- 試用期間中に「明日から来なくていい」と言われた。入社何日目かで何が変わる?
- 入社して2週間たたないうちに、今日付けでクビと言われた。予告も手当もないの?
- 14日を超えていたら、30日前に言ってもらえるはず?
- 解雇予告手当はいくらになる?どうやって計算するの?
- 試用期間が終わるときに「本採用はしない」と言われた。これも解雇?
- 「自己都合で退職届を書いて」と言われた。書いていい?
- 入社して数か月で解雇されたら、会社都合になる?失業保険は出る?
- 弁護士に頼まないといけない?どこに相談すればいい?
上記のような悩みに答えます。
試用期間中の解雇は、「お試しの期間だから会社はいつでも辞めさせられる」と受け取られがちですが、試用期間が付いていても雇用契約は始まっていて、会社から終わらせるには法律の決まりがかかります。検索で上位に出るのは、会社の人事担当者向けの解説や法律事務所の記事が多く、解雇してよい理由の類型や通知書の書き方が中心です。告げられた側が「今日が入社何日目なら何を受け取れて、その場で何を確かめればいいか」は、1つの小見出しで終わっていることが少なくありません。そこで、14日の境目・30日前の予告・解雇が無効とされる場合を定めた条文という基本を押さえたうえで、入社日数で3つに分けた早見表、告げられた日にサインする前に確かめること、離職票の区分、入社間もない解雇で失業保険の受給資格があるかまで、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。
試用期間中でも、入社から14日を超えて働いていれば、会社は30日前に予告するか、足りない日数分の平均賃金(解雇予告手当)を払う必要があります(労働基準法20条・21条)。14日以内なら予告の決まりはかかりません。ただし、予告の有無と、解雇そのものが有効かどうかは別の話です(労働契約法16条)。解雇(本人の重大な責任による解雇を除く)で辞めた人は、ハローワークで特定受給資格者と判定されれば給付制限はかかりません。ただし失業保険を受けるには、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上要ります(前の会社の期間を合わせられる場合があります)。
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試用期間中の解雇は入社日数で3つに分かれる
試用期間中の解雇で、受け取れるものと確かめることは、入社から何日たっているかで3つに分かれます。14日以内、14日を超えた試用期間の途中、そして試用期間の満了時です。
分かれる理由は、労働基準法が解雇の予告を定めたうえで、試用期間中の人については14日まで例外にしているからです。14日を超えて引き続き使用されると、この例外から外れます(労働基準法21条ただし書)。一方で、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は無効とされ(労働契約法16条)、これは日数に関係なくかかります。
| 入社からの日数 | 予告・予告手当 | 必ず確かめること |
|---|---|---|
| 14日以内 | 予告の規定は適用されない | 解雇の理由、雇用契約書の契約期間欄、言われた日付 |
| 14日を超えた試用期間の途中 | 30日前の予告か、足りない日数分の平均賃金 | 予告の日と最終日、予告手当の額と支払い方、理由 |
| 試用期間の満了時(本採用しない) | 期間の定めのない契約なら、同じく30日前の予告か予告手当(有期契約の満了は別の扱い) | 本採用しない理由、契約期間に定めがあるか |
たとえば、入社して1週間で「合わないから今日まで」と言われた人は表の1行目、入社して1か月半で同じことを言われた人は2行目です。試用期間を3か月と決めている会社で、その終わりに「本採用はしない」と言われた人は3行目になります。2行目と3行目は、予告の扱いが同じでも、会社が挙げる理由の性質が違うので、下で項を分けています。
告げられたら、まず雇用契約書(労働条件通知書)で入社日を確かめ、今日が何日目かを数えてください。そのうえで表のどの行かを決めると、会社に聞くべきことがはっきりします。
- 解雇予告の規定は適用されない
- 労働契約法16条がかかるのは同じ
- 30日前の予告か、予告手当
- 労働契約法16条がかかるのは同じ
入社14日以内の解雇は予告が要らない

試用期間中で、入社から14日を超えていない人には、30日前の予告も予告手当も、労働基準法の上では求められていません。労働基準法21条が、試用期間中の人を解雇予告の規定の対象から外しているからです。
前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。 但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。 一 日日雇い入れられる者 二 二箇月以内の期間を定めて使用される者 三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者 四 試の使用期間中の者
条文の「前条」は解雇の予告を定めた20条で、「第四号」が試用期間中の人です。読み落としやすいのは、外されているのが予告の手続きだけだという点です。条文には「14日以内なら理由なく辞めさせてよい」とは書かれていません。解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は無効とされ、これは日数にかかわらず労働契約法16条で決まっています。
境目の数え方にも注意がいります。条文の言葉は「十四日を超えて引き続き使用される」で、暦の日で数えるのか、休日をどう扱うのかは条文からは読み切れません。ちょうど境目にいる人は、入社日と告げられた日を書いたメモを持って、労働基準監督署で確かめてください。
それでも、14日以内の人にも確かめておくことはあります。
- 解雇の理由を、会社がどう説明したか(言葉のまま書き残す)
- 雇用契約書の契約期間欄に、期間の定めがあるか
- 告げられた日付と、最後に働く日
- 働いた日の分の給料がいつ払われるか
たとえば、入社して数日で「社風に合わない」と言われた人は、予告手当を求めることはできません。ただ、その説明に納得がいかない場合に、解雇が有効かどうかを相談する道は残っています。予告がないことと、解雇が正しいことは同じではないので、口頭だけで終わらせず、理由をメモかメールで残しておくのが、この時期の人にできる一番の備えです。
14日を超えたら30日前の予告か予告手当

試用期間中でも、入社から14日を超えて働いている人を解雇するには、会社は少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を払う必要があります。予告が30日に足りないときは、足りない日数分の平均賃金を払えば、その日数だけ予告を短くできます。
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
予告が30日に足りないときは、足りない日数分の平均賃金を払うことで補います。厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、予告が足りない日数で行われたときは、足りない日数分以上の平均賃金を受け取る権利があると説明しています。ただし書の「労働者の責に帰すべき事由」による解雇は、所轄の労働基準監督署長の認定を受けた場合に限って予告なしでよい、という扱いです。会社が「あなたの責任だから手当は出ない」と言うだけでは足りません。
平均賃金は、労働基準法12条で次のように決まっています。
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。
この条の第1項には続きがあり、賃金が日給・時給・出来高などで決まっている場合に下回ってはならない最低保障額(ただし書)が定められています。賃金締切日があるときは直前の締切日から数えます(第2項)。
試用期間の人に関係するのは、さらに先の項です。雇入れから3か月に満たない人は、雇入れ後の期間で計算します(第6項)。第3項第5号は試みの使用期間を計算から外すと定めていますが、試用期間中に算定するときの扱いは施行規則に別の定めがあるので、給与明細を持って労働基準監督署で計算のしかたを聞いてください。
予告の日数と予告手当の関係は、次の計算例のように考えます。平均賃金は、仮の金額を置いています。
| 予告の仕方 | 足りない日数 | 予告手当(平均賃金を1日1万円と仮定) |
|---|---|---|
| 30日前に予告 | 0日 | 0円 |
| 10日前に予告 | 20日 | 1万円 × 20日 = 20万円 |
| 今日付けで解雇 | 30日 | 1万円 × 30日 = 30万円 |
たとえば、入社して2か月の人が「今月末で」と言われ、その日まで10日しかなかった場合は、足りない20日分の平均賃金を求めることができます。「今日付けで」と言われたなら30日分です。告げられたら、予告の日(いつ言われたか)と最終日(いつまで働くか)を必ずセットで書き残し、予告手当を払うのか、払うならいくらで、いつ・どう払うのかを会社に聞いてください。
試用期間の満了で本採用しないと言われたら
試用期間が終わるときに「本採用はしない」と言われた場合も、会社の側から雇用を終わらせる話です。試用期間が14日を超える契約なら、満了の時点では入社から14日を超えているので、21条の例外には当たらず、30日前の予告か予告手当の規定がかかります。
期間の定めのない雇用契約に試用期間が付いている場合、試用期間は契約の初日から始まっていて、満了したら別の契約を結び直すわけではありません。だから、満了時に会社が雇用を終わらせるのも、途中で辞めさせるのと同じく、会社からの意思表示です。満了日の当日に「明日から来なくていい」と言われた人は、予告の日数が足りていない可能性があります。
ただし、雇用契約書の契約期間欄に期間の定めがある人は、話が変わります。たとえば「3か月の有期契約で、更新するかは働きぶりで決める」という契約だと、満了時に更新しないのは解雇ではなく契約の期間が終わる話になり、見る決まりが別になります。
- 契約期間欄:「期間の定めなし」で試用期間が付いているか、「期間の定めあり」か
- 試用期間の長さと満了日がどこに書かれているか
- 本採用しない理由を、会社がどう説明したか
- 予告がいつあったか(満了日の何日前か)
本採用しない理由として「能力不足」「勤務態度」などが挙げられることがあります。その理由で解雇が有効かどうかは、指導があったか、どんな事情があったかで判断が分かれる法律の話で、この記事では扱いません。理由を書面でもらい、試用期間中に受けた指導や注意のメモ、評価の面談の記録をそろえて、下の「使わなくていい場合」の項の相談先へ持っていってください。
満了の少し前に、面談で本採用の話が出た段階なら、その場で何かに署名する前に、理由と最終日を確かめる時間があります。「書面でいただけますか」と頼み、その答えをメールで残しておくと、どちらに進んでも説明の材料になります。
解雇を告げられた日に確かめること

解雇を告げられた日にいちばん大事なのは、その場で書類に署名しないことと、理由・日付・言われた言葉を記録に残すことです。予告手当も、離職理由も、あとから説明できる材料があるかどうかで扱いが変わります。
試用期間中は、口頭だけで「今日まで」と言われることが少なくありません。口頭のやりとりだけだと、あとで「本人が辞めると言った」と言われたときに、解雇だったことを示すのが難しくなります。また、会社から退職届や「合意書」を出すよう求められて署名すると、形の上では自分から辞めた、あるいは合意して辞めたことになります。
| 確かめること | 聞き方・残し方の例 |
|---|---|
| 解雇なのか、退職のお願いなのか | 「これは解雇ということですか」と聞き、答えを書き残す |
| 解雇の理由 | 書面でもらえるか頼む。口頭なら言葉のまま書く |
| 予告の日と最終日 | 「今日が予告の日で、最終日はいつですか」 |
| 予告手当 | 払うか、額、支払い日、支払い方 |
| 離職票 | 離職理由をどう書くか、いつ届くか |
解雇の理由を書面で求めること自体は、特別なことではありません。退職の事由について証明書を請求すれば、会社は退職証明書を遅滞なく出さなければならず、解雇の場合はその理由も含めて書くことになっています(労働基準法22条1項)。
たとえば、終業間際に上司に呼ばれ、「試用期間で見たけど、今日までにしてほしい。この書類にサインを」と言われた人は、「持ち帰って確認します」とだけ答えて、書類は受け取るか写真に撮っておきます。帰ったらすぐ、日時・場所・同席者・言われた言葉をメモにし、上司に「本日、解雇を告げられた件で、理由と最終日を書面でいただけますか」とメールします。これで、解雇を告げられた日付と内容が、会社とのやりとりとして残ります。
試用期間の解雇は会社都合になるか
試用期間中でも、会社から解雇されて辞めた人は、失業保険では特定受給資格者に当たる辞め方です。ただし、本人の重大な責任による解雇(重責解雇)は除かれ、どちらに当たるかを最終的に判定するのはハローワークです。
特定受給資格者の範囲を定めた雇用保険法施行規則36条には、「解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)」が挙げられています。試用期間中かどうかで分ける書き方にはなっていません。重責解雇と判定されると、自己都合と同じく給付制限がかかり、労働局のリーフレットは重責解雇の給付制限を3か月としています。
出典:雇用保険法施行規則36条(e-Gov法令検索)/群馬労働局・ハローワーク リーフレット
会社が書いた離職理由は、離職証明書(本人に届くのは離職票-2)の離職理由欄(⑦欄)に出ます。厚生労働省の注意書きでは、この欄の区分は次のとおりです。
- 1 事業所の倒産等によるもの
- 2 定年によるもの
- 3 労働契約期間満了等によるもの
- 4 事業主からの働きかけによるもの((1)解雇、(2)重責解雇、(3)希望退職の募集又は退職勧奨)
- 5 労働者の判断によるもの
- 6 その他
出典:厚生労働省「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」
注意書きは、この区分が事業主の主張を把握するための便宜上の分類で、特定受給資格者の判断基準とは違い、最終的な判定はハローワークが行う、とも書いています。解雇された人なら、離職票が届いたら「4」の(1)に○が付いているか、自己都合の「5」になっていないかを見てください。解雇の場合に持っていく資料として、注意書きは解雇予告通知書・退職証明書・就業規則などを挙げています。
たとえば、解雇を告げられた後に「自己都合で退職届を出せば、経歴に傷がつかない」と言われ、退職届を書いた人は、離職理由が「5」になっていることがあります。その場合も、解雇を告げられた日のメモやメールを持って窓口で事情を話せますが、最初から署名しないほうが説明は短く済みます。離職理由が違っていたときの流れは 会社都合退職になる条件、会社都合にしてもらうための動き方は 会社都合にしてもらうには にまとめています。
入社間もない解雇で失業保険は出るか
入社間もない解雇で失業保険が出るかは、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算6か月以上あるかが分かれ目です。一般の離職者の条件は「離職の日以前2年間に12か月以上」ですが、解雇で特定受給資格者と判定されれば、離職の日以前1年間に6か月以上でも満たせます。
ここが入社間もない人のいちばんの壁です。今の会社に入って2か月なら、今の会社の分だけでは6か月に届きません。ただし、前の会社の被保険者期間を合わせられる場合があります。厚生労働省のQ&Aは、前の会社を辞めてから雇用保険(再就職手当などの就職促進給付を含む)を受給せず、1年以内に次の就職先で雇用保険に加入した場合は、前の会社の期間も通算されると説明しています。通算にはほかにも条件があるので、前の会社の離職票を持ってハローワークで確かめてください。
出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」/厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
| 入社前の状況 | 前の会社の期間 | 見通し |
|---|---|---|
| 学校を出て初めての就職 | なし | 今の会社の分だけで数える |
| 前の会社を辞めて1年以内に入社し、その間に失業保険を受け取っていない | 合わせられる場合がある | 前の会社の分と合わせて6か月以上かを見る(ほかの条件もハローワークで確認) |
| 前の会社のあとで失業保険や再就職手当を受け取った/入社まで1年を超えて空いた | 通算の条件に当たらない見込み | 今の会社の分だけで数える |
被保険者期間の1か月は、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月です。11日以上の月が足りないときは、80時間以上の月も1か月として数えます。入社が月の途中だった人は、区切り方で1か月に数えられるかが変わるので、正確な月数はハローワークで確かめてください。
たとえば、前の会社に3年いて、辞めた翌月に今の会社へ入り、試用期間の2か月目で解雇された人は、失業保険を受け取っていなければ前の会社の期間を合わせて、条件を満たす見込みがあります。一方、新卒で入って2か月で解雇された人は、今の会社の分だけでは足りません。受給できると分かったら、待期の7日が過ぎた後から支給の対象になり、解雇(重責解雇を除く)なら給付制限はかかりません。日額と日数は計算ツールで見て、手続きの順番は 失業保険のもらい方 を参考にしてください。
「合意退職で」と持ちかけられたら
試用期間中に「解雇ではなく、合意で退職にしよう」と持ちかけられることがあります。これは解雇の通知ではなく退職のお願い(退職勧奨)で、合意退職は本人が応じて初めて成立します。解雇のときの30日前の予告や予告手当の規定は合意退職にはかからないので、その場で署名せず、解雇として扱われた場合との違いを確かめてから返事をしてください。勧奨に応じた場合の失業保険上の扱いと返事の保留のしかたは 退職勧奨に応じたら会社都合? にまとめています。
使わなくていい場合
解雇予告手当が払われない、理由を書いた書面を出してもらえない、といった手続きの問題だけなら、弁護士に頼まなくても、労働基準監督署に相談すれば足ります。予告や予告手当は労働基準法の決まりで、守られていないときに相談する窓口が労働基準監督署です。
退職代行も要りません。解雇は会社から雇用を終わらせる意思表示で、自分から辞めると伝える場面ではないからです。辞める側の手続きを代わってもらう必要がそもそもありません。自分から辞めることにした場合の何日前の決まりは 試用期間の退職は何日前? にまとめています。
| 困っていること | 相談先 | 持っていくもの |
|---|---|---|
| 予告手当が払われない・予告が足りない | 労働基準監督署 | 雇用契約書、給与明細、告げられた日と最終日のメモ |
| 解雇の理由に納得できない | 都道府県労働局の総合労働相談コーナー | 理由の書面かメモ、指導・注意の記録 |
| 解雇が有効かを争いたい・慰謝料などを求めたい | 弁護士 | 上の全部と、会社とのメール |
| 離職理由が自己都合にされた | ハローワーク | 離職票、解雇を告げられた記録 |
解雇が有効か無効かは、会社が挙げた理由の中身(能力不足か勤務態度かなど)と、会社が指導や改善の機会を設けたかなどで分かれます。自分の場合にどちらに近いかは、理由の書面と指導・注意の記録を並べると見えてきます。まず無料の総合労働相談コーナーに記録を持って聞き、争う・金銭を求める段階になったら弁護士へ。手続きの問題(手当・書面・離職理由)と解雇そのものの是非を分けて考えると、行き先が決まります。
次にやること
解雇を告げられた日から、失業保険の手続きまでを順に並べます。
- 告げられた当日:雇用契約書で入社日を確かめ、14日以内か、それを超えているかを数える
- その場で:解雇なのか退職のお願いなのかを聞き、書類には署名せず持ち帰る
- 当日中:日時・言われた言葉・最終日をメモし、理由を書面で求めるメールを送る
- 14日を超えていたら:予告の日と最終日から足りない日数を数え、予告手当の額と支払い日を聞く
- 離職票が届いたら:離職理由欄(⑦欄)が「4」の(1)解雇になっているかを見る。届かないときは 離職票が届かないとき の順で動く
- ハローワークで:前の会社の期間も含めて被保険者期間が足りるかを確かめ、求職の申込みをする
会社都合と判定された後に何日分・いくら出るかは 会社都合の失業保険 で整理しています。自分の数字は 失業保険の計算ツール で、離職理由を切り替えて確かめてください。
よくある質問
試用期間中ならクビにできますか?
試用期間中でも雇用契約は始まっていて、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は無効とされます(労働契約法16条)。入社から14日を超えていれば、30日前の予告か予告手当の手続きも要ります。自分の解雇が有効かどうかは、理由と経緯の記録を持って相談先で確かめてください。
試用期間中に解雇される確率や、クビになる前兆はありますか?
確率や前兆を示せる公的な数字はなく、この記事では書きません。告げられたときに、理由・日付・最終日を記録し、署名を急がないことのほうが、後の扱いに直結します。
試用期間中に休みが多いと解雇されますか?
休みの理由や回数、会社の就業規則、指導があったかで判断が分かれるので、一律には言えません。解雇を告げられたら、休んだ日と理由、会社とのやりとりをまとめて、総合労働相談コーナーか弁護士に相談してください。
予告手当をもらえば、即日解雇でも受け入れるしかないのですか?
予告手当は予告の手続きを満たすためのお金で、解雇が有効かどうかとは別の話です。手当を受け取ったことと、解雇の理由に納得したことは同じではありません。理由に疑問があるなら、手当の有無とは分けて相談してください。
試用期間中の解雇は会社都合になりますか?
解雇(本人の重大な責任による解雇を除く)で辞めた人は、特定受給資格者に当たる辞め方です。判定はハローワークが行うので、離職票の離職理由欄を確かめ、違っていれば記録を持って窓口で説明してください。
入社1か月で解雇されても失業保険は出ますか?
離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あるかで決まります。今の会社の分だけでは足りなくても、前の会社を辞めてから失業保険を受け取らずに1年以内に入社していれば、前の会社の期間を合わせられる場合があります。
数字だけ、もう一度
- 14日:試用期間中の人は、入社から14日を超えて働くまでは解雇予告の規定が適用されない(労働基準法21条)
- 30日:14日を超えたら、30日前の予告か、30日分以上の平均賃金。予告が足りなければ足りない日数分(労働基準法20条)
- 平均賃金:算定する日以前3か月間の賃金の総額÷その期間の総日数が原則。雇入れ3か月未満は雇入れ後の期間で計算。試用期間中の算定は施行規則に別の定めがあるので労基署で確かめる(労働基準法12条)
- 解雇の有効性:日数にかかわらず、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない場合は無効(労働契約法16条)
- 離職理由:解雇は離職票の区分4の(1)。重責解雇は(2)で、給付制限3か月
- 給付制限:解雇(重責解雇を除く)ならかからない。待期7日のあとに支給の対象
- 受給資格:特定受給資格者は離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上。1か月は11日以上(足りなければ80時間以上)の月
- 通算:前の会社のあと失業保険を受け取らず、1年以内に入社して加入していれば、前の会社の期間も合わせられる場合がある(ほかにも条件あり)
試用期間中に解雇を告げられたとき、最初に数えるのは「入社から何日目か」です。14日以内か、それを超えているかで予告手当を求められるかが決まり、どちらの場合も、労働契約法16条で解雇が無効とされる場合があることは変わりません。そのうえで、署名を急がず、理由と日付を書面とメールで残しておけば、予告手当の相談にも、離職理由の確認にも、失業保険の手続きにも、同じ記録がそのまま使えます。

