会社をクビになったら最初にやること|いつまでに何を受け取るかと手当の額

誰もいない事務所
  • 会社から突然「クビ」と言われた。今日から何をすればいい?
  • 口頭で言われただけ。書面はもらえるの?
  • その場で書類に署名を求められたけれど、していいの?
  • 解雇予告手当はもらえる?いくらになる?
  • いつ辞めたことになるのか、最終日がはっきりしない
  • 自己都合にされないか心配
  • 離職票はいつ、どこから届くの?
  • 保険証や年金の切り替えは、何から手をつければいい?

上記のような悩みに答えます。

解雇は、会社の側から雇用の契約を終わらせることで、言い渡された人のほうには、受け取れる書面とお金と、自分から頼まないと出てこないものが混ざっています。突然のことで頭が真っ白になり、その場で言われた言葉も日付も残せないまま、何が手元に来るはずなのか分からずに日がたってしまいがちです。検索の上位には解雇の種類や争い方を説明する法律事務所の案内が並びます。そこで、解雇の予告と予告手当、解雇理由の証明書、離職票という基本を押さえたうえで、言い渡され方(その日のうちか、予告つきか、口頭だけか)ごとの最初の1手、受け取るものを「物・誰から・いつ」で並べた一覧、健康保険と年金の切り替えの順番まで、労働基準法と雇用保険法の条文、厚生労働省とハローワークの案内で確かめながら整理しました。

先に答え

会社からクビ(解雇)を言い渡されたら、最初に解雇の日と予告の有無を確かめ、解雇理由証明書を請求します。30日前の予告が無ければ、会社は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならず(労働基準監督署長の認定を受けた場合などの例外があります)、2026年10月時点の雇用保険の扱いでは、解雇(重責解雇を除く)なら失業保険に給付制限は付きません。

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目次

クビの言い渡され方で最初の1手が変わる

誰もいない事務所

最初の1手は、言い渡され方で決まります。その日のうちに辞めてくれと言われたのか、何日か先の日付で解雇すると言われたのか、口頭で言われただけなのかで、確かめるものと頼むものが変わるからです。

労働基準法20条1項は、会社が労働者を解雇しようとするときは「少くとも三十日前にその予告をしなければならない」とし、30日前に予告をしない会社は「三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と定めています。つまり、解雇の日の30日以上前に予告があったのか、予告が足りないのか、予告がまったく無いのかで、予告手当の出方が分かれます。ただし、天災事変などや本人の責めに帰すべき事由による解雇で労働基準監督署長の認定を受けた場合と、21条に当たる人(日日雇い入れ・短い期間の契約・試用期間の初めなど)は扱いが別です(下の解雇予告手当の項)。解雇理由の証明書も、予告の期間中に頼むのか、辞めたあとに頼むのかで、使う条文の項が変わります(下の「解雇理由証明書」の項)。

出典:労働基準法20条(e-Gov法令検索)

言い渡され方 まず確かめること 最初に頼むこと
その日のうちに解雇(即時解雇) 解雇の日はいつか・予告手当が払われるか 解雇理由を書いた証明書(退職時の証明)
何日か先の日付で解雇(予告つき) 解雇の日と予告された日の間が30日あるか 解雇の理由の証明書(予告の期間中に請求できる)
口頭で言われただけ 解雇なのか、辞めてほしいという話なのか 解雇の日と理由を書面でもらうこと
その日か先の日付かで、頼むものが変わる
その日のうちに解雇

  • 予告手当が払われるかを確かめる
  • 辞めたあとに、理由を書いた退職時の証明を請求
先の日付で解雇

  • 予告から解雇の日まで30日あるかを数える
  • 予告の期間中に、解雇の理由の証明書を請求

3つ目の、口頭で言われただけの場合は迷いやすいところです。上司が「もう来なくていい」と言っただけなのか、会社として解雇すると決めたのかで、そのあとの話がまったく違ってきます。「辞めてもらえないか」という話なら、それは解雇ではなく退職を勧められている状態で、扱いは 退職勧奨と会社都合 の話になります。

たとえば、月末に呼ばれて「今月いっぱいで終わりにしてほしい」と言われた人は、解雇の日が月末なのか、言われたのが何日なのかで、予告が30日に足りているかが決まります。同じ言葉でも、「今日で終わり」と言われた人は即時解雇の側に入り、予告手当が払われるかどうかが最初の確認になります。試用期間中に言われた人は、扱いが変わることがあるので 試用期間中の解雇 を先に読んでください。

言われたその場では、言い渡され方を自分で分類しようとしなくて構いません。解雇の日、言われた日、言った人の3つを書き留めておけば、表のどの行に当たるかはあとから確かめられます。

クビを言われた日にやること、決めなくていいこと

言い渡された日にやることは、記録を残すことと、解雇の日と理由を書面でもらうよう頼むことの2つです。争うかどうか、どこに相談するかは、その日に決めなくて構いません。

この2つを先にするのは、あとから何を確かめるにしても、いつ・誰が・何と言ったかが出発点になるからです。予告が30日に足りているかは言われた日と解雇の日で数えますし、解雇理由の証明書を頼むときも、いつ予告されたかが条文の当てはめに効きます。書面が1枚あれば、その日付と中身を前提に次の手続きを考えられます。

言われた日は、この順で
  1. 1言われたことを書き留める日付・時刻・言った人・言葉のまま
  2. 2解雇の日と理由を確かめる書面でほしいと伝える
  3. 3渡された書類はその場で決めない持ち帰って中身を読む
  • 言われた日付と時刻、場所、言った人の名前と役職
  • 言われた言葉をできるだけそのまま(「解雇」「辞めてほしい」「来なくていい」のどれだったか)
  • 解雇の日として言われた日付
  • 理由として言われたこと
  • 渡された書類の名前と、署名を求められたかどうか

編集部の整理では、メモはその日のうちに自分あてのメールで送っておくと、書いた日付が残るので扱いやすくなります。会社のパソコンや社用のアカウントではなく、自分の端末に残しておきます。

その場で書類への署名を求められることもあります。解雇の通知を受け取ったことの確認なのか、自分から辞めるという退職届なのかで、意味がまったく違います。労働基準法22条2項は、解雇の予告がされた日から退職の日までの間なら解雇の理由の証明書を請求できるとしたうえで、ただし書きで、予告の日以後に「当該解雇以外の事由により退職した場合」には、会社は退職の日以後その証明書を交付しなくてよいと書いています。つまり、予告のあとに自分から辞めた形になると、この証明書を会社が出す義務の扱いが変わる、という決まりです。この条文は署名や退職届を名指ししていません。署名を求められた書類が自分から辞める書類かどうかは、題名と中身を読んで確かめます。

出典:労働基準法22条(e-Gov法令検索)

たとえば、「この書類にサインしたら今日で終わり」と言われた人が、書類の題名が「退職届」「退職合意書」なら、解雇の通知を受け取ったことの確認とは別の、辞めることについての書類です。題名が分からない、意味が分からないときは「持ち帰って読んでから返事をします」と伝えれば足ります。編集部の整理では、署名は書面を読んでから考えれば十分で、その場の空気で決める理由はありません。争うかどうかの判断もその先の話です。

解雇理由証明書の請求の仕方と中身

封筒と万年筆

解雇の理由は、会社に証明書を請求すれば書面でもらえます。請求すると、会社は「遅滞なく」交付しなければならないと労働基準法22条が定めています。

この証明書が要るのは、会社が何を理由に解雇したのかが、そのあとのすべての前提になるからです。失業保険の離職理由の確認でも、争うかどうかを考えるときでも、口頭で聞いた理由は記憶違いや言い換えが起きます。書面になっていれば、本人も相談先も同じ文言を見て話ができます。

条文には、請求できる場面が2つあります。厚生労働省の案内では、解雇の理由は具体的に書く必要があり、就業規則の条項に当たる事実を理由にする解雇なら、その条項の内容と、当たるとされた事実関係まで書くとされています。

請求する時期 根拠 書かれる中身
予告された日から退職の日まで 労働基準法22条2項 解雇の理由
退職したあと(即時解雇を含む) 労働基準法22条1項 請求した事項(使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職の事由。解雇ならその理由を含む)
どちらの場合も 労働基準法22条3項 本人が請求しない事項は書かれない

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A(解雇理由の証明書)・労働基準法22条

3つ目の行が実際には大事です。証明書には、本人が請求しない事項を書いてはいけないとされているので、「解雇の理由」と書いて頼まないと、理由の欄が入らないことがあります。厚労省の案内でも、本人が解雇の事実だけを請求した場合は解雇の理由を書かないとされています。頼むときは「解雇の理由を含めて」と書いておきます。

請求の方法を書面に限る決まりは条文にありません。それでも、メールか書面で送り、相手に届いた日付が分かる形で残しておくと、あとで「頼まれていない」と言われずに済みます。

件名:解雇理由証明書の交付のお願い(氏名)

〇月〇日に解雇の予告を受けた〇〇です。労働基準法22条に基づき、解雇の理由を記載した証明書の交付をお願いします。就業規則の条項に当たる場合は、その条項と事実関係も記載してください。送付先は次のとおりです。〒〇〇〇-〇〇〇〇 〇〇〇〇

たとえば、予告つきで解雇を言われた人が予告の期間中に請求した場合、そのまま予告の期間が過ぎて解雇の日を迎えても、交付の義務は変わらず、改めて請求し直す必要はないと厚労省の案内は書いています。その日のうちに解雇された人は、予告の日と退職の日が同じ日になるので、辞めたあとに1項の退職時の証明として請求します。どちらの場合も、請求したのに出てこないときは、送ったメールの控えを持って労働基準監督署に相談します。厚労省はモデルの様式も示しているので、会社が書式に迷っているようならそれを伝える手もあります。

解雇予告手当が出る場面と30日分の求め方

解雇予告手当は、30日前の予告が無いとき、または予告が30日に足りないときに出ます。額は「30日分以上の平均賃金」で、予告が何日か前にあった場合は、足りない日数分以上になります。

労働基準法20条2項で、予告の日数は1日について平均賃金を払った日数だけ短くできるとされています。予告と手当は組み合わせられるということで、厚労省のQ&Aでは、20日前に予告された場合は足りない10日分を請求できる例が示されています。払う時期については、厚労省の解釈では、その日のうちに解雇する場合の30日分は解雇の申渡しと同時に払うべきものとされ、予告と手当を組み合わせる場合は遅くとも解雇の日までに払うとされています。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」Q&A(解雇予告の期間と手当の計算方法・支払時期)

計算例

たとえば、解雇の日の20日前に予告された人は、30日から20日を引いた10日分以上の平均賃金が手当になります。厚労省の案内では、予告の期間は予告がされた日を数えずに翌日から暦日で数え(民法140条)、9月30日に解雇するには遅くとも8月31日に予告することになるとされています。

一方で、予告や手当の決まりが当てはまらない場面と、そもそも解雇が禁じられている期間があります。どれに当たるかは会社の言い分だけで決まらず、条文で枠が決まっています。

場面 根拠 扱い
天災事変などで事業が続けられない/本人の責めに帰すべき事由で解雇 労働基準法20条1項ただし書・3項 労働基準監督署長の認定を受けた場合に、予告も手当も無しで解雇できる
日日雇い入れ・2か月以内の期間の契約・季節的業務で4か月以内の契約・試の使用期間中 労働基準法21条 予告の規定が適用されない。ただし1か月を超えて使われた日雇い、所定の期間を超えた契約、14日を超えた試用期間中の人には適用される
業務上のけがや病気で休業する期間とその後30日間、産前産後の休業期間とその後30日間 労働基準法19条 そもそも解雇してはならない(打切補償を払う場合と、天災事変などで行政官庁の認定を受けた場合を除く)

出典:労働基準法21条・労働基準法19条・厚生労働省Q&A(予告手当の不要な場合)

ここで気をつけたいのは、会社が「懲戒解雇だから手当は出ない」と言っても、それだけで手当が無くなるわけではない点です。厚労省の案内では、本人の責めに帰すべき事由があるかは労働基準監督署長が認定するもので、認定は就業規則の懲戒解雇の事由にも縛られず、総合的に判断するとされています。

平均賃金の求め方は、労働基準法12条に決まっています。平均賃金を算定すべき事由の発生した日以前の3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦の日数)で割った額が原則です。賃金の締切日がある会社では、直前の締切日から数えます。

30日分の平均賃金は、この式で求める
算定の期間の3か月間の賃金の総額÷その3か月間の総日数=平均賃金(1日分)
平均賃金×30日=予告が無いときの手当の最低額
  • 臨時に支払われた賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)は総額に入れない
  • 業務上の療養の休業、産前産後の休業、会社の責任による休業、育児休業・介護休業、試みの使用期間は、日数と賃金の両方から除く
  • 雇い入れから3か月に満たない人は、雇い入れ後の期間で計算する
  • 日給・時給・出来高払いの人には最低保障があり、賃金の総額を労働した日数で割った額の100分の60を下回らない

出典:労働基準法12条・厚生労働省「確かめよう労働条件」(平均賃金)

自分の額の見当をつけるのに要るのは、算定の期間にあたる3か月分の給与明細と、賃金の締切日の2つです。明細の総支給額を足し、その期間の暦の日数で割れば、1日分のおおよその見当がつきます(除く賃金や期間があるので、正確な額ではありません)。手当が払われていない、額が合わないと感じたら、明細の写しと、予告された日・解雇の日のメモを持って労働基準監督署に相談できます。厚労省の資料では、労働基準関係法令の違反がある場合、労働者は労働基準監督官に行政指導を求めること(申告)ができるとされています(厚生労働省の資料)。

受け取るものは誰から・いつ

解雇のあとに受け取るものは、会社から来るものと、ハローワークから来るものに分かれ、頼まないと出てこないものもあります。何がいつまでに来るはずかを一覧にしておくと、届いていないものにすぐ気づけます。

一覧にするのは、それぞれに期限の決まりがあったり無かったりするからです。会社がハローワークに出す書類には日数の期限がありますが、本人の手元に届くまでの日数には決まりがありません。期限の決まっているものから確かめ、過ぎていたら動く、という順番にすると迷いません。

受け取るもの 誰から いつ 根拠
解雇予告手当 会社 厚労省の解釈では、即時解雇なら申渡しと同時。予告と組み合わせるなら遅くとも解雇の日まで 労働基準法20条・厚労省Q&A
解雇理由証明書・退職時の証明 会社 請求してから遅滞なく 労働基準法22条
未払いの賃金・本人の権利に属する金品 会社 権利者の請求があった場合においては、7日以内に 労働基準法23条
離職票 ハローワーク(会社を通じて渡すこともできる) 会社は、被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、資格喪失届と離職証明書をハローワークに出す。手元に届くまでの日数は、条文には書かれていない 雇用保険法施行規則7条1項・同17条
カレンダーに印をつけるペン

労働基準法23条は、会社は労働者の退職の場合に「権利者の請求があつた場合においては、七日以内に賃金を支払い」、積立金や保証金など、名称を問わず労働者の権利に属する金品を返さなければならないとしています。7日は請求があった場合の決まりなので、最後の給料や会社に預けていたお金を早く受け取りたいときは、こちらも請求の形で伝えます。退職金があるかどうか、いつ払われるかは会社の就業規則や退職金規程で決まるので、就業規則や退職金規程を見て確かめます。

たとえば、その日のうちに解雇された人は、予告手当がその場で払われたか、払われていなければいつ払うのかを最初に確かめ、同じメールで解雇の理由を含めた退職時の証明と、未払いの賃金の支払いも頼めます。予告つきで解雇される人は、予告の期間中に解雇の理由の証明書を頼み、解雇の日が近づいたら賃金の精算と離職票の手続きを確かめる、という順番になります。

表の4行を手帳に写し、それぞれに「頼んだ日」「届いた日」の欄を作っておくと、どれが止まっているかが一目で分かります。止まっているものが会社の書類なら会社に、離職票ならハローワークに、と相手を分けて確かめます。

離職票と失業保険はどう動くか

離職票は、会社が出した離職証明書をもとにハローワークが交付し、それを持ってハローワークで手続きをすると失業保険の受給が始まります。解雇(重責解雇を除く)で辞めた人は、2026年10月時点の厚労省の案内では給付制限が付かず、待期の7日が過ぎれば支給の対象になります。

雇用保険法33条1項が給付制限の対象として挙げているのは、自分の責めに帰すべき重大な理由による解雇と、正当な理由のない自己都合の退職で、それ以外の解雇は挙げられていません。あわせて、雇用保険法23条2項は、特定受給資格者の1つとして、解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く。)その他の厚生労働省令で定める理由で離職した人を挙げています。厚労省のパンフレットでは、解雇・定年・契約期間満了で離職した人は、離職票を出して求職の申込みをしてから7日間の待期が過ぎたあとに支給され、自己都合や懲戒解雇の人は、待期7日に加えて1〜3か月の給付制限のあとになるとされています。重責解雇は、労働局のリーフレットで3か月とされています。

出典:雇用保険法33条・雇用保険法23条・厚生労働省パンフレット「離職されたみなさまへ」・群馬労働局リーフレット

確かめること 決まり 出典
受給資格 特定受給資格者は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上 厚労省パンフレット
支給の始まり 解雇なら待期7日のあと(給付制限なし)。重責解雇は給付制限3か月 同上・群馬労働局リーフレット
離職理由の判定 会社と本人の双方の主張を確認できる資料で事実確認し、最終的にハローワークが判定する 厚労省パンフレット
離職票の受け取り 条件がそろえば、2025年1月20日からマイナポータルで直接受け取れる 山口労働局

所定給付日数は、特定受給資格者の場合、離職したときの年齢と被保険者だった期間で決まります。抜き出すと次のとおりです。

被保険者だった期間 30歳未満 35歳以上45歳未満 45歳以上60歳未満
1年未満 90日 90日 90日
1年以上5年未満 90日 150日 180日
5年以上10年未満 120日 180日 240日
10年以上20年未満 180日 240日 270日
20年以上 ー 270日 330日

出典:ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

離職票が届いたら、離職理由の欄を見ます。会社が出す離職証明書には、会社の書いた離職理由に本人が異議があるかどうかを丸で囲む欄があり、会社は離職の日までに本人に離職理由を確認させることになっています。解雇されたのに自己都合と書かれていたら、ハローワークで手続きをするときに申し出ます。そのとき、上で頼んだ解雇理由証明書が、本人の主張を確かめる資料の1つになります。

出典:厚生労働省「雇用保険被保険者離職証明書についての注意」

たとえば、35歳以上45歳未満で、被保険者だった期間が5年以上10年未満の人なら、表のその行で180日です。期間が同じでも30歳未満なら120日になり、年齢の区分が変わるだけで日数が動きます。日額や総額は人によって違うので、失業保険の計算ツール で出し、会社都合での受け取り方の全体は 会社都合の失業保険 で確かめてください。離職票が届かないときの進め方は 離職票が来ないとき にまとめています。

健康保険と年金は切り替えの順番を先に

健康保険と年金は、離職票を待っている間にも期限が進みます。健康保険は任意継続にするか国民健康保険に入るか、年金は国民年金への切り替えが要るかを、先に決めておきます。

期限がそれぞれ違い、起点の書き方も違うので、ひとまとめに「14日」と覚えると間違えます。任意継続は健康保険法37条1項で、被保険者の資格を失った日から20日以内に申し出るとされています。国民健康保険は、厚労省の案内で14日以内に市町村の窓口へ届け出るとされています。国民年金の第1号被保険者への切り替えは、日本年金機構の案内で退職日の翌日から14日以内です。

切り替え 期限 窓口 出典
健康保険の任意継続 資格を失った日から20日以内 加入していた健康保険 健康保険法37条
国民健康保険に入る 14日以内 住んでいる市町村の窓口 厚生労働省
国民年金(第1号)への切り替え 退職日の翌日から14日以内 住所地の市区役所・町村役場 日本年金機構

国民年金の切り替えが要るのは、20歳以上60歳未満で、厚生年金の会社を辞めて次の会社に入るまで間が空く人です。届け出るのは本人か世帯主です。配偶者の扶養に入る場合は別の手続きで、配偶者の勤め先を通します。

たとえば、解雇されて次の仕事がまだ決まっていない人は、健康保険を任意継続にするか国民健康保険にするかを決め、国民年金の切り替えも住所地の市区役所・町村役場が窓口なので、編集部の整理では、同じ日にまとめて済ませる段取りを考えておくと動きやすくなります。家族の扶養に入れる人は、先に家族の勤め先に聞いてから動くほうが手戻りがありません。年金の手続きの全体は 退職後の年金の手続き にまとめています。

争うかを決める前に整理しておくこと

解雇に納得できないとき、争うかどうかは、上の書面と記録がそろってから考えれば足ります。解雇が有効かどうかは労働契約法16条の問題で、言い渡された直後の印象だけでは見当がつきません。

争うにしても争わないにしても、必要になるのは同じ材料です。解雇理由証明書があれば、会社が何を理由にしたかが文言で分かります。言われた日のメモがあれば、予告が足りていたかを数えられます。給与明細があれば、予告手当の額が合っているかを確かめられます。材料がそろっていない段階で相談先を探しても、何を聞けばいいかが定まりません。

  • 解雇理由証明書(または退職時の証明)
  • 言い渡された日のメモと、会社とのメールの控え
  • 算定の期間にあたる3か月分の給与明細と、雇用契約書・労働条件通知書
  • 就業規則(とくに解雇と懲戒の条項)の写し

たとえば、理由の欄に就業規則の条項が書かれていたら、その条項の写しと並べて読むと、どの事実が当てはめられたのかが見えてきます。理由が書かれていない、抽象的な言葉しか無いときは、具体的に書くよう改めて頼めます。厚労省の案内が理由は具体的に書く必要があるとしているからです。

相談先の選び方や、話し合い・労働審判などの進め方、費用の見当は 不当解雇の相談先 にまとめています。会社都合として扱われる条件の全体は 会社都合になる条件 で確かめられます。解雇が有効かどうかの判定は、編集部はしません。そのかわり、どこに何を持っていけば判定してもらえるかを、上の4つの材料で準備しておきます。

自分で動かなくていい場合

次のことが会社から期限どおりに出ているなら、こちらから請求の連絡をしたり、労働基準監督署やハローワークに相談したりする必要はありません。届いたものの中身を確かめるだけで足ります。

ここまでに挙げた手続きのうち、本人が動くのは、出るはずのものが出ていないときと、中身が違うときです。会社が自分から書面と手当と離職証明書を出しているなら、そこに付け足すことはありません。

  • 解雇の日と理由が書面で渡され、理由が具体的に書かれている
  • 予告が30日以上前にあった、または足りない日数分の予告手当が支払われている
  • 会社が離職証明書をつけて資格喪失届を出したと伝えてきていて、離職票が届いている(またはマイナポータルに来ている)
  • 離職票の離職理由の欄が、解雇として書かれている

たとえば、予告つきで解雇され、予告と一緒に理由を書いた書面を受け取り、離職票の理由も解雇になっている人は、あとはハローワークで手続きをし、健康保険と年金を切り替えるだけです。有料の代行や相談を頼まなくても、ハローワークでの手続きと市区役所での切り替えは本人ができます。どれか1つでも欠けていたら、その1つだけを会社に頼めば足ります。

よくある質問

会社をクビになったら、最初に何をすればいいですか?

言われた日付と言葉、解雇の日を書き留め、解雇の理由を書いた証明書を会社に請求します。そのうえで、予告が30日前にあったか、無ければ予告手当が払われるかを確かめます。争うかどうかはその後で考えて構いません。

正社員をクビになったら、いくらもらえますか?

30日前の予告が無ければ、30日分以上の平均賃金が予告手当になります(労働基準監督署長の認定を受けた場合や、21条に当たる人は別です)。平均賃金は、算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額をその期間の総日数で割った額が原則です。失業保険の額は人によって違うので、計算ツールで出してください。

その場で書類に署名を求められたら、しないといけませんか?

書類の題名と中身を読んでから考えて構いません。書類の題名が退職届・退職合意書なら、解雇の通知を受け取ったことの確認とは別の、辞めることについての書類です。意味が分からないときは「持ち帰って読みます」と伝えれば足ります。

解雇予告手当は、いつ振り込まれますか?

厚労省の解釈では、その日のうちの解雇なら解雇の申渡しと同時に払うべきものとされ、予告と組み合わせる場合は遅くとも解雇の日までとされています。払われないときは、給与明細とメモを持って労働基準監督署に相談します。

離職票はいつ届きますか?

会社は、被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、離職証明書をつけた資格喪失届をハローワークに出します。そのあとハローワークが交付し、会社を通じて渡されることもあります。手元に届くまでの日数は、条文には書かれていません。届かないときは会社に確かめ、出てこなければハローワークに相談します。

クビになると、失業保険で自己都合より不利になりますか?

解雇(重責解雇を除く)なら特定受給資格者に当たり、2026年10月時点の扱いでは給付制限は付かず、待期7日のあとに支給の対象になります。重責解雇は給付制限が3か月とされています。離職票の理由が自己都合になっていたら、ハローワークで申し出ます。

数字だけ、もう一度

  1. 解雇の予告:少なくとも30日前。予告が無ければ30日分以上の平均賃金(労基署長の認定・21条の例外あり)。予告の日数は平均賃金を払った日数だけ短くできる(20日前の予告なら足りない10日分以上)
  2. 予告手当を払う時期:厚労省の解釈では、即時解雇なら申渡しと同時。組み合わせなら遅くとも解雇の日まで
  3. 平均賃金:算定すべき事由の発生した日以前3か月間の賃金の総額÷その期間の総日数。賞与などは入れない。日給・時給などは労働日数で割った額の100分の60が最低保障
  4. 予告が要らない場面:労働基準監督署長の認定を受けた場合/21条の対象(1か月を超えた日雇い、所定の期間を超えた2か月以内・4か月以内の契約、14日を超えた試用期間中の人には適用される)
  5. 解雇できない期間:業務上の休業期間とその後30日間、産前産後の休業期間とその後30日間
  6. 解雇理由証明書:請求から遅滞なく。予告の期間中は22条2項、辞めたあとは22条1項。請求しない事項は書かれない
  7. 賃金と金品:権利者の請求があった場合においては、7日以内に
  8. 離職票:会社は被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から起算して10日以内に資格喪失届と離職証明書を出す(本人が離職票を希望しない場合は離職証明書を付けないことができる)。届くまでの日数は条文に書かれていない
  9. 失業保険:解雇は給付制限なし・待期7日。重責解雇は3か月。特定受給資格者は1年間に被保険者期間6か月以上
  10. 切り替え:任意継続は資格を失った日から20日以内/国民健康保険は14日以内/国民年金は退職日の翌日から14日以内

クビを言い渡された直後に困りやすいのは、何が起きたのかが自分でもはっきりしないまま、手元に何も無い状態で日がたつことです。解雇の日と言われた言葉を書き留め、理由の証明書を頼み、予告手当と離職票の期限を日付で出しておけば、来るはずのものが来ているかを自分で確かめられるようになります。争うかどうか、次をどうするかは、その紙がそろってから落ち着いて考えれば間に合います。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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