- 確定拠出年金って、退職金とは別のもの?それとも退職金そのもの?
- 会社を辞めたら、退職金はすぐ口座に入るの?
- 自分の会社の退職金が、一時金なのか企業年金なのか確定拠出年金なのか分からない
- 企業年金は、辞めるときに一時金でもらえる?
- 勤めた年数が短いと、退職金は出ない?減らされる?
- 確定拠出年金を放っておいたら、どうなる?
- 辞める前に、退職金のことで何をしておけばいい?
上記のような悩みに答えます。
退職金と一口に言っても、会社が辞めた人に一度に払う退職一時金、会社の規約に沿って払われる企業年金(確定給付企業年金・DB)、本人ごとの口座で積み立てる企業型確定拠出年金(企業型DC・401kとも呼ばれます)では、受け取れる時期も、何で決まるかもまるで違います。会社によって形が1つだけのことも、2つ以上を組み合わせていることもあります。検索の上位は銀行や証券会社の制度の解説が中心で、仕組みや運用の話は厚い一方、自分の会社がどの形かを就業規則や規程のどこで確かめるのか、辞めた月から手元に入るまでの時間がそれぞれどうなるのかを並べたものは見当たりませんでした。そこで、3つの形の違い、自分の会社の形を確かめる順番、それぞれの受け取り時期という基本を押さえたうえで、勤続年数で出る・出ないが何で決まるか、60歳まで待たなくていい場合まで、労働基準法・確定給付企業年金法・確定拠出年金法の条文と、厚生労働省・国民年金基金連合会の資料で確かめながら整理しました。
確定拠出年金(企業型DC)は退職金の形の1つですが、退職一時金のように辞めた時に会社から払われるお金ではなく、原則60歳まで受け取れません(2026年10月時点)。辞めたら資格を失った月の翌月から6か月以内に移換先を決めないと、自動移換になります。
2026年10月時点の制度で確かめています
退職金には3つの形がある

退職金は、法律が1つの制度として決めているものではなく、会社が選んだ形の呼び名です。代表的な形は、退職一時金、確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(DC)の3つで、確定拠出年金は退職金とは別物というより、退職金を用意する形の1つと読むのが実態に近いところです。
3つは、お金を払う元も、受け取る時期を決めるものも違います。退職一時金は会社の就業規則や退職金規程、DBは会社が定めた企業年金の規約、DCは確定拠出年金法と会社の企業型年金の規約が、それぞれの受け取り方を決めています。
| 形 | どこから受け取るか | 辞めた時にいつ受け取れるか | 何で決まるか |
|---|---|---|---|
| 退職一時金 | 会社 | 規程に書かれた支払の時期 | 就業規則・退職金規程(労働基準法89条3号の2) |
| 確定給付企業年金(DB) | 会社が実施する企業年金 | 老齢給付金は60歳以上70歳以下の規約の年齢、辞めた時は規約の要件を満たせば脱退一時金 | DBの規約(確定給付企業年金法36条・41条) |
| 企業型確定拠出年金(DC) | 本人ごとの口座(個人別管理資産) | 老齢給付金は原則60歳から。辞めた時点では原則受け取れない | 確定拠出年金法と企業型年金の規約(33条ほか) |
出典:労働基準法89条(e-Gov法令検索)/確定給付企業年金法36条/確定拠出年金法33条
表の右から2列目を見ると、3つの形のうち、辞めた時に受け取れる可能性があるのは退職一時金とDBの脱退一時金で、DCは原則として現金にならないことが分かります(DCの例外は後の項で扱います)。DCは、辞めても原則として口座の残高が現金になるわけではなく、別の制度へ移す手続きが待っています。
たとえば、入社のときに「退職金は確定拠出年金で準備しています」と説明を受けた人は、辞めた月にまとまったお金が振り込まれるとは限りません。反対に、「退職金規程にもとづく一時金と、確定拠出年金の両方がある」会社では、規程の対象に入る人なら一時金は規程の支払の時期に受け取り、DCの部分は原則60歳以降まで(移換先に移ったあとも)残る、という2本立てになります。同じ「退職金」という言葉でも、形の組み合わせで、辞めた年に手元に入る額が変わります。
辞める前の資金計画で退職金を当てにしている人は、まず自分の会社がこの3つのどれを使っているか、組み合わせならその内訳を確かめるところから始めます。確かめ方は次の項で順番に並べます。
自分の会社の形を調べる順番
自分の会社の退職金がどの形かは、手元の書類を決まった順番で見ていけば、人事に聞く前にかなり絞り込めます。見る書類は、就業規則、退職金規程、企業年金の規約や加入者向けの書類の3種類です。
順番に意味があるのは、労働基準法が、退職手当の定めをする会社にはその中身を就業規則に書くよう求めているからです。89条は、常時10人以上の労働者を使用する会社に就業規則の作成と届出を求め、その記載事項の1つとして次の号を置いています。
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項(労働基準法89条)
就業規則の本体には「退職金は別に定める退職金規程による」とだけ書かれ、中身が別の規程に分かれている形もあります。企業年金の規約は、退職金規程からさらに先に分かれていることがあります。
- 1就業規則を開く退職・退職金の条と「別に定める」の一文
- 2退職金規程を読む対象者・計算・支払の時期
- 3企業年金の書類を探すDBの規約やDC加入者向けの案内
- 4人事に確かめるどの形か・内訳・自分の資格喪失日
- 就業規則:「退職金」「退職手当」の条を探し、「別に定める規程による」と書かれていればその規程の名前を控える
- 退職金規程:誰が対象か(適用される範囲)、額の決め方、いつ払うかの3か所を読む。「確定給付企業年金」「確定拠出年金」の語が出てくれば、一部が企業年金で払われる形
- DCの書類:入社時に受け取った加入者向けの案内や、運営管理機関から届く残高のお知らせがあれば企業型DCに入っている
- DBの書類:企業年金基金や規約の名前が出てくる案内があればDB
- どれも見つからない:人事に「退職金の定めはありますか」「あるなら、どの形ですか」と書面かメールで聞く
たとえば、従業員が10人未満の会社で働いている人は、条文の上では就業規則の作成義務がないので、そもそも就業規則が無いこともあります。その場合は、入社時の労働条件通知書や雇用契約書に退職金の記載があるかを見て、無ければ人事や社長に直接聞きます。中小企業退職金共済(中退共)に会社が入っているときは、会社から共済の手帳や案内が渡されているかも確かめどころです。
聞くときは「辞めるかどうか迷っている」と言う必要はありません。「退職金の制度を確かめておきたい」と伝えれば足ります。答えを書面やメールで受け取っておくと、あとで額や時期を見比べるときの材料になります。
退職一時金は会社の規程で決まる
退職一時金がいくらで、いつ払われるかは、法律ではなく会社の就業規則と退職金規程で決まります。労働基準法89条は退職手当の定めを「する場合においては」と書いていて、定めをした会社に、その中身を就業規則に書くことを求めている条文です。
条文が就業規則に書くよう求めているのは、適用される労働者の範囲、退職手当の決定・計算・支払の方法、支払の時期の3つのまとまりです。「勤続何年から出るか」「自己都合で辞めたときに額がどう変わるか」は、編集部の読み方では、範囲や計算の方法として規程に書かれる部分にあたります。勤続年数や辞め方で出る・出ない、減る・減らないが分かれるとしても、その線は会社ごとの規程が引いています。89条3号の2は、定めをする場合に就業規則に書く事項を挙げているだけです。
| 規程で読む箇所 | 確かめること |
|---|---|
| 適用される範囲 | 正社員だけか、契約社員やパートも対象か。勤続何年以上が対象か |
| 決定・計算の方法 | 基本給×係数か、ポイント制か。自己都合と会社都合で係数が分かれているか |
| 支払の方法 | 一時金だけか、一部を企業年金で払う形か |
| 支払の時期 | 退職日から何日以内、退職月の翌月末など、いつ払うと書かれているか |
たとえば、規程に「勤続3年以上の者に支給する」と書かれた会社で、規程の範囲がこの一文だけで決まっているなら、勤続2年で辞める人はこの会社の退職一時金は受け取れないことになります。同じ2年でも、範囲に年数の条件を置いていない規程なら、計算の結果が小さくなっても対象には入ります。自己都合と会社都合で係数を分けている規程なら、離職の理由で額が変わります。どれも規程の文言しだいなので、自分の勤続年数を当てはめて読みます。
懲戒処分と退職金の不支給・減額の関係は、懲戒解雇と諭旨解雇の違い で就業規則の読み方を整理しています。公務員の退職手当は、国家公務員退職手当法など民間とは別の法律で決まっていて(出典:国家公務員退職手当法2条の4(e-Gov法令検索))、公務員が自己都合で辞めたときの退職金 にまとめてあります。
辞める日を決める前に、規程の「支払の時期」を確かめておくと、退職一時金が入る月を資金計画に書き込めます。辞めたあとの生活費が何か月もつかは、お金がないまま辞める前に で失業保険の入る日と合わせて数え方を並べています。
企業年金(DB)は規約で受け取り方が決まる

確定給付企業年金(DB)は、受け取る年齢も、辞めたときに一時金が出るかも、会社が定めた規約で決まります。法律が決めているのは、規約が守らなければならない枠のほうです。
老齢給付金の年齢について、確定給付企業年金法36条は、規約の要件が「六十歳以上七十歳以下の規約で定める年齢に達したときに支給するものであること」を満たすよう求めています。60歳と70歳のあいだのどこにするかは会社の規約しだいで、DCのように法律が60歳と一律に書いているわけではありません。規約に定めがあれば、規約の年齢より前でも、一定の年齢以上で会社を辞めたときに老齢給付金を出す形も条文に置かれています。
辞めたときに出る一時金は、脱退一時金と呼ばれます。41条は、脱退一時金を、加入者が第27条の脱退に当たり、かつ「規約で定める脱退一時金を受けるための要件を満たすこととなったとき」に支給すると書き、加入者期間の要件について次の上限を置いています。
前項第一号に係る脱退一時金を受けるための要件として、規約において、三年を超える加入者期間を定めてはならない。(確定給付企業年金法41条3項)
この「3年」は、規約が置ける要件の上限であって、どの会社でも3年待てば出るという意味ではありません。規約が加入者期間の要件をそれより短くしている会社も、要件を置いていない会社もありえます。自分の会社の数字は規約を見るまで分かりません。
- 老齢給付金の年齢:60歳以上70歳以下のうち、規約で決めた年齢
- 脱退一時金の要件:規約で決める。老齢給付金の要件を満たさない加入者に出す形では、加入者期間の要件は3年まで
- 脱退一時金の支給の繰下げ:規約で定めるところにより、申し出られる場合がある
- 老齢給付金を一時金で受け取れるか:規約の定めを確かめる
たとえば、規約が脱退一時金の要件を「加入者期間3年以上」としている会社で、加入して2年半で辞める人は、脱退一時金の要件を満たさないことになります。あと半年で要件に届くなら、辞める時期を考える材料になります。逆に、すでに要件を満たしている人は、辞めた時に脱退一時金を受け取るか、規約が認めていれば支給を繰り下げるかを選ぶ場面が出てきます。どちらも、手元の規約と、企業年金の担当窓口への確認が出発点です。
規約の写しは、企業年金の担当窓口か人事に見せてほしいと頼むところから始めます。条文の多い文書なので、全体を読むより、必要な箇所を指して聞くほうが早く進みます。「脱退一時金の要件」「老齢給付金の支給開始年齢」「繰下げの扱い」の3つを指定して、該当する条を教えてほしいと頼むと、答えが早く返ってきます。
確定拠出年金は原則60歳まで受け取れない
企業型DCの資産は、辞めても原則として60歳になるまで受け取れません。原則として、辞めた時にできるのは資産を別の制度へ移すことで、現金にできるのは脱退一時金の要件に当たる場合だけです(次の項)。
確定拠出年金法33条は、老齢給付金を請求できる人を、60歳以上で、年齢に応じた長さの「通算加入者等期間」がある人としています。60歳の時点で通算加入者等期間が10年以上の人は60歳から請求でき、10年未満の人は受け取れる年齢が61歳から65歳のあいだで後ろにずれます。通算加入者等期間には、企業型DCやiDeCoの加入者・運用指図者だった期間を60歳の前日が属する月まで合算します。
| 60歳時点の通算加入者等期間 | 請求できる年齢 |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳 |
| 8年以上10年未満 | 61歳 |
| 6年以上8年未満 | 62歳 |
| 4年以上6年未満 | 63歳 |
| 2年以上4年未満 | 64歳 |
| 1月以上2年未満 | 65歳 |
出典:確定拠出年金法33条(e-Gov法令検索)/確定拠出年金法34条/厚生労働省「iDeCoの概要」
請求しないまま75歳に達したときは、請求がなくても老齢給付金が支給されます(34条)。受け取り方は年金が基本で、企業型は、規約で一時金として支給できると定めた場合に一時金で受け取れます。退職一時金は規程どおり辞めた時に、DCは60歳以降に年金か(規約にあれば)一時金で、と時期と方法の両方が分かれます。
たとえば、35歳で辞める人が企業型DCに8年入っていた場合、辞めたあとiDeCoなどへ移して加入者か運用指図者を続ければ、その期間も通算加入者等期間に足されていきます。60歳の時点で10年以上になっていれば、60歳から請求できます。反対に、移換せずに自動移換されたまま放っておくと、その期間は通算加入者等期間に入らないので、受け取れる年齢が後ろにずれることがあります。
辞める前の資金計画では、DCの残高を「辞めた年に使えるお金」には数えず、60歳以降のお金として別の列に置いておくと、計画が崩れにくくなります。60歳前後の受け取りの手続きは 定年退職の手続き で期限の一覧にしています。
DCを60歳前に受け取れる場合
60歳前に辞めた人がDCを一時金で受け取れるのは、脱退一時金の要件を満たすときです。確定拠出年金法の附則2条の2は、「当分の間」の規定として、基本の形では次の3つをすべて満たす人に請求を認めています。
- 企業型・個人型(iDeCo)のどちらでも、加入者にも運用指図者にもなっていない
- 請求した日の資産の額が15,000円以下(施行令59条2項)
- 最後に企業型DCの資格を失った日が属する月の翌月から6か月を過ぎていない
出典:確定拠出年金法附則2条の2(e-Gov法令検索)/確定拠出年金法施行令59条
同じ項には、別の要件の組み合わせで請求できる人も書かれていますが、その中身は次の条にあり、ここでは取っていません。自分が当てはまるかは、記録を管理している運営管理機関に確かめます。資産の額の計算の細目も同じ窓口で確かめます。受け取ると、それまでの加入期間は通算加入者等期間に数えられなくなります(同条4項)。
たとえば、入社1年ほどで辞めて残高が15,000円に届かない人なら、転職先の企業型DCやiDeCoに入る前に、6か月のうちに請求するという順番で、一時金で受け取れる道があります。残高が数十万円ある人は、2つ目の要件を満たさないので、60歳まで待つか、ほかの組み合わせに当たるかを運営管理機関に聞く形になります。
勤めた期間が3年未満で辞める人は、もう1つ確かめることがあります。会社の企業型年金の規約に返還の定めがあると、会社が出した事業主掛金に当たる部分の全部または一部が会社へ返されます(確定拠出年金法3条3項10号)。条文は返還を「定めるときは」と書いていて、規約に定めの無い会社では返還されません。3年は企業型DCの加入期間ではなく、実施事業所に使用された期間で数えます。
辞めた後のDCは6か月以内に行き先を
辞めたあとのDCの資産は、資格を失った日が属する月の翌月から6か月以内に、転職先の企業型DC、iDeCo、転職先のDB(規約に受け入れの定めがあるとき)、通算企業年金のどれかへ移す申出をするか、脱退一時金を請求します。どちらもしないと、資産は国民年金基金連合会へ自動移換されます(確定拠出年金法83条1項1号)。
自動移換されると、資産は運用されず、手数料がかかり、その期間は通算加入者等期間に入りません。国民年金基金連合会の表では、2026年4月1日以降、自動移換の時点で連合会1,048円と特定運営管理機関3,300円(2つを合わせると4,348円)、自動移換された月の4か月後からは連合会40円と特定運営管理機関58円(合わせて月98円)がかかります。期限の数え方の例、移し先ごとの手続き、iDeCoに移すときの申出の出し方は、確定拠出年金は退職したらどうする? で順番に整理しています。
出典:厚生労働省「離職・転職時等の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」/国民年金基金連合会「自動移換にかかる手数料改定のお知らせ」
6か月の数え始めは、資格を失った日が属する月の翌月からです。退職日の月が変わると、数え始めの月も変わることがあります。退職日の置き方は 有給消化と退職日の決め方 にまとめています。退職一時金の支払の時期とDCの移換の期限は別々に来るので、退職日が決まった時点で、2つの月を同じ手帳に書いておきます。
60歳まで待たなくていい場合

退職金のすべてが60歳まで動かせないわけではありません。辞めた時点で受け取れる、または受け取れる可能性があるのは、条文と規程の上では次の場合です。
| 場合 | 受け取れる時期 | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 会社に退職一時金の定めがある | 規程に書かれた支払の時期 | 退職金規程・人事 |
| DBの脱退一時金の要件を満たす | 規約で定めるところによる | DBの規約・企業年金の窓口 |
| DBの規約に、一定の年齢以上で辞めたときの老齢給付金の定めがある | 規約の年齢以上で辞めたとき | DBの規約 |
| DCの脱退一時金の3要件をすべて満たす | 請求して裁定を受けたあと | DCの運営管理機関 |
| 会社が中退共に入っている | 本人が請求したあと | 中退共の手帳・案内 |
60歳まで待つことになるのは、企業型DCの残高が15,000円を超えている人や、すでに次の制度の加入者になった人など、脱退一時金の要件に当たらないDCの部分です。その部分も、移換してしまえば手数料の心配が減り、通算加入者等期間も積み上がっていくので、「待つ」ことが損になるわけではありません。
たとえば、退職金規程の一時金と企業型DCの両方がある会社で、規程の範囲に入る勤続年数があり、DCの残高が数十万円ある人なら、一時金の部分は規程の時期に受け取り、DCの部分は移換して60歳以降に回す、という分け方になります。同じ会社で勤続1年に満たず、規程の範囲から外れ、DCの残高も15,000円以下の人なら、一時金は無く、DCは脱退一時金の請求を考える、という組み合わせになります。
編集部の読み方では、DCの脱退一時金の線は残高と加入の状態で決まる部分が大きく、辞める日だけで決まるわけではありません。退職日を考えるときに確かめておきたいのは、退職一時金の勤続年数の区切り、DBの脱退一時金の加入者期間の要件、勤続3年未満で辞めるときのDCの事業主掛金の返還(規約に定めがある会社だけ)、DCの脱退一時金の「資格を失った月の翌月から6か月を過ぎていない」という要件あたりでしょう。退職届に書く日付の決め方は 退職届の書き方 で整理しています。
中退共と退職金の税
会社が中小企業退職金共済(中退共)に入っている場合、退職金は会社からではなく中退共から、本人の請求にもとづいて払われます。通算制度などを使わない場合、掛金を納めた月数が11月以下だと退職金は出ず、12月から23月までは掛金の総額を下回り、24月から42月までは掛金相当額、43月以降は運用利息などが加わる、と中退共は案内しています。請求の期限、振り込まれるまでの目安、請求書類と手順は 中退共の退職金はいくら・いつ振込? で整理しています。
出典:中退共「退職金の支給」
退職一時金を受け取るときの税には、退職所得控除という控除があります。勤続20年以下なら40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)、20年を超えると800万円+70万円×(勤続年数−20年)で、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと、20.42%の税率で源泉徴収されます。自分の額がいくらになるかは、受け取る前に会社の担当者か税務署に、勤続年数と支給額を示して確かめます。
出典:所得税法30条(e-Gov法令検索)/所得税法201条
公務員が自己都合で辞めたら退職金はいくら?勤続10年・20年の目安と計算式
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確定拠出年金は退職したらどうする?移換の期限・手続きと放置した時にかかる手数料
よくある質問
確定拠出年金は退職金ではないのですか?
企業型DCは、会社が退職金を用意する形の1つです。ただ、退職一時金のように辞めた時に会社から振り込まれるお金ではなく、本人ごとの口座に積み立てられ、原則60歳から受け取ります。自分の会社で退職金がDCだけなのか、一時金と組み合わせているのかは、退職金規程で確かめます。
確定拠出年金は退職金の代わりになりますか?
会社によっては、退職金の全部または一部をDCで用意しています。その場合、辞めた年に手元に入るお金という意味では一時金の代わりにはならず、受け取りは60歳以降に回ります。代わりになっているかどうかは、退職金規程に「確定拠出年金」の語が出てくるかで見当がつきます。
確定拠出年金の退職金はいくらもらえますか?
DCの額は、会社が出した掛金とその運用の結果で決まる口座の残高です。全社共通の目安はなく、運営管理機関から届く残高のお知らせや加入者向けのサイトで、自分の残高を確かめます。
退職金と確定拠出年金の受け取り方は違いますか?
違います。退職一時金は会社の規程に書かれた時期に一度で、DCは原則60歳から年金で受け取り、企業型は規約に定めがあれば一時金でも受け取れます。DBは規約で決まり、老齢給付金は60歳以上70歳以下の規約の年齢から、辞めた時は規約の要件を満たせば脱退一時金です。
転職したら、前の会社の企業年金はどうなりますか?
DBは規約の脱退一時金の要件を満たせば一時金を受け取れることがあり、扱いは規約と企業年金の窓口で確かめます。DCは資格を失った月の翌月から6か月以内に、転職先の企業型DCやiDeCoなどへ移す申出をします。申出をしないと自動移換され、手数料がかかります。
就業規則に退職金のことが何も書いていません。退職金は無いのですか?
労働基準法89条は、退職手当の「定めをする場合においては」その中身を就業規則に書くよう求めています。就業規則に無く、別の規程も無いなら、定めが無い可能性がありますが、規程が別にあるだけのこともあるので、人事に「退職金の定めはありますか」と書面かメールで聞いて確かめます。
数字だけ、もう一度
- 退職一時金:額も時期も就業規則・退職金規程で決まる。定めをするなら、範囲・決定・計算・支払の方法と支払の時期を就業規則に書く(労働基準法89条3号の2・常時10人以上の会社に作成と届出の義務)
- DBの老齢給付金:60歳以上70歳以下の規約で定める年齢(確定給付企業年金法36条)
- DBの脱退一時金:規約で定める要件。規約が置ける加入者期間の要件は3年まで(41条3項・全社共通の待ち期間ではない)
- DCの老齢給付金:原則60歳から。60歳時点の通算加入者等期間が10年未満なら61〜65歳へ。請求しないまま75歳に達すると支給(確定拠出年金法33条・34条)
- DCの脱退一時金:加入者・運用指図者でない/資産15,000円以下/資格を失った月の翌月から6か月を過ぎていない、の3つがすべてそろうとき(基本の形)
- DCの3年未満の返還:規約に定めがある会社だけ(3条3項10号)
- DCの移換:資格を失った月の翌月から6か月以内。過ぎると自動移換で、連合会1,048円+特定運営管理機関3,300円、4か月後から月40円+58円(2026年4月1日以降)
- 中退共:掛金を納めた月数が11月以下は支給なし、12月から23月は掛金の総額を下回る
- 退職所得控除:勤続20年以下は40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超は800万円+70万円×(勤続年数−20年)。申告書を出さないと20.42%
辞める前に退職金を数えるときは、「いくら」より先に「どの形で、いつ」を確かめるほうが、資金計画のずれを小さくできます。一時金は規程の支払の時期に、DBは規約の要件しだいで、DCは60歳以降に、と3つの時計は別々に動いています。就業規則から順に書類を開き、辞めた年に入るお金と60歳以降のお金を別の列に分け、DCの移換の期限だけは退職日が決まった日に手帳へ書いておく。そこまでできていれば、退職日を決める話し合いにも落ち着いて臨めます。

