけば、日付で決まる条件はほぼ自分で分かります。外れると分かっても、失業手当がなくなるわけではありません。手当のために仕事を決めるのでも、手当のために仕事を断るのでもなく、決めた就職に手当が付くかを先に確かめておく。それで十分です。

