次の仕事が決まりそうになると、「いま就職したら、再就職手当はいくら入るのか」「最後まで失業保険をもらったほうが得なのか」が気になります。再就職手当の額は、あなたの基本手当日額と残りの日数から出せます。その手順を式のまま見せます。
再就職手当の額は、支給残日数×基本手当日額×給付率です。給付率は、残りが所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60%。計算に使う基本手当日額には上限があり、離職時60歳未満は6,745円、60歳以上65歳未満は5,454円です。
2026年9月時点の制度で確かめています
自分の基本手当日額をまだ知らない人は、先に 失業保険の計算ツール で日額を出してから読むと、そのまま自分の額になります。
再就職手当の額:支給残日数×基本手当日額×70%か60%
再就職手当は、失業保険(基本手当)の日数を残して早く就職したときに、残りの一部をまとめて受け取れる手当です。受け取るには、待期(7日)が終わってから就職したこと、長く勤めることが確実な仕事であること、離職前の会社に再び雇われたのではないこと、過去一定期間内に再就職手当などを受けていないこと、などの要件があります(雇用保険法56条の3第1項・第2項。細かい要件は厚生労働省令とハローワークのリーフレット)。当てはまるかを決めるのはハローワークです。額は次の式で決まります。
再就職手当 = 支給残日数 × 基本手当日額 × 給付率(70%または60%)
式の3つの部分は、それぞれ次のとおりです。
| 式の部分 | 中身 | どこで分かるか |
|---|---|---|
| 支給残日数 | 就職日の前日の時点で、就職しなかったとしたら受給期間の終わりまでに受け取れた基本手当の日数(通常は、所定給付日数から支給済みの日数を引いた日数) | 雇用保険受給資格者証の支給済みの日数から数える |
| 基本手当日額 | 失業保険の1日あたりの額。ただし上限あり(下の「上限」の項) | 雇用保険受給資格者証、または 計算ツール |
| 給付率 | 残りが3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60% | 次の項の日数表 |
給付率の根拠は法律です(雇用保険法56条の3)。残りが3分の1未満になると、再就職手当の対象になりません。
就職先がまだ決まっていない人は、先に 次の仕事 の記事を見てください。
70%か60%かは残りの日数で決まる:所定給付日数90日・120日・150日の境目
「3分の2以上」「3分の1以上」と言われても、自分があと何日で70%から60%に落ちるのかは分かりにくいところです。自己都合などの一般の離職者の所定給付日数(90日・120日・150日)で、境目を日数にすると次のとおりです。
| 所定給付日数 | 70%になる支給残日数(3分の2以上) | 60%になる支給残日数(3分の1以上3分の2未満) | 対象外(3分の1未満) |
|---|---|---|---|
| 90日 | 60日以上 | 30日以上60日未満 | 30日未満 |
| 120日 | 80日以上 | 40日以上80日未満 | 40日未満 |
| 150日 | 100日以上 | 50日以上100日未満 | 50日未満 |
式:90日×2/3=60日、90日×1/3=30日(120日・150日も同じ割り方)
自分の所定給付日数は、雇用保険受給資格者証に書かれています。会社都合などで所定給付日数がこの表より長い人も、同じく3分の2と3分の1で割って境目を出します。
境目の近くにいる人は、入社日で給付率が変わります。残りが所定給付日数の3分の2を切る前に入社すれば70%、切ったあとなら60%です。入社日を動かせるかは会社との話なので、決める前に残りの日数を数えておきます。
再就職手当の上限:基本手当日額6,745円で頭打ち(60歳以上65歳未満は5,454円)
再就職手当の計算に使う基本手当日額には、上限があります。
| 離職したときの年齢 | 再就職手当の計算に使う基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 60歳未満 | 6,745円 |
| 60歳以上65歳未満 | 5,454円 |
出典:ハローワーク「再就職手当のご案内」(令和8年8月1日から令和9年7月31日までの額。毎年8月1日に改定)
判定の順番は次のとおりです。
- 自分の基本手当日額を確かめる(受給資格者証か 計算ツール)
- それが上の上限より低ければ、自分の基本手当日額のまま式に入れる
- 上限より高ければ、上限の額を式に入れる
失業保険そのものの基本手当日額の上限(60歳未満の年齢区分ごとの額)とは別の数字です。失業保険の日額が高い人ほど、再就職手当では上限で頭打ちになりやすくなります。
例:離職時35歳、基本手当日額8,000円、所定給付日数120日を全部残して就職した場合
- 8,000円は上限6,745円より高い → 6,745円で計算する
- 6,745円 × 120日 × 70% = 566,580円
例:離職時62歳、基本手当日額6,000円、所定給付日数120日を全部残して就職した場合
- 6,000円は上限5,454円より高い → 5,454円で計算する
- 5,454円 × 120日 × 70% = 458,136円
上限で計算したときの、全日数を残して就職した場合の額(60歳未満)
| 所定給付日数 | 式 | 額 |
|---|---|---|
| 90日 | 6,745円 × 90日 × 70% | 424,935円 |
| 120日 | 6,745円 × 120日 × 70% | 566,580円 |
| 150日 | 6,745円 × 150日 × 70% | 708,225円 |
これは上限の額で出した天井です。自分の基本手当日額が上限より低い人は、ここより少なくなります。
月給30万なら再就職手当はいくら?日額から計算する例
月給からいきなり再就職手当は出ません。月給から賃金日額、賃金日額から基本手当日額、そこから再就職手当、の順に出します。月給から賃金日額を出すところは、賞与や残業代の扱いで人によって変わるので、計算ツール で出してください。
ここでは、下の例の条件の人で計算します。基本手当日額は、厚生労働省が示す式(60歳未満)で出します。
例:離職時30歳、賃金日額10,000円、所定給付日数90日
基本手当日額(60歳未満の式:y = 0.8w − 0.3 × {(w − 5,480) ÷ (13,490 − 5,480)} × w、w=賃金日額)
- 0.8 × 10,000 = 8,000
- (10,000 − 5,480) ÷ (13,490 − 5,480) = 4,520 ÷ 8,010 = 0.5642…
- 0.3 × 0.5642… × 10,000 = 1,692.8…
- 8,000 − 1,692.8… = 6,307.1… → 1円未満を切り捨てて 6,307円
6,307円は上限6,745円より低い → 6,307円のまま再就職手当の式に入れる
| 就職したとき | 支給残日数 | 給付率 | 再就職手当 |
|---|---|---|---|
| 90日を全部残して就職 | 90日 | 70% | 6,307円 × 90日 × 70% = 397,341円 |
| 45日を受け取ってから就職 | 45日 | 60% | 6,307円 × 45日 × 60% = 170,289円 |
| 61日を受け取ってから就職 | 29日 | 対象外 | 0円 |
出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(基本手当日額の式)/ハローワーク「再就職手当のご案内」(再就職手当の式と上限)
同じ人でも、いつ就職するかで額が大きく変わります。先に基本手当日額と所定給付日数を確かめてから、入社日と照らしてください。
再就職手当はもらわない方がいい?最後まで基本手当を受けた場合と比べる
「もらわない方がいい」「デメリットがある」と聞くと不安になります。金額だけを同じ式で並べると、次のようになります。
上の例(基本手当日額6,307円・支給残日数90日)で比べる
| 選び方 | 式 | 受け取る額 |
|---|---|---|
| 就職せずに残り90日分の基本手当を受ける | 6,307円 × 90日 | 567,630円 |
| 90日を残して就職し、再就職手当を受ける | 6,307円 × 90日 × 70% | 397,341円 |
| 差 | 6,307円 × 90日 × 30% | 170,289円 |
手当の額だけ見ると、最後まで基本手当を受けたほうが多くなります。
差は、残りの日数分の基本手当の30%(給付率60%の人は40%)です。
ただし、就職した人にはその期間の給料が入ります。基本手当は失業している日の分しか出ないので、比べるのは「手当の差」と「その期間の給料」です。
それでも、次に当てはまるときは、急いで就職する前に一度立ち止まる価値があります。
- 就職先に長く勤めるつもりがない:再就職手当には、長く勤めることが確実な仕事であることなどの要件があります
- 過去に再就職手当を受けたことがある:受けた時期によっては、今回は対象になりません
- 給料が前の仕事より大きく下がる:再就職手当とは別に、条件を満たすと受けられる手当(就業促進定着手当)があります。額と条件はハローワークで確かめてください
要件の全体は、ハローワーク「再就職手当のご案内」 に並んでいます。当てはまるかを決めるのはハローワークです。
使わなくていい場合
再就職手当の申請を手伝う、または「もらえる額を増やす」とうたう有料のサポートがあります。次に当てはまる人は、使わなくて足ります。
- ハローワークで失業保険の受給手続きをしている人:再就職手当の申請は、本人がハローワークでできます
- 自分の額を知りたいだけの人:額は上の式で決まり、サポートを使っても給付率や上限は変わりません
- 要件に当てはまるか迷っている人:当てはまるかを決めるのはハローワークです。まず窓口で聞けば足ります
次にやること
- 雇用保険受給資格者証で、所定給付日数と、支給済みの日数を確かめる
- 基本手当日額を確かめ、上限(60歳未満6,745円・60歳以上65歳未満5,454円)と比べる
- 入社日の前日時点の支給残日数を数え、70%か60%かを上の日数表で確かめる
- 入社が決まったら、すぐにハローワークへ連絡して申請の手順と期限を聞く(申請には期限があります)
- 自分の数字で出し直したいときは 計算ツール を使う
次に読むもの
再就職先を探している人・決めかねている人は、次の仕事 の記事へ。
再就職手当でよくある質問
月給30万で再就職手当はいくらもらえますか?
月給から出した賃金日額で変わります。
賃金日額が10,000円(60歳未満)なら基本手当日額は6,307円で、所定給付日数90日を全部残して就職すると397,341円、45日を残して就職すると170,289円です。
自分の賃金日額は 計算ツール で出せます。 → 月給30万の計算例
70%もらうには、あと何日残っていればいいですか?
所定給付日数の3分の2以上です。
90日なら60日以上、120日なら80日以上、150日なら100日以上残っていれば70%です。
再就職手当がもらえないのは、どんなときですか?
待期7日が終わる前に就職したとき、支給残日数が所定給付日数の3分の1未満のとき、離職前の会社に再び就職したときなどです。要件はほかにもあるので、ハローワークのリーフレットで確かめてください。 → 再就職手当の額
60歳以上だと額は変わりますか?
式は同じですが、計算に使う基本手当日額の上限が5,454円になります(60歳未満は6,745円)。 → 再就職手当の上限
再就職手当はもらわない方がいいですか?
手当の額だけなら、最後まで基本手当を受けたほうが多くなります。ただし就職すればその期間の給料が入るので、手当の差と給料を比べて決めます。 → 最後まで受けた場合との比較
数字だけ、もう一度
- 再就職手当の額は、支給残日数×基本手当日額×給付率。残りが3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60%
- 計算に使う基本手当日額の上限は、60歳未満6,745円・60歳以上65歳未満5,454円(令和8年8月1日から。毎年8月1日に改定)
- 手当の額だけなら最後まで基本手当を受けたほうが多い。その差と、就職後の給料を比べて決める

