転職活動は在職中と辞めてからのどっち?失業保険と再就職手当の差額と空白期間

  • 在職中に探すのと、辞めてから探すのと、お金の面ではどっちが得?
  • 辞めてから探すと、失業保険はいつから入るの?
  • 次の会社に退職日の翌日から入るなら、失業保険はもらえない?
  • 再就職手当って、在職中に決めた人でももらえる?
  • 1日でも間が空いたら、健康保険と年金はどうなる?
  • 空白期間のために、いくら貯めておけばいい?
  • 在職中に転職活動をしたら、会社にばれない?違法にならない?
  • もう心身が限界で、在職中に探す余裕がない

上記のような悩みに答えます。

在職中に探すか、辞めてから探すかは、転職の進め方の話に見えて、実はお金の流れが大きく変わる分かれ道です。在職中に次を決めれば給料も社会保険も途切れませんが、失業保険も再就職手当も出ません。辞めてから探せば失業保険の受給に進めますが、受給が始まるまでの無収入の期間と、健康保険・年金の切替を自分で背負います。人材会社の記事は「在職中が有利」と進め方のコツを並べ、AI要約は両方のメリットとデメリットを並べますが、どちらの順番を選ぶと手元のお金と手続きがどう動くのかを、条文と公的な資料の数字で並べたものはあまり見かけません。そこで、失業保険・再就職手当・社会保険の3つで2つの順番を比べ、空白期間に用意するお金の数え方と、辞めてから探していい場合まで、雇用保険法・健康保険法の条文と厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構の資料で確かめながら整理しました。

先に答え

在職中に次を決めて退職日の翌日に入社すれば、失業保険も再就職手当も出ませんが、収入と社会保険は途切れません。先に辞めて探すと、受給が始まるまでの無収入の期間と、健康保険・年金の切替が要ります(2026年10月時点)。

2026年10月時点の制度で確かめています

辞めてから探す場合の自分の基本手当日額と、最初に振り込まれる時期の目安は 失業保険の計算ツール で出せます。

目次

在職中と辞めてからでお金はどう違う?

2つの順番の違いは、「給料が途切れるかどうか」と「雇用保険の給付に進むかどうか」の2点に集約されます。在職中に決めて翌日に入社すれば給料は途切れず、給付には進みません。辞めてから探すと給料は止まり、給付に進む代わりに、受給が始まるまでの無収入の期間と社会保険の切替を自分で引き受けます。

この差が生まれるのは、雇用保険法が失業を「離職したうえで、職業に就くことができない状態」と定めているからです。在職中に次の会社を決めた人は、辞めたあとも仕事に就けない状態になりません。だから給付の出番が来ない一方で、給料も会社の健康保険・厚生年金もそのまま次の会社へつながります。辞めてから探す人は、仕事に就けない状態がはっきりあるので給付の対象になりえますが、その状態が始まってから最初の入金までには、法律で決まった待ちの期間があります。

比べること 在職中に決めて翌日入社 辞めてから探す
給料 途切れない 退職日で止まる
失業保険(基本手当) 出ない(失業の状態にならない) 受給資格があれば出る。待期7日、自己都合なら原則1か月の給付制限のあと
再就職手当 出ない(受給資格者が対象) 受給中に早く決まれば、残日数の70%か60%が出る
健康保険・年金 次の会社へ切れ目なく移る 自分で国民健康保険か任意継続、国民年金へ切り替える
雇用保険の加入期間 給付を受けず1年以内に次の会社で加入すれば通算される(条件あり) 給付を受けた場合は、この通算の条件に当たらない
翌日入社か、辞めてから探すか
在職中に決めて翌日入社

  • 給料は途切れない
  • 失業保険も再就職手当も出ない
  • 健康保険と年金はそのまま次の会社へ
辞めてから探す

  • 給料は退職日で止まる
  • 待期7日、自己都合なら給付制限のあとに失業保険
  • 国民健康保険か任意継続、国民年金へ自分で切り替え

転職そのものは珍しいことではありません。厚生労働省の雇用動向調査では、令和7年に転職して入職した人は5,061.8千人、転職入職率は9.9%でした(厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」)。この数には、間を空けずに次の会社へ移った人も、辞めてから探した人も入っていて、どちらが何割かはこの調査からは分かりません。どちらの順番も、ふつうに選ばれている進め方です。

たとえば、今の会社で毎月の給料が手取りで暮らしを支えていて、貯金が数か月分に届かない人なら、給料が途切れないことの重みは大きくなります。反対に、会社都合で辞めることが決まっていて給付制限がかからない人や、貯金に余裕がある人なら、辞めてから探しても無収入の期間を乗り切りやすくなります。同じ「どっちが得?」でも、答えは離職理由と貯金の厚みで動きます。

迷ったときは、まず「失業保険をもらえるかどうか」ではなく、「給料が止まってから次の給料が入るまで、何日を自分の貯金で持たせるか」で比べてください。その日数の数え方は、下の「空白期間に用意するお金の数え方」の項で手順にしています。

翌日入社なら失業保険は出ない

退職日の翌日に次の会社へ入るなら、失業保険(基本手当)は出ません。雇用保険法は「失業」を、離職したうえで仕事に就けない状態と定めていて、翌日から働き始める人はその状態にならないからです。

雇用保険法4条3項は、失業を次のように定めています。

この法律において「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。

雇用保険法4条

条文が言っているのは失業の定義までで、「翌日に入社する人には支給しない」と直接書いた条文があるわけではありません。ただ、厚生労働省のパンフレットは、原則として求職者給付(基本手当など)の支給を受けられない人として「次の就職が決まっている人」を挙げています(厚生労働省「離職されたみなさまへ」)。失業の定義と、この運用を並べると、退職日の翌日に入社する人は給付の対象にならない、という結論になります。

再就職手当も同じです。再就職手当は、基本手当の受給資格者が、残りの日数を一定以上残して安定した仕事に就いたときに出る手当です(雇用保険法56条の3)。在職中に次を決めてハローワークで受給の手続きをしていない人は、そもそも受給資格者として手続きの中にいないので、対象になりません。

  • 退職日の翌日に入社する:失業の状態にならないので、基本手当は出ない
  • 再就職手当:基本手当の受給資格者が対象なので、手続きをしていない人は対象外
  • 内定が出てから辞めて、入社まで間を空ける:次の就職が決まっている人は原則として支給されない
  • 受給資格の決定(求職の申込み)より前から内定していた会社に入る:再就職手当の要件から外れる

見落としやすいのが3つ目と4つ目です。「どうせ入社まで1か月空くから、その間だけ失業保険を」と考えても、次の就職が決まっている人は原則として求職者給付を受けられません。ハローワーク「再就職手当のご案内」も、受給資格決定(求職申込み)の前から採用が内定していた会社に雇われた場合を、再就職手当の要件から外しています(ハローワーク「再就職手当のご案内」)。内定を持ったまま辞めて間を空けても、雇用保険からお金が戻る道は原則ありません。ただし状態によって支給できる場合もあるとパンフレットは書いているので、事情があるときはハローワークに相談します。

一方で、翌日入社には目に見えにくい得もあります。厚生労働省のQ&Aによると、雇用保険を受給せず、退職から1年以内に次の会社で雇用保険に入った場合は、前の会社での加入期間が通算されます(厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」)。自己都合などの一般の離職者の所定給付日数は、加入期間が1年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です(ハローワーク「基本手当の所定給付日数」)。加入期間を持ち越せば、次にもし辞めることになったとき、この区分が上がる方向に働きます。

たとえば今の会社に9年いる人が翌日入社で移れば、次の会社での期間と足して10年を超えたところで、次に辞めたときの区分が一段上がります。反対に、基本手当や再就職手当を受けた人は、通算の条件(給付を受けず、退職から1年以内に加入)に当たりません。自分の期間がどう数えられるかは、ハローワークで確かめてください。

辞めてから探すと受給はいつから?

辞めてから探す場合、失業保険はハローワークで求職の申込みをしてからの待期7日のあと、自己都合なら原則1か月の給付制限を経て、支給の対象になります。退職した日から数えるのではなく、申込みの日から数えるので、辞めてから申込みまでの日数がそのまま無収入の期間に足されます。

待期は辞めた理由に関係なくかかり(雇用保険法21条)、給付制限は正当な理由のない自己都合退職などの人に上乗せされます。2025年4月1日以降に正当な理由のない自己都合で辞めた人の給付制限は原則1か月です。退職日からさかのぼって5年のうちに、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を2回以上受けている人と、自分の責任による重大な理由で解雇された人は3か月です(厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」)。会社都合などで給付制限がかからない人は、待期のあとから支給の対象になります。給付制限の数え方や、教育訓練でなくなる条件は 給付制限1か月はいつから にまとめています。

辞めてから探す人の、入金までの並び
退職から申込みまで自分で決める日数
待期7日
給付制限自己都合なら原則1か月
認定と振込支給の対象になったあと

支給の対象になる日と、口座にお金が入る日は同じではありません。支給の対象になってから、ハローワークで失業の認定を受けて初めて振り込まれます。つまり、辞めてから探す人が貯金で持たせる期間は「退職日の翌日から、最初の振込まで」です。認定日はハローワークで渡される日程で決まるので、最初の振込の目安は 計算ツール で出してください。

もう1つの枠が、受給期間です。失業保険を受け取れる期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です(ハローワーク「基本手当について」)。辞めてしばらく休んでから申込みをすると、そのぶん支給の対象になる日が後ろへずれ、1年の中で受け取りきれない日が出ることがあります。

  • 退職してから申込みまで:給付は何も進まない。自分で決める日数
  • 待期:申込みの日から、失業している日が通算7日になるまで
  • 給付制限:待期のあと、自己都合なら原則1か月(人によって3か月)
  • 支給の対象になったあと:失業の認定を受けてから振り込み

たとえば自己都合で辞めて、退職の翌週に申込みをした人なら、無収入の期間は「申込みまでの日数+待期7日+給付制限1か月+最初の認定と振込までの日数」です。同じ人が会社都合で辞めていれば、給付制限の1か月がまるごと消えます。どちらにあたるかは、受給資格の決定のときにハローワークが離職理由を判定します。

辞めてから探すと決めた人がやることは、退職したらできるだけ早く申込みをすることです。申込みを早めると、辞めてから申込みまでの日数が減るぶん、無収入の期間を縮められます。手続きの流れ全体は 失業保険のもらい方 を見てください。

再就職手当で戻ってくる額

辞めてから探した人が、受給中に早く次の仕事を決めると、残りの日数分の一部が再就職手当として戻ってきます。給付率は、支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上3分の2未満なら60%です。3分の1未満になると、再就職手当は出ません。

辞めてから探す人にとっては、受給中に早く次の仕事が決まったときに、まだ受け取っていない残りの日数分の一部が、まとめて手当として出る仕組みです。額の式は、基本手当日額(上限あり)×支給残日数×給付率で、計算に使う日額の上限は、2027年7月31日までの額で、離職時60歳未満が6,745円、60歳以上65歳未満が5,454円です(毎年8月1日に見直されます)(ハローワーク「再就職手当のご案内」)。

計算例

仮の条件 在職中に決めて翌日入社 辞めてから探し、給付制限中に決まった 辞めてから探し、最後まで受け取った
基本手当日額5,000円・所定給付日数90日 0円(給料は途切れない) 5,000円×90日×70%=315,000円 5,000円×90日=450,000円(その期間の給料は無い)

式:基本手当日額×支給残日数×給付率。給付制限のあいだは基本手当が出ないので、支給残日数は減らない

この表で見てほしいのは、どの列も「0円より多いほうが得」とは言えないことです。在職中に決めた人は手当が0円でも、そのあいだ給料が入っています。辞めてから探して早く決まった人は手当を受け取れますが、それまでの無収入の期間を貯金で持たせています。最後まで受け取った人は手当の合計が一番多くても、その期間の給料はありません。

ただし、再就職手当は早く決まれば誰にでも出るものではありません。待期が終わってから就職したこと、就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること、1年を超えて勤めることが確実なこと、離職前の会社や、それと密接な関わりのある会社に就職したのではないこと、原則として雇用保険の被保険者になっていること、過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受けていないこと、求職の申込みより前から内定していた会社ではないことなど、ハローワークの案内には8つの要件が並んでいます。給付制限がある人は、待期のあと1か月のあいだに決まった就職は、ハローワークか職業紹介事業者の紹介によるものでないと対象になりません。要件の全体は 再就職手当の条件 に、額の境目と計算例は 再就職手当はいくら に分けてあります。

たとえば、給付制限がある人が、待期が終わってから1か月のあいだに知人のつてで決まった会社に入ると、紹介の経路の要件で対象から外れることがあります。その1か月を過ぎてから決まれば、この要件には当たりません。辞めてから探す人は、応募の経路も手当に効くことを頭に入れておいてください。

再就職手当の申請は、就職した日の翌日から1か月以内です(雇用保険法施行規則82条の5)。入社が決まったら、入社日より前にハローワークへ連絡して、書類と期限を聞いておきます。自分の日額は 計算ツール で出し、所定給付日数とあわせて上の式に入れれば、辞めてから探した場合に戻ってくる額の見当がつきます。

1日でも空くと要る保険の手続き

退職日の翌日に入社しない限り、健康保険と年金は自分で切り替えます。会社の健康保険と厚生年金の資格は、退職日の翌日に失われるからです(健康保険法36条・厚生年金保険法14条)。

翌日入社の人の場合、資格を失う日と次の会社で働き始める日が同じ日になるので、切替の手続きをする場面が生じません。日本年金機構も、国民年金への切替を、20歳以上60歳未満で、厚生年金を退職して次の会社に入るまで間が空く人の手続きとして案内しています。逆に言えば、1日でも間が空けば、その間の健康保険と年金をどうするかを自分で決める必要があります。

手続き 期限 どこへ 出典
国民健康保険に入る 14日以内 住んでいる市区町村の窓口 厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」
国民年金(第1号)に切り替える 退職日の翌日から14日以内 住んでいる市区町村の窓口 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
会社の健康保険を任意継続する 資格を失った日から20日以内 加入していた健康保険(協会けんぽ・健保組合) 健康保険法37条

健康保険は、国民健康保険に入るか、会社の健康保険を任意継続するかを選びます。任意継続に入れるのは、退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して2か月以上ある人です。任意継続は最長2年続けられますが(健康保険法38条)、保険料は在職中に会社と折半していた分も含めて全額本人負担です(協会けんぽ「任意継続」)。保険料のもとになる標準報酬月額には上限があり、協会けんぽの令和8年度の上限は32万円です(協会けんぽ「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」)。どちらが安いかは前年の所得や家族の人数で変わるので、任意継続はいくら と 任意継続と国保の切り替え で比べてください。

  • 国民健康保険:市区町村の窓口で、前年の所得をもとにした保険料の見込みを聞く
  • 任意継続:加入していた健康保険で、自分の保険料の額を聞く
  • 国民年金:市区町村の窓口で切替の届出をする(配偶者の扶養に入る場合は配偶者の勤務先を通す)
  • 住民税:会社で天引きされていた分の払い方が変わる。退職後の住民税 で確かめる

たとえば、月末に辞めて翌月の半ばに入社する人でも、間が空いている以上は切替が要ります。間が短くても、届出の期限(国民健康保険は14日以内、国民年金は退職日の翌日から14日以内)は変わりません。年金の切替の細かい流れは 退職後の年金 にまとめています。

空く日数が短い人ほど、手続きを忘れやすくなります。退職日と入社日が決まったら、その2つの日付を持って市区町村の窓口へ行き、「この間の健康保険と年金はどうなるか、保険料はいくらか」を聞くのが、取りこぼしのない順番です。

空白期間に用意するお金の数え方

空白期間に用意するお金は、「無収入の日数×1日あたりの生活費」に「その間の保険料と税金」を足して数えます。いくら貯めればいいかは人によって違うので、ここでは数え方の手順を示します。

一律の金額を示せないのは、無収入の日数が、離職理由(給付制限があるか)、申込みまでの日数、認定日の日程、次が決まるまでの期間で人ごとに変わるからです。辞めてから次が決まるまで何か月かかるかについて、この記事で確かめられた公的な数字はありません。だから「平均◯か月」に頼らず、自分の数字を入れて数えます。

空白期間に用意するお金の数え方
無収入の月数×月の生活費+空白期間の保険料と税金=用意しておく額
例(どれも仮の数字):(18万円+3万円)×2か月=42万円
計算例

例:月の生活費18万円、空白期間の保険料(国民健康保険と国民年金を合わせた仮の額)が月3万円、無収入の期間を2か月と置いた場合(どれも仮の数字)

  • 1か月に出ていくお金:18万円+3万円=21万円
  • 2か月分:21万円×2=42万円
  1. 無収入の期間を数える:退職日の翌日から、最初の振込(失業保険を受けるなら)か、次の会社の最初の給料日まで
  2. 月の生活費を出す:家賃・食費・通信費など、毎月出ていくお金
  3. 保険料を足す:国民健康保険か任意継続、国民年金の額を窓口で聞いて入れる
  4. 税金を足す:住民税の払い方が変わる分を入れる
  5. 受け取るお金を引く:失業保険を受けるなら、最初の振込の額を 計算ツール で出して差し引く

ここで落としやすいのが、次の会社の最初の給料日です。入社してもすぐに給料が入るとは限らず、締め日と支払日によっては、入社から最初の給料まで間が空きます。在職中に決めて翌日に入社する人でも、最初の給料日は内定のときに確かめておくと、家計の見通しが崩れません。

たとえば、上の例の人が会社都合で辞めて給付制限がかからなければ、最初の振込が早まるぶん、無収入の期間が縮みます。反対に、自己都合で給付制限が3か月になる人は、無収入の期間が長くなります。同じ生活費でも、離職理由1つで用意する額が変わることになります。

数えた額が貯金を上回るなら、辞めてから探すのは苦しい選択になります。その場合は、在職中に探すか、退職日を少し後ろにして貯金を積むかを考える材料になります。反対に、貯金で十分に持つと分かれば、辞めてから探すことへの不安は数字で小さくできます。

在職中に進めるときの順番

在職中に進める場合は、内定が出てから退職を伝え、退職日の翌日を入社日にそろえる順番が、お金と保険を途切れさせない形です。順番を逆にして先に退職を伝えると、内定が出なかったときに辞めてから探す形へ移ることになります。

在職中の転職活動で手間がかかるのは、面接の日程と今の仕事の両立、そして退職日と入社日の調整です。とくに退職日と入社日は、1日ずれるだけで社会保険の切替が要るかどうかが変わります。ここを最後に慌てて決めないために、先に順番を決めておきます。

会社にばれないかが気になる人は多いのですが、ここで「ばれない方法」は書きません。在職中の転職活動が法的にどう扱われるかまでは、この記事では確かめていません。副業や秘密保持、退職の申出については会社ごとの就業規則に決まりがあることがあるので、まず自分の会社の就業規則を読んでおくのが先です。

  • 就業規則を読む:退職の申出の時期、副業や秘密保持の決まり
  • 面接の日程:勤務時間外か、有給休暇を使って取る
  • 内定のとき:入社日と、最初の給料日を確かめる
  • 退職を伝える時期:退職は何日前に言うか で確かめる
  • 有給休暇の残り:退職日までに使えるかを、伝える前に数えておく

たとえば、内定先から「来月1日に入社してほしい」と言われた人は、今の会社の退職日をその前日にできるかを考えます。今の会社の引き継ぎで退職日が後ろにずれそうなら、入社日を後ろにしてもらえるかを内定先に相談します。退職日の翌日を入社日にできれば、ここまでで見た保険の切替は要りません。

入社日を調整するときに覚えておきたいのは、間を空けても、原則として雇用保険からお金は出ない、という点です。上の「翌日入社なら失業保険は出ない」の項で見たとおり、次の就職が決まっている人は原則として求職者給付を受けられません。休みを取りたいなら、その間の生活費と保険料を自分で持つ前提で、空ける日数を決めます。

辞めてから探していい場合

在職中に探すほうが、お金と保険は途切れません。それでも、辞めてから探すほうが合う人がいます。次に当てはまるなら、先に辞めることを選んでいい場面です。

在職中に探す前提は、今の職場で働き続けながら、面接と準備に時間と気力を割けることです。その前提が崩れているときに、無理に在職中にこだわる理由はありません。ここで並べるのは、辞めろという話ではなく、辞めてから探すことを選んでも筋が通る条件です。

  • 心身がもたない:在職中に探す気力が残っていない
  • 会社都合で辞める:給付制限がかからないので、無収入の期間が短くなる
  • 貯金が空白期間に足りる:上の「空白期間に用意するお金の数え方」で出した額を、貯金が上回っている
  • 職業訓練を受けて次に移りたい:決められた教育訓練を受けると給付制限がなくなる条件がある
  • 勤務時間が長く、面接の日程を取れない:在職中の活動がそもそも成り立たない

心身の不調で今すぐ働けない人は、働けない状態のあいだは失業の状態とは扱われず、失業保険を受けられないことがあります。病気などで長く働けない事情があるときは、受給期間を延ばせる場合があるので、退職したらまずハローワークで相談してください。健康保険の傷病手当金など、ほかの制度があてはまるかも、加入している健康保険で確かめます。

空白期間が面接で不利になるかを気にする人もいますが、採用でどれほど不利になるかを示す公的な数字は、この記事で確かめた範囲にはありません。面接で聞かれたときに、空白期間に何をしていたかを自分の言葉で説明できるようにしておくことが、本人にできる準備です。

たとえば、残業が続いて休日も面接の日程を取れず、体調も崩しかけている人なら、在職中に探す前提が成り立っていません。この場合は、空白期間に用意するお金を数えたうえで、辞めてから探す選択も候補に入ります。どちらを選んでも、判断の材料はこの記事で数えたお金と日数です。

Uターン転職で引っ越すなら移転費はいくら?ハローワークの支給条件と申請の時期

失業保険のもらい方は?退職後ハローワークでの手続き5段階と振込までの日程

よくある質問

在職中の転職活動は会社にばれますか?

ばれるかどうかを左右する決まりは、この記事では確かめていません。「ばれない方法」も書きません。副業や秘密保持の決まりは会社ごとに違うので、自分の会社の就業規則を読んでください。

在職中の転職活動は違法ですか?

この記事で確かめた雇用保険や社会保険の制度に、在職中の転職活動を禁じる決まりはありません。それ以外の扱い(就業規則や労働契約の側)は、この記事では確かめていません。迷うところは、就業規則を手元に置いて、都道府県の労働局の総合労働相談コーナーなどで聞いてください。

在職中の転職活動は難しいですか?

面接の日程と今の仕事の両立、退職日と入社日の調整があるので、手間はかかります。順番を「就業規則を読む→面接→内定と入社日→退職を伝える」と決めておけば、慌てずに済みます。日程を取れないほど働き方がきついなら、辞めてから探す条件に当てはまらないかも見てください。

退職日の翌日に入社したら、失業保険は1日分ももらえませんか?

翌日に入社する人は失業の状態にならないので、基本手当は出ません。在職中にハローワークで受給の手続きをしていないので、再就職手当の対象にもなりません。その代わり、給料と健康保険・厚生年金は途切れずに次の会社へ移ります。

内定をもらってから辞めて、入社まで1か月休んだら失業保険は出ますか?

次の就職が決まっている人は、原則として求職者給付を受けられません。受給資格決定(求職申込み)の前から内定していた会社に入る場合は、再就職手当の要件からも外れます。状態によって支給できる場合もあるとされているので、事情があるときはハローワークで相談してください。

辞めてから探すと、失業保険はいつ入りますか?

求職の申込みのあと待期7日、自己都合なら原則1か月の給付制限を経て支給の対象になり、失業の認定を受けてから振り込まれます。退職日ではなく申込みの日から数えるので、早く申込むほど入金も早まります。最初の振込の目安は計算ツールで出せます。

1日でも間が空いたら、健康保険と年金はどうすればいいですか?

会社の健康保険と厚生年金の資格は退職日の翌日に失われるので、国民健康保険(14日以内)か任意継続(資格を失った日から20日以内)、国民年金(退職日の翌日から14日以内)に切り替えます。退職日と入社日を持って市区町村の窓口へ行き、保険料の見込みもあわせて聞いてください。

数字だけ、もう一度

  1. お金の違い:在職中に決めて翌日入社なら給料と保険は途切れない。辞めてから探すと給付に進むが、無収入の期間と切替を背負う
  2. 翌日入社:失業の状態にならないので失業保険も再就職手当も出ない。給付を受けずに1年以内に次へ移れば加入期間は通算される
  3. 辞めてから探す:申込みのあと待期7日、自己都合なら原則1か月(人によって3か月)の給付制限。受給期間は原則として離職した日の翌日から1年間
  4. 再就職手当:支給残日数が3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%。日額の上限は60歳未満6,745円・60歳以上65歳未満5,454円。申請は就職した日の翌日から1か月以内
  5. 保険の切替:国民健康保険は14日以内、国民年金は退職日の翌日から14日以内、任意継続は20日以内(最長2年・全額本人負担・協会けんぽの上限32万円)
  6. 空白期間のお金:無収入の月数×月の生活費+保険料と税金。受け取る失業保険の額は計算ツールで出して差し引く
  7. 在職中の順番:就業規則を読む→面接→内定と入社日→退職を伝える→退職日の翌日に入社
  8. 辞めてから探していい場合:心身がもたない、会社都合、貯金が足りる、職業訓練を受ける、日程が取れない

在職中か辞めてからかは、どちらが正しいかの問題ではなく、給料が止まる日数を自分の貯金で持たせられるか、という数えられる問題です。在職中に決めれば給付はない代わりに何も途切れず、辞めてから探せば給付がある代わりに、そこに届くまでの日数と保険の切替を引き受けます。まずは自分の離職理由で給付制限がかかるかを確かめ、無収入の日数と生活費を数えてみてください。その数字が貯金に収まるかどうかが、選ぶ順番を考える大きな材料になります。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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