仕事を辞めたいのは甘え?向いてないと迷う時に先に見る、辞めたらいつ・いくら

誰もいない事務所
  • 仕事を辞めたいなんて、自分が甘えているだけ?
  • 向いてないのか、まだ慣れていないだけなのか分からない
  • ミスが続いて、周りに迷惑をかけている気がする
  • 頑張っているつもりなのに評価されない
  • 朝からやる気が出ず、何のために働いているのか分からない
  • 親や上司に「甘え」と言われそうで、誰にも話せない
  • 辞めたら失業保険はいつから、いくら入るの?
  • 次の職場でも同じことになったらどうしよう

上記のような悩みに答えます。

「仕事を辞めたいのは甘えか」と調べると、転職サービスやキャリア相談の記事が「甘えとは限らない」「辞めたほうがいいケース」を並べ、最後は次の職場探しへ案内する流れが目立ちます。けれど、甘えかどうかを誰かに言い切ってもらっても、辞めたあとの暮らしがどうなるかは見えないままで、後ろめたさも残ります。そこで、「向いてない」「合わない」の中身の分け方、転職した人が前の職場を辞めた理由の統計、辞める前に動かせることという基本を押さえたうえで、自己都合で辞めた場合に失業保険がいつ・いくら入り、何が出ていくかという数字まで、厚生労働省の雇用動向調査、ハローワーク・日本年金機構・総務省の資料、民法の条文で確かめながら整理しました。

先に答え

仕事を辞めたいのが甘えかどうかを決める公的な物差しはないので、決めなくてかまいません。先に、つらいのが仕事の内容・評価・人間関係・労働条件のどれかを分け、辞める前に動かせるものと、辞めた場合に失業保険がいつ・いくら入るかを並べてから選びます。自己都合で辞めると、待期7日のあと原則1か月の給付制限があります(2026年11月時点)。

自己都合で辞めた場合の自分の日額と、受け取れる日数の目安は 失業保険の計算ツール で出せます。

2026年11月時点の制度で確かめています

目次

甘えかどうかは、決めなくていい

誰もいない事務所

仕事を辞めたい気持ちが甘えかどうかを決める、公的な物差しはありません。厚生労働省の統計にも法律にも、「この理由なら甘え」「これなら甘えではない」と線を引いたものは見当たらないので、自分で判定しなくてかまいません。

判定しようとすると苦しくなるのは、「甘え」という言葉に中身がないからです。同じ「ミスが多くてつらい」でも、教わっていない業務を任されている人と、眠る時間を削って働いている人とでは、手の打ち方がまるで違います。それをひとまとめにして甘えかどうかで裁こうとすると、答えの出ない問いを何度もくり返すことになり、決められない自分をさらに責めてしまいます。

甘えかどうかを考える代わりに、次の3つを紙に書き出してみてください。

  • 特につらいと感じる場面(いつ・どこで・誰といるとき)
  • その場面が、どのくらいの期間続いているか
  • その場面が変われば働き続けられそうか、会社にいる限り変わらないと感じるか

たとえば、入社して半年ほどの人が「向いてない」と感じていて、書き出してみると「先輩に質問しにくく、同じミスをくり返す」場面が中心だったとします。この人のつらさは仕事の中身より教わり方にあるので、教わり方を変える相談から手を付けられます。同じ人が「毎日終電で、休日にも連絡が来る」場面を書いたなら、問題は働く時間の長さで、本人の向き不向きとは別の話になります。書く前は同じ「向いてない」でも、書いたあとでは打つ手が変わります。

親や上司に「甘えだ」と言われたときも、言い返して勝つ必要はありません。書き出したメモを見せて「どの場面がつらいのか」を話題にすれば、甘えかどうかという答えの出ない話から、何を変えればいいかという具体的な話に移せます。決めるのは、つらさの中身と、辞めた場合の数字の両方が見えてからで足ります。

「向いてない」の中身を5つに分ける

「向いてない」「合わない」と感じる理由は、仕事の内容・能力の生かし方・評価・人間関係・労働条件の5つに分けると、辞める前に動かせるものが見えてきます。分けるのは診断のためではなく、どこに手を打てるかを探すためです。

5つに分けると話が進むのは、理由ごとに相談する相手と、会社の中で変えられる範囲が違うからです。仕事の内容なら担当や部署の変更、能力の生かし方なら教わり方や確認の仕方、評価なら評価の基準の説明というように、それぞれに話を持っていく先があります。「向いてない」のひと言のままだと、上司に相談しても「もう少し様子を見よう」で終わることもあり、自分でも何を頼めばいいのか分かりません。

感じていること 中身の分け方 先に動かせるもの
仕事がつまらない・やりがいがない 仕事の内容 担当業務や部署の変更を、上司か人事に相談する
ミスが多い・仕事ができない気がする 能力の生かし方(教わり方を含む) ミスが出た手順を書き出し、教わり方や確認の仕方を相談する
頑張っても評価されない 評価 評価の基準と、何が足りないとされているかを面談で聞く
上司や同僚と合わない 人間関係 部署の変更を相談する、社外の窓口に話す
やる気が出ない・疲れが抜けない 労働条件(時間・休み) 有給休暇で休む、勤務時間を記録して相談する

どの行に当たるかを決めるのは、あなたです。2つ以上の行にまたがる人もいますし、その場合はつらさの大きい行から手を付ければ足ります。

たとえば「ミスが多いのは向いてない証拠では」と悩む人は、ミスが出た場面を3回分ほど書き出してみてください。毎回同じ手順で起きているなら、手順の教わり方か確認の仕組みの問題で、相談で変えられる余地があります。場面がばらばらで、疲れている日に集中しているなら、能力より労働条件の行に近く、休み方や働く時間から見直すことになります。「評価されないのは自分のせいでは」と感じる人も、評価の基準を聞く前に自分を責める必要はありません。基準が分からないまま頑張る方向がずれていることもあるので、まず面談で何を見られているかを聞きます。

人間関係の行に当たる人は、相手が上司か同僚か、嫌がらせがあるかどうかで、残しておく記録と辞めた場合の扱いが変わります。詳しくは 人間関係で仕事を辞めたい にまとめています。やる気が出ない状態が体調から来ているのかどうかは、医療の領分なので、ここでは扱いません。

表の行がはっきりしたら、次はその行に「辞めた場合」を並べます。辞めることも打つ手の1つで、ほかの手と同じ紙の上で比べれば、どちらを選んでも自分で選んだと言えます。

転職した人が前の職場を辞めた理由

厚生労働省の令和7年雇用動向調査で、転職入職者が前の職場を辞めた理由を見ると、男性は「給料等収入が少なかった」9.9%、「職場の人間関係が好ましくなかった」8.9%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」8.5%が並び、女性は労働条件12.9%、人間関係11.5%が続きます。「仕事の内容に興味を持てなかった」「能力・個性・資格を生かせなかった」も、男性で各5.2%、女性で4.6%と3.9%あります。

数字を読む前に、誰を数えた統計かを押さえておきます。転職入職者は、その年に前の職場(雇われて働いていた職場)から移って入った人で、自営業から移った人は含みません。つまり「辞めたいと思っている人全体」ではなく、「実際に辞めて次の職場に移った人」の内訳です。調査の表は男女別で、男女を合わせた値は載っていないため、ここでも男女を足さずに並べます。また、理由が分からない人も母数に含むので、各項目を足しても100にはなりません。

前の職場を辞めた理由 男 女
仕事の内容に興味を持てなかった 5.2% 4.6%
能力・個性・資格を生かせなかった 5.2% 3.9%
職場の人間関係が好ましくなかった 8.9% 11.5%
会社の将来が不安だった 6.9% 4.3%
給料等収入が少なかった 9.9% 8.6%
労働時間、休日等の労働条件が悪かった 8.5% 12.9%
その他の個人的理由 16.8% 23.8%

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」

表で値が大きいのは男女とも「その他の個人的理由」ですが、その中身は表からは分かりません。読めるのは、「向いてない」に近い仕事の内容や能力の項目も、人間関係や労働条件と同じ表の中に理由として並んでいる、ということです。ただし、この割合は「この理由なら辞めていい」「甘えではない」という基準ではありません。自分のつらさがどの行に近いかを考える手がかりにとどめてください。

同じ調査には、離職理由別の離職率という別の表もあります。令和7年の離職率(常用労働者に対する年間の離職者の割合・産業計・男女計)は13.7%で、そのうち「個人的理由」が10.2%、「事業所側の理由」が0.9%でした。ただしこちらの離職理由は、離職者がいた事業所が回答したものです。本人がどんな気持ちで辞めたかを数えた統計ではないので、「個人的理由が多い=合わないと感じて辞めた人が多い」とは読めません。

たとえば女性で、長い残業がつらくて辞めたいと感じている人なら、表の中では労働条件の12.9%の行に近いことになります。男性で、担当している仕事に興味が持てない人なら、仕事の内容の5.2%の行です。どちらの場合も、統計が教えてくれるのは「同じ理由で前の職場を離れた人がいる」ということまでで、辞めるかどうかを決める材料は、自分のメモと、このあと出す自分の数字です。

辞める前に動かせること

手帳と2本のペン

辞める前に動かせるのは、部署や担当を変える相談、有給休暇で休むこと、社外の相談窓口に話すことの3つです。どれも、試してから辞めるかどうかを考え直せます。

ここで挙げた3つは、つらさの原因が表の1つの行に絞れているときに、その原因に直接手を打てる方法です。辞めることは職場との関係ごと手放す選択なので、手を打てる原因が見つかったときは、同じ紙の上でそれも並べて比べます。

  • 部署・担当の変更の相談:原因が直属の上司なら、その上の上司か人事に。書き出したメモを持って行き、どの場面を変えたいかを具体的に伝える
  • 有給休暇:残りの日数は給与明細や勤怠システムで確かめる。休んだあとも気持ちが変わらないかを確かめる期間にもなる
  • 総合労働相談コーナー:都道府県労働局や全国の労働基準監督署内などにあり、無料・予約不要・秘密厳守。配置転換、いじめ・嫌がらせ、パワハラなど労働問題のあらゆる分野を、専門の相談員が面談か電話で受ける
  • こころの耳電話相談(厚生労働省):0120-565-455、平日17:00〜22:00・土日10:00〜16:00(祝日・振替休日・年末年始を除く)。仕事や人間関係の悩み、メンタルヘルス不調などを話せ、1回は最大20分が目安。病名の診断や、各種給付金の適用、ハラスメントに当たるかどうかの判断は対象外

出典:厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」/こころの耳「働く人の『こころの耳電話相談』」

2つの窓口は、話す中身で使い分けます。気持ちの整理がつかず、まず誰かに聞いてほしいときは、こころの耳。会社の扱いが法律に照らしておかしくないか、異動や退職のルールはどうなっているかを聞きたいときは、総合労働相談コーナーです。こころの耳は失業保険や退職の判断には答えない窓口なので、お金や手続きの話は総合労働相談コーナーやハローワークへ持って行きます。

たとえば「評価されない」行に当たる人が、上司との面談で評価の基準を聞いても答えが曖昧だった場合、人事に同じ質問をしてみる、という手が残っています。「上司に言えば角が立つ」と感じる人は、社内で動く前に総合労働相談コーナーで話を整理してから、誰に何を頼むかを決める順番でもかまいません。休職を考えている人は、休職から辞めるときの順番が手当の額に関わるので、休職から退職する時の順番 を先に見てください。

動かせることを試すときは、試した日と結果をメモに書き足していきます。相談しても何も変わらなかった、という記録は、辞めると決めたときに「打てる手は打った」と自分に言える材料になります。

自己都合で辞めたら、いつ・いくら入るか

カレンダーとコーヒー

正当な理由のない自己都合で辞めると、ハローワークで求職の申込みをしてから待期7日、そのあと原則1か月の給付制限が過ぎてから、失業保険(雇用保険の基本手当)の支給の対象になります。待期7日は辞め方を問わず付き、給付制限1か月は2025年4月1日以降に退職した場合の期間です。

自己都合で辞めると、支給の対象になるまで
待期7日(辞め方を問わず付く)
給付制限原則1か月(正当な理由のない自己都合)
支給の対象認定のあと、通常5営業日で振込

給付制限の対象は、雇用保険法33条1項が「正当な理由がなく自己の都合によって」退職した場合と定めています。退職の理由をハローワークが正当な理由と判断した場合は、給付制限はかかりません。離職理由の判定は、会社が主張する理由と本人が主張する理由を、それぞれ確認できる資料で事実確認したうえで、ハローワークが行います。会社が「自己都合」と書いたからといって、それだけで決まるわけではありません。

給付制限には例外もあります。退職日からさかのぼって5年のうちに、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を2回以上受けている人は、3回目以降の給付制限が3か月です。反対に、離職日前1年以内に受けた、または離職日以後に受けている、決められた種類の教育訓練(教育訓練給付金の対象となる講座や公共職業訓練など。2025年4月1日以降に受講を始めたもの)があると、給付制限が解除されることがあります。

出典:厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」/雇用保険法21条(待期)/ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き」

日額は、辞める前の賃金で決まります。厚生労働省のパンフレットが示すおよその計算式では、離職の日以前の6か月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割った賃金日額に、給付率をかけたものが基本手当日額です(賞与は含みません)。給付率は60歳未満で50〜80%、60歳以上65歳未満で45〜80%で、賃金日額が5,480円未満なら80%と、賃金が低い人ほど高くなります。日額には年齢ごとの上限があり、たとえば30歳以上45歳未満の上限は8,270円、下限は年齢にかかわらず2,562円です(2026年8月1日から)。

受け取れる日数は、自己都合で辞めた一般の離職者なら年齢に関係なく、雇用保険に入っていた期間が1年以上10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。受け取るには、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることが必要です。

出典:厚労省「雇用保険の基本手当日額の変更」/厚労省パンフレット「離職されたみなさまへ」/ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

たとえば、雇用保険に入っていた期間が1年以上10年未満の人が向いてないと感じて、正当な理由のない自己都合で辞めた場合、受け取れる日数は90日です。ただ、原則どおりなら、申込みから待期7日と給付制限1か月のあいだは支給の対象にならず、そのあとも、振込は失業の認定を受けた日から通常5営業日かかります。申込みから1か月余りは手元に入るお金がない期間ができると考えておくと、慌てずに済みます。自分の年齢と賃金でいくらになるかは失業保険の計算ツールで出せるので、出てきた日額と日数をメモの「辞めた場合」の欄に書き写してください。

編集部の整理では、甘えかどうかで迷っている段階の人ほど、この数字を先に見ておく価値があります。辞めた場合の入り方が具体的になると、「辞めたら生活できない」という漠然とした怖さが、「給付制限の1か月をどうしのぐか」という準備できる問題に変わるからです。

辞めたあとに出ていくお金

辞めたあとに出ていくのは、健康保険・国民年金・住民税の3つです。費目ごとの比べ方や選び方は 仕事を辞めたいと思ったら にまとめているので、ここでは期限と額の決まり方だけを押さえます。

この3つを先に見ておくのは、在職中は給料から天引きされていたものが、辞めたあとは自分で届け出たり納めたりするものに変わるからです。失業保険が入り始める前に、こちらの支払いが先に来ることがあります。

  • 健康保険:国民健康保険に入るなら、14日以内に住んでいる市区町村の窓口へ届け出る。保険料は自治体と前年の所得で決まる。倒産・解雇などの非自発的失業者は、保険料の計算で前年の給与所得を100分の30とみなす軽減がある
  • 国民年金:次の会社にすぐ入らない20歳以上60歳未満の人は、退職日の翌日から14日以内に市区町村で切り替える(配偶者の扶養に入る場合は、配偶者の勤務先を通す別の手続き)。令和8年度の保険料は月額17,920円
  • 住民税:前年の所得で計算されるので、辞めたあとも続く。給与天引きだった場合、1〜5月に辞めると、残りの税額が退職時の給与や退職金から一括で徴収される

出典:厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」/国民健康保険法施行令(e-Gov法令API)/日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」/日本年金機構「国民年金の保険料はいくらですか。」/総務省「住民税の特別徴収にご協力ください!」/総務省「個人住民税」

自己都合で辞めた人は、給付制限の1か月のあいだ入るお金がないまま、この3つの支払いだけが先に来ることがあります。軽減の対象になるかどうかは、離職理由をもとに市区町村の窓口で確かめます。国民健康保険料の額は市区町村で違うので、辞める前に窓口で「前年の所得ならいくらか」を聞いておくと、メモの「辞めた場合」の欄が埋まります。

たとえば、辞めたあとの数か月を貯金でしのぐつもりの人は、国民年金に切り替えるなら月17,920円に、市区町村で聞いた国保の額と住民税の納付額を足した額が、生活費に上乗せされると考えます。貯金が何か月もつかを月ごとに並べたい人は、仕事辞めたいけどお金がないなら で数え方を確かめてください。

伝え方と、次も同じにしない準備

辞めると決めた場合、退職の理由を上手に言う必要はありません。期間の定めのない雇用なら、申し入れの日から2週間で雇用は終わります。それより大事なのは、書き出したメモを次の職場選びに持ち越すことです。

民法627条1項は、次のように定めています。

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法627条(e-Gov法令API)

条文が定めているのは、期間の定めのない雇用で、退職の申し入れから雇用が終わるまでの期間です。理由の中身や言い方については何も求めていないので、「向いていないと感じた」と正直に言っても、「一身上の都合」とだけ言っても、終わるまでの期間は変わりません。ただ、離職理由はハローワークが本人と会社の主張を確認できる資料で確かめて判定するので、嫌がらせが理由の場合は、伝える前に記録を残しておきます。言い出すこと自体がつらい人は 退職を言い出せない、試用期間中の人は 試用期間の退職は何日前? を見てください。

「次の職場でも同じことになったら」という不安には、最初に書いたメモがそのまま使えます。

次の職場で同じことにならないように
  1. 1つらかった場面を書く5つの中身のどれに当たるか
  2. 2求人票で照らす業務内容・勤務時間・休日
  3. 3面接で聞く教わり方・評価の決まり方

たとえば、前の職場で「教わり方」の行がつらかった人なら、面接で入社後にどう業務を教わるのかを聞きます。「労働条件」の行だった人なら、求人票の勤務時間と休日の欄を、前の職場と並べて読みます。次の仕事が決まらないまま辞めるかどうかも、このメモと、先に出した給付制限中の数字を並べて決めれば、勢いで決めずに済みます。

辞めなくていい場合

書き出したつらさが、部署・担当・教わり方・期間の決まった忙しさのように会社の中で変えられるものに絞れていて、相談すれば動く見込みがあるなら、辞めなくていい場合があります。辞めるのは、その手を試したあとでも間に合います。

辞めなくていいかどうかを分けるのは、つらさの原因が会社の中で取り除けるかどうかです。取り除けるなら、辞めるより先に試す手が残っています。取り除けない、あるいは相談しても何も動かなかったなら、辞めることと他の手を同じ紙の上に並べて比べる段階に進みます。

  • つらさが特定の業務・部署・人に絞られていて、社内に移れる先がある
  • 原因が繁忙期など期間の決まった忙しさで、終わりが見えている
  • 教わり方や評価の基準が分からないことが原因で、聞けば変わりそう
  • 辞めた場合の数字、特に給付制限中の生活費の準備がまだできていない

反対に、会社全体の働き方が原因で部署が変わっても同じことが起きそうな場合や、相談しても何も動かなかった場合は、辞める場合の数字を具体的にしていく段階です。どちらに当たるかを決めるのは、ほかの誰でもなくあなたです。

たとえば、評価の基準を面談で聞いて、足りないと言われた点がはっきりした人は、もう一度その点で働いてみる余地があります。一方、半年前にも同じ相談をして何も変わらなかった人は、メモに「打てる手は打った」と書き足して、辞める場合の準備を具体的にしていく段階です。迷っているあいだは、決めないまま材料を集めていることも1つの選び方です。

次に読むもの

辞めた後のお金を4つの費目で1表にしたい人は 仕事を辞めたいと思ったら、貯金が何か月もつかを数えたい人は 仕事辞めたいけどお金がないなら へ。人間関係が理由の人は 人間関係で仕事を辞めたい、40代・50代の人は 40代・50代の失業保険 を見てください。

仕事を辞めたいと思ったら|辞めた後にいつ・いくら入るかと動く順番

辞めたいと言い出せないなら?メール・書面・退職代行の使い分けと自分で言える条件

よくある質問

仕事を辞めたいのは甘えですか?

甘えかどうかを決める公的な基準はないので、決めなくてかまいません。代わりに、つらい場面を書き出して、仕事の内容・能力の生かし方・評価・人間関係・労働条件のどれに当たるかを分けてみてください。分けると、辞める前に試せる手と、辞めた場合の数字を比べられるようになります。

退職したほうがいいサインはありますか?

辞めるべきかどうかを当てはめる公的なサインはなく、診断もしません。目安にするなら、つらさの原因が会社の中で変えられるかどうかと、相談したら何かが動いたかどうかです。そのうえで、辞めた場合に失業保険がいつ・いくら入るかを並べて、自分で選んでください。

言ってはいけない退職理由はありますか?

期間の定めのない雇用なら、申し入れから2週間で雇用は終わり、民法は理由の中身を求めていません。正直に言っても「一身上の都合」でも、終わるまでの期間は同じです。嫌がらせが理由の人は、離職理由の判定はハローワークが双方の主張と確認できる資料で行うので、伝える前に記録を残しておきます。

何年いれば辞めてもいいですか?

何年いれば辞めていいという公的な基準はありません。参考までに、令和5年3月卒の新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は31.2%、新規高卒就職者は36.9%です(厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」)。ただし、自己都合で失業保険を受け取るには、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。

20代・30代・40代で違いはありますか?

自己都合で辞めた一般の離職者は、受け取れる日数が年齢では変わらず、雇用保険に入っていた期間で90日・120日・150日のどれかです。年齢で変わるのは日額の上限(60歳以上は給付率の区分も別)で、30歳以上45歳未満は8,270円です。40代・50代の人は 40代・50代の失業保険 で年齢の境目を確かめてください。

次の仕事が決まらないまま辞めても大丈夫ですか?

決めるのはあなたですが、数字は先に見ておきます。自己都合なら待期7日と原則1か月の給付制限のあいだは支給の対象にならず、その間も健康保険・国民年金・住民税の支払いは続きます。自分の日額と日数を計算ツールで出し、貯金で何か月しのげるかを並べてから決めてください。

数字だけ、もう一度

  1. 甘えかどうか:決める公的な物差しはない。つらい場面を書き出すところから
  2. 中身の分け方:仕事の内容・能力の生かし方・評価・人間関係・労働条件の5つ。行ごとに先に動かせるものが違う
  3. 転職した人が辞めた理由(令和7年雇用動向調査・転職入職者):男は給料等収入9.9%・人間関係8.9%・労働条件8.5%・仕事の内容5.2%・能力5.2%、女は労働条件12.9%・人間関係11.5%・給料等収入8.6%・仕事の内容4.6%・能力3.9%(男女計は無い)
  4. 辞める前に動かせること:部署・担当の相談、有給休暇、総合労働相談コーナー(無料・予約不要)、こころの耳電話相談(0120-565-455)
  5. 支給の対象になるまで:求職の申込みから待期7日。2025年4月1日以降の正当な理由のない自己都合は原則1か月の給付制限(5年のうちに受給資格の決定を2回以上受けていれば3回目以降は3か月)。認定のあと通常5営業日で振込
  6. 日額と日数:賃金日額(辞める前6か月の賃金÷180)×給付率(60歳未満は50〜80%)。30歳以上45歳未満の上限8,270円・下限2,562円(2026年8月1日から)。自己都合の一般の離職者は、被保険者期間1年以上10年未満で90日・10年以上20年未満で120日・20年以上で150日
  7. 出ていくお金:国保は14日以内、国民年金は退職日の翌日から14日以内(令和8年度は月額17,920円)、住民税は前年の所得で決まり、給与天引きだった人が1〜5月に辞めると残りを一括
  8. 伝え方:期間の定めのない雇用なら申し入れから2週間で雇用は終わる(民法627条1項)
  9. 辞めなくていい場合:つらさが会社の中で変えられるものに絞れていて、相談すれば動く見込みがあるとき

仕事を辞めたいと感じたとき、甘えかどうかの答えを外に探しても、自分の暮らしがどうなるかは誰も教えてくれません。手元に置くべきなのは、何がつらいのかを書いたメモと、辞めた場合に入るお金と出ていくお金の数字の2枚です。その2枚がそろえば、続けることを選んでも辞めることを選んでも、迷った時間はそのまま準備の時間だったと言えます。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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