未経験からITエンジニア・宅建・登録販売者へ|職業訓練と給付を使う順番と空白のお金

ノートパソコンとコーヒーのある机
  • 未経験からITエンジニアになるには、何から手をつければいい?
  • SEは未経験だときついって聞くけど、資格があれば違う?
  • 宅建や登録販売者は、学歴や経験がなくても受けられるの?
  • 登録販売者に受かったら、すぐ一人で店に立てる?
  • 介護福祉士は、未経験だと受験すらできないの?
  • スクール代に給付金は出る?辞めた後でも使える?
  • 職業訓練なら無料で学べて、失業保険も延びるって本当?
  • 勉強している間の生活費が続くか不安

上記のような悩みに答えます。

資格を取って未経験の仕事に移る道は、資格によって入口の高さがまったく違います。誰でも受けられる試験もあれば、働いた経験と研修を積まないと受験票が届かない資格もあります。スクールや転職メディアは「未経験からでも大丈夫」「まずは無料相談へ」で話を進めますが、資格ごとの受験の条件と、合格した後に一人前として働けるまでの条件、そして勉強している間のお金をどの制度でまかなうかを、横に並べて見せてはくれません。そこで、4つの資格(ITエンジニア向けの基本情報技術者・宅建士・登録販売者・介護福祉士)の受験の入口と合格後の条件を押さえたうえで、教育訓練給付・公共職業訓練・求職者支援訓練のどれが自分に使えるか、辞める前と辞めた後でどの順番に動けば損をしないかまで、雇用保険法の条文と厚生労働省・試験実施機関の資料で確かめながら整理しました。

先に答え

資格で未経験の仕事に移れるかは、資格ごとに入口が違います。宅建と登録販売者は学歴や実務経験なしで受けられますが、介護福祉士は実務経験のルートで受けるなら実務経験3年以上と実務者研修が必要です。勉強している間のお金は、教育訓練給付・公共職業訓練・求職者支援訓練のどれが使えるかで変わるので、辞める前に順番を決めておきます(2026年11月時点)。

2026年11月時点の制度で確かめています

辞めた後に失業保険を受けながら勉強するつもりなら、自分の基本手当日額と給付日数の目安を 失業保険の計算ツール で先に出しておくと、この先の順番が決めやすくなります。

目次

未経験で移れるかは資格ごとに違う

資格を足がかりに未経験の仕事へ移れるかどうかは、「試験を受けるのに条件があるか」と「合格した後、その仕事を一人で任されるまでに条件があるか」の2つで決まります。この2つが資格ごとにばらばらなので、「資格を取れば未経験でも移れる」とひとまとめには言えません。

条件がばらばらなのは、資格ごとに別の制度で定められているからです。受験の入口を広くするか、実務の経験を求めるかは、それぞれの制度が決めています。ITエンジニアの場合は、ここで扱う基本情報技術者試験が仕事に就くための条件として決められたものかどうかは、公的な資料で確かめられていません。

資格 受験の条件 試験の時期 合格後に残る条件
基本情報技術者 公式ページに受験資格の条件の記載はない CBT方式で随時(2026年12月28日以降は休止予定) 求人ごとに求める条件が違う
宅建士 日本国内に居住していれば年齢・学歴等に関係なく受験できる 毎年1回、10月の第三日曜日 資格登録に宅建業法第18条の条件がある
登録販売者 学歴・実務経験の要件はない 都道府県ごとに実施 一人で店舗管理者になるには従事期間が要る
介護福祉士 実務経験ルートは実務経験3年以上+実務者研修の修了 国家試験 受験の前に経験と研修を積む

出典:不動産適正取引推進機構「試験の概要」/厚生労働省「登録販売者試験の実務経験等の省令改正の概要」/社会福祉振興・試験センター「受験資格」/IPA「基本情報技術者試験」

表を横に見ると、入口が一番低いのは宅建士と登録販売者で、介護福祉士は「まず働く」ところから始まります。つまり介護福祉士を実務経験のルートで目指す人は、資格を取ってから転職するのではなく、転職してから資格を取る順番になります。

たとえば、事務職を辞めて登録販売者を目指す人なら、在職中に勉強して受験し、合格してからドラッグストアの求人に応募する順番が取れます。同じ人が介護福祉士を実務経験のルートで目指すなら、先に介護の職場に入り、働きながら実務者研修を受けて3年以上の実務経験を積む道になり、勉強の計画より先に「どこで働くか」を決めることになります。

迷ったときは、資格の名前より先に、表の「合格後に残る条件」の列を見てください。そこに条件がある資格は、合格してもすぐに一人で任されるとは限らないので、その期間の収入をどうするかまで含めて計画を立てます。

ITエンジニアは資格より先に見ること

未経験からITエンジニアを目指すとき、最初に確かめるのは資格ではなく、応募したい求人が何を条件にしているかです。ITの仕事に就くために法律で必須とされた資格があるかどうかは、この記事では公的な一次資料で確かめられていないので、「資格がなくてよい」とも「資格が要る」とも言い切りません。

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資格を勉強の目標にする人がよく挙げるのが、情報処理推進機構(IPA)の基本情報技術者試験です。この試験はCBT方式で年間を通じて随時実施されていますが、IPAは2026年12月28日以降に試験を休止する予定と公表しています。再開の時期は書かれていません。受験資格については、IPAの公式ページに年齢や学歴の条件の記載は見当たりませんが、「誰でも受けられる」とまでは書かれていないので、申し込む前にIPAのページで最新の案内を確かめてください。

出典:IPA「通年試験:情報セキュリティマネジメント試験、基本情報技術者試験」

休止の予定があるので、これから勉強を始める人は「年内に受ける」か「再開を待つ」かを先に決めておく必要があります。数か月かけて準備してから申し込もうとすると、受けたいときに試験が無い、ということが起こりえます。

  • 応募したい求人を数件選び、応募条件に資格が書かれているかを見る
  • 書かれている資格があれば、その試験の実施時期と申込方法を公式ページで確かめる
  • 基本情報技術者を受けるなら、休止予定の日より前に受けられるかを先に決める
  • 勉強の場を講座にするなら、その講座が教育訓練給付の対象かを検索システムで調べる

たとえば、営業職から開発の仕事に移りたい人が、求人を見たら応募条件に資格の記載はなく「学習の経験を書いてください」とだけあった、という場合は、資格の取得を待たずに学んだ内容を書いて応募する順番が取れます。反対に、応募条件に資格名が書かれた求人ばかりなら、その資格の試験の日程から逆算して、辞める時期を決めることになります。

SEは未経験だときついか、IT業界に向いていない人はどんな人か、という問いには、この記事では公的な統計で確かめられていません。編集部では、向き不向きを一般論で決めるより、求人の仕事内容を読んで「この作業を毎日できるか」を自分に聞くほうが、判断の材料になると考えています。

宅建士と登録販売者は未経験でも受験できる

宅建士と登録販売者は、学歴や実務経験がなくても受験できます。ただし、どちらも合格した後に条件があり、とくに登録販売者は、合格してすぐに一人で店を任されるわけではありません。

宅建士(宅地建物取引士)の試験は、日本国内に居住していれば、年齢や学歴等に関係なく誰でも受験できます。試験は毎年1回、10月の第三日曜日に行われます。令和8年度の試験は令和8年10月18日に実施済みなので、これから受けるなら次は令和9年度の試験になります。日程は試験実施機関の発表を待って確かめてください。合格した後に宅建士として登録するには、宅建業法第18条の登録の条件があります。

出典:不動産適正取引推進機構「試験の概要」

登録販売者の試験は、平成27年4月1日に施行された省令の改正で、学歴や実務経験の要件がなくなりました。学歴や実務経験を証明する書類の提出も要りません。試験は都道府県ごとに行われるので、日程は受けたい都道府県の案内で確かめます。

合格した後に気をつけたいのが、店舗管理者になるための従事期間です。第2類・第3類医薬品を扱う店舗で、薬剤師ではない登録販売者が店舗管理者になるには、次のどれかが要ります。

  • 過去5年間で、従事期間が通算2年以上(1か月80時間以上働いた月で数える)
  • 過去5年間で通算1年以上に加え、所定の研修と厚生労働大臣が必要と認める研修を修了(1か月160時間以上)
  • 過去5年間で通算1年以上に加え、店舗管理者・区域管理者の経験がある
  • 月の時間が届かなくても、過去5年間の合計が1,920時間以上なら1つ目を満たすとみなせる

出典:厚生労働省「登録販売者制度の取扱い等について」

この条件は、薬剤師ではない登録販売者が第2類・第3類医薬品の店舗管理者になるための従事期間として定められています。合格は入口で、一人で店を回せるまでには店で働く期間が要る、と理解しておくと、求人を見たときに「管理者候補」「実務経験を積める」といった言葉の意味が読めるようになります。

たとえば、合格してからパートで週に数日だけドラッグストアに入る人は、1か月80時間に届かない月が出ることがあります。その場合でも、過去5年間の合計で1,920時間以上になれば条件を満たすとみなせるので、働いた時間を月ごとに記録しておくと、あとで自分の期間を数えやすくなります。この取扱いには新しい通知が出ている可能性があるので、管理者を目指す段階になったら、勤め先の都道府県の薬務の窓口で最新の扱いを確かめてください。

宅建士も登録販売者も、試験に受かることと、その仕事で一人前に扱われることの間には段差があります。応募の前に、その段差を会社がどう埋めてくれるか(研修や配属の仕組み)を、求人票と面接で聞いておくと安心です。

介護福祉士は未経験だとまず働いて研修

介護福祉士は、未経験のままでは受験できません。実務経験ルートで受けるなら、実務経験3年以上に加えて実務者研修の修了が必要で、「3年働いた」だけでは受験資格になりません。

受験資格のルートは養成施設や福祉系高校などほかにもありますが、ここでは働きながら受ける実務経験ルートを見ます。介護の現場で働きながら、実務者研修を修了し、経験を積んでから国家試験を受ける流れです。

出典:社会福祉振興・試験センター「受験資格」

研修を受ける場として、国の求職者支援訓練には介護分野のコースがあります。厚生労働省の案内では、「介護職員初任者養成科(初任者研修コース)」「介護実務者養成科(介護福祉士実務者研修コース)」「生活援助従事者養成科」があり、受講料は無料です。初任者研修を修了した人は、実務者研修を受けるときに一部の科目が免除されます。

出典:厚生労働省「介護分野の職業訓練(求職者支援訓練)を受講しませんか」

ここで気をつけたいのは、これが求職者支援訓練のコースだという点です。求職者支援訓練は、主に雇用保険を受給できない人のための訓練で、失業保険を受けている人とは使える制度が違います(次の項)。また、公共職業訓練の側で同じ研修を受けられるかは、この記事では公的な資料で確かめられていません。コースの有無は地域と時期で違うので、受けたい人はハローワークで、住んでいる地域で今どの介護のコースが募集されているかを聞いてください。

たとえば、失業保険の受給が終わった人や、雇用保険に入っていなかった人なら、求職者支援訓練の初任者研修コースを無料で受け、修了してから介護の職場に入り、働きながら実務者研修に進む順番が考えられます。失業保険を受けている最中の人は、同じコースに申し込めるのか、自分の場合は公共職業訓練のどのコースが対象になるのかを、窓口で先に確かめます。

介護福祉士を目指すなら、計画の単位は「試験まで」ではなく「職場に入ってから3年以上」です。最初の職場を選ぶときに、実務者研修を働きながら受けられるか、勤務の時間が経験として数えられる働き方かを、面接で聞いておいてください。

未経験で学ぶ間のお金は3つの制度で分かれる

勉強している間のお金をどうするかは、教育訓練給付・公共職業訓練・求職者支援訓練のどれが自分に使えるかで決まります。どれが使えるかは、雇用保険に入っていた期間と、いま失業保険を受けているかどうかで分かれます。

テーブルの上の硬貨

3つは、使える人と窓口が別々の制度です。教育訓練給付は、雇用保険に入って働いてきた人が自分で講座を選んで学ぶときに、受講費用の一部を戻す制度です。公共職業訓練は、主に失業保険を受けている人が、ハローワークを通じて申し込み、訓練を受けながら就職を目指す仕組みです。求職者支援訓練は、主に雇用保険を受給できない人のための無料の訓練で、条件を満たせば生活費として給付金が出ます。

制度 主に使える人 お金の出方
教育訓練給付 雇用保険の加入期間がある在職者、離職後1年以内の人 受講費用の一部(一般は修了後に20%・上限10万円。専門実践は受講中6か月ごと)
公共職業訓練 主に失業保険を受けている人 受講料は無料(テキスト代などは自己負担)。受講指示を受けると訓練終了日まで基本手当
求職者支援訓練 主に雇用保険を受給できない人 受講料は無料(テキスト代などは自己負担)。条件を満たせば職業訓練受講給付金(受講手当は月10万円)

出典:ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付金」/厚生労働省「ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)」

教育訓練給付には3つの種類があり、戻る割合が違います。一般教育訓練は受講費用の20%(上限10万円)、特定一般教育訓練は40%(上限20万円)で、資格を取って修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇われると50%(上限25万円)になります。専門実践教育訓練は50%(年間上限40万円・最大3年)で、資格を取って修了後1年以内に雇われると70%(年間上限56万円)、さらに賃金が受講開始前より5%以上上がると80%(年間上限64万円)になります。上乗せの80%と特定一般の50%は、令和6年10月1日以降に受講を始めた人が対象です。

受けるには、受講開始日の時点で雇用保険の加入期間(支給要件期間)が3年以上あることが必要です。初めて受ける人は、一般と特定一般なら1年以上、専門実践なら2年以上で足ります。法律(雇用保険法60条の2)の本文は「三年以上」と定めていて、初めて受ける人の1年・2年はこれとは別に定められた扱いです。辞めた後に使う場合は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であることが条件で、離職後1年以内に病気やけが・出産などで引き続き30日以上受講を始められないときは、ハローワークに申請すれば、受講を始められない日数の分だけ延ばせます(最大20年)。

出典:雇用保険法60条の2(e-Gov法令検索)/厚生労働省「適用対象期間延長が最大20年になります」

自分で講座を選ぶか、ハローワークの訓練か
教育訓練給付

  • 講座は自分で選ぶ
  • 受講費用の一部が支給される
  • 離職日の翌日から1年以内に受講開始
公共職業訓練・求職者支援訓練

  • 訓練はハローワークで申し込む
  • 受講料は無料(テキスト代などは自己負担)
  • 失業保険の有無で使う訓練が分かれる

どの講座が給付の対象かは、講座ごとに指定されているので、資格の名前だけでは分かりません。宅建・登録販売者・基本情報技術者・初任者研修などの講座が対象かどうかは、厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で、受けたい講座の名前や地域から調べます。受講予定日の時点で自分に受給資格があるかは、ハローワークで確かめます(電話での照会はできません)。

出典:厚生労働省「教育訓練講座検索システム」

たとえば、雇用保険に5年入って働いてきた人が、在職中に一般教育訓練の対象講座を受けて修了し、修了日の翌日から1か月以内に申請すれば、受講費用の20%(上限10万円)が戻ります。同じ人が辞めた日の翌日から1年を過ぎて受講を始めると、延長の理由が無い限り、離職後の期間の条件から外れてしまいます(延長が認められる場合を除く)。教育訓練給付を使うつもりなら、「辞めた日から1年」の時計が動き始める前に、講座の目星をつけておくのが安全です。

辞めてから学ぶときの順番

辞めてから勉強に専念するなら、退職の前に「どの制度でお金を支えるか」を決め、辞めたらすぐハローワークで手続きと相談をする順番になります。順番を誤ると、使えたはずの給付を受けられないことがあります。

手帳と2本のペン

順番が大事なのは、制度ごとに「いつまでに」の線が違うからです。教育訓練給付は離職日の翌日から1年以内に受講を始める必要があり、公共職業訓練の受講指示は、原則として所定給付日数の支給残日数が一定以上ある時点で行われます。失業保険の日数を使い切ってから訓練を探すと、受講指示の対象から外れることがあります。

失業保険を受けている人がハローワークの受講指示を受けて公共職業訓練を受けると、訓練を受ける期間とその後は自己都合退職の給付制限(2025年4月1日以降に辞めた人は1か月)がかからなくなり、所定給付日数を過ぎても訓練が終わる日まで基本手当が出ます(対象になる訓練の期間は2年が上限)。訓練を受けた日には受講手当(日額500円・40日分まで、上限2万円)、通所手当(月上限42,500円)が出て、家族と別居して寄宿する場合は寄宿手当(月10,700円)も対象になります。受講指示は、訓練に申し込んだだけでは出ず、安定所長が受講の必要を認めて指示するものです(細かな基準は管轄のハローワークで確かめます)。延長の細かな条件や申し込みの流れは 失業保険をもらいながら職業訓練を受ける にまとめています。

出典:ハローワーク「基本手当について」/雇用保険法33条(e-Gov法令検索)

もう一つ見落とされやすいのが、在職中の講座の受講です。離職日前1年以内に教育訓練給付金の対象となる教育訓練などを受けていた人は(2025年4月1日以降に受講を始めたもの)、自己都合で辞めても給付制限がかかりません。在職中に対象講座を受けておくことが、辞めた後の1か月の空白を埋めることにもつながります。

出典:厚生労働省「自己都合離職者の給付制限について」

辞める前から決めておく順番
  1. 1対象講座を調べる教育訓練講座検索システムで、受けたい講座が対象か
  2. 2在職中に受けるか決める離職日前1年以内の受講なら給付制限がかからない
  3. 3辞めたら手続きと相談ハローワークで受給の手続きと訓練の相談を同じ日に
  4. 4受講指示を受ける支給残日数が残っているうちに
  5. 5失業保険が無い人は求職者支援訓練と職業訓練受講給付金を相談

雇用保険を受給できない離職者や受給が終わった人は、ハローワークに求職を申し込み、支援が必要と認められれば求職者支援訓練を受けられます。条件を満たせば職業訓練受講給付金として月10万円の職業訓練受講手当と、通所手当(月上限42,500円)、寄宿手当(月10,700円)が出ます。条件は、本人収入が月8万円以下、世帯全体の収入が月30万円以下、世帯全体の金融資産が300万円以下、住んでいるところ以外に土地・建物を持っていないこと、訓練の実施日すべてに出席すること(やむを得ない理由で欠席して証明できる場合でも8割以上)、過去6年以内にこの給付金を受けていないことなどで、すべてを満たす必要があります。失業保険の受給資格者は、この給付金の対象になりません。給付金を受けても生活費が足りないときは、求職者支援資金融資(単身者は月5万円、扶養家族ありは月10万円で、受講予定の月数分。利率2%)を借りる道もあります。失業保険が無い人の生活の立て方は 仕事を辞めて生活できないとき で詳しく見られます。

出典:厚生労働省「求職者支援制度のご案内」

たとえば、自己都合で辞め、雇用保険に入っていた期間が10年未満の人なら、所定給付日数は90日です(年齢は関係ありません)。この人が辞めてから資格の講座を探し始め、日数を使い切ったころに訓練を見つけても、支給残日数が少なくなっていれば、受講指示を受けられないことがあります。同じ人が辞める前に訓練の情報を集め、手続きの日に相談していれば、残日数のあるうちに受講指示を受けられる可能性が高まります。自分の日数の目安は 失業保険の計算ツール で出せます。

辞めてから学ぶ人にとって一番の損は、制度の名前を知らないことではなく、知るのが遅いことです。退職日を決める前に、ハローワークで「この資格を目指したい。自分はどの訓練と給付が使えるか」と聞いておけば、順番は窓口と一緒に組み立てられます。

就職支援を使う条件と時期

就職支援(民間の転職支援)を使うかは、資格を取る見通しが立った段階で、「応募先を自分で選べるか」で決めます。勉強の途中から相談を始めることもできますが、資格の試験日や訓練の終了日が決まってから使うほうが、応募の時期を合わせやすくなります。

使う時期は、資格の見通しに合わせると応募の時期をそろえやすくなります。宅建なら試験の時期、基本情報技術者なら休止予定の日、介護なら研修の修了日、と資格ごとに区切りの日が違うので、その日から逆算して相談を始めます。

失業保険を受けている人は、就職が決まったときのお金の条件も確かめておきます。早く就職すると再就職手当を受け取れる場合があり、条件は 再就職手当をもらえる条件 にまとめています。自己都合の給付制限の数え方は 給付制限は1か月 で見られます。在職中に次を決めるか、辞めてから探すかで迷っている人は 在職中に転職するか、辞めてから探すか も参考にしてください。

  • 資格の区切りの日(試験日・修了日・休止予定日)を書き出す
  • その日までに、応募したい職種の求人を自分で数件読んでおく
  • 応募先の見当がつかなければ、区切りの日より前に支援の面談を受ける
  • 面談では、学んでいる資格と区切りの日を最初に伝える

たとえば、在職中に宅建の勉強をして令和9年度の試験を受ける予定の20代の人なら、試験の前に一度支援の面談を受けて、未経験で受けられる不動産の会社の求人の傾向を聞き、合格発表の後に応募を始める流れが考えられます。反対に、介護の初任者研修コースを受けている人なら、修了日の前からハローワークの介護の求人を見て、実務者研修を働きながら受けられる職場を自分で探す形も取れます。

資格は取れても、未経験でどの会社に応募すれば採ってもらえるのか、自分では見当がつかない、という段階なら、人に相談する意味があります。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

受けたい職種の求人を自分で読めて、応募先も絞れているなら、ハローワークの求人と自分での応募で足ります。勉強は進んでいても、未経験の自分がどの会社なら受かる見込みがあるのか分からないまま応募を重ねているなら、20代・未経験専門の転職エージェントとしているビーシャインのように、未経験の人の応募先選びから相談できる支援が合います。求職者は無料ですが、対象は20代と公式に書かれているので、30代以上の人は申し込む前に自分の年齢で相談できるかを確かめてください。

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就職支援を使わなくていい場合

次に当てはまる人は、民間の就職支援を使わず、ハローワークと自分での応募で足ります。支援を使うかどうかは、資格の種類ではなく、自分ひとりで足りない部分があるかで決めてください。

  • 応募したい職種と会社の種類が決まっていて、求人を自分で読める
  • 介護のように、働きながら資格を取る道を選び、ハローワークの求人で職場を探せる
  • 公共職業訓練や求職者支援訓練を受けていて、訓練の中で就職の相談ができる
  • 30代以上で、使いたい支援の対象年齢から外れている
  • 担当者から応募を急かされると、資格の計画が崩れやすいと分かっている

資格を目指す人にとって、支援を急いで使う一番の弊害は、勉強の計画より先に応募の予定が埋まってしまうことです。試験日や研修の修了日が決まっていない段階で何社にも登録すると、紹介される求人に合わせて、取るつもりだった資格のほうを後回しにしてしまうことがあります。

たとえば、地元のドラッグストアで登録販売者として働きたいと決めている人なら、合格した後にハローワークの求人と店舗の採用ページから直接応募すれば十分に動けます。ITの仕事を目指していて、どの求人が未経験の自分に合うのかが分からない人なら、応募先選びだけを人に頼み、勉強の計画は自分で持つ形が合います。

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よくある質問

SEは未経験だときついですか?

きついかどうかは、この記事では公的な統計で確かめられていません。求人の仕事内容と応募条件を数件読み、毎日の作業として続けられるかを自分で確かめてから決めてください。勉強を講座で進めるなら、その講座が教育訓練給付の対象かを検索システムで調べておくと、費用の負担を減らせる場合があります。

未経験からITエンジニアになるには、まず資格を取るべきですか?

資格が必要かは、応募したい求人の応募条件で決まります。基本情報技術者試験はCBT方式で随時実施されていますが、2026年12月28日以降は休止の予定と公表されているので、受けるならIPAで最新の案内を確かめてから時期を決めてください。

宅建は誰でも受けられますか?次はいつですか?

日本国内に居住していれば、年齢・学歴等に関係なく受験できます。試験は毎年1回、10月の第三日曜日で、令和8年度は令和8年10月18日に実施済みなので、次は令和9年度の試験です。日程は試験実施機関の発表で確かめてください。

登録販売者は合格したらすぐ店舗管理者になれますか?

なれません。薬剤師ではない登録販売者が第2類・第3類医薬品を扱う店舗の管理者になるには、過去5年間で通算2年以上(1か月80時間以上の月で数える)の従事などの条件があります。働いた時間を月ごとに記録しておくと、自分の期間を数えやすくなります。

介護福祉士は、先に初任者研修と実務者研修のどちらを受けますか?

実務経験ルートで受験するには、実務経験3年以上と実務者研修の修了が必要です。初任者研修を修了した人は実務者研修の一部の科目が免除されるので、初任者研修から始めて職場に入り、働きながら実務者研修に進む順番も取れます。求職者支援訓練には両方のコースがあり、受講料は無料です。

スクール代に給付金は出ますか?辞めた後でも使えますか?

教育訓練給付の対象講座なら、一般教育訓練で受講費用の20%(上限10万円)が修了後に戻ります。辞めた後でも、離職日の翌日から受講開始日まで1年以内なら使えます。申請は修了日の翌日から1か月以内に、住所を管轄するハローワークへ行います。

勉強中の生活費が足りないときはどうすればいいですか?

失業保険を受けているなら、受講指示を受けて公共職業訓練を受けると、訓練が終わる日まで基本手当が出ます。失業保険が無い人は、条件を満たせば求職者支援訓練の職業訓練受講給付金(月10万円の職業訓練受講手当など)を受けられます。専門実践教育訓練を受ける失業中の人で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす人には、基本手当日額の60%の教育訓練支援給付金もあります(令和8年度末までの暫定措置)。

数字だけ、もう一度

  1. 資格ごとの入口:宅建士は日本国内に居住していれば誰でも受験でき、試験は毎年1回・10月の第三日曜日(令和8年度は令和8年10月18日に実施済み)。登録販売者は平成27年4月1日から学歴・実務経験の要件なし
  2. ITエンジニア:基本情報技術者試験はCBT方式で随時実施、2026年12月28日以降は休止予定。必須の資格かどうかは求人の応募条件で確かめる
  3. 登録販売者の合格後:店舗管理者には過去5年間で通算2年以上(1か月80時間以上の月)の従事など。合計1,920時間以上でもよい
  4. 介護福祉士:実務経験ルートは実務経験3年以上+実務者研修。求職者支援訓練に初任者研修・実務者研修のコースがあり受講料無料
  5. 教育訓練給付:一般20%(上限10万円)、特定一般40%(上限20万円・就職で50%・上限25万円)、専門実践50%(年間上限40万円・最大3年、70%・80%の上乗せあり)。加入期間3年以上(初回は1年以上、専門実践は2年以上)。離職後は1年以内に受講開始。申請は修了日の翌日から1か月以内
  6. 公共職業訓練:受講指示で給付制限(2025年4月1日以降の自己都合は1か月)がかからず、訓練終了日まで基本手当。受講手当は日額500円・40日分まで、通所手当は月上限42,500円
  7. 求職者支援訓練:職業訓練受講手当は月10万円。本人収入月8万円以下・世帯収入月30万円以下・金融資産300万円以下などをすべて満たすとき。失業保険の受給資格者は対象外
  8. 使わなくていい場合:応募したい職種が決まっていて求人を自分で読めるなら、ハローワークと自分での応募で足りる

資格を取って未経験の仕事に移るときに、最初に決めるのは「どの資格にするか」だけではありません。その資格の入口と合格後の条件を確かめ、勉強している間のお金をどの制度で支えるかを、辞める前に決めておくことです。対象講座を検索システムで調べ、ハローワークで自分に使える訓練と給付を聞いてから退職日を決めれば、勉強の途中でお金が尽きることも、使えたはずの給付を逃すことも避けやすくなります。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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