60歳で定年退職したら失業保険はいくら?給付制限なし・日額の2式と年金停止

卓上カレンダーと観葉植物の置かれた机
  • 定年退職は会社都合になるの?自己都合になるの?
  • 定年で辞めても、給付制限で待たされる?
  • 失業保険は何日分、何か月分もらえる?
  • 60歳を過ぎると日額が下がると聞いたけれど、いくらになる?
  • ネットの計算サイトで出した額と、ハローワークの額が合わない
  • 年金をもらいながら失業保険も受けられる?
  • 少し休んでから仕事を探したいけれど、それでも間に合う?
  • 再雇用の契約が終わって辞める場合も同じ扱い?

上記のような悩みに答えます。

60歳から64歳で定年を迎えて辞める人の失業保険は、65歳以上の人が受ける一時金とは違って4週ごとに受け取る基本手当ですが、日額の出し方と年金との関係が、60歳未満の人とははっきり違います。「定年なら会社都合」という言い方がよく出回っていますが、正しくは「給付制限が付かない」であって、日数の表は会社都合(特定受給資格者)の表ではありません。一般向けの解説やAI要約は「給付制限なし・年金と同時には受けられない」で終わりがちで、60〜64歳の日額が2つの式の低いほうで決まることや、年金が止まり始める時点と休養のための延長がどうつながるかまでは書かれていません。そこで、いつから・何日・いくらという基本を押さえたうえで、2つの式を実際の数字で追う計算例、年金と失業保険の比べ方、休んでから探す人の延長の手続きまで、厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構の資料で確かめながら整理しました。

先に答え

60〜64歳で定年退職した人の失業保険には給付制限が付かず、求職の申込みから待期7日が過ぎた後の失業している日が支給の対象です。日数は雇用保険に入っていた期間で90日・120日・150日、日額は2つの式の低いほうで上限7,830円。65歳になるまでの老齢年金は、求職の申込みをした月の翌月から止まります。

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目次

定年なら給付制限なし・待期7日の後から

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定年で辞めた人は、自己都合で辞めた人のような給付制限を待つ必要がありません。離職票を出して求職の申込みをしてから、失業している日が通算7日(待期)過ぎれば、その後の失業している日が支給の対象になります。

出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」(支給の開始と期間)

厚生労働省のパンフレットは、辞めた理由を2つに分けています。解雇・定年・契約期間満了で辞めた人は待期7日の後から、正当な理由のない自己都合や懲戒解雇で辞めた人は待期7日に加えて1〜3か月の給付制限の後から、という分け方です。待期は辞め方に関係なく全員にあり、その間は支給されません(雇用保険法21条)。

ここで気をつけたいのは、「給付制限が付かない」ことと「会社都合になる」ことは別の話だという点です。パンフレットの上では、定年は給付制限の付かない側に入っていますが、日数の表では解雇・倒産などの人(特定受給資格者など)とは別の表に載っています。この違いは次の項で表にします。

比べるところ 定年で辞めた人 正当な理由のない自己都合で辞めた人
待期 7日 7日
給付制限 付かない 1〜3か月
日数の表 一般の離職者の表 一般の離職者の表
受給資格の要件 被保険者期間が通算12か月以上 被保険者期間が通算12か月以上

受給資格の要件は、離職の日以前の一定の期間に被保険者期間が通算12か月以上あることです(雇用保険法13条)。長く勤めて定年を迎えた人なら、たいていはここを満たしています。

たとえば、定年の日に辞めて、翌週にハローワークで求職の申込みをした人は、そこから失業している日が通算7日たてば、その後の日が支給の対象です。自己都合で辞めた人のように、さらに1か月以上待つことはありません。ただし、手続きの日が遅れれば、その分だけ支給の対象になる日も後ろにずれます。

編集部の整理では、定年の人がいちばん損をしやすいのは「給付制限が無いから急がなくていい」と考えて、求職の申込みを先延ばしにすることです。辞めたら離職票が届くのを待ち、届いたらすぐにハローワークへ行く。休養したい人は、下の「休んでから失業保険を受けるなら延長を」の項の手続きを先に済ませます。

自分の賃金で日額と総額の目安を出したい人は、失業保険の計算ツール を使ってください。60〜64歳の2つの式に対応しています。

定年の日数は90日・120日・150日

定年で辞めた人の所定給付日数は、雇用保険に入っていた期間(被保険者であった期間)で決まり、10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です。厚生労働省のパンフレットでは、定年で辞めた人は、契約期間満了や自己都合で辞めた人と同じ表に載っています。

出典:ハローワーク「基本手当の所定給付日数」/厚生労働省「離職されたみなさまへ」

日数の表は、一般の離職者の表と、解雇や倒産などで辞めた人(特定受給資格者など)の表に分かれています。後者は、60歳以上65歳未満の区分で、期間に応じて最長240日まで長くなります。パンフレットでは、定年で辞めた人はこちらの表の対象として書かれていません。

雇用保険に入っていた期間 定年・自己都合など(一般の離職者) 解雇・倒産など(特定受給資格者など・60歳以上65歳未満)
1年未満 ― 90日
1年以上5年未満 90日 150日
5年以上10年未満 90日 180日
10年以上20年未満 120日 210日
20年以上 150日 240日

※一般の離職者の1年未満の欄は、受給資格の要件(通算12か月以上)との関係があるので、この記事では扱いません。

「何か月もらえるか」を知りたい人は、この日数を4週ごとの認定の回数に置き換えて考えると見当がつきます。150日なら、認定日に行くたびに前回からの失業している日の分を受け取り、それを日数分くり返します。

定年の前後には、辞め方が「定年」かどうか迷う場面があります。よくある3つを並べます。

  • 定年の日に辞めた:定年の扱い。給付制限は付かず、日数は一般の離職者の表
  • 定年後の再雇用の契約期間が満了して辞めた:パンフレットの区分では契約期間満了の側で、給付制限は付かない。ただし、更新を希望したのに更新されなかったなどの事情があると、扱いが変わることがある
  • 定年のときに再雇用の申し出を断って辞めた:定年の扱いになるか自己都合の扱いになるかは、離職票の記載と本人の申し立てをもとにハローワークが判断する
  • 60歳を過ぎてから、定年より前に自分の都合で辞めた:正当な理由のない自己都合なら、待期7日に加えて1〜3か月の給付制限

たとえば、定年のあと再雇用され、1年ごとの契約を更新してきた人が、65歳になる前に契約の満了を迎えた場合は、定年の日ではなく契約の満了で辞めることになります。どの区分になるかは、離職票の記載と本人の申し立てをもとにハローワークが判断します。離職票を受け取ったら離職理由の欄を確かめ、実際と違うと思ったら、手続きのときに窓口で申し出てください。会社都合の条件そのものは、会社都合退職の条件の記事 で扱っています。

60〜64歳の失業保険の日額は2式の低いほう

60歳以上65歳未満で辞めた人の基本手当日額は、厚生労働省が示す2つの式でそれぞれ計算し、低いほうの額になります。60歳未満の人とは式が違い、賃金日額が高い人ほど給付率が下がる幅も大きくなります。

出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」(令和8年8月1日から。毎年8月1日に改定)

基本手当日額は、辞める前の賃金から出した賃金日額に給付率をかけて決まります。賃金日額が低い人ほど給付率が高く、5,480円未満なら80%です。60〜64歳の人は、賃金日額が5,480円から12,120円までの帯で、次の2つの式の低いほうを使います。

計算例

  • 式1:y = 0.8w − 0.35 × {(w − 5,480) ÷ (12,120 − 5,480)} × w
  • 式2:y = 0.05w + 12,120 × 0.4
  • y=基本手当日額、w=賃金日額。2つのうち低いほう。1円未満は切り捨て

賃金日額が12,120円を超える人は一律45%で、賃金日額には上限17,400円があるため、基本手当日額の上限は7,830円です。下は賃金日額の下限3,203円、基本手当日額の下限2,562円です。

賃金日額の帯 基本手当日額の決まり方
5,480円未満 賃金日額の80%
5,480円〜12,120円 式1と式2の低いほう
12,120円超〜17,400円 賃金日額の45%
17,400円超 上限の7,830円
60〜64歳は、2つの式の低いほうが日額になる
式1(0.8w − 0.35×…)と式2(0.05w+12,120×0.4)を両方計算し、低いほうを取る
賃金日額10,000円 → 式1は5,617円、式2は5,348円 → 日額は5,348円

2つの式をこう組んだ理由は、厚生労働省の資料には書かれていません。分かっているのは、片方だけで計算すると高く出る場合があるということです。

計算例

たとえば賃金日額8,800円の人を式1だけで計算すると5,500円、式2では5,288円です。低いほうを取るので、日額は5,288円。式1だけで計算すると212円高く出ます。

ネットの計算サイトで出した額がハローワークの額と合わないときは、まず60〜64歳の式で計算されているか、2つの式の低いほうを取っているかを確かめてください。計算ツール は2つの式の両方を計算して低いほうを出します。

賃金日額ごとに見る定年退職の総額

総額は、基本手当日額に所定給付日数をかけた額が上限の目安です。賃金日額の帯ごとに、勤続20年以上で150日の人の例を並べます。

計算例

賃金日額 式1 式2 基本手当日額 150日分の目安
6,000円 4,635円 5,148円 4,635円(式1が低い) 695,250円
10,000円 5,617円 5,348円 5,348円(式2が低い) 802,200円
15,000円 ― ― 6,750円(45%) 1,012,500円
20,000円 ― ― 7,830円(上限) 1,174,500円

式の例(賃金日額10,000円):式1=8,000 − 0.35 × (4,520 ÷ 6,640) × 10,000 = 8,000 − 2,382.5… = 5,617円/式2=500 + 4,848 = 5,348円 → 低いほうの5,348円。15,000円は12,120円を超えるので15,000 × 45% = 6,750円。20,000円は賃金日額の上限17,400円で止まり、17,400 × 45% = 7,830円

出典:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」/ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

硬貨と紙幣

表のとおり、賃金日額が高い人ほど給付率は下がり、上限で頭打ちになります。現役時代の給料が高かった人ほど「思ったより少ない」と感じやすいのは、このためです。

この額は「日数分を全部受けた場合」の目安で、実際に受け取るのは失業の認定を受けた日の分です。途中で就職すれば、その後の分は基本手当としては出ません。早く就職した場合は、条件を満たせば残りの日数の一部を再就職手当として受け取れます。60歳以上65歳未満で辞めた人は、再就職手当の計算に使う日額に上限5,454円があります。

計算例

たとえば上の賃金日額10,000円の人(日額5,348円・150日)が、120日分を残して就職した場合、残りが所定給付日数の3分の2以上なので給付率は70%です。日額5,348円は上限5,454円より低いので、そのまま使います。5,348円 × 120日 × 70% = 449,232円

出典:ハローワーク「再就職手当のご案内」。再就職手当の式と要件は 再就職手当はいくらの記事 にまとめています。

賃金日額は、辞める前の賃金を日割りにした額で、残業代の多い月があったか、賞与の扱いなどで人によって変わります。月給から賃金日額を出すところは 計算ツール に任せ、出た賃金日額を上の表の帯に当てはめると、自分がどの式で決まる人かが分かります。

65歳までの年金は求職の翌月から止まる

書類に記入する手元

65歳になるまでの老齢年金(特別支給の老齢厚生年金など)は、失業保険(基本手当)と同時には受けられません。ハローワークで求職の申込みをした月の翌月から、失業保険の受給期間が過ぎた月(または所定給付日数を受け終わった月)まで、年金は全額止まります。

出典:日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」

日本年金機構は、この仕組みを「年金と雇用保険の失業給付との調整」として案内しています。ここで大事なのは、止まり始めるのが「辞めた月の翌月」でも「失業保険が振り込まれた月」でもなく、「求職の申込みをした月の翌月」だという点です。

年金が止まるのは、求職の申込みが起点
  1. 1定年で辞める離職票が届くのを待つ
  2. 2求職の申込みハローワークで申し込んだ月が起点
  3. 3翌月から年金が止まる65歳になるまでの老齢年金が全額停止
  4. 4受給期間が過ぎた月までまたは所定給付日数を受け終わった月まで

この調整の対象は、65歳になるまでの老齢年金です。65歳になるまでの老齢年金を受け取れるか、いつから受け取れるかは、生年月日などで人によって違います。60〜64歳の間に65歳になるまでの老齢年金を受け取る権利が無い人には、この調整で止まる年金はありません。受給期間の途中で受け取れる年齢になる人や、受け取れるのにまだ請求していない人は対象になり得るので、年金事務所で確かめてください。自分に該当する年金があるかは、ねんきん定期便でも見当がつきます。

たとえば、65歳になるまでの老齢年金をすでに受け取っている人が、定年で辞めて求職の申込みをした場合は、申し込んだ月の翌月から年金が止まります。一方で、60〜64歳の間に65歳になるまでの老齢年金を受け取る権利が無い人が、定年で辞めて失業保険を受ける場合は、この調整で止まる年金がありません。同じ「60代前半の定年退職」でも、65歳になるまでの老齢年金を受け取る権利があるか、受給期間の途中で受け取れる年齢になるかで、この項の話が自分に関係するかが変わります。

停止が終わるのは、日本年金機構の説明では、受給期間が過ぎた月か、所定給付日数を受け終わった月です。つまり、日数を早く受け終えた人は、その月で停止の区切りが来ます。求職の申込みの後に基本手当を受けていない月がある場合の年金の扱いなど、細かい支払いの時期は人によって違うので、自分の場合は年金事務所で聞いてください。

年金と失業保険、どちらを取るか

年金が止まる人は、失業保険を受けるか、年金を受け続けるかを比べることになります。比べるのは、失業保険の総額と、止まる月数分の年金です。

日本年金機構の説明は、年金の停止の起点を「求職の申込みをした月の翌月」としています。失業保険の手続きをせずに年金を受け続けるか、年金が止まっても失業保険を受けるかで、手元に入るお金の合計が変わります。どちらが多くなるかは、日額・日数・年金の額・止まる月数の組み合わせで決まるので、人によって答えが違います。

比べるのは、失業保険の総額と止まる年金
失業保険を受ける

  • 基本手当日額 × 認定を受ける日数
  • 求職の申込みの翌月から年金が止まる
  • 次の仕事を探す活動が前提
年金を受け続ける

  • 年金の月額 × 止まるはずだった月数
  • 求職の申込みをしない
  • 失業保険は受けない

比べる手順は次のとおりです。

  1. 失業保険の総額を出す:計算ツール で基本手当日額を出し、上の日数表の日数をかける
  2. 年金の月額を確かめる:年金証書、年金の振込通知、ねんきん定期便のどれかで見る
  3. 止まる月数を聞く:年金事務所で「この月に求職の申込みをしたら、何月分から何月分まで止まるか」を聞く
  4. 2と3をかけた額と、1の総額を並べる

たとえば、年金の月額が少なく、失業保険の日額と日数が大きい人は、失業保険を受けたほうが合計が多くなりやすくなります。反対に、年金の月額が大きく、所定給付日数が90日の人は、止まる月数によっては年金を受け続けたほうが多くなることがあります。どちらになるかは数字を並べるまで分からないので、「年金が止まるから失業保険は損」とも「失業保険のほうが得」とも決めつけないでください。

もう1つの軸は、次の仕事を探すかどうかです。失業保険は、求職の申込みをして仕事を探している人が失業の認定を受けて受け取るものなので、しばらく働くつもりが無い人は、まず下の受給期間の延長を考えます。年金事務所に相談に行くときの持ち物は、事前に年金事務所へ電話で確かめておくと二度手間になりません。

休んでから失業保険を受けるなら延長を

定年で辞めて、しばらく休んでから仕事を探したい人は、受給期間の延長を申請できます。離職の日の翌日から2か月以内に申請すると、本来の受給期間1年に、求職の申込みをしない期間を最長1年まで加えられます。

出典:厚生労働省「離職されたみなさまへ」(受給期間延長・65歳未満で退職された場合)/厚生労働省「雇用保険制度Q&A」

延長が要るのは、失業保険を受けられる期間(受給期間)が、原則として離職の日の翌日から1年と決まっているからです。この1年を過ぎると、所定給付日数が残っていても支給されません(ハローワーク「基本手当について」)。休んだ期間が長いほど、受給期間(離職の日の翌日から1年)の中に所定給付日数が収まらなくなるおそれがあります。延長しておけば、休んだ期間の分だけ受給期間が後ろに延びます。

項目 定年等で休養する場合の延長
対象 60歳以上の定年等で辞めて、しばらく休養する人(パンフレットでは65歳未満で退職した場合として案内)
申請の期限 離職の日の翌日から2か月以内。原則として、過ぎた申請は承認されない
延ばせる期間 求職の申込みをしない期間を最長1年
出すもの 受給期間延長等申請書と離職票
出し方・出す先 原則として本人が、住所を受け持つハローワークへ

この延長は、病気やけが、妊娠・出産・育児、親族の介護で働けない人の延長とは別の仕組みです。期限も延ばせる長さも違うので、混ぜて考えないでください。

たとえば、定年で辞めたあと半年は旅行や家の片づけに使い、その後に仕事を探すつもりの人は、辞めてから2か月以内にハローワークで延長を申請し、休養が終わってから求職の申込みをします。反対に、辞めてすぐ探す人は延長の申請は要りません。迷っている人は、期限の2か月を過ぎると原則として承認されないので、先に窓口で相談しておくと選べる道が残ります。

延長したときに年金がいつ止まるかは、求職の申込みの時期で変わり得ます。年金を受けている人は、延長を申請する前に年金事務所で「延長して、この月に求職の申込みをしたら、年金はどうなるか」を聞いておくと、休養の期間と家計の計画を一緒に立てられます。

使わなくていい場合

定年退職者向けに、失業保険の申請や「受給額を増やす」手伝いをうたう有料のサポートがあります。次に当てはまる人は、使わなくて足ります。

定年で辞めた人の日数は雇用保険に入っていた期間で、日額は賃金日額と2つの式で決まり、誰が手続きを手伝っても変わりません。給付制限が付かないことも、離職理由が定年であれば同じです。年金が止まる月数や年金の額は、年金事務所で確かめられます。

  • ハローワークで自分で手続きできる人:離職票と本人確認の書類、写真などを持って行けば、求職の申込みと受給の手続きはその場で進みます
  • 自分の額を知りたいだけの人:日額は上の式と表で決まり、計算ツール で出せます
  • 年金と失業保険のどちらを取るか迷っている人:止まる月数と年金の額は年金事務所で確かめられ、業者に頼む必要はありません
  • 休んでから探したい人:受給期間の延長はハローワークで本人が申請します

たとえば「定年退職者は申請しだいで受給額が大きく増える」という案内を見て不安になった人でも、自分の賃金日額と雇用保険に入っていた期間が決まっていれば、基本手当の額は上の式と表でおおよそ決まります。迷うところは、無料のハローワークと年金事務所で聞けば足ります。

次にやること

定年で辞める人がやることは、辞める前に数字をそろえることと、辞めたらすぐ動くことの2つです。

  1. 雇用保険に入っていた期間を確かめ、日数が90日・120日・150日のどれかを見る
  2. 計算ツール で基本手当日額と総額の目安を出す
  3. 65歳になるまでの老齢年金を受けている(受ける予定の)人は、年金事務所で止まる月数と年金の額を聞き、失業保険の総額と並べる
  4. 休んでから探すなら、離職の日の翌日から2か月以内にハローワークで受給期間の延長を申請する
  5. すぐ探すなら、離職票が届いたらハローワークで求職の申込みをする(そこから待期7日)
  6. 早く次の仕事が決まりそうなら、入社前にハローワークで再就職手当の対象になるかを聞く

1から3は、辞める前でもできます。特に年金を受けている人は、求職の申込みの月で年金の止まり方が決まるので、申し込む前に年金事務所で聞いておくのが順番です。

次に読むもの

65歳を過ぎてから辞める人は、失業保険の形が一時金に変わるので 65歳以上の失業保険の記事 へ。手続きの流れは 失業保険のもらい方、離職票が届かないときは 離職票が来ない場合の記事、辞める日の決め方は いつ・どう辞めるか の記事にまとめています。

定年退職の失業保険でよくある質問

60歳で定年退職したら、自己都合と会社都合のどちらになりますか?

どちらでもなく、定年として扱われます。給付制限は付きませんが、日数は解雇・倒産などの人の表ではなく、自己都合などと同じ一般の離職者の表(90日・120日・150日)です。区分はハローワークが離職票の記載と本人の申し立てをもとに判断します。

60歳で自己都合で退職したら、失業保険はもらえますか?

被保険者期間が通算12か月以上などの要件を満たしていれば、受け取れます。正当な理由のない自己都合で辞めた場合は、待期7日に加えて1〜3か月の給付制限があり、その後から支給の対象になります。

定年退職後の失業保険は何か月もらえますか?

日数で決まり、雇用保険に入っていた期間が10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です。受け取れる期間は原則として離職の日の翌日から1年なので、手続きが遅れると日数を受けきれないことがあります。

待期期間のあいだはどうなりますか?

求職の申込みから失業している日が通算7日になるまでは、支給されません。定年の人は、待期が終われば給付制限を待たずに、その後の失業している日が支給の対象です。

60歳で定年退職したいのですが、何から始めればいいですか?

辞める前に、雇用保険に入っていた期間、基本手当日額の目安、受けている年金の有無を確かめます。年金を受けている人は年金事務所で止まる月数を聞き、休養したい人は辞めてから2か月以内に受給期間の延長を申請します。

年金をもらいながら失業保険を受けられますか?

65歳になるまでの老齢年金は、失業保険(基本手当)と同時には受けられません。求職の申込みをした月の翌月から年金が全額止まります。どちらを受けるかは、失業保険の総額と止まる年金を並べて決めます。

65歳を過ぎて辞めた場合も同じですか?

65歳以上で辞めた人の失業保険は、基本手当ではなく一時金の形になり、日数や受け取り方が変わります。65歳以上の失業保険の記事 で扱っています。

数字だけ、もう一度

  1. 定年の給付制限:付かない。求職の申込みから待期7日の後の失業している日が支給の対象
  2. 自己都合との違い:正当な理由のない自己都合は待期7日+1〜3か月の給付制限
  3. 日数:定年は一般の離職者の表で、10年未満90日・10年以上20年未満120日・20年以上150日(解雇・倒産などの60歳以上65歳未満は最長240日)
  4. 日額:60〜64歳は2つの式の低いほう。賃金日額5,480円未満は80%、12,120円超は45%、上限7,830円、下限2,562円(令和8年8月1日から。毎年8月1日に改定)
  5. 計算例:賃金日額10,000円なら日額5,348円、150日分で802,200円
  6. 年金:65歳になるまでの老齢年金は、求職の申込みをした月の翌月から、受給期間が過ぎた月(または所定給付日数を受け終わった月)まで全額停止
  7. 受給期間の延長:定年等で休養するなら、離職の日の翌日から2か月以内に申請、最長1年延ばせる
  8. 再就職手当:60歳以上65歳未満は計算に使う日額の上限5,454円

定年の失業保険で本人が決められることは、意外に少なくありません。日数と日額は数字でほぼ決まりますが、いつ求職の申込みをするか、休養のために延長するか、年金と失業保険のどちらを取るかは、自分で選べます。そして、その3つは互いにつながっていて、求職の申込みの月が年金の止まり方を決め、延長するかどうかが申込みの月を動かします。辞める前に、計算ツールで失業保険の総額を出し、年金事務所で止まる年金を聞き、ハローワークで延長の要否を相談する。この3か所を回っておけば、辞めた後に慌てて決めることはなくなります。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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