退職届の書き方|退職日は何日と書けば損しない?有給・月末で決める日付

便箋とペン
  • 退職届って、自分で書いて大丈夫なの?
  • 手書きでないとだめ?パソコンで作ってもいい?
  • 縦書きと横書き、用紙はどれが正しいの?
  • シャチハタで押してもいいの?
  • 日付の欄は、出す日と辞める日のどっちを書く?
  • 退職日を何日と書けば、あとで損をしない?
  • 月末に辞めるのと、月末の前日に辞めるのでは何が違う?
  • 上司が受け取ってくれなかったら、どうすればいい?

上記のような悩みに答えます。

退職届は、辞めることを会社に書面で伝えるための紙です。書き方そのものは難しくありませんが、多くの人が「正しい書式が1つある」と思い込み、用紙や印鑑で手が止まります。検索で上位に出る転職サイトや人事向けの解説は、例文や封筒の折り方までていねいに並べる一方で、退職日の欄に何日と書くかを「会社と相談して」で終わらせることが多く、その1日で健康保険・厚生年金の切り替わりや有給の使い切りが変わることまでは1つの話としてつながっていません。そこで、書式・日付・提出という基本を押さえたうえで、退職日の欄を月末にするか前日にするかの考え方、有給の残りとの合わせ方、受け取ってもらえないときの残し方まで、民法・健康保険法・厚生年金保険法の条文と厚生労働省の説明で確かめながら整理しました。

先に答え

退職届に法律で決まった書式はなく、会社の様式があればそれに従います。書く日付は提出日と退職日の2つで、退職日は先に上司と決めた日を書きます。決めるときは、健康保険と厚生年金の資格が退職日の翌日に失われることと、有給の残りから逆算した日を見ます。

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目次

退職届の書き方は1つではない

便箋とペン

退職届には、法律で決まった書式がありません。縦書きでも横書きでも、手書きでもパソコンで作っても、辞める意思と日付が読み取れれば役目は果たします。会社が自分の様式(社内の申請書やシステムの入力画面)を用意しているなら、それに合わせるのがいちばん早い方法です。

書式が決まっていないのは、辞める申し入れそのものに形の決まりがないからです。期間の定めのない雇用では、民法627条1項が「いつでも解約の申入れをすることができる」と定め、申し入れの方法を書面に限っていません。山形県の労働相談の説明も、口頭でも文書でも申し出ることができるとしたうえで、トラブルを避けるために書面で出すのが望ましい、と書いています。退職届は「出さないと辞められない紙」ではなく、「いつ、何日付で辞めると伝えたか」を残すための紙だと考えると、書式で迷う理由が減ります。

出典:民法627条(e-Gov法令検索)/山形県「WEB労働やまがた」退職の定義、手続き、トラブル回避について

迷いやすい点を、決まりがあるものと、ないものに分けておきます。

迷う点 法律の決まり どう決めるか
縦書きか横書きか ない 会社の様式があればそれ。なければどちらでもよい
手書きかパソコンか ない 会社の慣習に合わせる。署名だけ手書きにする人も多い
用紙の大きさ・色 ない 白い無地の紙なら困ることはまずない
印鑑の種類 ない 会社が求めるならそれに合わせる(下の「封筒・印鑑・書き間違えたとき」)
何を書くか ない 辞める意思・退職日・提出日・氏名・宛名の5つがあれば足りる

たとえば、従業員が数人の会社で、総務も社長が兼ねているような職場なら、パソコンで作った横書きの1枚に署名して渡しても、話はそれで進みます。反対に、大きな会社で人事システムに「退職届」の入力画面がある場合は、紙を書く前にその画面の項目を確かめたほうが二度手間になりません。どちらの場合も、決め手は「その会社がどう受け付けているか」です。

最初にやることは、就業規則の退職の項目と、社内の申請書の一覧を見ることです。常時十人以上の労働者を使う会社は、退職に関する事項を就業規則に書いて届け出ることになっているので(労働基準法89条3号)、多くの会社では手続きの決まりがそこに書かれています。様式の指定がなければ、あとは自分で書きやすい形で構いません。

出典:労働基準法89条(e-Gov法令検索)

退職届に書く日付は2つある

退職届に書く日付は、届を出す日(提出日)と、雇用が終わる日(退職日)の2つです。この2つを取り違えると、会社から見て「いつ辞めるのか」が読み取れなくなるので、本文の中の日付と、末尾の日付の役割をはっきり分けて書きます。

日付が2つ要るのは、それぞれが別のことを残すからです。提出日は「辞めると伝えた日」の記録で、期間の定めのない雇用なら、民法627条1項の2週間は、この申し入れの日の翌日から数えます(期間の初日は数えない決まりのため。140条)。一方の退職日は、雇用が終わり、健康保険や厚生年金の資格の切り替わりの基準になる日です。

日付 書く場所 何を決めるか
提出日 本文のあと、氏名の前 申し入れの日。2週間はこの日の翌日から数える
退職日 本文の中(「令和◯年◯月◯日をもって」) 雇用が終わる日。保険の資格は翌日に失われる

出典:民法140条・141条・143条(e-Gov法令検索)

たとえば、上司に口頭で伝えた日と、退職届を出した日がずれることがあります。その場合でも、退職届の提出日には実際に出す日を書き、口頭で伝えた日はメールなどで別に残しておきます。口頭の申し入れも民法上は有効なので(山形県の説明)、2週間をどの日から数えるかであとから食い違わないよう、日付が分かる形で残しておきます。何日前に伝えればいいかの決まり(民法の2週間と就業規則の関係)は 退職は何日前に言う? で確かめてください。

日付で迷ったら、提出日は「今日」、退職日は「上司と決めた日」と覚えておけば外れません。退職日をまだ決めていないなら、退職届を書く前に、下の2つの項(月末か前日か・有給の残り)を読んでから決めます。

退職日の欄は月末か、その前日か

退職日の欄を月末にするか、その前日にするかで変わるのは、健康保険と厚生年金の資格を失う日です。どちらの資格も、退職日の翌日に失われます。月末に辞めれば資格を失うのは翌月1日、月末の前日に辞めれば資格を失うのはその月の末日になります。

この1日の差が大きく見えるのは、資格を失った日から先の健康保険と年金を、自分で用意する必要があるからです。次の会社にすぐ入らない人は、国民健康保険や健康保険の任意継続、国民年金への切り替えを自分で手続きすることになります。退職日を何日にするかは、会社の保険にいる最後の日を決めることと同じだと考えてください(資格を失うのは退職日の翌日)。

出典:健康保険法36条(e-Gov法令検索)/厚生年金保険法14条(e-Gov法令検索)

退職日の欄で、保険の資格を失う日が動く
月末に退職

  • 資格を失うのは翌月1日
  • 退職した月は会社の保険にいる
月末の前日に退職

  • 資格を失うのはその月の末日
  • 退職した月の途中から自分で切り替える
  • 次の会社の入社日が翌月1日に決まっている:月末に退職すると、会社の保険が切れ目なくつながる
  • 次の会社まで空きがある:どちらの日でも、資格を失った日から自分の保険と年金の手続きが要る
  • 家族の扶養に入る予定がある:資格を失う日は退職日の翌日。扶養に入れるかは収入の条件などで決まるので、扶養に入るには で確かめる

退職した月の保険料がどちらの日でどう変わるかは、健康保険・厚生年金の条文から導く少し込み入った話になるので、有給消化で退職するなら残日数から退職日を逆算 の「月末退職かどうかで社会保険料が変わる」で確かめてください。ここでは、退職届を書く人が「欄にどちらを書くか」を決めるための見方だけを置いておきます。

たとえば、転職先から「翌月1日入社で」と言われている人は、月末を退職日の欄に書くと、資格を失う日は翌月1日になります。逆に、しばらく休んでから次を探す人が月末の前日を退職日にすると、資格を失う日が退職した月の中に入り、その日から任意継続か国民健康保険を自分で選ぶことになります。任意継続の保険料の目安は 任意継続はいくら?、家族の扶養に入れるかは 扶養に入るには で確かめられます。

迷ったときの軸は、次の会社の入社日がいつかです。入社日が決まっているなら、その前日で保険が途切れない日を退職日の欄に書く。決まっていないなら、国民健康保険料の見込みを住んでいる市区町村の窓口で聞き、任意継続と比べてから日を決めます。窓口で必要な書類は市区町村で違うので、問い合わせのときに聞いておきます。

有給が残っているなら退職日の欄はこう決める

有給休暇が残っている人は、退職日の欄に「最後に出社する日」ではなく「有給を使い切った最後の日」を書きます。退職日を過ぎると雇用が終わっていて、休む日そのものがなくなるからです。

この順番を取り違えると、残っている有給がそのまま消えます。最終出社日を退職日として書いてしまうと、その翌日から雇用はもう終わっているので、休むための出勤日がありません。和歌山労働局は、退職間際の年休の申請を会社は拒めず、引き継ぎが必要なら退職日を遅らせてもらうなど話し合うよう、事業主向けに説明しています。有給の日数を先に示して退職日を相談すれば、引き継ぎの段取りも話し合いやすくなります。

出典:和歌山労働局「事業主の方へ(年次有給休暇)」

退職届を書く前に、手元で次の3つを並べておきます。

  1. 有給の残り日数(給与明細・勤怠システム・人事への確認)
  2. 最終出社日(引き継ぎを終えられる最後の日)
  3. 退職日(最終出社日の後、有給を使い切った最後の日)
退職日の欄を決めるまで
  1. 1有給の残りを確かめる給与明細や勤怠システムで
  2. 2最終出社日を決める引き継ぎを終えられる最後の日
  3. 3退職日を決める有給を使い切った最後の日
  4. 4上司と合わせる決めた日を欄に書く

残り日数から最終出社日を実際の日付で数える方法(土日や祝日の数え方、月末に重ねるときのさかのぼり方)は、有給消化で退職するなら残日数から退職日を逆算 にまとめています。退職届の欄に書くのは、その逆算で出た「退職日」だけです。

たとえば、有給が残っていて、退職日を月末に置きたい人は、月末から会社の出勤日をさかのぼって最終出社日を出します。その最終出社日までに引き継ぎが終わらないと分かったら、最終出社日を前に出すか、退職日を翌月に動かすかを上司と相談します。どちらに動かすにしても、退職届に書く退職日は「有給の最後の日」で変わりません。

この項で決めた日付と、上の「月末か、その前日か」の見方は、ぶつかることがあります。有給の最後の日が月末の前日に来るときは、出勤日を1日増やして月末に寄せるのか、そのまま前日にするのかを、次の会社の入社日と保険の切り替えを見て選びます。退職届を書くのは、この選択が終わってからです。

縦書きの記入例と書く順番

封筒と万年筆

縦書きで書く場合は、右から左へ、表題・本文・提出日・所属と氏名・宛名の順に並べます。横書きでも並べる中身は同じで、上から下へ同じ順で置けば足ります。

この順番になっているのは、手紙の書き方の慣習に合わせているからで、法律で決まっているわけではありません。ただ、受け取った人が「何の紙か」「いつ辞めるのか」「誰が出したか」「誰に宛てたか」を、上から順に読み取れる並びになっているので、迷ったらこの並びにしておくと伝わりやすくなります。

編集部が作った縦書きの並びを、右の行から順に文字で示します。

  1. いちばん右の行:表題の「退職届」
  2. 次の行の下寄せ:「私儀」(わたくしぎ。書かなくても構わない)
  3. 本文:「このたび、一身上の都合により、令和◯年◯月◯日をもって退職いたします。」
  4. 本文の左:提出日「令和◯年◯月◯日」
  5. その下:所属部署と氏名、氏名の下に押印
  6. いちばん左の行の上寄せ:宛名(会社名と代表者の役職・氏名。宛名は自分の氏名より上に書く)

本文の「退職いたします」は、言い切りの形にしておきます。厚生労働省の説明は、確実に一定の期日で辞めたいなら、合意退職の申し込みと受け取られないような表現で、辞める意思をはっきり書いた退職届を出すのが無難だとしています。「退職させていただきたく、お願い申し上げます」のようなお願いの形は、退職願の書き方になります(違いは下の「退職願ではなく退職届を出す理由」)。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」退職、解雇、雇止めなど

退職理由は、自分の都合で辞めるなら「一身上の都合により」で足ります。退職届に、人間関係や待遇への不満など細かい事情を書く必要はありません。書けば書くほど、受け取った側との話し合いが理由の中身に移ってしまい、肝心の退職日の話が進まなくなります。

たとえば、パソコンで横書きにする人は、1行目に「退職届」、その下に本文、右下に提出日・所属・氏名、左上に宛名、という並びにすれば同じ情報が伝わります。氏名だけは手書きで署名しておくと、本人が出したことがはっきりします。年号は和暦でも西暦でも構いませんが、本文の退職日と提出日で書き方をそろえておくと読み違いがありません。

書き終えたら、退職日・提出日・宛名の3か所だけをもう一度読み直します。誤字よりも、日付の取り違えと宛名の書き漏れのほうが、あとで書き直しになる原因になりやすいからです。

封筒・印鑑・書き間違えたとき

封筒・印鑑・書き間違いの扱いにも、法律で決まった答えはありません。会社の決まりがあればそれに従い、なければ「本人が出したと分かる」「書き換えた跡が残らない」ことを基準に決めます。

ここで正解を1つに決めにくいのは、どれも会社ごとの慣習で扱いが分かれるからです。シャチハタ(インク内蔵の印鑑)を受け付けない会社もあれば、そもそも押印を求めない会社もあります。どれが通るかを自分で推し量るより、就業規則や社内の申請書の注意書きを見るほうが確実です。

  • 封筒:白い無地の封筒に入れ、表に「退職届」、裏に所属と氏名を書いておくと、ほかの書類と紛れない
  • 印鑑:会社が指定していなければ、シャチハタかどうかより、氏名の横に押してあることのほうが大事。不安なら朱肉を使う印鑑にしておく
  • 書き間違えたとき:修正液や二重線で直すより、新しい紙に書き直す。日付の欄の修正は、どちらが正しい日か分からなくなる
  • コピー:封をする前に、全体をスマートフォンで撮るかコピーを取って手元に残す

たとえば、手書きで書いていて退職日の数字を書き損じた場合、二重線で直して出すと、受け取った側が「どちらの日で合意したのか」を確かめ直すことになります。書き直しに数分かかっても、新しい紙にするほうが、あとで日付の食い違いを話し合うより早く済みます。

迷ったら「会社の決まり、なければ書き直してコピーを残す」と覚えておけば十分です。封筒や印鑑の選び方で辞められなくなることはありません。ここで時間をかけるより、次の「出したあと」の準備に回したほうが、辞めるまでの流れが滑らかになります。

受け取ってもらえないとき・出したあと

退職届を上司が受け取らなくても、期間の定めのない雇用なら、原則として、辞めると申し入れた日の翌日から数えて2週間で雇用は終わります(民法627条1項)。会社の同意は条件ではありません。就業規則の期限との関係は、官公庁の説明が分かれています(下で書きます)。受け取ってもらえないときは、申し入れた日が残る方法で出し直します。

受け取らないことで引き止めになると思われがちですが、民法627条1項は会社の承諾を条件にしていません。厚生労働省の説明も、期間の定めのない雇用なら、使用者が退職を認めないと言っても、退職届を出すなど退職を申し入れれば、原則としてその後2週間で労働契約は終わるとしています。困るのは「いつ申し入れたか」を示すものが手元にないときです。だから、受け取ってもらえないときにやることは、記録を残すことに尽きます。

就業規則に「1か月前まで」などと書かれている場合の扱いは、官公庁の説明でも書き方が分かれています。厚生労働省の説明や山形県の説明は、就業規則で期間を大幅に延ばしても民法の2週間で終わる、という立場で書いています。一方、鹿児島労働局のQ&Aは、就業規則に退職の規定があれば原則としてそれが適用され、極端に長い期間は無効とされる場合もある、と書いています。どちらで扱われるかは会社とのやりとりや規定の中身で変わるので、揉めずに辞めたいなら就業規則の期限に合わせ、待てない事情があるなら2週間を軸に理由を添えて伝える、という順で考えます。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」退職、解雇、雇止めなど/鹿児島労働局「よくあるご質問」

受け取ってもらえないときの残し方は、手軽な順に次のとおりです。

  1. 上司に手渡しできなかった日に、同じ内容をメールで上司と人事に送る
  2. 人事や上司の上の役職者に、直接手渡しする
  3. 郵便で送る。内容を残したいなら内容証明郵便を使う

内容証明郵便は、いつ、どんな内容の文書を、誰から誰に差し出したかを、日本郵便が謄本で証明する仕組みです。差し出すときは、相手に送る文書のほかに謄本2通(自分用と郵便局用)を用意し、差し出した日から五年以内なら、郵便局に保存された謄本を見せてもらうこともできます。ただし証明されるのは文書が存在したことで、中身が正しいかどうかではありません。相手に届いた日まで残したいときの付け方は、差し出す郵便局の窓口で確かめてください。

出典:日本郵便「内容証明」/日本郵便「内容証明の差出方法等を教えてください。」

たとえば、上司に手渡そうとしたら「預かれない」と机に戻された人は、その日のうちに「本日、退職届をお渡ししようとしましたが、受け取っていただけなかったため、同じ内容をお送りします」と書いて、退職届の画像を添えてメールで送ります。それでも話が進まないときに、内容証明郵便を考えます。いきなり内容証明から始めると関係がこじれやすいので、手渡し・メールで残してから、という順番にしておくと後悔が少なくなります。

出したあとは、退職日までに次のことを片づけます。引き継ぎの一覧づくり、有給の消化の相談、会社から返してもらうもの・会社に返すものの確認です。辞めたあとに転職先などから退職を証明するものを求められたら、会社に退職証明書を請求できます。労働基準法22条により、請求があれば会社は、請求された事項(使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由)について証明書を遅滞なく出さなければなりません。

出典:労働基準法22条(e-Gov法令検索)

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上司が退職届を受け取り、退職日も話し合いで決まっているなら、自分で出すだけで足ります。受け取ってもらえないまま話が進まない、上司と顔を合わせるのがつらくて出せない、という場合は、退職代行に辞める意思を伝えてもらう方法もあります。退職日や有給の扱いを会社とやりとりしてほしいなら、弁護士でない者が報酬を得て法律事務を扱うことは法律で制限されているので、運営しているのが誰で、どこまで引き受けるかを公式サイトで確かめてから選んでください。

退職代行Jobsの公式サイトを見る

退職願ではなく退職届を出す理由

退職届は「辞めます」と伝える紙で、退職願は「辞めさせてください」とお願いする紙です。確実に決めた日で辞めたいなら、退職届を出します。

違いが生まれるのは、法律上の意味が違うからです。厚生労働省の説明では、退職願は合意退職の申し込みと受け取られることが多く、会社が承諾するまで効果が出ません。退職届は、会社の承諾を待たずに辞める申し入れとして出すものです。ただし実際に争いになったときは、表題だけでなく書いた中身や当事者の言動で判断される、とも書かれています。

退職届 退職願 辞表
意味 辞める申し入れ 辞めることの申し込み(お願い) 会社の役員や公務員が職を離れるとき
会社の承諾 要らない 承諾されて成立する 会社員は使わない
撤回 会社の同意が要る 承諾されるまでは撤回できる —

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」退職、解雇、雇止めなど/山形県「WEB労働やまがた」

たとえば、上司と話して退職日がすでに合意できている人なら、会社の様式が退職願でも困ることはほとんどありません。逆に、引き止められていて日付が決まらない人が退職願を出すと、会社が承諾しない間は効果が出ないので、退職届のほうが向いています。厚生労働省の説明でも、出したあとの撤回は簡単には認められないので慎重に、とされています。出す前に、本当にその日で辞めるのかを一晩おいて確かめてから出します。

使わなくていい場合

退職代行を使わずに、自分で退職届を出して足りるのは次の人です。辞める申し入れは本人ができる手続きで、代行を使っても、2週間の数え方も、退職日の欄の決め方も変わりません。

  • 上司が退職届を受け取り、退職日も話し合いで決まっている
  • 受け取ってもらえなくても、メールや郵便で自分で出し直せる
  • 退職日まで、引き継ぎや有給の相談のために連絡が取れる

どれかが崩れているとき(上司が受け取らず話が進まない・会社と連絡が取れない・出社するだけで体調が崩れる)は、自分で抱えずに、状況に合う方法を選んでください。代行を使う場合でも、退職届に書く退職日を有給の最後の日に置く、という考え方は同じです。

たとえば、上司は不機嫌になったものの、退職届は受け取って「退職日は相談しよう」と言っている人は、自分で十分です。有給の残りと決めた退職日を紙に書いて、次の面談に持っていきます。代行を考えるのは、受け取りも話し合いも拒まれ、メールにも返事がない状態が続いたときです。

次にやること

  1. 就業規則の退職の項目と、社内の様式があるかを確かめる
  2. 有給の残り日数を確かめ、最終出社日と退職日を決める(有給消化の逆算)
  3. 次の会社の入社日を見て、退職日を月末にするか前日にするかを決める
  4. 上司に口頭で伝え、決めた退職日を退職届に書いて出す。出す前にコピーを取る
  5. 退職後の保険を決める(任意継続はいくら?・扶養に入るには)

退職日をずらしたときに失業保険がいつから・いくら出るかは、失業保険の計算ツール で自分の条件を入れて確かめられます。

よくある質問

退職届は自分で書いても大丈夫ですか?

大丈夫です。退職届に法律で決まった書式はなく、辞める意思・退職日・提出日・氏名・宛名が読み取れれば役目を果たします。会社の様式があれば、それに合わせて書きます。

退職届の日付は、提出日と退職日のどちらを書けばいいですか?

両方を書きます。本文の中に退職日(雇用が終わる日)を、本文のあとに提出日(届を出す日)を書きます。退職日は、先に上司と決めた日を書きます。

退職日は月末と月末の前日、どちらにすればいいですか?

次の会社の入社日で決めます。健康保険と厚生年金の資格は退職日の翌日に失われるので、翌月1日に入社するなら月末に退職すると保険が切れ目なくつながります。空きがある人は、国民健康保険の見込みを市区町村の窓口で聞いてから決めます。

退職届と退職願、どちらを出せばいいですか?

決めた日で確実に辞めたいなら退職届です。退職願は会社が承諾して初めて成立する申し込みと受け取られることが多いので、引き止められている人には向きません。

退職届を出してから何日で辞められますか?

期間の定めのない雇用なら、申し入れた日から2週間で雇用は終わります(民法627条1項)。就業規則の期限との関係は官公庁の説明でも分かれているので、揉めずに辞めたいなら就業規則に合わせるのが確実です。

シャチハタで押した退職届は受け付けてもらえませんか?

法律で印鑑の種類は決まっていません。ただ、会社によっては朱肉を使う印鑑を求めることがあるので、社内の申請書の注意書きを見て、迷ったら朱肉を使う印鑑で押しておきます。

数字だけ、もう一度

  1. 書式:法律で決まった書式はない。会社の様式があればそれ(常時十人以上の会社は退職に関する事項を就業規則に書く)
  2. 日付:提出日と退職日の2つ。2週間は申し入れの日の翌日から数える
  3. 月末か前日か:健康保険・厚生年金の資格は退職日の翌日に失われる。月末に退職なら翌月1日
  4. 有給:退職日は「有給を使い切った最後の日」。退職日を過ぎると休む日がなくなる
  5. 受け取ってもらえない:期間の定めのない雇用なら申し入れから2週間で終わる。メール・内容証明で記録を残す(謄本2通・差し出した日から五年以内なら閲覧できる)
  6. 退職届と退職願:確実に辞めたいなら退職届。退職願は承諾されるまで効果が出ない
  7. 辞めたあと:退職証明書は請求すれば会社が遅滞なく出す(労働基準法22条)

退職届でいちばん時間をかけるべきなのは、縦書きか横書きかではなく、退職日の欄に入る1日です。有給の残りから最後の日を出し、次の会社の入社日と保険のつながりを見て月末か前日かを選ぶ。そこまで決めてから書けば、書式は会社の様式に合わせるだけで済み、受け取ってもらえないときも、決めた日付を記録に残して淡々と出し直せます。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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