解雇されたら失業保険はいつから・何日?普通・整理・懲戒の種類で変わる扱い

誰もいない事務所
  • 解雇されたら、失業保険はすぐにもらえるの?いつから?
  • 普通解雇と懲戒解雇で、失業保険の扱いは変わる?
  • リストラ(整理解雇)でも会社都合になる?
  • 何日分もらえるのか、自分の年齢と勤続年数で知りたい
  • 入社して半年ほどで解雇された。加入期間は足りる?
  • 会社に「自己都合にしておく」と言われた。そのままでいい?
  • 解雇予告手当や、解雇の理由を書いた書面はもらえる?
  • 解雇に納得できないけれど、争うと失業保険に響くのでは

上記のような悩みに答えます。

解雇は、会社の側から雇用を終わらせることで、普通解雇・整理解雇・懲戒解雇という呼び分けがよく使われます。ただ、この3つは法律が定義した分類ではなく実務上の呼び名で、失業保険の扱いを実際に分けているのは、ハローワークが離職理由をどう判定するかです。検索の上位には会社の人事や法務に向けた「解雇の有効要件」の解説が並び、解雇された本人が、自分の失業保険がいつから・何日・何か月の加入で出るのかを確かめる道筋は見当たりません。そこで、3つの呼び名の違い、待期と給付制限、受給資格の月数という基本を押さえたうえで、懲戒解雇が「重責解雇」と判定されるかどうかで何が分かれるか、離職票の理由が自己都合になっていたときの動き方まで、労働基準法・労働契約法・雇用保険法の条文と厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。

先に答え

解雇されたときの失業保険は、普通解雇・整理解雇・懲戒解雇という呼び名ではなく、ハローワークが離職理由を「重責解雇」と判定するかどうかで分かれます。重責解雇に当たらない解雇なら特定受給資格者として給付制限は付かず、待期7日のあとから支給されます(2026年10月時点)。重責解雇と判定されると給付制限3か月が付きます。

給付制限が付かない場合の日額と総額、受け取り始めの時期は、失業保険の計算ツール に自分の数字を入れると出せます。

2026年10月時点の制度で確かめています

目次

解雇の3つの呼び名と失業保険の分かれ目

誰もいない事務所

普通解雇・整理解雇・懲戒解雇は、解雇の理由の種類による実務上の呼び分けです。法律が3つを定義しているわけではなく、失業保険の手続きでは、どの呼び名かよりも、離職理由が「解雇(重責解雇を除く)」か「重責解雇」かが問われます。

解雇そのものについて法律が定めているのは、どんな解雇が無効になるかという線です。労働契約法16条は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。懲戒として行う解雇には、懲戒全般の歯止めである15条も重なります。一方、雇用保険の側は、離職証明書の離職理由の区分として「4 事業主からの働きかけによるもの」の中に、(1)「解雇(重責解雇を除く。)」と (2)「重責解雇(労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇)」を分けて置いています。呼び名と区分は、別々の物差しです。

呼び名 理由の中身(実務上の呼び方) 失業保険で当たりうる区分
普通解雇 能力・勤務態度・病気などを理由とする解雇 中心は解雇(重責解雇を除く)。理由が重大なら重責の基準も見られる
整理解雇 経営上の理由による人員整理 解雇(重責解雇を除く)
懲戒解雇 就業規則の懲戒処分としての解雇 重責解雇か、解雇(重責解雇を除く)か、判定しだい

出典:労働契約法16条(e-Gov法令検索)・厚生労働省「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」

表の右の列は、判定の目安です。普通解雇でも、理由が重大な就業規則違反であれば重責解雇の基準に当たるかを見られることがありますし、懲戒解雇でも基準に当たらなければ「解雇(重責解雇を除く)」の区分になりえます。「強制解雇」という言い方も目にしますが、失業保険の区分には出てこない言葉で、手続きで見られるのはやはり上の2つの区分です。

たとえば、契約社員や派遣で期間の定めのある契約の人が、契約期間の途中で辞めさせられた場合も、会社の側から雇用を終わらせる点では解雇です。労働契約法17条1項は、有期労働契約について「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」としています。16条とは別に、やむを得ない事由がある場合でなければ期間の途中では解雇できない、と書かれています。

編集部の整理では、解雇を言われた直後に覚えておくのは「呼び名は会社の言い方、区分はハローワークの判定」という1点です。会社から何という名前で告げられたかは、判定の材料の1つにすぎません。

分けるのは呼び名ではなく離職理由の判定

失業保険(基本手当)で給付制限が付くかどうか、特定受給資格者に入るかどうかは、ハローワークが離職理由を「重責解雇」と判定するかどうかで分かれます。会社が離職票に書いた理由だけで決まるものでもありません。

雇用保険法33条は、給付制限の対象を「被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合」と定めています。これらの条文には「普通解雇」「懲戒解雇」という言葉は出てこず、出てくるのは「自己の責めに帰すべき重大な理由」による解雇かどうかです。特定受給資格者の範囲も同じ書き方で、雇用保険法23条2項2号は「解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職した者」を挙げ、施行規則36条1号も「解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)」としています。

出典:雇用保険法33条・雇用保険法23条・雇用保険法施行規則36条

判定で変わる失業保険の始まり
解雇(重責解雇を除く)

  • 待期7日のあとに支給の対象
  • 特定受給資格者(1年に6か月で受給資格)
重責解雇

  • 待期7日+給付制限3か月
  • 特定受給資格者から外れる

厚労省のパンフレット「離職されたみなさまへ」は、「解雇、定年、契約期間満了で離職」した人は待期7日が経過した後に支給、「自己都合、懲戒解雇で離職」した人は待期7日に加えて給付制限が経過した後に支給、と書いています。33条に照らすと、パンフレットのいう「懲戒解雇」は重責解雇を指していると読め、パンフレットの「解雇」に重責解雇は含まれません。重責解雇の給付制限は3か月と、労働局・ハローワークのリーフレットに書かれています。法律の幅は「一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間」です。

出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」・群馬労働局・ハローワーク リーフレット

判定のやり方について、パンフレットは、事業主が主張する離職理由と離職者が主張する離職理由を把握し、それぞれの主張を確認できる資料による事実確認を行った上で、最終的にハローワークで慎重に行う、としています。会社が「懲戒解雇」と書いても、本人が「普通の解雇だった」と言っても、それだけで決まらないということです。

たとえば、遅刻が重なったことを理由に「懲戒解雇」と告げられた人は、名前だけを見ると給付制限が付きそうに思えます。けれど、重責解雇に当たるかは、ハローワークが要領の基準と資料で見ます。反対に、会社が「普通解雇」と言っていても、理由が横領などであれば、重責解雇の基準に当たるかを見られることがあります。

編集部の整理では、本人が手元にそろえるべきなのは、判定の材料になる書面です。解雇の理由を書いた証明書、解雇予告の通知、就業規則の該当の条項の3つがあれば、窓口で自分の側の事情を資料で示せます。

解雇なら待期7日・給付制限なしで始まる

カレンダーに印をつけるペン

重責解雇に当たらない解雇で離職した人は、ハローワークで求職の申込みをしたあと、待期7日が過ぎれば支給の対象になり、給付制限は付きません。受給資格は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば満たせます。

待期は、解雇でも自己都合でも誰にでもある期間です。雇用保険法21条は、離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後に、失業している日が「通算して七日に満たない間は、支給しない」と定めています。数え始めは退職日ではなく、求職の申込みをした日以後です。離職票が届いたら早めにハローワークに行くほど、待期が終わる日も早まります。

項目 解雇(重責解雇を除く) 重責解雇・正当な理由のない自己都合
待期 7日 7日
給付制限 なし 重責解雇は3か月(自己都合は運用で別)
受給資格 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上 離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上
給付日数の表 特定受給資格者の表 特定受給資格者・特定理由離職者以外の表

重責解雇の列の受給資格と日数の表は、施行規則36条1号と要領からの読み方です。自分の場合は窓口で確かめてください。

出典:雇用保険法21条・雇用保険法13条・厚生労働省「離職されたみなさまへ」

受給資格の月数の差は、入社して間もない人ほど効いてきます。雇用保険法13条1項は、原則として離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あることを求めています。特定受給資格者と特定理由離職者は、厚労省のパンフレットで、離職の日以前1年間に通算6か月以上で足りるとされています。重責解雇と判定されると特定受給資格者の「解雇」から外れるので、原則の2年間に12か月の側で見られると読めます。

たとえば、入社して1年に届かないうちに解雇され、前の職場で雇用保険に入っていた期間が短い、または分からない人を考えます。重責解雇に当たらない解雇なら、加入が6か月以上あれば、1年間に6か月以上の条件を満たせる見込みがあります。重責解雇と判定されると、2年間に12か月以上の条件になり、前の職場の加入期間を合わせられないと届かないことがあります。前の職場の期間を足せるかどうかには条件があるので、前職の離職票や雇用保険被保険者証を持って窓口で確かめてください。

編集部の整理では、解雇のあと最初にする行動は、離職票が届き次第、ハローワークで求職の申込みをすることです。待期は申込みの日以後に数えるので、申込みが遅れたぶんだけ受け取り始めも後ろにずれます。

何日もらえるかは年齢と加入期間で決まる

重責解雇に当たらない解雇の人は、特定受給資格者の所定給付日数の表で、離職したときの年齢と被保険者であった期間(算定基礎期間)の組み合わせで日数が決まります。重責解雇と判定された人は、特定受給資格者・特定理由離職者以外の表が当たると読めます。

所定給付日数は、ハローワークのページで年齢と期間の表として示されています。特定受給資格者の表は年齢で行が分かれ、期間が長いほど日数が増えます。特定受給資格者以外の表は年齢で分かれず、期間だけで決まります。

離職時の年齢 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日 -
30歳以上35歳未満 90日 120日 180日 210日 240日
35歳以上45歳未満 90日 150日 180日 240日 270日
45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

特定受給資格者・特定理由離職者以外の受給資格者は、算定基礎期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です。

出典:ハローワーク インターネットサービス「基本手当の所定給付日数」・厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」50301

重責解雇の人に特定受給資格者以外の表が当たるという点は、施行規則36条1号が特定受給資格者の「解雇」から重責解雇を除いていることと、要領50301の表を組み合わせた読み方です。そう言い切った公式の一文は編集部では確かめられていないので、自分の日数は手続きのときにハローワークで確かめてください。

たとえば、35歳以上45歳未満で、加入期間が5年以上10年未満の人が解雇されたとします。重責解雇に当たらなければ180日、重責解雇と判定されると、上の読み方では90日です。日数の差に加えて、受け取り始めも給付制限3か月の分だけ違ってきます。同じ年齢でも、加入期間が10年以上20年未満なら240日と120日になります。日額は離職前の賃金で決まるので、表の日数と合わせた総額は、結論のすぐ下で案内した計算ツールで出せます。会社都合で離職したときの日額と総額の考え方は 会社都合の失業保険 にまとめています。

編集部の整理では、日数を確かめるときに必要なのは「離職したときの年齢」と「加入していた期間」の2つです。期間は前の職場と通算できる場合とできない場合があるので、雇用保険被保険者証や過去の離職票を探しておくと、窓口での確認が早く進みます。

整理解雇は何を見て判断されるか

整理解雇(経営上の理由による人員整理)は、失業保険の区分では「解雇(重責解雇を除く)」に入る解雇で、離職者の側の責任を理由にしたものではありません。その解雇が有効かどうかは、厚生労働省のページが挙げる4つの判断の要素が目安になります。

整理解雇を名指しした条文はなく、有効かどうかは、労働契約法16条の「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」に当てはめて見られます。厚労省のページ「労働契約の終了に関するルール」は、裁判例で積み重ねられてきた判断の要素として、次の4つを挙げています。

  • 人員削減措置の実施が、不況や経営不振などによる企業経営上の十分な必要性に基づいていること
  • 配置転換や希望退職者の募集など、他の手段によって解雇を避ける努力をしたこと
  • 対象者を決める基準が客観的・合理的で、その運用も公正であること
  • 労働組合または労働者に、解雇の必要性と時期、規模・方法について、納得を得るための説明を行うこと

出典:厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」

この4つは、判断のときに見られる要素として並べられているもので、厚労省のページはすべてを満たさないと必ず無効になる、という書き方はしていません。解雇された側にとっての使い道は、会社の説明に何が欠けているかを確かめる物差しにすることです。

失業保険のほうは、整理解雇が有効か無効かとは別に動きます。倒産や大量の雇用変動、事業所の廃止に伴う離職は、施行規則35条で倒産等による特定受給資格者の範囲に挙げられていて、事業所の移転で通勤が難しくなった場合も入ります。人員整理で解雇されたなら、36条1号の「解雇」の側でも特定受給資格者に当たります。

たとえば、「業績が悪いので来月で辞めてもらう」と言われた人は、まず希望退職の募集があったか、配置転換の話が出たか、なぜ自分が対象になったのかを会社に聞いておきます。答えをメモやメールで残しておけば、争うかどうかを決めるときにも、相談先で話すときにも使えます。従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度などへの応募は、特定受給資格者の退職勧奨の範囲から除かれているので、応募の形で辞めるよう求められたら、書類に名前を書く前に、離職理由がどう書かれる予定かも聞いてください。

編集部の整理では、整理解雇で本人が押さえるのは、失業保険では区分が「解雇」になるかどうか、解雇そのものについては4つの要素で会社の説明を確かめること、の2本立てです。この2つは別々の窓口で別々の基準で見られます。

懲戒解雇は重責解雇かどうかで分かれる

懲戒解雇と言われても、失業保険でただちに重責解雇になるわけではありません。重責解雇に当たるかは、ハローワークの業務取扱要領が挙げる基準で判定されます。

要領52202の基準には、刑法や職務に関連する法令に違反して処罰を受けたことによる解雇、故意または重過失で設備を壊したり信用を失わせたりしたことによる解雇、機密の漏えいや経歴の詐称による解雇などが並びます。就業規則違反を理由とする解雇については、違反が軽微なものは除き、窃盗・横領・傷害などの行為や長期間の無断欠勤などがあって、会社が労働基準監督署長の解雇予告の除外認定を受けたとき、という条件が付いています。認定を受けていない懲戒解雇は、少なくともこの基準の条件とは食い違います。

出典:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」52202

たとえば、懲戒解雇を言い渡されたものの、会社から解雇予告手当が支払われている人は、会社が除外認定を受けずに手当を払った可能性があります。その場合でも、処罰を受けたなど別の基準に当たれば重責解雇と判定されうるので、名前だけで決めつけず、判定を待ちます。基準の全文、退職金の扱い、諭旨解雇・諭旨退職との違いは 懲戒解雇と諭旨解雇の違い で詳しく整理しています。

編集部の整理では、懲戒解雇の人が最初に会社に聞くことは「除外認定を受けたか」です。答えは、次の項目で見る解雇予告手当の有無にも、失業保険の判定にもつながります。

解雇と言われたら確かめる順番

書類に記入する手元

解雇と言われたら、解雇理由証明書 → 解雇予告か予告手当 → 離職証明書の離職理由、の順に確かめると、失業保険の判定に使う書面がそろいます。3つとも、解雇の効力が生じる日の前後で手に入れておきたいものです。

解雇と言われたら確かめる順番
  1. 1解雇理由証明書を請求する理由と就業規則の条項を書面に
  2. 2予告か予告手当を確かめる30日前の予告か30日分以上の手当か
  3. 3離職証明書の理由欄を見る解雇か重責解雇か・異議の有無

1つ目の解雇理由証明書は、労働基準法22条で請求できます。2項は、解雇の予告がされた日から退職の日までの間に、労働者が解雇の理由について証明書を請求したら、会社は遅滞なく交付しなければならない、と定めています。退職したあとは、1項の退職時の証明として、解雇の理由を含めて請求できます。厚労省のQ&Aによると、就業規則の条項に当たることを理由とする解雇なら、その条項の内容と、当たるに至った事実関係まで書くものとされています。

出典:労働基準法22条・厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A(解雇理由の証明書)

2つ目は、いわゆる「解雇の30日ルール」です。労働基準法20条1項は、会社が労働者を解雇しようとするときは少なくとも30日前に予告し、30日前に予告しないなら30日分以上の平均賃金を払うと定めています。2項で、予告の日数は平均賃金を払った日数だけ短くできます。例外は、天災事変などで事業の継続が不可能になった場合と、労働者の責に帰すべき事由に基づく解雇で、どちらも20条3項で行政官庁の認定が必要とされ、厚労省の案内では所轄の労働基準監督署長の認定です。試用期間中で14日以内の人、2か月以内の期間を定めて使用される人などは、21条でこの予告の規定が当てはまりません(所定の期間を超えて引き続き使用されると当てはまります)。手当の額を出す平均賃金の計算は 即日解雇と解雇予告手当 に、試用期間の扱いは 試用期間中の解雇 にまとめています。

出典:労働基準法20条・労働基準法21条

解雇そのものが禁じられている期間もあります。労働基準法19条1項は、業務上の負傷や疾病で療養のために休業する期間とその後30日間、産前産後の女性が休業する期間とその後30日間は、解雇してはならないとしています(打切補償を支払う場合などのただし書きがあります)。労災で休んでいる最中に解雇と言われた人は、この条文に当たらないかを先に確かめます。

3つ目の離職証明書は、会社が離職理由に丸を付け、本人がその理由に異議が有るか無いかを示す欄があります。ここで区分が「解雇(重責解雇を除く)」か「重責解雇」か、あるいは自己都合になっていないかを見ます。

たとえば、パートで働いていて会社都合で解雇された人も、雇用保険に入っていれば、この3つの順番は正社員と同じです。21条に当たる短い契約(2か月以内の期間を定めた契約など)や試用期間14日以内でなければ、予告の30日は正社員と同じで、解雇理由証明書と離職証明書の理由欄も雇用の形で変わりません。受給資格も、重責解雇に当たらない解雇なら離職の日以前1年間に6か月以上の加入で見られます。

編集部の整理では、3つのうち1つ目の証明書は、言われた当日でも請求できる書面です。理由が書面になれば、2つ目の予告手当の話にも、3つ目の離職理由の確認にも、同じ書面を使えます。言われた直後の動き方全体は 会社をクビになったら最初にやること にまとめています。

離職票が「自己都合」になっていたら

解雇されたのに離職票の離職理由が「自己都合」や合意による退職になっていたら、ハローワークの手続きのときに、実際は解雇だったと申し出て、資料を見せます。離職理由はハローワークが双方の主張と資料で判定するので、会社の書いた理由のまま決まるわけではありません。

離職証明書には、会社が書いた離職理由に本人の異議が「有り」か「無し」かを示す欄があります。退職前に会社から確認を求められたら、ここで「有り」に丸を付けておくと、会社の書いた理由に本人が同意していないことが残ります。ハローワークの「雇用保険の具体的な手続き」も、離職理由に異議がある場合は相談すれば、ハローワークが事実関係を調査のうえで判定する、としています。

いつ できること 期限・窓口
退職前 離職証明書の離職理由を見て、異議の有無の欄に丸を付ける 会社
ハローワークの手続き 実際は解雇だったと申し出て、解雇理由証明書・予告の通知などを見せる ハローワーク
判定のあと 給付制限の処分に不服があれば審査請求 処分を知った日の翌日から起算して3か月以内・雇用保険審査官

出典:厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~・厚生労働省「離職されたみなさまへ」

判定に不服があるときの審査請求は、給付制限に当たるかどうかなら、支給しない旨の処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内、特定受給資格者に当たるか(所定給付日数の決定)なら、基本手当が支給終了となった認定日の翌日から起算して3か月以内です。文書でも口頭でもよく、処分をしたハローワークや住まいを管轄するハローワークを経由して出せます。

「辞めてくれ」と言われて退職届を出した場合は、形のうえでは解雇ではありません。ただ、特定受給資格者の範囲には「事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者」も入っていて(従来から恒常的に設けられている早期退職優遇制度などへの応募は除く)、勧奨があったかどうかもハローワークが事実を確かめて判断します。退職勧奨の扱いは 退職勧奨に応じたら会社都合か で詳しく見られます。

たとえば、上司から口頭で解雇を告げられ、そのあと人事から「本人の希望で退職」と書かれた書類が回ってきた人は、その書類に名前を書く前に、解雇理由証明書を請求します。証明書が出れば、それが解雇だったことを示す書面になります。異議の出し方の流れは 失業保険を会社都合にする方法 にもまとめています。

編集部の整理では、ここで大事なのは、離職理由を正しく判定してもらうための材料を、退職前のうちに書面で残しておくことです。口頭のやりとりしかないと、窓口で説明できることが限られます。

失業保険のためだけに争わなくていい場合

解雇に納得できなくても、失業保険の給付日数や給付制限のためだけなら、解雇そのものを争わなくていい場合があります。失業保険の区分と、解雇が有効か無効かは、別の物差しで決まるからです。

ハローワークは、事業主と離職者の双方の主張を把握し、資料で事実を確かめて、離職理由が「解雇(重責解雇を除く)」か「重責解雇」かを判定します。解雇が労働契約法16条に照らして有効かどうかを争うのは、それとは別の手続きです。争う手段としては、都道府県労働局の総合労働相談コーナーでの相談、労働局長の助言・指導、紛争調整委員会のあっせん、裁判所の労働審判などがあります。労働基準監督署への申告は、労働基準法などの違反(たとえば予告手当の不払い)を是正させるための制度です。

  • 離職票の区分が「解雇(重責解雇を除く)」になっていて、特定受給資格者として扱われている
  • 30日前の予告を受けたか、30日分以上の予告手当を受け取っている
  • 解雇理由証明書に書かれた理由に、事実として大きな食い違いがない
  • 職場に戻るつもりはなく、早く次の仕事を探したい

上のすべてに当たる人は、失業保険の扱いを良くするためだけに解雇を争う必要は小さい、というのが編集部の読み方です。給付制限は付かず、日数は特定受給資格者の表で決まっていて、失業保険の区分としてはすでに解雇の側に入っています。争うことにした場合の失業保険の手続きは、手続きの前にハローワークの窓口で確かめてください。

一方で、離職票が「自己都合」や「重責解雇」になっていて納得できない人、予告手当が払われていない人、解雇の理由そのものに事実の食い違いがある人は、失業保険の判定や手当の支払いに関わるので、確かめる価値があります。相談先の選び方と費用は 不当解雇の相談先 にまとめています。総合労働相談コーナーは無料・予約不要で、解雇も相談の対象です。

国民健康保険に入る人は、もう1つ確かめておくことがあります。特定受給資格者は、国民健康保険の保険料(税)の非自発的失業者の軽減の対象で、軽減の期間は離職の日の翌日の属する年度の翌年度の末日までです。申請は住んでいる市区町村です。必要な書類は窓口で確かめてください。

出典:国民健康保険法施行令29条の7の2・厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」

たとえば、解雇の理由には納得していないものの、予告手当を受け取り、離職票の区分も解雇になっている人は、失業保険の手続きを先に進めておき、解雇そのものを争うかは相談先で落ち着いて考える、という順番も考えられます。争う場合の失業保険の手続きや、争った結果で離職の形が変わる場合の扱いは、ハローワークの窓口で先に確かめてください。

試用期間中の解雇はいつから予告が要る?入社何日目かで変わる手当と会社都合

会社都合退職になる条件は?自己都合との給付日数・給付制限の差を表で

会社をクビになったら最初にやること|いつまでに何を受け取るかと手当の額

よくある質問

会社をクビにできる理由とは?

労働契約法16条は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められない解雇を無効とする、という線を引いています。懲戒として行う解雇には15条、契約期間の途中の解雇には17条がさらに重なります。労災で休業している期間とその後30日間などは、19条で解雇そのものが禁じられています(打切補償を支払う場合などの例外があります)。

解雇されたら給料はどうなりますか?

30日前の予告がなかった場合は、労働基準監督署長の除外認定を受けた場合や、21条に当たる短期の契約などを除き、労働基準法20条で30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)が必要で、予告が30日に足りない場合は足りない日数分を受け取れます。厚労省の解釈では、即時解雇のときの予告手当は解雇の申渡しと同時に払うべきものとされています。

パートを会社都合で解雇されたらどうしたらいいですか?

正社員と同じく、解雇理由証明書の請求、予告か予告手当の確認、離職証明書の理由欄の確認の順で進めます。21条に当たる短い契約や試用期間14日以内の人は、予告の規定が当てはまらないことがあります。雇用保険に入っていれば、重責解雇に当たらない解雇なら特定受給資格者として、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上で受給資格を見られ、給付制限も付きません。

解雇の30日ルールとは?

労働基準法20条の解雇予告のことで、会社は少なくとも30日前に予告するか、予告しないなら30日分以上の平均賃金を払う必要があります。予告と手当を組み合わせて、手当を払った日数だけ予告を短くすることもできます。労働者の責に帰すべき事由による解雇などで予告をしないには、労働基準監督署長の認定が必要です。

解雇と退職の違いは何ですか?

解雇は会社の側から雇用を終わらせること、退職は自分から辞める、または会社と合意して辞めることと呼び分けられます。失業保険では、解雇(重責解雇を除く)なら給付制限は付きませんが、正当な理由のない自己都合退職には給付制限が付きます。退職勧奨を受けて辞めた場合は、特定受給資格者に当たることがあります。

普通解雇は転職で不利になりますか?次の会社に伝わりますか?

伝わるか伝わらないかは、編集部では言い切れません。確かめられる決まりとして、労働基準法22条の退職時の証明書には「労働者の請求しない事項を記入してはならない」(3項)とされ、会社があらかじめ第三者と謀り、就業を妨げることを目的として証明書に秘密の記号を記入することも禁じられています(4項)。証明書にどの事項を書いてもらうかは、本人が請求するときに選べます。

数字だけ、もう一度

  1. 待期:求職の申込みをした日以後、失業している日が通算7日(雇用保険法21条)。解雇でも自己都合でも付く
  2. 給付制限:解雇(重責解雇を除く)は無し。重責解雇は3か月(労働局リーフレット)。法律の幅は1か月以上3か月以内(雇用保険法33条)
  3. 受給資格:特定受給資格者は離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上(厚労省パンフレット)。原則は2年間に12か月以上(雇用保険法13条1項)
  4. 所定給付日数(特定受給資格者):90日〜330日。年齢と算定基礎期間で決まる(ハローワークの表)
  5. 所定給付日数(特定受給資格者・特定理由離職者以外):10年未満90日・10年以上20年未満120日・20年以上150日
  6. 解雇予告:30日前の予告か、30日分以上の平均賃金(労働基準法20条)。除外は労働基準監督署長の認定が必要(20条3項・厚労省)
  7. 審査請求:給付制限は処分を知った日の翌日から起算して3か月以内(厚労省Q&A)

解雇を告げられた日は、「何という解雇か」という言葉ばかりが重く響きます。けれど、失業保険がいつから・何日出るかを決めるのは、その呼び名ではなく、離職理由の区分と、年齢と加入期間です。解雇理由証明書、予告の通知か手当の明細、離職証明書の理由欄の3つを手元にそろえれば、自分がどちらの区分に入りそうか、表のどの日数に当たりそうかは、窓口に行く前に自分で見通せます。解雇を争う手続きには期限があることもあるので、争うか迷っているなら、その見通しを持って相談先で早めに確かめてください。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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