- 会社を辞めたら、年金は何をいつまでにすればいいの?
- 14日以内と聞いたけど、もう過ぎてしまったかもしれない
- 自分は第1号?第3号?そもそも区分がよく分からない
- 役所に行くの?年金事務所に行くの?何を持っていけばいい?
- 離職票がまだ届いていなくても、手続きできる?
- 国民年金の保険料は月いくら?収入が無いのに払える気がしない
- すぐ次の会社に入るなら、何もしなくていい?
- 夫が退職したら、扶養されている妻の年金はどうなる?
上記のような悩みに答えます。
退職後の年金手続きは、会社員のあいだ入っていた厚生年金から外れたあと、国民年金のどの区分に入るかを届け出る手続きです。つまずきやすいのは、「14日以内」「市区町村の窓口」という答えだけが先に目に入り、自分がその手続きの対象なのか、配偶者の分も要るのか、次の会社に入るまで少しだけ空く場合はどうなのかが決まらないまま、期限の日が過ぎていくところです。検索して出てくる答えは、窓口と書類の一覧で終わっていて、自分の区分の見分け方や、期限を過ぎたと気づいたときの動き方、月末に辞めるか月の途中で辞めるかで保険料の月がどう決まるかまでは、あまり書かれていません。そこで、届出の期限・窓口・保険料という基本を押さえたうえで、区分を決める3つの質問、月またぎと再就職、払えないときの免除、配偶者の切替、60歳以上で辞めた場合まで、国民年金法・厚生年金保険法の条文と日本年金機構の案内で確かめながら整理しました。
会社を辞めて次の会社にすぐ入らないなら、国民年金の第1号への切替を住所地の市区町村に届け出ます。日本年金機構の案内では退職日の翌日から14日以内で、2026年10月時点(令和8年度)の保険料は月17,920円です。
辞めたあとの失業保険がいくらになるかは、失業保険の計算ツール で自分の数字を入れて出せます。
2026年10月時点の制度で確かめています
退職後の年金は3つの質問で区分が決まる
退職後に年金で何をするかは、自分が国民年金のどの区分に入るかで決まります。区分は、次の会社ですぐ厚生年金に入るか、会社員の配偶者に扶養されるか、60歳未満か、の3つの質問で見分けられます。
国民年金法7条1項は、国民年金の被保険者を3つに分けています。厚生年金保険の被保険者が第2号、第2号の配偶者で主としてその収入で生計を維持する20歳以上60歳未満の人が第3号、日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の人で第2号にも第3号にも当たらない人が第1号です。会社員のあいだは第2号なので、辞めて厚生年金から外れると、日本国内に住所のある20歳以上60歳未満の人は、第3号に当たらなければ、法律のうえでは第1号に当たります。この区分ごとに届け出る先も出す書類も違うので、区分を先に決めないと、どこへ行けばいいかも決まりません。
- 退職日の翌日に次の会社で厚生年金に入る=第2号のまま
- 会社員の配偶者に扶養される=第3号(配偶者の勤務先を通す)
- 60歳未満=第1号(住所地の市区町村へ届け出る)
- 次の質問へ
- 次の質問へ
- 60歳以上=第1号にならず、65歳まで任意加入できる
1つ目の質問で「はい」になるのは、退職日の翌日から次の会社で働き始め、そこで厚生年金に入る人です。日本年金機構の案内では、第1号への切替の対象は、20歳以上60歳未満で厚生年金の会社を辞め、次の会社に入るまで間が空く人とされています。間が空かなければ第2号が続くので、第1号への切替の対象にはなりません。反対に、空く期間が月の途中の数日だけでも、その期間は第1号として扱われます(下の「月末に辞めるか、月の途中か」の項で、日本年金機構の例を使って書きます)。
2つ目の質問は、会社員の配偶者がいる人だけに関わります。第3号になれるのは、日本国内に住所があり、20歳以上60歳未満で、厚生年金に入っている配偶者に扶養され、原則として年収130万円未満の人です。扶養に入れるかどうかの見込みは、健康保険の扶養と合わせて 家族の扶養に入れるか で整理しています。
たとえば、独身でしばらく求職活動をする人は、1つ目も2つ目も「いいえ」で、60歳未満なら第1号です。同じ人が会社員の配偶者の扶養に入るなら第3号で、行き先は配偶者の勤務先に変わり、退職日の翌日に次の会社へ入るなら第2号のままです。
迷ったら、まず「次の会社に入る日」と「配偶者の扶養に入るか」の2つを紙に書き出します。入る日が退職日の翌日ではなく、扶養にも入らないなら、第1号の手続きです。扶養に入れるかがまだ決まっていない人は、期限のある第1号の手続きの書類だけでも先にそろえておくと、どちらに決まっても慌てずに済みます。
国民年金への切替は14日以内に市区町村へ

第1号への切替は、住所地の市区役所か町村役場に「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を出して行います。日本年金機構の案内では、提出期限は退職日の翌日から14日以内、出すのは本人か世帯主です。マイナポータルからの電子申請もできます。
届け出る先が市区町村なのは、法律がそう決めているからです。国民年金法12条1項は、第3号を除く被保険者は、資格の取得・喪失や種別の変更を市町村長に届け出なければならないとしていて、同じ条の2項で、世帯主が本人に代わって届け出ることもできるとしています。期限の日数は法律ではなく省令にあり、国民年金法施行規則6条の2第1項は、種別の変更の届出についてこう書いています。
当該事実があつた日から十四日以内に、次に掲げる事項を記載した届書を市町村長に提出することによつて行わなければならない。(国民年金法施行規則6条の2第1項)
条文の「当該事実があつた日」は、厚生年金の資格を失った日のことです。厚生年金保険法14条は、その事業所に使用されなくなったときは、その日の翌日に資格を失うとしているので、退職日の翌日がこの日にあたります。日本年金機構が「退職日の翌日から14日以内」と案内しているのは、この日のことです。
| 持っていくもの | 気をつけるところ |
|---|---|
| 国民年金被保険者関係届書(申出書) | 第1号への切替で出す届書 |
| 基礎年金番号通知書、または年金手帳など基礎年金番号を明らかにできる書類 | 基礎年金番号で手続きする場合 |
| マイナンバーカード | マイナンバーで手続きする場合。無いときは、マイナンバーが確認できる書類と身元確認書類の2点 |
| 厚生年金の資格喪失日を証明できるもの(離職票など) | 退職直後に手続きする場合に、必要になる場合がある |
- 1区分を決める第1号に当たるかを確かめる
- 2書類をそろえる基礎年金番号かマイナンバーが分かるもの
- 3市区町村の窓口へ本人か世帯主。マイナポータルでも
- 4保険料の月を確かめる月末退職か月の途中かで変わる
つまずきやすいのは、離職票の扱いです。日本年金機構の案内では、資格喪失日を証明できるもの(離職票など)は、退職直後に手続きする場合に「必要になる場合がある」とされていて、どの場合も要るとは書かれていません。離職票が届くのを待っていると14日を過ぎてしまうこともあるので、手元に無い人は、窓口に行く前に住所地の市区町村の国民年金の担当に電話し、「離職票がまだ届いていないが、何があれば退職日を確かめてもらえるか」を聞いておきます。年金手帳が見つからない人も、基礎年金番号通知書かマイナンバーカードがあれば、どちらかで手続きできます。
たとえば、実家に住んでいて世帯主が親の人は、法12条2項により、世帯主の親が代わりに届け出ることもできます。平日に窓口へ行けない人は、マイナポータルからの電子申請か、世帯主に頼むかのどちらかで、期限の内に出せる道を選びます。
退職日が決まったら、その翌日から数えて14日目の日付を手帳に書いておくのが確実です。健康保険の切替(国民健康保険や任意継続)も同じころに期限が来るので、市区町村の窓口に行く日に、国民健康保険の担当にも寄れるよう、同じ日にまとめて段取りを組んでおくと、行く回数が減ります。
14日を過ぎたと気づいたら、その日に届け出る
14日を過ぎたと気づいたら、その日のうちに住所地の市区町村に連絡して、第1号の届出を出します。期限を過ぎていても、日本年金機構の例では、第1号になる日は届け出た日ではなく、退職日の翌日(月末退職なら翌月1日)をもとに示されています。
施行規則6条の2第1項は、届書に「被保険者の種別の変更があつた年月日及びその理由」を書くとしています。届書に書くのは種別が変わった日で、届け出た日ではありません。そのため、遅れて届け出ても種別が変わった日は退職日の翌日のままだと読めます(この読み方は編集部の整理です)。保険料がかかる月も、下の「月末に辞めるか、月の途中か」の項にある日本年金機構の例のとおり退職日の翌日をもとに決まるので、気づいてから先延ばしにしても、その月の分がなくなるわけではないと考えられます。
期限を過ぎたあとの扱いについて、公式の案内で確かめられたのは、加入の手続きが遅れた人あてに、日本年金機構から「届出はお済みですか」という案内が届く場合がある、というところまでです。届出が遅れた場合の罰則や延滞の扱いは、確かめた資料には書かれていなかったので、ここでは書きません。窓口では、次の4つをまとめて聞くと、1回の手続きで片づきます。
- 退職日と、次の会社に入る予定の有無を伝え、自分が第1号でよいかを確かめる
- どの月の分から保険料がかかるのかを聞く
- 届出が遅れたことで、追加で出す書類があるかを聞く
- 保険料を払うのが難しい場合は、免除の申請も一緒にできるかを聞く
たとえば、日本年金機構からの案内で気づいた人は、その案内も窓口に持っていけば、何の届出が足りていないのかを話しやすくなります。
「放っておいたら気づかれないのでは」と考える人もいますが、法12条1項は届け出なければならないとしていて、遅れた人あてに案内が届く場合もあります。払えるかどうかの心配も、窓口で一度に相談すれば足を運ぶ回数が減ります。
保険料は月17,920円、前納と早割で少し下がる

第1号の国民年金保険料は、令和8年度(令和8年4月から令和9年3月まで)で月17,920円です。会社員のときのように給料から差し引かれる形ではなくなるので、納め方を自分で選んで払うことになります。前もってまとめて払う前納や、口座振替の早割を使うと、少しだけ下がります。
国民年金の保険料は、毎年度見直されます。日本年金機構のFAQも、令和8年度の額を示したうえで、毎年度見直しが行われると書いています。来年度の4月からは額が変わる可能性があるので、退職が年度の終わりに近い人は、窓口で次の年度の額も確かめておきます。
| 納め方(令和8年度) | 1回に納める額 | 毎月納付との差 |
|---|---|---|
| 毎月納付 | 17,920円 | なし |
| 口座振替の当月末振替(早割) | 17,860円 | 60円 |
| 口座振替の6か月前納 | 106,300円 | 1,220円 |
| 口座振替の1年前納 | 210,530円 | 4,510円 |
| 口座振替の2年前納 | 417,150円 | 17,370円 |
| 納付書・クレジットカードの6か月前納 | 106,650円 | 870円 |
| 納付書・クレジットカードの1年前納 | 211,220円 | 3,820円 |
| 納付書・クレジットカードの2年前納 | 418,510円 | 16,010円 |
出典:日本年金機構「国民年金保険料の前納」(2年前納の差は、令和8年度と令和9年度の保険料を毎月納付で納めた額434,520円との比較)
6か月前納の差を確かめると、毎月納付の17,920円×6か月=107,520円に対して、口座振替の6か月前納は106,300円なので、差は107,520円−106,300円=1,220円です。
退職してから第1号になった人は、年度の途中から前納を始めることになります。日本年金機構の前納金額一覧では、令和8年11月分から令和9年3月分までを前納する場合、毎月納付なら89,600円のところ前納額は89,020円で、差は580円です。令和8年12月分から令和9年3月分までなら、71,680円のところ71,330円で、差は350円です。前納の納付期限は、前納を始める月の月末(土日祝日の場合は翌営業日)です。口座振替の前納や早割は、年金事務所か金融機関の窓口で手続きします。
たとえば、10月末に辞めて11月から第1号になる人なら、上の11月分からの前納が当てはまります。差は580円なので、一度に89,020円を出すかは、失業保険が入るまでの生活費と並べて決めます。
第1号の人は、申出をすれば、月400円の付加保険料を上乗せして納めることもできます(保険料の免除を受けている人や、国民年金基金の加入員は納められません)。付加保険料で将来の年金がいくら増えるかは、ここでは扱わないので、日本年金機構の案内で確かめてください。
貯金が何か月もつかを見積もるときは、毎月の固定費に17,920円を足しておくのが実際の数字に近くなります。健康保険の保険料も別にかかるので、その見積もり方は お金がないけど仕事を辞めたい で整理しています。
月末に辞めるか、月の途中かで払う月が決まる

国民年金の保険料をどの月の分から払うかは、日本年金機構の例では退職日の翌日をもとに決まります。その例では、月末に辞めると翌月1日から、月の途中で辞めると退職日の翌日から第1号になり、どちらもその月の末日以降も第1号なら、その月の分から国民年金の保険料を払います。
厚生年金のほうは、厚生年金保険法19条1項で、被保険者期間は資格を取得した月から資格を喪失した月の前月までと決まっていて、保険料はその各月についてかかります(同法81条2項)。資格を失うのは退職日の翌日なので、2つの条文を合わせると、資格を失った月の分の厚生年金保険料はかかりません。その月の分を国民年金で払う、という形でつながります。
出典:厚生年金保険法19条(e-Gov法令検索)/厚生年金保険法81条(e-Gov法令検索)
| 日本年金機構の例 | 第1号の期間 | 国民年金の保険料 |
|---|---|---|
| 3月末に退職し、4月1日から就職しない | 4月1日から(厚生年金は3月31日まで) | 4月末以降も第1号なら4月分から |
| 4月15日に退職し、その翌日から就職しない | 退職日の翌日から | 4月末以降も第1号なら4月分から |
| 3月末に退職し、4月の途中で次の会社に入社 | 4月1日から入社日の前日まで(入社日から第2号) | 4月末以降も第2号なら4月分は不要。第1号の手続きは必要 |
3つ目の例が、見落としやすいところです。次の会社に入るまで半月ほどしか空かず、その月の国民年金保険料はかからない場合でも、空いた期間について第1号の手続きは必要とされています。「保険料がかからないなら届け出なくてよい」とはならない、ということです。二重に払うのではと心配する人もいますが、この例のとおり、その月の末日以降も第2号であれば、その月の国民年金保険料は払いません。
たとえば、4月15日に辞める人と3月末に辞める人を比べると、どちらも4月分から国民年金の保険料がかかる点は同じです。4月15日に辞める人は4月の前半も勤めていますが、資格を失った月が4月なので、厚生年金の保険料は3月分までで、4月分は国民年金の側だけで払う形です。
有給を消化して退職日が後ろにずれると、第1号になる日も一緒にずれます。退職日をいつにするかの決め方は 有給消化と退職日の決め方 で整理しています。年金の月だけで退職日を決める必要はありませんが、退職日が決まったら、上の表のどの例に近いかを当てはめて、最初に払う月を手帳に書いておきます。
払えないときは退職特例免除を申請できる
保険料を払うのが難しいときは、退職(失業)による特例免除を申請できます。日本年金機構の案内では、退職した人の前年所得をゼロとして審査し、退職した人以外の審査の対象者(本人・世帯主・配偶者)の前年所得が一定額以下なら、保険料の納付が免除または猶予されます。
ふつうの免除の審査では前年の所得が見られるので、辞める前の年まで会社員として給料を得ていた人は、収入が途切れた今の状況と関係なく、前年の給料で審査されることになります。特例免除では、退職した人についてはその前年所得をゼロとして扱います。ただし、世帯主や配偶者の前年所得は審査の対象に残るので、承認されるかどうかは審査次第です。
出典:日本年金機構「国民年金の加入、保険料免除・納付猶予制度のご案内」/日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
窓口では、次のことを伝え、確かめます。
- 退職したので、失業等による特例免除を申請したい
- 失業等の事実を確認できる書類(雇用保険被保険者離職票のコピー、雇用保険受給資格者証・受給資格通知のコピーなど)は何を出せばよいか
- 世帯主や配偶者の所得も審査に入るので、誰の分の書類が要るか
- 承認された場合、翌年度も申請が必要か(日本年金機構の案内では、失業等による特例免除の承認者は翌年度も申請が必要)
免除や納付猶予が承認された期間の保険料は、あとから納める追納ができる、と日本年金機構は案内しています。国民年金法94条1項は、追納の承認を受けた日の属する月前10年以内の期間の分を、厚生労働大臣の承認を受けて追納できるとしています。今は払えなくても、次の仕事が決まって余裕ができたときに納める道が残る、という順番で考えられます。
たとえば、辞めて実家に戻り、世帯主が親になった人は、本人の前年所得はゼロとして扱われても、世帯主の親の前年所得が審査に入ります。親の所得によっては承認されないこともあります。一人暮らしで自分が世帯主の人は、審査の対象が自分(と配偶者がいれば配偶者)に限られます。
免除の申請は、第1号への切替と同じ窓口の日に「免除も一緒に申請したい」と伝えると、手続きを1回で済ませやすくなります。所得の基準の細かい計算は、日本年金機構の免除制度のページに計算式が載っているので、自分で見当をつけたい人はそちらで確かめてください。
夫が退職したら、妻の年金も切り替わる
会社員の夫(または妻)が辞めると、扶養されていた配偶者の年金も切り替わることがあります。日本年金機構の案内では、辞めた人が自営業や無職になると、扶養されていた配偶者は第3号から第1号に切り替わります。反対に、自分が辞めて会社員の配偶者の扶養に入るなら、自分が第3号になり、手続きは配偶者の勤務先を通します。
第3号は、厚生年金に入っている第2号の配偶者に扶養されている人の区分です(国民年金法7条1項3号)。扶養している側が厚生年金から外れれば、扶養されていた側は第3号の前提がなくなるので、第1号に移ります。届け出る先も違い、第1号の届出は市町村長へ(法12条1項)、第3号の届出は厚生労働大臣へ(法12条5項)と、条文の時点で分かれています。
| 誰が辞めるか | 配偶者・自分の区分 | 手続きの窓口 |
|---|---|---|
| 扶養していた側が辞めて、自営業や無職になる | 扶養されていた配偶者は第3号から第1号へ | 住所地の市区役所・町村役場 |
| 扶養していた側が転職し、配偶者が扶養の条件を満たす | 配偶者は第3号のまま | 手続き不要 |
| 扶養していた側が転職したが、配偶者が扶養の条件を満たさない | 配偶者は第1号へ | 住所地の市区役所・町村役場 |
| 自分が辞めて、会社員の配偶者の扶養に入る | 自分が第3号へ | 配偶者の勤務先(事業主)を通す |
出典:日本年金機構「配偶者が転職・退職したときの手続き」/日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」
配偶者が第1号に切り替わるときの期限は、日本年金機構の案内で1つの文として書かれたものは確かめられていません。施行規則6条の2第1項は、第1号への種別の変更の届出を「当該事実があつた日から十四日以内」としているので、配偶者の分も、辞めた人の退職日の翌日から14日以内を目安に、本人の届出と同じ日に一緒に出しておくのが安全です。また、扶養していた側が辞めなくても、扶養していた側が65歳に到達した場合(誕生日の前日)にも、第3号の配偶者は第1号への切替えが必要とされています。
自分が辞めて配偶者の扶養に入る場合は、市区町村ではなく、配偶者の勤務先を通します。協会けんぽの場合は、配偶者が勤務先の事業主を経由して「被扶養者(異動)届」を日本年金機構に出し、健康保険組合などの場合は「国民年金第3号関係者届」を日本年金機構に出します。扶養に入った日が年金事務所の受付日より60日以上さかのぼる場合は、扶養の事実を確認できる書類の添付が必要です。
たとえば、夫が退職して自営業を始める夫婦なら、どちらも60歳未満であれば夫も妻も第1号になるので、2人分の届出を同じ日に市区町村で出せば1回で済みます。妻が辞めて夫の扶養に入る夫婦なら、妻は市区町村に行かず、夫が勤務先に伝えるところから始まります。
健康保険の扶養と年金の第3号は、手続きが同じ勤務先を通るので一緒に進みやすい一方、扶養に入れるかの判定は収入の見込みで決まります。判定の考え方は 家族の扶養に入れるか で整理しています。
60歳以上で辞めたら任意加入を考える
60歳以上で辞めた人は、第1号への切替の対象ではありません。第1号は20歳以上60歳未満の人の区分なので、60歳以上の人は第1号にならず、希望すれば65歳になるまで国民年金に任意加入できます。
国民年金法附則5条1項2号は、日本国内に住所のある60歳以上65歳未満の人は、厚生労働大臣に申し出て被保険者になることができるとしています。日本年金機構の案内では、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人や、受給資格期間は満たしていても保険料を納めた期間が短く、満額(40年間保険料納付分)の老齢基礎年金が受けられない人などが、65歳になるまで任意加入できるとされています。
出典:国民年金法附則5条(e-Gov法令検索)/日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」
| 項目 | 60歳未満で辞めた人 | 60歳以上で辞めた人 |
|---|---|---|
| 区分 | 第1号(届出が要る) | 第1号にならない |
| 加入するか | 本人が選ぶものではない | 希望する人だけ任意加入(申出が必要) |
| 保険料 | 令和8年度は月17,920円 | 任意加入なら第1号と同じ額 |
| 納め方 | 毎月納付・前納・早割 | 口座振替納付の申出が必要(やむを得ない場合を除く) |
任意加入は、65歳に達したときや、厚生年金の被保険者の資格を取得したときなどに終わります。再び会社で厚生年金に入れば、そこで任意加入ではなくなる、ということです。
たとえば、60歳の誕生日より前に辞めた人は、60歳になるまでの間は第1号なので、退職日の翌日から14日以内の届出が要ります。辞めたのが60歳になったあとなら、第1号の届出の対象ではなく、任意加入するかを自分で決める話に変わります。
任意加入で受け取る年金がいくら増えるかは、ここでは扱いません。加入するかどうかを決める前に、これまでの納付の月数と満額までの不足を、年金事務所などで確かめておくと判断しやすくなります。定年で辞める人の手続き全体は 定年退職の手続き で整理しています。
自分で動かなくていい場合
退職後の年金で、自分で市区町村に届け出るのは、第1号になる人だけです。次の場合は、自分で窓口に行く年金の手続きは要らないか、ほかの人が受け持ちます。
| 場合 | 年金で自分がすること |
|---|---|
| 退職日の翌日に次の会社で厚生年金に入る | 第2号のまま。第1号への切替の対象ではない |
| 自分が会社員の配偶者の扶養に入る | 市区町村には行かない。配偶者の勤務先を通す |
| 扶養していた側が転職し、配偶者が扶養の条件を満たす | 配偶者は第3号のまま。手続き不要 |
| 60歳以上で辞めた | 第1号の届出の対象ではない。任意加入は希望するときだけ |
ここで気をつけたいのは、「次の会社がもう決まっているから何もしなくていい」とは限らないことです。上の「月末に辞めるか、月の途中か」の項の3つ目の例のとおり、入社日まで数日でも空けば、その期間について第1号の手続きが必要とされています。退職日の翌日が入社日かどうかで線が引かれる、と覚えておけば迷いません。
健康保険の任意継続を選んだ人も、年金は別です。任意継続は健康保険の仕組みで、厚生年金のほうは退職日の翌日に資格を失います(厚生年金保険法14条)。任意継続にしたからといって厚生年金が続くわけではないので、次の会社にすぐ入らないなら、年金は第1号への切替が要ります。任意継続の保険料と選び方は 任意継続の保険料はいくら で整理しています。
会社の企業型確定拠出年金(企業型DC)に入っていた人は、国民年金とは別の手続きがあります。その移し方は 企業型確定拠出年金は退職後どうする で整理しています。辞めたあとの手続き全体の順番は 仕事を辞めたいときに先に知っておくこと にまとめています。
よくある質問
退職後14日以内に年金の手続きをしないと、どうなりますか?
確かめた公式の案内では、加入の手続きが遅れた人に日本年金機構から「届出はお済みですか」という案内が届く場合がある、というところまでで、罰則や延滞の扱いは確かめられていません。日本年金機構の例では、第1号になる日は届け出た日ではなく退職日の翌日(月末退職なら翌月1日)をもとに示されているので、気づいた日に住所地の市区町村へ届け出てください。
離職票がなくても、年金の手続きはできますか?
日本年金機構の案内では、資格喪失日を証明できるもの(離職票など)は、退職直後に手続きする場合に必要になる場合がある、とされています。どの場合も要るとは書かれていないので、手元に無い人は、窓口に行く前に市区町村の国民年金の担当に、何があれば退職日を確かめてもらえるかを聞いてください。
マイナポータルで手続きできますか?
日本年金機構の案内では、第1号の加入の手続きはマイナポータルからの電子申請もできます。窓口に行けない日が続く人は、こちらを使えば期限の内に出しやすくなります。
任意継続にすれば、厚生年金も続けられますか?
続けられません。任意継続は健康保険の仕組みで、厚生年金は退職日の翌日に資格を失います。次の会社にすぐ入らないなら、年金は第1号への切替を届け出ます。
退職後にやる手続きの順番は?
期限が近いものから並べると、国民年金の第1号への切替は退職日の翌日から14日以内、国民健康保険の加入の届出は14日以内、健康保険の任意継続の申請は資格を喪失した日から20日以内です。健康保険をどちらにするかを先に決めておけば、国民年金と国民健康保険は市区町村の窓口で同じ日に済ませられます。
夫が退職したら、妻は何をしますか?
夫が自営業や無職になると、扶養されていた妻は第3号から第1号に切り替わるので、住所地の市区町村に届け出ます。夫が転職して、妻が扶養の条件を満たせば第3号のままで、手続きは要りません。
出典:日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」/厚生労働省「国民健康保険の加入・脱退について」/健康保険法37条(e-Gov法令検索)
数字だけ、もう一度
- 区分:20歳以上60歳未満で、次の会社にすぐ入らず、会社員の配偶者の扶養にも入らない人は第1号
- 期限:日本年金機構の案内では退職日の翌日から14日以内。施行規則6条の2第1項は「当該事実があつた日から十四日以内」
- 窓口:住所地の市区役所・町村役場。出すのは本人か世帯主。マイナポータルの電子申請も可
- 保険料:令和8年度は月17,920円。早割は60円、口座振替の2年前納は17,370円の割引。付加保険料は月400円(申出が必要)
- 月:月末退職は翌月1日から、月の途中の退職は退職日の翌日から第1号。その月の末日以降も第1号ならその月分から
- 免除:退職特例免除は前年所得をゼロとして審査。追納の承認を受けた日の属する月前10年以内の分は追納できる
- 配偶者:第3号は20歳以上60歳未満・原則年収130万円未満。扶養していた側が自営業や無職になると第1号へ
- 60歳以上:第1号にならず、65歳まで任意加入できる(申出が必要)
退職後の年金でやることは、区分が決まれば1つに絞れます。第1号なら、退職日の翌日から数えた14日目の日付を手帳に書き、基礎年金番号かマイナンバーが分かるものを持って市区町村へ行く。配偶者がいるなら、その人の分も同じ日に済ませ、払えるかが心配なら免除の申請も同じ窓口で言う。期限を過ぎていても、気づいた日に出せば、話はそこから先に進みます。

