確定拠出年金は退職したらどうする?移換の期限・手続きと放置した時にかかる手数料

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  • 会社を辞めたら、確定拠出年金はどうなるの?
  • そもそも自分が入っているのが企業型なのか、いくら残っているのかも分からない
  • 何もしないで放っておくと、どうなる?
  • 移す期限があると聞いたけれど、いつから数えるの?
  • 転職先に確定拠出年金が無いときは、どこに移せばいい?
  • しばらく無職になる。それでも移せる?
  • 会社が手続きをしてくれるの?自分で何を出すの?
  • 今すぐ現金で受け取ることはできる?
  • 勤めたのが3年未満だと、会社の掛金は戻されてしまう?

上記のような悩みに答えます。

会社の確定拠出年金(企業型確定拠出年金・企業型DC、401kとも呼ばれます)は、会社が出した掛金を本人ごとの資産(条文の言葉では「個人別管理資産」)として積み立てる仕組みで、辞めても資産が消えるわけではありません。ただ、辞めたあとは自分で移し先を決めて申し出ないと、期限のあとで別の場所へ自動で移されます。迷いやすいのは、期限を退職日からではなく「資格を失った日が属する月の翌月から」数えることと、移し先が次の勤め先や働き方で変わることです。検索で上に出るのは金融機関や制度の入門の案内が中心で、自分の資格喪失日から期限をどう数えるか、無職や自営になる人はどこへ移すのか、放っておくと何円かかるのかを、条件ごとに並べたものはなかなか見当たりません。そこで、期限・移し先・手続きの3つを押さえたうえで、自動移換の手数料の内訳、60歳前に現金で受け取れる線、勤続3年未満の返還、自分で動かなくていい場合まで、確定拠出年金法の条文と厚生労働省・国民年金基金連合会の公式の案内で確かめながら整理しました。法律の言葉は「移換」で、一般には「移管」とも呼ばれます。

先に答え

会社の確定拠出年金(企業型DC)は、退職して資格を失った月の翌月から6か月以内に、転職先の企業型DCやiDeCoへ移す申出をしないと、国民年金基金連合会へ自動移換されます。2026年10月時点の手数料は自動移換の時点で4,348円(連合会1,048円と特定運営管理機関3,300円)、その後も月98円がかかり、資産は運用されません。

2026年10月時点の制度で確かめています

辞めたあとの失業保険がいくらになるかは、失業保険の計算ツール で自分の条件を入れて出せます。

目次

退職したら最初に確かめる3つのこと

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最初にやるのは、自分が入っているのが会社の企業型DCかどうか、資産の記録をどこが管理しているか、自分の資格喪失日がいつになるか、の3つを会社に確かめることです。移し先も期限も、この3つが分からないと決められません。

確定拠出年金法は、辞めた人の資産を次の制度へ移す手続きを、どれも本人の「申出」から始まる形で書いています。転職先の企業型DCへ移すのは法80条1項、iDeCoへ移すのは法82条1項、転職先の確定給付企業年金(DB)へ移すのは法54条の4、通算企業年金へ移すのは法54条の5で、いずれも「申し出たとき」「申出をした場合」に資産が動きます(例外は下の「自分で動かなくていい場合」で書きます)。そして期限は、資格を失った日を起点に数えます(法83条1項1号)。本人が申し出る形になっている以上、申し出るための材料を先にそろえるのが近道です。

出典:確定拠出年金法82条(e-Gov法令検索)/確定拠出年金法83条(e-Gov法令検索)

  • 会社の担当者に聞く:「企業型の確定拠出年金に入っていますか」「記録を管理している運営管理機関はどこですか」「私の資格喪失日はいつになりますか」の3つ
  • 企業型年金の規約や退職金の規程を見る:企業型DCは会社ごとの規約で運営されていて(法3条)、勤続3年未満の返還の定めがあるかもここに書かれる
  • 入社のときに受け取った確定拠出年金の案内を見返す:運営管理機関の名前や、資産の額を確かめる方法が書かれていないかを見る
  • 資産のおおよその額をつかむ:15,000円以下かどうかで、脱退一時金を請求できるかが変わる

たとえば、入社のときに「うちの退職金は確定拠出年金で出している」とだけ聞いている人は、それが企業型DCなのか、確定給付企業年金(DB)なのか、中退共なのかで、辞めたあとの窓口がまるで違います。企業型DCなら移す申出と期限の話になり、DBの扱いは会社の規約で決まり、中退共はまったく別の制度です。中退共の退職金の請求は 中退共の退職金はいくら・いつ振込? で整理しています。会社独自の退職金があるかも、同じ機会に聞いておきます。

辞めると決めたら、退職日を伝えるのと同じ時期に、この3つを担当者に聞いておきます。メールで聞けば答えが記録に残り、あとで期限を数えるときにも見返せます。辞めたあとの手続き全体の順番は 仕事を辞めたいときに先に知っておくこと にまとめてあります。

期限は資格を失った月の翌月から6か月

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資産を移す手続きは、企業型DCの加入者の資格を失った日が属する月の翌月から数えて6か月以内に終えている必要があります(条文は、6か月以内に移換されなかった資産を自動移換の対象にしています)。退職した日から数える期限ではないので、自分の資格喪失日がどの月に入るかを先に確かめます。

条文は、自動移換される人をこう書いています。

当該企業型年金の企業型年金加入者であった者であって、その個人別管理資産が当該企業型年金加入者の資格を喪失した日が属する月の翌月から起算して六月以内に…移換されなかったもの(確定拠出年金法83条1項1号)

確定拠出年金法83条(e-Gov法令検索)

数え始めは「資格を失った日」ではなく、その日が属する月の「翌月」です。資格を失った日が月の初めでも終わりでも、その月は数えず、次の月が1か月目になります。資格を失った日が3月か4月かで、数え始めの月が1つ変わります。

6か月は、資格を失った月の翌月から数える
資格を失った月この月は数えない
翌月から6か月この間に移す申出をする
過ぎたら国民年金基金連合会へ自動移換
計算例

たとえば、資格を失った日が4月1日になる人なら、属する月は4月で、数え始めは翌月の5月です。5月から6か月なので、5月・6月・7月・8月・9月・10月がこの6か月にあたります。資格を失った日が3月16日になる人なら、属する月は3月で、数え始めは4月、4月から9月までの6か月です。同じ3月末ごろに辞める人でも、資格を失った日が3月に入るか4月に入るかで、期限の月が1つ動きます。

資格を失う日がいつになるかは、退職日をいつにするかで決まります。有給を消化してから辞める人は、そのぶん退職日が後ろになり、資格を失う日も後ろにずれます。退職日の組み方と社会保険の資格を失う日の考え方は 有給消化と退職日の決め方 で整理しています。最後の月の何日までに書類が届けばよいかといった締めの細かい扱いは、申し出る先の運営管理機関に確かめます。

自分の期限を書き出す順番は次のとおりです。

  1. 会社に、自分の資格喪失日を聞く
  2. その日が何月に属するかを確かめる
  3. 翌月を1か月目として、6か月目にあたる月を手帳に書く
  4. その月より前に書類を出し終えるように、移し先を決める日を逆算する

放置して自動移換されると起きること

6か月のうちに移す申出も脱退一時金の請求もしないと、資産は国民年金基金連合会へ自動移換されます。厚生労働省は、自動移換されたときに起きることとして、資産が運用されないこと、管理手数料を負担すること、自動移換中の期間が老齢給付金の受給要件となる「通算加入者等期間」に入らず、場合によっては受給できる年齢が遅くなること、の3つを挙げています。

出典:厚生労働省「離職・転職時等の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」

かかる手数料は、国民年金基金連合会が公表している表で決まっています。2026年4月1日以降の額は次のとおりです(いずれも消費税込み)。

手数料 かかるとき 額
新規自動移換手数料 自動移換されたとき(1回) 連合会1,048円+特定運営管理機関3,300円
管理手数料 自動移換された月の4か月後から(月額) 連合会40円+特定運営管理機関58円
移換手数料 自動移換の状態から企業型DC・iDeCo・DBへ移すとき(1回) 特定運営管理機関550円
裁定手数料 脱退一時金などを受けるとき(1回) 特定運営管理機関4,180円

出典:国民年金基金連合会「自動移換にかかる手数料改定のお知らせ」(2026年10月時点で確認)

公式の表は連合会と特定運営管理機関の額を別々に書いていて、合計の額は書いていません。2つを足すと、自動移換の時点で1,048円と3,300円を合わせた4,348円、その後は40円と58円を合わせた月98円になります。管理手数料は年1回、3月末にその年度の分をまとめて、4月に資産から差し引かれます。

計算例

たとえば、管理手数料が12か月分かかった時点では、98円×12か月=1,176円です。自動移換の時点の4,348円と合わせると5,524円が資産から差し引かれる計算になり、そのあと別の制度へ移すときには、さらに550円がかかります。資産が15,000円の人なら、自動移換の時点の4,348円だけで資産の約29%にあたります。

自動移換されると、記録を管理していた運営管理機関から本人に、連合会へ移した旨の通知が来ることになっています(法83条2項)。住所が分からず通知できないときは、通知の代わりに公告されます(同条3項)。辞めたあとに引っ越す人は、新しい住所を会社に伝えておきます。

自動移換されたあとでも、資産を企業型DC・iDeCo・DBへ移すことはできます。そのときは550円の移換手数料がかかります。国民年金基金連合会には、自動移換された人のための専用のコールセンターがあります。自動移換の通知が届いたら、まずそこで自分の資産の状態を確かめ、移し先を決めて申し出ます。

期限の月までに動けなかった人も、気づいた時点で移し先を決めて申し出ます。

退職後の移し先は次の勤め先で決まる

移し先は、辞めたあとにどこで働くか、働かないかで決まります。厚生労働省の案内では、企業型DCの資産は、本人の申出でiDeCo、転職先の企業型DC、転職先のDB(条件を満たした場合)、通算企業年金へ移せるとされています。

移せる先は、受け入れ側の制度に入れる人が条文で決まっているので分かれます。iDeCoに掛金を出す加入者になれる人は、国民年金の第1号被保険者(保険料の免除を受けている人を除く)・第2号被保険者・第3号被保険者・任意加入被保険者と決まっていて(法62条1項)、転職先のDBへ移せるのは、DBの規約に受け入れの定めがあるときだけです(法54条の4)。

辞めたあと 移せる先 根拠
転職先に企業型DCがある 転職先の企業型DC 法80条1項
転職先にDBがある DBの規約に受け入れの定めがあればDB 法54条の4
転職先に企業年金が無い会社員 iDeCo(第2号被保険者として加入・掛金の上限は月23,000円) 法82条1項・62条1項2号
自営・フリーランス・無職で国民年金を納める iDeCo(第1号被保険者として加入・上限は月68,000円) 法82条1項・62条1項1号
配偶者の扶養に入る iDeCo(第3号被保険者として加入・上限は月23,000円) 法82条1項・62条1項3号
どの場合も 通算企業年金(企業年金連合会の規約に受け入れの定めがあるとき) 法54条の5

出典:厚生労働省「iDeCoの概要」/確定拠出年金法62条(e-Gov法令検索)(掛金の上限は2026年10月時点の厚労省の表。第1号は国民年金基金の掛金や付加保険料を納めている場合、その額を差し引いた額)

辞めて会社の厚生年金から抜ける人は、まず国民年金のどの種別になるかが先に決まります。第1号被保険者になる人は、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所・町村役場で手続きをします(出典:日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」)。公的年金の切り替えは 退職後の年金の手続き で整理しています。国民年金の保険料の免除を受けている人は、iDeCoの掛金を出す加入者にはなれません(法62条1項1号の括弧書き)。法82条1項は、加入者になる申出のほかに、運用の指図だけをする人(運用指図者)になる申出と同時に移す形も書いているので、免除を受けている人は、運用指図者として移せるかをiDeCoの運営管理機関に確かめます。

たとえば、次の勤め先が決まらないまましばらく休む人は、期限のうちに転職先が決まるとは限りません。その場合は、いまの自分の種別(無職で国民年金を納めるなら第1号被保険者)としてiDeCoへ移しておく形がとれます。あとで転職先の企業型DCの加入者になったときは、iDeCoの資産を転職先の企業型DCへ移す道も条文にあります(法80条1項2号)。

転職先にDBがある人は、移したあとの受け取りの年齢がDBの規約で決まる点にも気をつけます。確定給付企業年金法36条は、DBの老齢給付金を「60歳以上70歳以下の規約で定める年齢」に達したときに支給する形を求めていて、年齢は会社ごとに違います。DBへ移すか、iDeCoへ移すかを決める前に、転職先の担当者に規約の受け入れの定めと受け取りの年齢を聞いておきます。

出典:確定給付企業年金法36条(e-Gov法令検索)

iDeCoに移すときの手続きの順番

書類に記入する手元

iDeCoへ移すときは、iDeCoを取り扱う運営管理機関(金融機関など)を自分で選び、そこを通して、資産を移す申出と、iDeCoの加入者(または運用指図者)になる申出を同時に出します。申出の相手は条文では国民年金基金連合会ですが、厚生労働省の案内では、iDeCoの加入の手続きはiDeCoを取り扱う運営管理機関で行うとされています。

2つの申出を同時に出すのは、条文がそう書いているからです。

企業型年金の企業型年金加入者であった者(当該企業型年金に個人別管理資産がある者に限る。)が連合会に対し、その個人別管理資産の移換の申出をした場合であって、当該移換の申出と同時に…申出をしたとき、又は個人型年金加入者若しくは個人型年金運用指図者であるときは、…個人別管理資産を連合会に移換するものとする。(確定拠出年金法82条1項)

確定拠出年金法82条(e-Gov法令検索)/厚生労働省「離職・転職時等の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」

移す申出だけを出しても、iDeCoの加入者か運用指図者になる申出が同時に無ければ、この条文の形にはなりません。すでにiDeCoに入っている人は、移す申出だけで足ります。

iDeCoへ移すまでの4段
  1. 1運営管理機関を選ぶiDeCo公式サイトの一覧から自分で
  2. 2申出の手続きを始める移す申出と加入の申出を同時に
  3. 3会社で聞いた情報を手元に置く運営管理機関の名前と資格喪失日
  4. 4期限の月より前に出す書き直しの時間も見込んで

運営管理機関は、iDeCo公式サイトの「運営管理機関一覧」に並んでいます。厚生労働省は、運営管理機関ごとに運用商品や手数料が異なると案内しています。どこを選ぶか、何で運用するかは、やめ活編集部としては勧めません(金融機関との提携もありません)。選ぶ前に、各社の案内で、口座の管理にかかる手数料と、手続きの進め方を見比べておくと、手続きの段取りが立てやすくなります。

たとえば、期限の月の直前になってから運営管理機関を選び始めると、手続きを進めるあいだに期限の月を過ぎてしまうことがあります。書類やオンライン画面の項目は運営管理機関ごとに違います。会社に聞いた運営管理機関の名前と資格喪失日を手元に置いておくと、聞かれたときに答えられます。

加入者として掛金を出すか、運用指図者として掛金を出さずに置いておくかも、申出のときに決めます。迷ったときは、辞めたあとの毎月の収入の見通しを先に立て、掛金を出す余裕があるかで決めます。

会社がやることと自分がやること

条文で会社(事業主)の役目として出てくるのは、企業型年金の規約を定めることです。資産を実際に動かすのは資産管理機関で、移し先を決めて申し出るのは本人です。

確定拠出年金には、会社のほかに役目の違う機関がいくつも出てきます。条文に出てくる役目で整理すると次のようになります。

誰 条文に出てくる役目 本人が聞くこと・すること
会社(事業主) 企業型年金の規約を定めている(法3条) 資格喪失日、規約に3年未満の返還の定めがあるか
記録関連運営管理機関 脱退一時金や老齢給付金の請求を受ける。自動移換したら本人に通知する(法83条2項) 資産の額、脱退一時金の請求の仕方
資産管理機関 申出を受けて、または条文の定めに従って資産を移す(法54条の4・54条の5は資産管理機関への申出、法80条・82条は資産管理機関が移す側) 申出の宛先は移し先によって違う(窓口に確かめる)
国民年金基金連合会 iDeCoの加入の申出を受ける。自動移換された資産を受け入れる 自動移換されたあとの資産の状態
本人 移し先を決めて申し出る。脱退一時金を請求する 期限の月より前に出し終える

出典:確定拠出年金法3条(e-Gov法令検索)/確定拠出年金法83条(e-Gov法令検索)

本人の出番は、移し先を決めることと、その申出を出すことの2つに集まっています。会社に聞くのは資格喪失日と規約のこと、運営管理機関に聞くのは資産の額と請求の仕方、と聞く相手を分けておくと、同じ質問をあちこちに投げずに済みます。

たとえば、転職先が企業型DCを導入している人は、申出の窓口が転職先の記録関連運営管理機関になります(法80条1項)。この場合は、前の会社ではなく転職先の担当者に「前の会社で企業型DCに入っていたので、資産を移したい」と伝えるところから始まります。反対に、転職先に企業年金が無い人や、しばらく働かない人は、iDeCoの運営管理機関が窓口です。自分がどちらに当たるかで、最初に連絡する相手が変わります。

確定拠出年金を60歳前に受け取れるか

企業型DCの老齢給付金を受け取れるのは原則60歳からです。退職した人が60歳前に一時金で受け取る形として、ここで確かめた条文は脱退一時金で、条文の基本の形は3つの要件をすべて満たすときです。

条文は、脱退一時金を請求できる人をこう書いています。

一 企業型年金加入者、企業型年金運用指図者、個人型年金加入者又は個人型年金運用指図者でないこと。

二 当該請求した日における個人別管理資産の額として政令で定めるところにより計算した額が政令で定める額以下であること。

三 最後に当該企業型年金加入者の資格を喪失した日が属する月の翌月から起算して六月を経過していないこと。(確定拠出年金法附則2条の2第1項)

2号の「政令で定める額」は、施行令59条2項で15,000円と決まっています。つまり基本の形は、どの確定拠出年金の加入者でも運用指図者でもなく、資産が15,000円以下で、資格を失った月の翌月から6か月を過ぎていない、の3つがそろったときです。資産の額をどう計算するかの細目は取っていないので、15,000円以下に当たるかは記録関連運営管理機関に確かめます。また同じ項には、「次条第1項各号(第7号を除く。)」を満たす人も請求できるという、もう1つの組み合わせが書かれています。次条の各号は取っていないので、こちらに当たるかも運営管理機関に確かめます。

出典:確定拠出年金法附則2条の2(e-Gov法令検索)/確定拠出年金法施行令59条(e-Gov法令検索)

老齢給付金のほうは、60歳の時点の通算加入者等期間が10年に満たないと、受け取れる年齢が後ろにずれます。

60歳時点の通算加入者等期間 受け取れるようになる年齢
10年以上 60歳
8年以上10年未満 61歳
6年以上8年未満 62歳
4年以上6年未満 63歳
2年以上4年未満 64歳
1月以上2年未満 65歳

出典:厚生労働省「iDeCoの概要」/確定拠出年金法33条(e-Gov法令検索)

請求しないまま75歳に達したときは、請求がなくても老齢給付金が支給されます(法34条)。自動移換中の期間は通算加入者等期間に入らないので、放置が長いほど、この表で受け取れる年齢が後ろに動くことがあります。60歳以降の受け取りや定年のときの手続きは 定年退職の手続き で整理しています。

たとえば、資産が15,000円以下の人でも、辞めてすぐ転職先の企業型DCの加入者になれば、1号の「加入者でないこと」を満たさなくなります。無職のあいだにiDeCoの運用指図者になった場合も同じです。脱退一時金を考えるなら、ほかの制度に入る前に、6か月を過ぎないうちに請求する、という順番になります。受け取ると、それまでの期間は通算加入者等期間に入らなくなり(附則2条の2第4項)、自動移換されたあとで受け取るときは裁定手数料4,180円がかかります。請求した月から裁定を受けた月の末日までの期間は、自動移換の6か月の数え方から除かれます(同条5項)。

勤続3年未満は会社に返ることがある

勤めた期間が3年未満で辞める人は、会社が出した掛金に当たる部分の全部または一部が会社に返されることがあります。ただしそれは、会社の企業型年金の規約に返還の定めがある場合だけです。

確定拠出年金法3条3項は、規約に書かなければならない事項の1つとして、返還を「定めるとき」の返還額の算定方法を挙げています。

企業型年金加入者が資格を喪失した日において実施事業所に使用された期間が三年未満である場合において、その者の個人別管理資産のうち当該企業型年金に係る事業主掛金に相当する部分として政令で定めるものの全部又は一部を当該事業主掛金に係る事業主に返還することを定めるときは、当該事業主に返還する資産の額(以下「返還資産額」という。)の算定方法に関する事項(確定拠出年金法3条3項10号)

確定拠出年金法3条(e-Gov法令検索)/確定拠出年金法施行令2条(e-Gov法令検索)

条文は「定めるときは」と書いているので、規約に定めの無い会社では返還されません。返還の対象になるのは会社が出した事業主掛金の額で、返還する日の資産の額が、会社が出した事業主掛金の額より少ないときは、その資産の額が上限になります。自分の掛金を納付した人や、ほかの制度から資産が移されてきた人は、資産のうち事業主掛金を原資とする部分の額で比べる、と施行令2条にあります。障害給付金を受ける権利のある人などは、返還の対象から外れます。

  • 3年は「企業型DCの加入期間」ではなく、「実施事業所に使用された期間」で数える
  • 返還の定めがあるかどうかは、会社の企業型年金の規約で決まる
  • 定めがあっても、返すのが全部か一部かは規約の算定方法による
  • 返還の対象は事業主掛金に当たる部分で、自分で上乗せした掛金のような部分の扱いは規約と運営管理機関に確かめる

たとえば、入社して2年で辞める人が、規約に「全部を返還する」定めのある会社にいた場合は、移す資産が残らないか、少しだけになることがあります。同じ2年でも規約に定めの無い会社なら、資産は残り、移す申出の期限の話になります。

3年の線の手前で辞めるかどうかを、この返還のためだけに決める必要はありません。規約に定めがある会社で線の近くにいる人は、返還される額を担当者に聞いておけば、辞める時期を考える材料の1つになります。

自分で動かなくていい場合

転職先の企業型DCの加入者になる人は、期限の6か月を過ぎても前の会社の企業型DCに資産が残っていれば、前の会社の資産管理機関が転職先の企業型DCへ資産を移すと、条文に書かれています。

前項第一号に掲げる者(企業型年金の障害給付金の受給権を有する者を除く。)が甲企業型年金の企業型年金加入者の資格を取得した場合であって、乙企業型年金の企業型年金加入者の資格を喪失した日が属する月の翌月から起算して六月を経過してもなお乙企業型年金に個人別管理資産があるときは、乙企業型年金の資産管理機関は、当該個人別管理資産を甲企業型年金の資産管理機関に移換するものとする。(確定拠出年金法80条2項)

確定拠出年金法80条(e-Gov法令検索)

甲が転職先、乙が前の会社の企業型年金です。転職先の企業型DCの加入者になっていれば、申出をしなくても資産が転職先へ移る形が条文にあります。ただし、前の会社の側が「転職先の加入者になった」ことをどうやって知るのか、入社の時期が遅い場合にどうなるのかといった実務の流れは、この条文だけでは分かりません。入社のときに転職先の担当者へ「前の会社で企業型DCに入っていた」と伝え、自分で申し出る必要があるかを確かめておくのが確実です。

状況 自分で動く必要
転職先の企業型DCの加入者になる 条文上は申出なしで移る形がある(転職先に確かめる)
規約により資産の全部が会社に返還され、資産が残らない 移す資産が無い(残高を運営管理機関に確かめる)
転職先に企業年金が無い・自営・無職・扶養に入る 動く必要がある(期限の月までに申出)

自動移換の条文(法83条1項)は、「個人別管理資産がある者に限る」と書いています。規約で全部が返還されて資産が残らない人は、移す資産が無いので、自動移換の話も出てきません。ただ、返還が全部か一部かは規約しだいなので、残高が本当にゼロかは運営管理機関に確かめます。

それ以外の人、つまり転職先に企業年金が無い人、自営やフリーランスになる人、しばらく働かない人、配偶者の扶養に入る人は、自分で動かないと6か月で自動移換されます。失業保険や国民年金の切り替えは別の手続きで、期限も別々なので、退職日が決まった時点でまとめて手帳に書き出しておきます。

よくある質問

会社を辞めたら、確定拠出年金はどうなりますか?

資産は消えずに残りますが、資格を失った月の翌月から6か月以内に、転職先の企業型DCやiDeCoなどへ移す申出をする必要があります。申出が無いと国民年金基金連合会へ自動移換され、運用されずに手数料がかかります。転職先の企業型DCの加入者になる人は、申出なしで移る形も条文にあるので、転職先に確かめてください。

退職したときに、確定拠出年金を引き出せますか?

老齢給付金は原則60歳からで、60歳前に一時金で受け取る形として確かめた条文は脱退一時金です。基本の形では、どの確定拠出年金の加入者・運用指図者でもない、資産が15,000円以下、資格を失った月の翌月から6か月を過ぎていない、の3つがすべてそろったときに請求できます。条文にはもう1つの要件の組み合わせもあるので、当てはまるかは運営管理機関に確かめてください。

何もしないで放っておくと、どうなりますか?

国民年金基金連合会へ自動移換されます。2026年10月時点の手数料では、移された時点で1,048円と3,300円を合わせた4,348円、その後は自動移換された月の4か月後から月98円がかかり、資産は運用されません。自動移換中の期間は通算加入者等期間に入らないので、受け取れる年齢が遅くなることがあります。

確定拠出年金と会社の退職金は、どちらがいいですか?

別の制度なので、どちらがよいかを比べるものではありません。会社に両方があるかどうかは、退職金の規程と企業型年金の規約で確かめます。会社独自の退職金は会社に、企業型DCの資産は移す申出で、と手続きの窓口も別です。

自動移換されてしまったら、もう戻せませんか?

移せます。自動移換の状態から企業型DC・iDeCo・DBへ移すときは、1回550円の移換手数料がかかります。自動移換の状態が続くあいだは管理手数料がかかるので、気づいた時点で国民年金基金連合会の専用のコールセンターに資産の状態を確かめ、移し先の窓口で申し出ます。

「移管」と「移換」は違いますか?

確定拠出年金法の言葉は「移換」です。「移管」は法令上の言葉ではないので、案内に「移管」と書かれていたら、企業型DCの資産を動かす手続きの話か、書類の説明で確かめてください。

数字だけ、もう一度

  1. 確かめること:企業型DCに入っているか・運営管理機関の名前・自分の資格喪失日の3つを会社に聞く
  2. 期限:資格を失った日が属する月の翌月から数えて6か月以内(退職日から数えない)
  3. 自動移換の手数料:移された時点で4,348円(連合会1,048円+特定運営管理機関3,300円)、自動移換された月の4か月後から月98円(40円+58円)、ほかへ移すとき550円、脱退一時金などを受けるとき4,180円(2026年4月1日以降の額)
  4. 移し先:転職先の企業型DC/転職先のDB(規約に定めがあれば)/iDeCo(上限は第1号68,000円・第2号で企業年金なし23,000円・第3号23,000円)/通算企業年金
  5. iDeCoへ移す:iDeCoを取り扱う運営管理機関で、移す申出と加入(または運用指図者)の申出を同時に
  6. 現金で受け取る:老齢給付金は原則60歳から(60歳時点で10年未満なら61〜65歳へ)。脱退一時金は基本の形では、加入者でない・15,000円以下・6か月を過ぎていない、の3つがすべてそろったとき
  7. 3年未満:規約に定めがある会社だけ、事業主掛金に当たる部分の全部または一部が会社へ返還される
  8. 自分で動かなくていい:転職先の企業型DCの加入者になる場合は、条文上は申出なしで移る形がある

会社の確定拠出年金は、辞めた瞬間に何かを失うものではありませんが、自分で行き先を決めないと、手数料のかかる場所で止まったままになります。会社に3つを聞いて期限の月を手帳に書き、次の勤め先と働き方から移し先を決めて、その月より前に申出を出し終える。やることはこの順番だけで、運用の中身や金融機関選びまで、辞めるこの時期に急いで決める必要はありません。

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この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

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