契約社員・派遣が期間途中で退職するなら?一年を超えたかで変わる伝え方と手続き

誰もいない事務所
  • 契約社員だけど、契約がまだ残っているのに辞めたい
  • 契約社員は、いきなり辞められるの?
  • 途中で辞めるなら、何日前に言えばいい?
  • 「やむを得ない事由」って、体調や人間関係でも当たる?
  • 一年を超えたら辞められると聞いたけど、本当?
  • 派遣で働いている。派遣先と派遣会社、どっちに言えばいい?
  • 「途中で辞めるなら損害賠償だ」と言われたらどうしよう
  • 結局、満了まで待つしかないの?

上記のような悩みに答えます。

契約社員や派遣社員の退職は、正社員の「申し入れから2週間」とは別の条文で決まります。契約期間を決めて働いている人は、その期間は働くという約束をしているので、途中で辞めるには理由か相手の同意が要る、というのが出発点です。検索で上位に出るのは派遣会社や転職サービスの解説が多く、「やむを得ない事由」「一年を超えたら」「満了まで待つ」がばらばらの見出しに散っていて、最後は次の仕事の紹介に流れていきます。自分がどの場合に当たるのかを一つに決める道筋がありません。そこで、やむを得ない事由・一年を超える契約の特例・損害賠償という基本を押さえたうえで、契約書から自分の型を4つのどれかに決める表と、派遣の人が最初に誰へ伝えるか、損害賠償の不安をどの大きさで受け止めればいいかまで、民法・労働基準法の条文と厚生労働省の説明で確かめながら整理しました。

先に答え

まず契約書の「契約期間」と契約の初日を見て、満了で辞める・会社と合意して辞める・やむを得ない事由で辞める・一年を超える契約で一年が過ぎたあとに辞める、の4つのどれに当たるかを決めます。派遣で働いている人は、雇用主である派遣会社に先に伝えるのが基本です。

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辞めたあとの失業保険がいくら・いつから出るかを先に知りたい人は、失業保険の計算ツール で自分の条件を入れておくと、満了まで待つか途中で辞めるかを決めるときの材料になります。

目次

契約社員の途中退職は4つの型で決まる

誰もいない事務所

契約社員・期間を決めて雇われている派遣社員が辞められるかどうかは、「何日前に言うか」ではなく、4つの型のどれに当たるかで決まります。どの型かが決まれば、伝える日も、伝える言葉も、そこから順に決まります。

型で分かれるのは、法律が期間の定めのある雇用と、期間の定めのない雇用を別々に扱っているからです。正社員のように期間の定めがない人は、民法627条1項により、辞めると申し入れた日から2週間で雇用が終わります(詳しくは 退職は何日前に言う?)。これに対して、契約期間を決めた人は「この期間は働く・雇う」とお互いに約束しているので、片方の都合だけで途中で終えることは予定されていません。そのかわりに、途中で終えられる道が法律にいくつか置かれていて、それに契約どおり満了で終える道を加えたのが、次の4つです。

自分の状況 型 辞められる日 根拠
契約の満了日で辞めればいい 満了で更新しない 満了日 契約どおり
会社と話して、途中の日で辞めることに同意を得られる 合意して途中で辞める 合意した日 合意解約
続けられない事情があり、それがやむを得ないと言える やむを得ない事由で辞める 直ちに 民法628条
契約期間が一年を超える契約で、初日から一年が過ぎている 一年経過後に申し出る 申し出ていつでも(対象外あり) 労働基準法附則137条

表を上から読むのは、上の型ほど会社ともめにくいからです。満了で辞めるなら、そもそも「途中で辞める」問題になりません。満了まで待てないなら、まず合意で辞められないかを探り、それができないときに、やむを得ない事由や一年経過後の申し出という法律上の道を確かめる、という順番になります。

自分の型を決める順番
  1. 1満了まで待てるか待てるなら、更新しないと伝えるだけ
  2. 2会社と合意できるかできれば、合意した日に辞められる
  3. 3やむを得ない事由があるかあれば直ちに。民法628条
  4. 4一年を超える契約で一年が過ぎたか過ぎていれば申し出ていつでも

たとえば、契約期間が半年で、残りがあと少しの契約社員なら、満了まで待つか、合意で前倒しするかの2択で考えるのが現実的です。反対に、もともと一年を超える期間の契約を結んでいて、初日から一年を過ぎている人なら、対象外に当たらない限り、申し出ればいつでも辞められます。同じ「契約社員の途中退職」でも、契約書の期間の欄と初日の日付で、取れる手段がこれだけ変わります。

最初にやることは、いま有効な一番新しい雇用契約書(労働条件通知書)を出して、契約期間・契約の初日・更新の有無の3か所を写真に撮っておくことです。更新を重ねている人は、最初の契約ではなく、いまの契約の期間を見ます。この1枚が、上司に話すときも、相談窓口に行くときも出発点になります。

やむを得ない事由があれば直ちに退職できる

契約期間の途中でも、やむを得ない事由があるときは、直ちに契約を解除できます。ただし、その事由が自分の過失で生じたものなら、会社に対して損害賠償の責任を負うことがあります。

民法628条は、こう書いています。

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

民法628条(e-Gov法令検索)

厚生労働省の「確かめよう労働条件」も、契約期間満了前に退職しようとする場合には、やむを得ない事由がなければならない、と説明しています(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」)。この条文は「各当事者は」と書いていて、会社の側にも同じ縛りがかかります。労働契約法17条は、会社はやむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間に労働者を解雇できない、と定めています(出典:労働契約法17条(e-Gov法令検索))。途中で辞めにくいのは、途中で切られにくいことの裏返しです。なお17条は会社が解雇する側の決まりなので、自分が辞める根拠として持ち出す条文ではありません。

困るのは、「やむを得ない事由」が何を指すのかです。確かめた範囲では、法律も厚生労働省の説明も具体的に並べていません。たとえば、本人の病気やけがで働き続けられない、家族の介護が必要になった、職場でのハラスメントで出勤できない、といった事情が考えられますが、当たるかどうかは事情の中身によります。同じ「体調不良」でも、医師から就労を止められている場合と、疲れがたまっている場合とでは、受け止められ方が違います。人間関係がつらいという事情も、その中身しだいです。

当たるかどうかで迷うときは、次の3つを手元にそろえてから考えます。

  • 何で変わるか:事情の重さ、いつから続いているか、その事情が自分の過失で生じたものか
  • 自分で確かめる方法:事情を時系列で書き出し、診断書や、言われたこと・されたことのメモなど裏づけになるものを集める
  • 相談先と持っていくもの:労働基準監督署の総合労働相談コーナーなど労働の相談窓口か弁護士。雇用契約書と、時系列のメモ、裏づけの書類

たとえば、医師から休むよう言われている契約社員なら、診断書を添えて「この事情で、この日を最後に退職したい」と会社に伝えれば、会社も事情を受け止めやすく、合意での退職にまとまりやすくなります。一方で、理由を言わずに「明日から来ない」とだけ伝えると、やむを得ない事由があるのかが会社に伝わらず、話がこじれやすくなります。

編集部の整理では、やむを得ない事由は「会社に勝つための理屈」ではなく、「合意を頼むときに事情を伝えるための材料」として使うのが現実的です。事由がはっきりしているほど、会社も途中での退職を認めやすくなり、628条の当否を争う前に話がまとまります。

一年を超える契約は一年経過後いつでも退職

契約期間が一年を超える契約を結んでいる人は、契約の初日から一年を経過した日以後なら、会社に申し出ることで、いつでも退職できます。やむを得ない事由は要りません。ただし、対象から外れる契約と人があります。

労働基準法附則137条は、こう書いています。

期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

労働基準法 附則137条(e-Gov法令検索・附則の第137条)

この特例は、長い期間の契約で働く人をその期間ずっと縛りすぎないための道で、条文の中でも「措置が講じられるまでの間」の暫定の決まりと書かれています。

よくある誤解は、「一年働けば誰でも辞められる」という受け取り方です。条文が使えるのは、次の条件がそろうときだけです。

  • 1つの契約の期間が、もともと一年を超えている(更新を重ねて通算一年を超えた、ではない)
  • その契約の初日から一年を経過している
  • 一定の事業の完了に必要な期間を定めた契約ではない
  • 労働基準法14条1項各号の労働者に当たらない(厚生労働省の説明では、高度の専門的知識等を持つ労働者や満60歳以上の労働者が除かれる)

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」

たとえば、半年ごとの契約を更新しながら同じ職場で長く働いている人は、いまの契約の期間が半年なので、附則137条には当たりません。辞めるなら、満了・合意・やむを得ない事由のどれかで考えます。反対に、最初から期間が一年を超える契約を結び、初日から一年を過ぎた人は、「〇月〇日で退職します」と申し出ればよく、理由を説明する必要もありません。満60歳以上の人や、厚生労働大臣が定める基準に当たる高度の専門的知識等を持ち、その知識を使う業務に就いている人は、条件がそろっていても外れる場合があるので、契約書の職種や雇用の区分を確かめます。

迷ったときの軸は、「勤めた年数」ではなく「いまの契約書に書かれた期間の長さ」を見ることです。期間が一年以下なら、この特例は自分の話ではありません。一年を超えるなら、初日の日付から一年が過ぎたかを数えれば、申し出られる日がわかります。

満了で退職するなら更新しないと伝えるだけ

契約期間の満了日で辞めるなら、途中退職の問題にはなりません。会社に「次は更新しません」と伝えれば、契約は満了日で終わります。4つの型の中で、いちばん揉めない辞め方です。

満了で辞めるのに特別な理由が要らないのは、もともと契約が満了日で終わる約束になっているからです。更新は、会社と本人の両方が続けることに同意して初めて成り立ちます。本人が更新しないと決めれば、それ以上の手続きは要りません。

それでも早めに伝えたほうがいいのは、会社の側が更新の手続きや、後任の手配を進めてしまうことがあるからです。契約書や就業規則に「更新しない場合は〇日前までに申し出る」といった定めがあるなら、それに合わせます。定めが無くても、次の契約の話が出る前に伝えておくと、行き違いが起きません。

  • 伝える相手:直属の上司(派遣の人は派遣会社の担当者)
  • 伝える時期:契約書や就業規則に定めがあればそれに合わせ、無ければ更新の話が出る前に
  • 伝え方:口頭で伝え、同じ内容をメールで送って日付を残す
  • 確かめること:満了日、最終出社日、有給の残りと消化の仕方

たとえば、「残りの期間なら待てるが、更新はしたくない」という人は、まずこの型で考えるのが一番の近道です。残りの期間を待つのがつらいなら、満了日を退職日としたうえで、残りの有給をどこで消化するかを相談すれば、最終出社日を前に寄せられることがあります。途中退職の交渉をするより、ずっと話が早く済みます。

満了で辞めたあとの失業保険で、離職の理由がどう扱われるかは、契約の更新の約束があったかなどで変わり、最終的にはハローワークが判断します。ここでは決めつけず、扱いの違いは 会社都合になる条件 で確かめてください。

契約社員が合意で途中退職するときの伝え方

便箋とペン

満了まで待てないなら、まず会社に事情を伝えて、途中の日で辞めることに同意してもらう道を探ります。会社が合意すれば、期間の途中でも、合意した日に辞められます。やむを得ない事由がはっきりしない人にとっては、これが最も現実的な道です。

合意から入るのが良いのは、628条や附則137条の当否を争わずに済むからです。会社にとっても、無理に引き止めて関係がこじれるより、引き継ぎの段取りが見える形で送り出すほうが損は小さくなります。会社が困るのは「いきなり」「理由も期日もわからない」ことであって、期日と引き継ぎが見えていれば、話は進みやすくなります。

伝える順番は次のとおりです。

  1. 辞めたい日を決める(引き継ぎに要る日数と、残りの有給を見込んで)
  2. 直属の上司に、口頭で「〇月〇日で退職させてほしい」と期日を添えて頼む
  3. 理由を一言で添える(体調・家族の事情・次の仕事の入社日など)
  4. 引き継ぎの一覧を見せ、最終出社日と有給の消化を相談する
  5. 合意できたら、退職日を書面かメールで残す

正社員の退職と違うのは、2の言い方です。期間の定めがない人は「辞めます」と申し入れれば2週間で終わりますが、契約期間の途中の人は、合意が無ければ、やむを得ない事由があるか、一年を超える契約で一年が過ぎているかのどちらかに当たらない限り、期間途中では終わりません。そのため、「辞めます」と一方的に告げるより、「〇月〇日で辞めさせていただけないでしょうか」と、期日を添えて合意を頼む言い方のほうが筋が通ります。

書面については、合意を頼む段階で出すのは退職願、合意した内容を残すのは合意書や、退職日を書いたメール、と考えると整理しやすくなります。厚生労働省の説明では、退職願は合意退職の申し込みで、会社が承諾するまでの間は撤回できるとされています。一方、退職の申し入れとして出した退職届は、会社が承諾すると一方的には撤回できなくなるとされ、書類の表題より記載内容ややりとりで判断されることもあります(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」)。届と願の違いは 退職届と退職願の違い に、書き方は 退職届の書き方 にまとめてあります。

たとえば、次の仕事の入社日が決まっていて、いまの契約の満了日が間に合わない人は、「入社日の都合で、〇月〇日を最終日にしたい。それまでに引き継ぎはこの一覧のとおり終えます」と伝えます。期日・理由・引き継ぎの3つがそろうと、会社は「いつまでに何を手配すればいいか」がわかり、合意しやすくなります。一方、入社日を先に決めてから相談すると、会社が合意しなかったときに逃げ道がなくなるので、内定先とは入社日に幅を持たせて話しておくと安全です。

就業規則に「退職は1か月前までに申し出ること」とある会社もあります。こうした定めと民法の関係は、期間の定めのない雇用について官公庁の説明が分かれています(厚生労働省は大幅に延ばす定めは無効とされると書き、労働局のQ&Aは原則として就業規則が適用されると書く)。契約期間の途中で辞める人は合意を頼む立場なので、その期限に合わせて早めに伝えるほうが合意を得やすくなります。試用期間中の人は 試用期間中に辞めたいとき を、期間を決めたバイト・パートの人は バイト・パートの辞め方 も見てください。

派遣社員はまず派遣会社に辞めたいと伝える

派遣で働いている人は、雇用契約を結んでいる相手が派遣会社(派遣元)です。そのため、辞めたいという意思は、まず派遣会社の担当者に伝えるのが基本です。

厚生労働省の資料は、派遣労働者と雇用契約を結ぶ雇用主は派遣会社で、派遣先は指揮命令をする立場だと説明しています。労働基準関係の法律の責務も、基本的には派遣労働者を雇っている派遣会社が負うとされています(出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「派遣先の皆様へ」)。毎日働いている場所は派遣先でも、契約を結んでいる相手は派遣会社なので、契約を終える話も派遣会社とするのが筋です。

退職の申し出先を派遣会社と明記した国の文書までは確かめられていないので、ここは編集部の整理として書いておきます。雇用主が派遣会社である以上、辞める意思を伝える先は派遣会社が基本です。派遣先に先に話してはいけないという決まりは、確かめた範囲では見当たりませんが、派遣先の上司は雇用契約の当事者ではないので、派遣先に話しただけでは手続きが進まないことがあります。

派遣で辞めたいときに伝える順番
  1. 1派遣会社の担当者に伝える雇用主は派遣会社。期日と理由を添えて
  2. 2契約の型を確かめる満了・合意・やむを得ない事由・一年経過後
  3. 3派遣先への伝え方を確かめる挨拶や引き継ぎは派遣会社の担当者に確認

派遣では、派遣会社とあなたの雇用契約と、派遣会社と派遣先の契約の2つが重なっています。あなたが辞めると派遣会社は代わりの手配や契約の見直しが要るので、早く伝えたほうが話がまとまりやすくなります。

たとえば、派遣先の上司に先に「辞めたい」と話してしまい、派遣会社から「なぜ先にこちらに言わなかったのか」と言われた人もいるかもしれません。その場合も、慌てずに派遣会社の担当者へ、同じ内容を期日と理由を添えて伝え直せば足ります。派遣先への挨拶や引き継ぎの段取りは職場ごとに違うので、派遣会社の担当者に確認します。

派遣の人も、契約期間の途中なら、辞められるかどうかは上の4つの型で決まります。派遣会社の担当者に伝えるときは、「満了で更新しない」のか「途中で辞めたい」のかを最初に言い分けると、担当者も次の手配を考えやすくなります。

途中退職で損害賠償と言われたら

「契約期間の途中で辞めるなら損害賠償を請求する」と言われることがあります。労働基準法16条は、違約金や損害賠償の額をあらかじめ決めておく契約を禁じています。ただし、実際に生じた損害の賠償まで一律に否定する条文ではありません。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法16条(e-Gov法令検索)

16条が禁じているのは、「途中で辞めたら〇万円」のように、額をあらかじめ決めておく約束です。契約書や就業規則にそうした定めがあっても、この条文に反する定めになります。一方で、厚生労働省は有期の契約について、契約期間満了前に退職するにはやむを得ない事由がなければならず、やむを得ない事由もなく任意に退職したことによって会社に不測の損害を与えたような場合には、損害賠償責任が発生するなどのリスクがあるので注意が必要だと説明しています(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」)。

つまり、正しい大きさはこうです。辞めたら必ず払わされるわけではありませんし、絶対に請求されないとも言えません。請求されうるのは、やむを得ない事由もなく一方的に辞めて、会社に実際の損害が生じたような場合で、損害が本当にあったのか、どのくらいなのか、辞め方に問題があったのかは、事案ごとに変わります。628条の後段のとおり、やむを得ない事由が自分の過失で生じた場合も、賠償の責任が問題になりえます。

言われたこと 条文で言えること 次の一手
「途中で辞めたら違約金〇万円」 額をあらかじめ決める契約は労働基準法16条が禁止 契約書・就業規則の該当箇所を写して保管
「損害賠償を請求するぞ」(口頭) 実際の損害が無ければ請求の前提を欠く。あっても事案次第 言われた日時・相手・内容をメモし、合意での退職を探る
書面で具体的な金額を示された 損害の有無・額・辞め方で判断が分かれる 書面と契約書・やりとりの記録を持って弁護士へ

たとえば、口頭で「辞めるなら損害賠償だ」と言われただけで、具体的な損害の話が出ていないなら、まずは言われた内容をメモに残し、期日と引き継ぎを示して合意での退職を改めて頼みます。引き継ぎの一覧を渡しておけば、損害が出ないように手を尽くした記録にもなります。書面で金額を示されたときは、自分だけで判断せず、弁護士に見てもらう段階です。

編集部の整理では、損害賠償の不安を小さくする一番の方法は、条文で言い返すことより、「やむを得ない事由もなく一方的に辞めた」と言われない辞め方を選ぶことです。合意を目指して期日と理由と引き継ぎを示し、そのやりとりを記録に残す。それだけで、厚生労働省が注意を促している場面からはかなり遠ざかります。

退職を認めてもらえない・言い出せないとき

合意を頼んでも会社が認めない、あるいは上司の前に立つと何も言えなくなる、という人もいます。そのときは、自分の型に戻って、取れる道を一つずつ確かめます。

会社が合意しないときに残る道は、満了まで待つか、やむを得ない事由で辞めるか、一年を超える契約で一年が過ぎていれば申し出るか、のどれかです。合意が得られないことと、辞められないことは同じではありません。やむを得ない事由に当たる事情があるなら、その事情と裏づけを書面にまとめて会社に伝え、日付を残します。一年経過後の申し出ができる人は、申し出た日を記録に残せば足ります。どちらにも当たらないなら、満了日を退職日として更新しないと伝えておき、その間の働き方(有給の消化など)を相談するのが、揉めずに確実に辞められる道です。

言い出せない場合は、伝える相手を変える方法もあります。直属の上司に言いにくいなら、その上の上司や人事、派遣の人なら派遣会社の別の担当者に伝えても構いません。労働の相談窓口に、契約書と事情のメモを持って相談すれば、自分がどの型に当たるかを一緒に整理してもらえます。

それでも自分では伝えられないときは、退職代行に意思を伝えてもらう方法があります。ただし、代行を使っても、契約期間の途中で辞められるかどうかの条件は変わりません。4つの型のどれに当たるかは、先に自分で確かめておきます。代行の運営の型によって、できることの範囲が違うと整理されています。

  • 民間の会社:本人の使者として、退職の意思を伝えるところまでとされる。退職日などの交渉はできない
  • 労働組合:意思の伝達に加えて、有給・退職日などについて団体交渉ができるとされる
  • 弁護士:交渉に加えて、損害賠償を請求されたときの対応や訴訟の代理までできるとされる

この線引きの背景には弁護士法72条があり、弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律事件について代理や和解などの法律事務を取り扱うことを業とすることは制限されています(出典:弁護士法72条(e-Gov法令検索))。条文は退職代行を名指ししているわけではありませんが、契約期間の途中で辞める話は、退職日をめぐるやりとりが要ることが多いので、交渉が要るなら労働組合と連携しているところか弁護士を、会社から損害賠償を言われているなら弁護士を選ぶのが筋です。

たとえば、退職代行Jobsは、運営会社自身は連絡の取次や交渉を行わず、交渉が要る場合は連携する労働組合(合同労働組合ユニオンジャパン)が団体交渉として行う形をとっています(2026年10月7日に公式サイトで確認)。「顧問弁護士監修」という表記は、弁護士が代理人として動くという意味ではありません。詳しくは 退職代行Jobsの対応範囲 で整理しています。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

契約期間の途中で辞めたいと伝えても認めてもらえない、自分ではもう言い出せない場合は、退職日の話し合いを任せる方法もあります。交渉が要るなら、労働組合と連携しているところか弁護士を選んでください。会社から損害賠償を言われているなら、弁護士に相談するのが先です。

退職代行Jobsの料金と対応範囲を公式サイトで見る

使わなくていい場合

書類に記入する手元

退職代行を使わずに、自分で伝えて足りるのは次のような人です。契約社員・派遣の退職は、会社や派遣会社と話して期日を決めることが中心なので、話ができる相手がいるなら、代行に払うお金をかけなくても進められます。

  • 満了で辞めるつもりで、更新しないと伝えるだけでいい
  • 上司や派遣会社の担当者と普通に話せて、期日と理由を伝えられる
  • 引き止められても、決めた期日を言い直せる
  • 一年を超える契約で一年が過ぎていて、申し出るだけで足りる

どれかが崩れているとき、たとえば担当者と連絡が取れない、話すたびに押し戻されて期日が決まらない、職場に行くと体調を崩すほど追い詰められている、という場合は、無理に1人で伝えようとしなくて構いません。上の枠のとおり、型に合う方法を選んでください。

たとえば、満了まで残り少ない契約社員で、上司とも普通に話せる人なら、「次は更新しません」と伝えてメールで日付を残すだけで済みます。ここで代行を使っても、辞められる日は満了日のまま変わりません。一方、損害賠償を言われて身動きが取れなくなっている人は、代行より先に弁護士への相談を考えるのが順番です。

編集部の整理では、代行を使うかどうかの分かれ目は「話せるか」ではなく「話して期日が決まるか」です。話せて決まるなら自分で、話しても決まらないなら手を借りる、と考えると迷いが減ります。

次に読むもの

期間の定めがない雇用で、2週間の数え方や就業規則との関係を確かめたい人は 退職は何日前に言う? へ。合意を頼む書面で迷う人は 退職届と退職願の違い と 退職届の書き方 へ。辞めたあとの失業保険で離職の理由の扱いが気になる人は 会社都合になる条件 へ。

よくある質問

契約社員はいきなり辞められますか?

契約期間の途中なら、原則として一方的にいきなり辞めることはできません。例外は、やむを得ない事由があるとき(民法628条)と、一年を超える契約で初日から一年が過ぎているとき(労働基準法附則137条)です。どちらにも当たらなくても、会社と合意できればその日に辞められます。

契約社員は何日前に退職を伝えればいいですか?

正社員の「申し入れから2週間」は、期間の定めのない雇用の決まりで、契約期間の途中の人にはそのまま当てはまりません。契約書や就業規則に定めがあればそれを確かめ、会社と合意して退職日を決めます。満了で辞めるなら、更新の話が出る前に伝えておくと行き違いが起きません。

一年働けば、契約社員でもいつでも辞められますか?

働いた年数ではなく、いまの契約の期間で決まります。1つの契約の期間がもともと一年を超えていて、その初日から一年が過ぎていれば、申し出ていつでも辞められます。半年ごとの更新を重ねている人や、高度の専門的知識等を持つ労働者・満60歳以上の労働者などは当たりません。

派遣は派遣先と派遣会社のどちらに先に言えばいいですか?

雇用契約を結んでいるのは派遣会社なので、派遣会社の担当者に先に伝えるのが基本です。派遣先への伝え方や引き継ぎの段取りは、派遣会社の担当者に確認します。

契約期間の途中で辞めると損害賠償を請求されますか?

必ず請求されるわけでも、絶対に請求されないわけでもありません。違約金や賠償額をあらかじめ決める契約は労働基準法16条が禁じていますが、やむを得ない事由もなく辞めて会社に実際の損害を与えた場合はリスクがある、と厚生労働省は説明しています。合意を目指して辞め、書面で請求されたら弁護士に相談してください。

契約社員でも退職届は必要ですか?

途中で辞める場合は合意を頼む立場なので、まず退職願で申し込み、合意した退職日を書面やメールで残すのが行き違いを防ぐ方法です。会社に決まった様式があればそれに合わせます。書き方は 退職届の書き方 にまとめています。

契約期間の途中で辞めても、退職代行は使えますか?

使えますが、途中で辞められるかどうかの条件は代行を使っても変わりません。退職日について交渉が要るなら労働組合と連携しているところか弁護士、損害賠償を言われているなら弁護士を選びます。

数字だけ、もう一度

  1. 4つの型:満了で更新しない/合意して途中で辞める/やむを得ない事由で直ちに辞める(民法628条)/一年を超える契約で一年経過後に申し出る(労働基準法附則137条)
  2. やむを得ない事由:あれば直ちに辞められる。事由が自分の過失で生じたときは損害賠償の責任を負うことがある
  3. 一年を超える契約:初日から一年を経過した日以後、申し出ていつでも。「一年働けば」ではない。高度の専門的知識等を持つ労働者・満60歳以上の労働者などは対象外
  4. 正社員との違い:申し入れから2週間(民法627条1項)は期間の定めのない雇用の決まり
  5. 派遣:雇用主は派遣会社。辞める意思はまず派遣会社に
  6. 損害賠償:違約金や賠償額の予定は禁止(労働基準法16条)。実際の損害の請求は事案次第
  7. 会社側の決まり:会社も、やむを得ない事由がなければ期間途中に解雇できない(労働契約法17条)

契約社員・派遣の途中退職でいちばん大事なのは、「辞められるか、辞められないか」の二択で考えないことです。満了で辞めるのか、合意を頼むのか、やむを得ない事由があるのか、一年を超える契約で一年が過ぎたのか。契約書の期間と初日を見て自分の型を決めれば、言うべき相手も、言う言葉も、言う日も決まります。派遣の人はまず派遣会社へ、損害賠償が怖い人は合意と記録を先に。そこまで決めてから話を切り出せば、引き止めや脅しの言葉に押し戻されずに、自分で決めた日に辞める道筋が見えてきます。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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