- バイトって、そもそもクビにできるの?
- 店長に「明日から来なくていい」と言われた。これって違法?
- バイトにも解雇の予告は要るの?
- 解雇予告手当は、時給の人だといくらになる?
- 入ったばかりの試用期間なら、手当は出ない?
- 「懲戒解雇だから何も払わない」と言われた
- 契約期間の途中で切られた/次は更新しないと言われた
- 払ってくれないとき、どこに相談すればいい?
上記のような悩みに答えます。
バイトやパートで「クビ」と言われると、正社員ではないから仕方がない、と飲み込んでしまいがちです。けれど、解雇の予告や手当の決まりは、雇われ方の呼び名で分かれてはいません。検索で上に出るのは求人メディアの「クビにならないための心得」や、正社員を前提にした法律の一般論で、バイトの立場で、言われた言葉が予告・手当・理由の書面・失業保険のどれに関わる話なのかを、数字つきで切り分けたものは見当たりません。そこで、バイトにも20条の予告がかかること、手当の額の決まり方、予告が要らない例外という基本を押さえたうえで、時給・日給の人の平均賃金の最低保障、言われたその日に確かめること、失業保険の加入の線まで、労働基準法・労働契約法の条文と厚生労働省の資料で確かめながら整理しました。
バイトやパートでも、会社がクビにするには少なくとも30日前の予告か、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払いが要ります。予告も手当も要らないのは、試用期間で14日以内などの例外と、労働基準監督署長の認定を受けた場合に限られます。
2026年11月時点の制度で確かめています
バイトもクビにできるのか、その線引き

バイトもクビ(解雇)にすること自体はできます。ただし、どんな理由でも、どんな言い渡し方でもよいわけではなく、正社員と同じ物差しがかかります。
労働基準法9条は、労働者を次のように定めています。
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
条文に「アルバイト」「パート」という語は出てきません。決め手は、事業に使われて賃金を払われているかどうかで、そこに当てはまれば、解雇の予告を定めた20条の「労働者」になります。厚生労働省の「確かめよう労働条件」も、アルバイト店員の事例を使って、解雇には30日前の予告か解雇予告手当が要り、たとえアルバイトであってもきちんとした理由が必要だと説明しています。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」アニメで学ぶ労働条件 第6章
物差しは2本あると考えると整理しやすくなります。1本目は手続きの物差しで、予告や手当がきちんとあったか(労働基準法20条)。2本目は中身の物差しで、解雇そのものに理由と相当性があるか(労働契約法16条)です。
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
この2本は別々に見られます。厚生労働省の「アルバイト先でのトラブル」のページは、予告の手続きがない解雇は労基法違反になるとしたうえで、予告の手続きの有無が解雇そのものの効力に影響するものではない、と書いています。つまり、予告も手当もなかったから解雇が無効になる、とは言い切れず、手当を受け取る権利と、解雇が有効かどうかは、分けて考える話です。解雇が正当かどうかを最終的に判断するのは裁判所だ、という点も同じページに書かれています。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」アルバイト先でのトラブル
中身の物差しについて、厚生労働省の「労働契約の終了に関するルール」は、勤務態度の問題などの落ち度がある場合でも、1回の失敗ですぐに解雇が認められるということはなく、落ち度の程度や行為の内容、会社が被った損害の重大性、悪意や故意か、やむを得ない事情があるかなどが考慮される、と説明しています。
遅刻を理由に翌日から「もう来なくていい」と言われた場合は、手続きの物差し(予告か手当があったか)と、中身の物差し(1回の遅刻が解雇の理由として相当か)の両方を確かめる必要がある状態です。一方、店の閉店が決まって30日以上前に予告された場合は、手続きの物差しは満たされていて、残るのは中身の物差しだけになります。正社員で解雇がどう見られるかは 正社員はクビにできない? にまとめていますが、バイトでも見る順番は同じです。
迷ったときは、まず「予告か手当はあったか」という手続きの側から確かめると、次の一手が決めやすくなります。中身の側は、言われた理由を書面でもらってから考えても遅くありません。
30日前の予告か、解雇予告手当
会社がバイトを解雇しようとするときは、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を払う必要があります。予告が30日に足りなければ、足りない日数分の平均賃金です。
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
20条2項は、予告の日数は1日について平均賃金を払った場合はその日数を短くできる、と定めています。予告と手当は組み合わせられる、ということです。厚生労働省のQ&Aは、解雇しようとする日までに30日以上の余裕がないときは、予告をしたうえで30日に足りない日数分の解雇予告手当を払う必要があると説明し、20日前に予告された場合は不足の10日分を請求できる、という例を挙げています。
30日の数え方にも決まりがあります。厚生労働省のQ&Aによれば、労働基準法に特別の規定がないので民法の一般原則により、予告がされた日は数えず、その翌日から暦日で数えます。例として、9月30日に解雇するには、遅くとも8月31日には予告する必要がある、と書かれています。シフトに入っていない日も暦日なので数に入ります。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」解雇Q&A(予告期間と手当の支払時期)
手当をいつ払うかについて、同じQ&Aは、即時解雇の場合の30日分の平均賃金は解雇の申渡しと同時に払うべきもの、という厚生労働省の解釈(昭和23年の通達)を紹介しています。条文そのものの言葉ではなく、行政の解釈です。
月末に「来月の15日で終わり」と言われた場合は、予告の翌日から15日までの日数を数え、それが30日に届いていなければ、届かない日数分の手当が対象になります。「今日で終わり」と言われた場合は予告の日数がないので、30日分以上の平均賃金が対象です。同じ「クビ」でも、いつ言われ、いつ終わるのかで、手当の日数はまったく変わります。
言われた日付と、会社が言った最終日を、その場でメモしておくことが最初の一手です。日数を数える材料は、この2つの日付しかありません。手当の額を即日解雇の場面で詳しく出す手順は 即日解雇の予告手当 に分けてまとめています。
時給・日給の平均賃金と最低保障

手当の額のもとになる平均賃金は、原則として、算定すべき事由が発生した日以前3か月間に払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額です(労働基準法12条1項)。時給や日給の人には、これを下回ってはいけない最低保障があります。
原則の計算は、働いていない日も含めた総日数(暦日数)で割ります。週に数日だけシフトに入るバイトの人は、この割り算だと1日あたりの額が小さく出ます。そこで12条1項ただし書1号は、賃金が労働した日や時間で決まる場合(時給・日給)や出来高払制の場合について、賃金の総額をその期間中に労働した日数で割った金額の100分の60(60%)を下回ってはならない、と定めています。厚生労働省のページは、原則の計算と比べて高い方を平均賃金とする、と説明しています。
あわせて押さえたい決まりが4つあります。賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から3か月をさかのぼります(12条2項)。雇い入れから3か月に満たない人は、雇い入れ後の期間で計算します(12条6項)。また、臨時に支払われた賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、賃金の総額に入れません。さらに、3か月の中に、業務上のけがや病気で療養のため休んだ期間、会社の責めに帰すべき事由で休業した期間、産前産後の休業、育児休業・介護休業、試みの使用期間があれば、その日数とその間の賃金は、期間と賃金の総額から除きます(12条3項)。試用期間中に解雇された人の扱いは、相談先で確かめてください。
- 1締切日を確かめる給与明細の「締め日」。直前の締切日から3か月をさかのぼる
- 23か月分の総額を足す臨時の支払いは入れない
- 3暦日数で割る原則の平均賃金
- 4働いた日数で割って60%時給・日給の人の最低保障
- 5高い方を使うこれが手当の1日分
自分の数字を出すのに必要なのは、直近3か月分の給与明細と、労働条件通知書(雇用契約書)です。労働条件通知書で賃金が時給か日給か月給かを確かめ、給与明細で締め日と支給額、出勤した日数を拾います。明細に出勤日数が載っていなければ、シフト表や勤怠の記録で数えます。
たとえば、仮に、3か月のうち働いた日が少ない時給の人なら、暦日数で割った原則の額より、働いた日数で割って60%にした最低保障の額の方が高くなることがあります。反対に、ほぼ毎日シフトに入っている人は、原則の額の方が高くなることもあります。どちらが高いかは人によって違うので、両方を出して比べるのが確実です。入社して1か月ほどで解雇された人は、3か月分ではなく、雇い入れ後の期間の賃金と日数で同じ計算をします。
計算に自信がないときは、給与明細と労働条件通知書を持って、後で触れる総合労働相談コーナーで「平均賃金の出し方を確かめたい」と聞けば足ります。額を会社に伝えるときも、この2つの書類が根拠になります。
予告も手当も要らない場合
予告も手当も要らないのは、労働基準法21条の4つに当たる人と、20条1項ただし書の事由について労働基準監督署長の認定を受けた場合です。「バイトだから」「懲戒解雇だから」というだけでは、予告も手当もなしにはなりません。
21条は、次の4つに当たる人には20条を適用しないとしたうえで、それぞれの人が一定の期間を超えて引き続き使われた場合は、この限りでない(予告が必要になる)と定めています。
| 21条の対象 | 予告が必要になるのは |
|---|---|
| 日日雇い入れられる者 | 1か月を超えて引き続き使用されたとき |
| 2か月以内の期間を定めて使用される者 | 所定の期間を超えて引き続き使用されたとき |
| 季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者 | 所定の期間を超えて引き続き使用されたとき |
| 試の使用期間中の者 | 14日を超えて引き続き使用されたとき |
試用期間で注意したいのは、14日を超えて引き続き使われていれば、試用期間中でも予告か手当が要るという点です。「試用期間だから」と言われても、入って何日目かで扱いが分かれます。試用期間中の解雇の詳しい見方は 試用期間中の解雇 にまとめています。
もう1つの例外が、20条1項ただし書です。天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合と、労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合が挙がっています。20条3項は19条2項を準用していて、この事由については行政官庁の認定を受けなければならない仕組みです。厚生労働省のQ&Aは、この認定を労働基準監督署長の認定として説明しています。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」解雇Q&A(予告や予告手当の不要な場合)
労働者の責に帰すべき事由の認定基準として、通達は、原則として極めて軽微なものを除き、事業場内での盗取・横領・傷害などの刑法犯に当たる行為、原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し出勤の督促に応じない場合、出勤不良で数回にわたって注意を受けても改めない場合などを例に挙げています。同じQ&Aは、認定は例示にこだわらず総合的かつ実質的に判断され、就業規則の懲戒解雇の事由にも拘束されないとしています。
「無断欠勤したから懲戒解雇。手当は出さない」と言われた場合、予告も手当もなしで解雇するには、会社が労働基準監督署長の認定を受けている必要があり、会社が懲戒解雇と呼んだだけでは決まりません。認定を受けたかどうかは、会社に確かめ、答えをメモしておきます。なお、岩手労働局などの資料は、この認定は予告の除外に当たる事実の有無を確認するもので、民事上の解雇の有効性に影響を与えるものではない、としています。
出典:岩手労働局・労働基準監督署「解雇予告除外認定申請について」
自分が例外に当たるかを見るには、労働条件通知書の契約期間の欄と、入社日を確かめるのが最初です。日日雇い入れで1か月以内か、期間が2か月以内(季節的業務なら4か月以内)の契約でその期間を超えていないか、試用期間中で14日以内か。どれにも当たらなければ、21条の例外ではありません。懲戒の話が出ている人は、懲戒解雇と諭旨解雇の扱いの違いを 懲戒解雇と諭旨解雇の違い で確かめてください。
契約期間の途中・更新しないと言われた
「3か月ごとの契約」のように期間を決めて働いているバイトの人は、期間の途中で切られるのか、期間の終わりに更新しないと言われるのかで、使う条文が変わります。途中なら労働契約法17条、満了なら19条です。
使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
厚生労働省は、有期の契約は使用者と労働者が合意して期間を定めたものなので、やむを得ない事由がある場合でなければ期間の途中で解雇できないとしたうえで、期間の定めのない契約の場合よりも解雇の有効性は厳しく判断される、と説明しています。どんな事情が「やむを得ない事由」に当たるかの公的な例示は、確かめた資料には載っていません。
期間の終わりに更新しない(雇止め)と言われた場合は、19条の話になります。過去に反復して更新されていて雇止めが解雇と社会通念上同視できる場合や、更新されると期待することに合理的な理由がある場合に、労働者が期間満了までに更新を申し込むか、満了後遅滞なく契約の締結を申し込んだときは、会社がそれを拒むことが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当と認められなければ、同じ労働条件で申込みを承諾したものとみなされます。
- 労働契約法17条
- やむを得ない事由がなければ解雇できない
- 20条の予告か手当も別にかかる(21条の例外に当たらない場合)
- 労働契約法19条
- 反復更新・更新への合理的な期待があるか
- 満了までに更新を申し込んだか
もう1つ、相談で出てくるのが「クビとは言われないが、シフトに入れてもらえなくなった」という形です。シフトを減らされることが法律上の解雇に当たるかを示した公的な資料は、確かめた範囲では見当たりません。まず労働条件通知書や雇用契約書に、週何日・何時間と所定の日数や時間が書かれているかを確かめ、書かれた日数・時間と実際のシフトの差を、日付つきで記録しておきます。その記録と書類を持って相談先に行くのが確実です。
半年ごとの契約を何度も更新してきて、満了の直前に「次はない」と言われた場合は、19条の対象になりうるので、満了日までに更新を希望すると伝え、伝えた日を残しておきます。一方、契約の途中で「今月いっぱいで」と言われた場合は、17条のやむを得ない事由の話に加えて、21条の例外(2か月以内の期間など)に当たらなければ、20条の予告や手当の話もかかります。自分から期間の途中で辞めたい側の話は 契約社員・派遣の期間途中の退職 にまとめています。
「明日から来なくていい」と言われたら
その場で決めなくていいのは、辞めるかどうか、争うかどうかです。その日のうちに確かめておきたいのは、それが解雇なのか、いつが最終日なのか、理由を書面でもらえるか、の3つです。
「明日から来なくていい」は、言い方によっては、解雇なのか、しばらく休んでほしいという意味なのか、自分から辞めてほしいというお願いなのかがはっきりしません。「解雇ということですか」「最終日はいつですか」と聞き返して、答えをメモしておくと、あとで話がずれにくくなります。
- 解雇かどうか:「解雇ですか、自分から辞めてほしいということですか」と聞き返す
- 最終日:言われた日付と、会社が言った最終日を書き留める
- 理由の書面:労働基準法22条で請求できる(下の表)
- 最後の給料:退職の場合に権利者の請求があれば、会社は7日以内に賃金を払う(23条)
- 記録:言われた言葉・日時・相手をその日のうちにメモする
理由を書面でもらう決まりは、労働基準法22条にあります。
| 請求する時期 | 何の書面か | 条文 |
|---|---|---|
| 解雇の予告がされた日から退職の日まで | 解雇の理由の証明書 | 22条2項 |
| 退職の場合(退職後も) | 使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由(解雇ならその理由を含む) | 22条1項 |
厚生労働省のQ&Aは、解雇の理由は具体的に示す必要があり、就業規則の条項に当たる事実が理由なら、条項の内容と、当たるに至った事実関係まで書く、という通達を紹介しています。請求したのに出してもらえない場合は、労働基準監督署に相談するよう案内しています。予告なしにその日で解雇された人は、予告の日と退職の日が同じになるので、退職後に22条1項の証明書で解雇の理由を求めます。
出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」解雇Q&A(解雇理由の証明書)
働いた日数分のバイト代について、厚生労働省は、労働者の請求があれば7日以内に払わなくてはならない(労働基準法23条1項)と説明しています。条文は「権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い」という書き方です。
閉店後に店長から口頭で言われただけの場合は、翌日に「昨日のお話は解雇ということでよいでしょうか。最終日と理由を書面でいただけますか」とメッセージで送っておくと、言われた日と内容が日付つきで残ります。言われた直後に受け取るものとその順番は クビになったら最初にやること に、解雇の種類による扱いの違いは 解雇の種類と失業保険 にまとめています。
払われない・納得できない時の相談先

手当や最後の給料が払われない、解雇に納得できないときの最初の窓口は、全国の労働局や労働基準監督署などにある総合労働相談コーナーです。相談は無料で、面談か電話で受けています。
厚生労働省の「アルバイト先でのトラブル」のページは、総合労働相談コーナーでは退職・解雇を含む労働問題のあらゆる分野について専門の相談員が相談を受けていること、平日夜間や土日・祝日に無料で相談できる「労働条件ホットライン」があることを案内しています。電話番号は変わることがあるので、厚生労働省の窓口ページで確かめてください。
| 窓口 | できること | 根拠 |
|---|---|---|
| 総合労働相談コーナー | 情報提供・相談。労働局長の助言・指導、紛争調整委員会のあっせんの入口 | 個別労働紛争の解決制度(無料) |
| 労働基準監督署 | 労基法などの違反があるとき、労働基準監督官に行政指導を求める(申告) | 労働基準法104条 |
| 裁判所 | 予告手当の未払いについて、労働者の請求により付加金の支払を命じることができる | 労働基準法114条 |
出典:厚生労働省「個別労働紛争解決制度」/厚生労働省リーフレット(労働基準監督署への申告)
付加金は、裁判所が、20条に違反した使用者などに対して、労働者の請求により、未払金のほかこれと同一額の支払を命ずることができる、という制度です(114条)。「できる」であって自動で付くものではありません。請求は違反のあった時から本則では5年以内ですが、附則143条2項により当分の間は3年と読み替えられています。
あっせんは、弁護士・大学教授・社会保険労務士などの紛争調整委員が間に入る話し合いの場で、あっせん案の受諾は強制されず、相手が参加しなければ打ち切りになります。労基署への申告は、労基法などの違反を是正させる仕組みです。解雇が有効かどうかは、厚生労働省のページでは最終的に裁判所が判断すると説明されています。それぞれの費用や期間は 不当解雇の相談先 にまとめています。
即日でクビと言われ、手当の話がまったく出なかった場合は、給与明細3か月分・労働条件通知書・言われた日時のメモを持って総合労働相談コーナーに行き、「予告手当を請求したいが、額の出し方と会社への伝え方を知りたい」と聞けば話が進みます。解雇そのものを取り消したい人は、同じ書類に加えて、理由の証明書を持っていくと、窓口でどの手続きが合うかを聞きやすくなります。
バイトでも失業保険はもらえるか
バイトでも、雇用保険に加入していれば失業保険(基本手当)の対象になりえます。加入の線は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、同じ事業主に31日以上雇用されることが見込まれるかどうかです。
厚生労働省の資料は、1週間の所定労働時間が20時間未満の者と、同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者を、雇用保険の適用除外としています。昼間学生なども別に除外されています(令和5年10月時点の資料のため、いまの基準はハローワークで確かめてください)。学生バイトの人は、労働基準法の予告や手当の決まりはかかっても、雇用保険には入っていない、という組み合わせがありえます。
加入していた人が解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)で離職した場合は、特定受給資格者の範囲に入ります。特定受給資格者は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば受給資格があります。被保険者期間は、賃金の支払の基礎になった日数などが一定以上ある月で数えるので、シフトが少ない月は数に入らないことがあります。厚生労働省のパンフレットでは、解雇で離職した人には自己都合のような給付制限が付かず、7日間の待期のあとに支給されると説明されています。
出典:ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」/厚生労働省「離職されたみなさまへ」
ただし、自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇(重責解雇)の場合は、雇用保険法33条により給付制限がかかります。法律の幅は1箇月以上3箇月以内で、群馬労働局の資料は重責解雇の給付制限を3か月としています。重責解雇に当たるかは、刑法違反で処罰を受けた、重大な就業規則違反などの厚生労働省の基準で見られ、就業規則違反なら何でも当たるわけではありません。
出典:雇用保険法33条(e-Gov法令API)/群馬労働局リーフレット
期間を決めた契約が満了し、本人が満了日までに更新を申し出たのに合意が成立しなかった人は、特定理由離職者に当たることがあります。こちらも被保険者期間の要件は通算6か月以上です。
フルタイムに近いシフトで長く働いてきた場合は、労働条件通知書の所定労働時間が週20時間以上になっていれば加入の線を満たしている可能性があるので、給与明細の控除欄に雇用保険料が引かれているかを確かめます。週に数日だけ入る学生バイトの人は、加入していない可能性もあるので、同じく明細の控除欄を先に見ます。加入していたかどうかが分からなければ、ハローワークで確かめられます。
争わなくていい場合
クビと言われたからといって、全員が会社と争う必要はありません。次に当てはまる人は、書面を受け取ったうえで、次のバイトに移る道を選んでも足ります。
- 少なくとも30日前に予告されていた、または足りない日数分の手当が払われた
- 最後の給料が払われ、手当の額も自分で計算した額と合っている
- 理由の証明書を受け取り、書かれた理由に自分も納得している
- 職場に戻るより、早く別のバイトに移りたい気持ちがはっきりしている
- そもそも自分も辞めようと思っていた
争うかどうかは、解雇が有効か無効かの見通しだけで決まるものではありません。戻りたいのか、お金の面を整えたいのか、早く次に進みたいのかで、取る道が変わります。どれを選ぶにしても、給与明細、労働条件通知書、言われた言葉のメモ、理由の証明書は手元に残しておくと、あとで気が変わったときにも使えます。
自分も辞めようと思っていた人は、解雇を待たずに自分から辞める道もあります。期間の定めのない契約なら、パートやアルバイトでも申し入れから2週間で雇用が終わる、という民法627条1項の決まりがあり、辞め方と最終日までの手続きは バイト・パートの退職は何日前? にまとめています。ただ、自分から辞めると離職の理由が変わり、失業保険の扱いも変わりうるので、解雇と言われている最中に自分から退職届を書くのは、離職の理由がどう扱われるかを確かめてからにしてください。
反対に、予告も手当もなく当日にクビと言われた、手当の話をしても応じてもらえない、理由の書面を求めても出てこない、という人は、そろえた書類を持って総合労働相談コーナーに相談する段階です。
正社員はクビにできない?解雇が有効になる条件と理由別の就業規則の確かめ方
試用期間中の解雇はいつから予告が要る?入社何日目かで変わる手当と会社都合
会社都合退職になる条件は?自己都合との給付日数・給付制限の差を表で
よくある質問
バイトでもクビにされたら解雇予告手当はもらえますか?
もらえる場合があります。バイトやパートも労働基準法9条の労働者に当たり、20条により、会社は少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を払う必要があります。予告が30日に足りなければ、足りない日数分の平均賃金です。
高校生や大学生のバイトでも同じですか?
労働者の定義は「職業の種類を問わず」事業に使われて賃金を払われる者で、学生かどうかを分ける文言はありません。予告と手当の決まりは同じように見ます。一方、雇用保険は昼間学生などが適用除外とされているので、失業保険は別に確かめが要ります。
試用期間中なら手当は出ませんか?
試用期間中でも、14日を超えて引き続き使われていれば、予告か手当が要ります(労働基準法21条)。14日以内なら20条の予告の規定は適用されません。入社日と言い渡しの日を確かめてください。
懲戒解雇なら手当は払わなくていいのですか?
労働者の責に帰すべき事由で予告も手当もなしに解雇するには、労働基準監督署長の認定が要ります。会社が懲戒解雇と呼んだだけでは決まりません。30日前に予告するか手当を払えば、認定がなくても解雇の手続きとしては足ります。認定を受けたかどうかは、会社に確かめてください。
バイトがクビになる確率はどのくらいですか?
バイトの解雇の割合を示す公的な統計は、確かめた範囲では見当たりませんでした。確率よりも、自分の場合に予告や手当があったか、理由が書面で示されているかを確かめる方が、次の一手につながります。
手当を払ってもらえないときは、どこに相談すればいいですか?
全国の労働局や労働基準監督署などにある総合労働相談コーナーが無料で相談を受けています。平日夜間や土日・祝日は労働条件ホットラインもあります。給与明細と労働条件通知書、言われた日時のメモを持っていくと話が早く進みます。
数字だけ、もう一度
- 線引き:バイトも労働基準法9条の労働者。解雇の中身は労働契約法16条(理由と相当性)で、予告の有無とは別に見られる
- 予告と手当:少なくとも30日前の予告か、30日分以上の平均賃金。20日前の予告なら不足の10日分。30日は予告の翌日から暦日で数える
- 平均賃金:直前3か月の賃金総額÷総日数。時給・日給は働いた日数で割った60%が最低保障。雇い入れ後3か月未満は雇い入れ後の期間
- 例外:日日雇い(1か月超で必要)・2か月以内の期間・季節的業務4か月以内(どちらも所定の期間を超えたら必要)・試用期間(14日超で必要)。ただし書は労働基準監督署長の認定が要る
- 有期:期間の途中はやむを得ない事由が要る(労働契約法17条)。満了の雇止めは19条
- その日に確かめること:解雇かどうか・最終日・理由の証明書(22条)・最後の給料は請求から7日以内(23条)
- 相談先:総合労働相談コーナー(無料)・労基署への申告(104条)。付加金は裁判所が命じることができる(請求は当分の間3年)
- 失業保険:週20時間以上・31日以上の見込みで加入。解雇は特定受給資格者で、離職前1年間に通算6か月。重責解雇は給付制限(法律の幅は1箇月以上3箇月以内)
バイトのクビで迷ったら、解雇が正しいかどうかを自分の頭の中で決めようとするより先に、日付と書類をそろえることです。言われた日と最終日が分かれば手当の日数が決まり、給与明細と労働条件通知書があれば手当の額が出て、理由の証明書があれば争うかどうかを考える材料になります。そこまで手元にあれば、黙って受け入れるのか、手当だけ請求するのか、相談先に持ち込むのかを、自分で選べます。

