- 退職代行に頼んだ次の日、会社から何か来るの?
- 会社から電話がかかってきたら、出ないといけない?
- 保険証や社員証、パソコンはどうやって返せばいい?
- 離職票や源泉徴収票は、いつ届くの?
- 最後の給料や、会社に預けているものは戻ってくる?
- 親や次の会社に知られることはある?
- 健康保険や年金の切り替えは、いつまでに何をすればいい?
- 結局、全部片づくのはいつ?
上記のような悩みに答えます。
退職代行のその後は、代行が退職の意思を伝えた時点で終わるわけではなく、会社の事務と自分の手続きがしばらく並んで進む期間です。会社からの電話、返す荷物、届く書類が同時に気になり、何を待てばよくて何を自分で動かすべきかが見えにくくなります。検索で上に出てくるのは、使った人の体験談や、その後の流れを数段の箇条書きで済ませる説明が中心で、会社がいつまでに何をする決まりなのか、その期限が本人に書類が届く日とどう違うのかは、ほとんど分けて書かれていません。そこで、会社の事務の期限・電話が来る理由・返すものと受け取るものを押さえたうえで、「10日」「5日」が本人に届く日ではない理由と、電話に出るか出ないかの決め方まで、雇用保険法・健康保険法・労働基準法などの条文と、ハローワーク・協会けんぽの案内で確かめながら整理しました。
退職代行のその後は、会社が健康保険・厚生年金の資格喪失届(事実があった日から5日以内)と、離職証明書を添えた雇用保険の資格喪失届(事実のあった日の翌日から10日以内)を出し、離職票はハローワークが交付して会社を通じて届くのが一般的な流れです。届くまでの日数は決まっていません。会社から電話が来ることはあり、出るかどうかは自分で決められます。
この記事の数字は2026年10月時点のものです。辞めたあとの失業保険がいくら・いつから入るかは、失業保険の計算ツール で自分の条件を入れて出せます。
退職代行の翌日から1か月までの流れ

代行が会社に退職の意思を伝えたあとは、会社の側で保険の届出が順に進み、自分の側では貸与品を返して書類を待つ、という2本の線が並んで動きます。会社の事務には省令で期限がありますが、離職票が本人の手元に届く日を決めた期限はありません。
こうなっているのは、退職すると健康保険・厚生年金・雇用保険の被保険者の資格を失い、そのことを役所に届け出る事務が会社に生まれるからです。健康保険と厚生年金は、退職日の翌日に資格を失う決まりです(健康保険法36条・厚生年金保険法14条)。雇用保険でも、会社は被保険者でなくなったことを届け出なければなりません(雇用保険法7条)。届出の期限が決まっているのは、会社が日本年金機構やハローワークに出す書類のほうです。離職票が本人に届くまでの日数には、決まりがありません。
健康保険の資格喪失届は、その事実があった日から5日以内に出すとされています(健康保険法施行規則29条1項)。厚生年金の資格喪失届も、同じく事実があった日から5日以内です(厚生年金保険法施行規則22条)。雇用保険は、会社が、被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から起算して10日以内に、資格喪失届に離職証明書を添えて(離職票を希望しない人は、59歳以上の場合を除いて添えないことも認められています)ハローワークに出す決まりです(雇用保険法施行規則7条1項)。源泉徴収票は、年の途中で退職した人に、退職の日以後1か月以内に交付するとされています(所得税法226条1項)。
- 1退職の意思が伝わる期間の定めのない雇用は、申し入れから2週間で終わる
- 2健康保険・厚生年金の届出会社が、事実があった日から5日以内に出す
- 3雇用保険の届出会社が、事実のあった日の翌日から10日以内に出す
- 4離職票が届くハローワークが交付し、会社を通じて届く。日数の決まりはない
- 5源泉徴収票が届く会社が、退職の日以後1か月以内に交付する
ここで見落としやすいのが、代行に頼んだ日と退職日は同じとは限らない、という点です。期間の定めのない雇用なら、退職を申し入れた日から2週間で契約が終わります(民法627条1項)。会社の届出の期限は、代行が連絡した日ではなく、資格を失った事実が起きたところから数えはじめます。
たとえば、代行が連絡した日を最後に出社せず、残っている有給を使い切ってから退職日を迎える人なら、会社の届出の期限は資格を失った事実のあった日を起点に走りはじめます。書類がそろうのも、その分だけ後ろにずれます。反対に、連絡した日付で辞めることで会社と話がついた人なら、届出の期限もすぐに走りはじめます。同じ「代行を使った翌日」でも、退職日がどこに置かれたかで、待つ期間の長さが変わるということです。
迷ったら、まず退職日がいつになったかを代行に確かめ、その日付を手帳に書いておきます。会社の届出の期限も、自分の切り替えの期限も、退職日がいつかが決まらないと日付を出せないからです。退職日が分からないまま待っていると、届かないのが普通なのか遅れているのかを判断できません。
10日・5日は本人に届く日ではない
10日や5日は、会社が役所に書類を出すまでの期限です。本人が会社に「この日までに送ってください」と求められる期限ではなく、この日までに書類が手元に届くという意味でもありません。
離職票を例にすると、流れは3段です。会社が離職証明書を添えて資格喪失届をハローワークに出し、ハローワークが確認して離職票を交付し、その交付は離職したときの会社を通じて行うことができる、とされています(雇用保険法施行規則17条1項・2項)。会社の期限のあとに、ハローワークの処理と会社からの郵送が挟まるので、10日を過ぎても届かないことはあります。届くまでの日数の目安は、ハローワークや厚生労働省の案内には見当たりませんでした。
| 期限 | 誰が | どこへ出すか | 本人に届く日か |
|---|---|---|---|
| 健康保険の資格喪失届:5日以内 | 会社側の届出 | 日本年金機構または健康保険組合 | 本人に届く日ではない |
| 厚生年金の資格喪失届:5日以内 | 会社側の届出 | 日本年金機構 | 本人に届く日ではない |
| 雇用保険の資格喪失届と離職証明書:10日以内 | 会社 | ハローワーク | 本人に届く日ではない(そのあと交付と郵送) |
| 源泉徴収票:退職の日以後1か月以内 | 会社 | 本人 | 本人への交付の期限 |
表のうち、本人に向けた期限は源泉徴収票だけです。ほかは会社と役所のあいだの期限なので、その日付を過ぎた時点で動けるのは「会社が出したかどうかを確かめる」ことまでになります。
離職票については、もう1つ届き方があります。2025年1月20日から、会社がマイナンバーを被保険者番号に正しく登録している、本人がマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携を設定している、会社が電子申請で離職の手続きをした、の3つがそろえば、離職票がマイナポータルに直接届きます(山口労働局の案内)。郵便受けだけ見ていると気づかないので、待っているあいだに一度マイナポータルを開いておくと安心です。
たとえば、退職日から2週間ほどたっても離職票が来ない人がいたとします。この人がまずすることは、会社に「離職証明書をハローワークに出したか」を確かめることで、10日を過ぎたから違反だと責めることではありません。会社がすでに出していれば、あとはハローワークの処理と郵送を待つだけです。催促の順番と文面は、離職票が来ないときの催促 にまとめています。
手帳には、日付を2つに分けて書いておくのがおすすめです。1つは会社が役所に出す期限、もう1つは自分が保険や年金を切り替える期限です。前者は待つ日付、後者は自分が動く日付として扱えば、どちらを気にすればいいかで迷いません。
退職代行のあと会社から電話が来る理由
会社から電話が来ることはあります。代行から連絡を受けたあとで会社が本人に直接連絡することを禁じる公的な決まりは見当たらず、来ないとは言い切れません。そのうえで、電話に出るかどうかは自分で決められます。
電話が来る理由は、おおむね3つに分けられます。会社の側にも、退職の手続きを進めるうえで確かめたいことがあるからです。理由が分かれば、出る必要があるかどうか、出ないならどう返せばいいかも決めやすくなります。
| 会社が電話してくる理由 | 会社が知りたいこと | 自分の返し方 |
|---|---|---|
| 本人の意思の確認 | 代行からの連絡が本当に本人の意思か | 代行を通じて「本人の意思です」と伝えてもらう |
| 貸与品・私物の扱い | 何をいつ、どう返すか・私物をどう送るか | 返し方を文字にして、代行経由かメールで伝える |
| 書類の送り先・振込先 | 離職票や源泉徴収票の送り先、最後の給料の振込先 | 住所と振込先を文字で伝え、控えを残す |
3つとも、文字で伝えれば電話に出なくても片づく内容です。会社がほしいのは手続きに必要な情報なので、それを先に渡してしまえば、電話をかけてくる理由そのものが減ります。
出なくてよいのは、代行にすでに伝えてある内容を、もう一度確かめるだけの電話です。出ないときは、代行に「会社から電話が来た」と伝えるか、会社に短いメールで「ご連絡は退職代行を通してお願いします。書類の送り先は次のとおりです」と返せば足ります。反対に、書類の送り先が古い住所になっている、貸与品が届いていないと言われている、といった手続きの行き違いがありそうなときは、メールで返事をするほうが、自分の書類が早くそろいます。
電話番号をブロックするかどうかも自分で決められます。ただ、ブロックすると、手続きの行き違いの連絡にも気づけなくなります。電話はブロックしても、メールや郵便は受け取れるようにしておく、という分け方なら、会社と話さずに書類の連絡だけは受け取れます。
たとえば、代行に頼む時点で「会社からの確認は代行を通してほしい」「書類の送り先はこの住所」と伝えてもらっておけば、会社が本人に電話する理由は最初から減ります。それでも電話が来たら、出ずに代行へ知らせる、という順番で構いません。一方、会社から損害賠償という言葉が出たときは、電話で答えず、書面で受け取って弁護士に相談するのが先です。
なお、会社とのやりとりをどこまで代わってもらえるかは、代行の型で違います。民間の会社が運営する型は、本人の意思を伝えるところまでとされ、退職日や有給の交渉が要るなら労働組合の型になります。型ごとの違いは 労働組合の退職代行 で整理しています。
その後に返すもの・受け取るもの
辞めたあとに動くのは、会社に返すものと、会社から受け取るものの2つの束です。返すほうは会社の指示に沿って自分で送り、受け取るほうは会社や役所が出すのを待ちながら、期限を過ぎたら確かめます。
この2つを分けて考えるのは、片方だけを気にしていると、もう片方が抜けるからです。荷物を返すことに気を取られて書類の送り先を伝え忘れたり、書類を待つうちに返すべき資格確認書が手元に残ったりします。決まりの強さも、ものによって違います。
- 社員証・鍵・パソコン・制服
- 有効期限内の資格確認書(協会けんぽの場合)
- 会社の書類やデータ
- 離職票(ハローワークが交付)
- 源泉徴収票(退職の日以後1か月以内)
- 最後の給料・預けていた金品
| もの | 決まり | 根拠 |
|---|---|---|
| 離職票 | 会社がハローワークに出す期限は10日以内。本人に届くまでの日数は決まっていない | 雇用保険法施行規則7条1項・17条1項・2項 |
| 源泉徴収票 | 退職の日以後1か月以内に交付 | 所得税法226条1項 |
| 退職証明書 | 請求があれば遅滞なく交付 | 労働基準法22条1項 |
| 最後の給料・預けていた金品 | 請求があった日から7日以内に支払い・返還 | 労働基準法23条1項 |
| 協会けんぽの保険証 | 令和7年12月2日以降は返却不要で、自分で破棄 | 協会けんぽの案内 |
| 有効期限内の資格確認書 | 会社へ返す | 同上 |
退職証明書は、使用期間や業務の種類、退職の事由などを書いた書類で、本人が請求したときに会社が出すものです。次の会社や手続きで求められたときに請求すれば足ります。最後の給料と、会社に預けているお金やものは、労働基準法23条で、権利者の請求があった日から7日以内に支払い・返還しなければならないとされています。急ぐ事情があるなら、代行を通じて請求したことを記録に残しておきます。
たとえば、会社のロッカーに私物が残っている人なら、取りに行く必要はなく、送ってもらうよう代行経由で頼めます。そのとき「どの住所に」「送料をどうするか」まで一緒に伝えておくと、会社からの電話を1本減らせます。反対に、会社の書類やデータを自宅のパソコンに持ち帰っている人は、返すか消すかを会社の指示に沿って済ませておかないと、あとで確認の連絡が来る理由になります。
返すものは自分の手で片づけ、受け取るものは期限を書いて待つ。この2つを1枚の紙に並べて、済んだものから線を引いていくと、何が残っているかが一目で分かります。
貸与品と保険証は記録が残る方法で返す

貸与品は、追跡番号のある宅配や書留など、配送の記録が残る方法で返します。会社に出向いて手渡す必要はありません。
記録にこだわるのは、退職のあとで「返した」「届いていない」の言い合いになったときに、自分の側で示せるものがそれしかないからです。会社と直接話さずに辞めた人ほど、あとから口頭で説明する場面を作りたくないはずです。送った日と中身と追跡番号がそろっていれば、代行に伝えるだけで話が終わります。
- 返すものを書き出す:社員証・鍵・パソコン・制服・資格確認書など、会社から受け取ったものを並べます
- 箱に入れる前に写真を撮る:何を入れたかが、あとから見て分かるようにします
- 追跡できる方法で送る:送り状の控えは捨てずに取っておきます
- 送ったことを伝える:送った日と追跡番号を、代行かメールで会社に伝えます
健康保険の保険証は、加入している保険で扱いが違います。協会けんぽの案内では、令和7年12月2日以降に退職する人は、健康保険証・資格情報のお知らせ・有効期限が切れた資格確認書は返却不要で、自分で破棄するとされています。一方、有効期限内の資格確認書は会社に返します。資格確認書が使えるのは退職日までで、退職日の翌日以降に誤って使うと、協会けんぽが負担した分(総医療費の7〜9割)を返すことになると案内されています。扶養している家族の分も、同じように扱います。
健康保険組合や共済組合に入っていた人は、扱いが組合ごとに違うことがあります。会社の保険証に書かれた保険者の名前を見て、その組合の案内を確かめてください。
たとえば、協会けんぽに入っていて、マイナ保険証だけを使い、資格確認書を持っていない人なら、会社に返す保険関係のものは基本的にありません。反対に、家族の分の資格確認書を預かっている人は、それも一緒に返す必要があります。返す箱に家族の分を入れ忘れると、それだけのために会社から連絡が来ることになります。
返すときの目安は、「会社に聞かれても、自分で何も説明しなくて済むか」です。写真・送り状の控え・送った日を伝えた記録の3つがそろっていれば、その状態になっています。
書類が届かないときに動く順番
書類が届かないときは、会社に確かめる、会社に請求する、ハローワークに相談する、の順で動きます。どの書類でも、最初の一手は会社に「出したか」を確かめることです。
順番を守るのは、届かない原因の多くが、会社がまだ出していないか、郵送の途中か、送り先の行き違いのどれかだからです。どれも会社に聞けば分かることで、いきなり役所に行くより早く片づきます。会社と話したくないなら、確かめるのは代行経由かメールで構いません。
- 離職票:会社がハローワークに出したかを確かめる。会社が離職証明書を出さないときは、ハローワークに相談できる
- 源泉徴収票:退職の日以後1か月を過ぎても届かなければ、会社に送り先と発行の状況を確かめる
- 退職証明書:必要になったら請求する。請求があれば遅滞なく交付される
- 最後の給料・預けていたもの:請求した日と方法を記録に残し、7日を過ぎたら再び確かめる
離職票については、ハローワークも、本人が離職証明書を請求しているのに会社から受け取れないときは相談するよう案内しています(ハローワーク「よくあるご質問」Q7)。会社への催促の文面や、ハローワークでできることの詳しい順番は、離職票が来ないときの催促 で扱っています。
たとえば、退職のときに伝えた送り先が引っ越し前の住所のままだった人は、書類が戻ってしまっている可能性があります。会社に確かめるときは、今の住所を必ず書き添えます。代行のサービス期間が終わっていて代行経由で聞けない人も、メールや郵便で会社に直接確かめれば足り、会社の人と話す必要はありません。
待つか動くかで迷ったら、上の表の会社の期限を過ぎたかどうかだけで決めます。過ぎていなければ待つ、過ぎていたら確かめる。この線を先に決めておけば、毎日郵便受けを見て不安になる時間は減らせます。
保険と年金の切り替えは書類を待たずに
健康保険と年金の切り替えには、自分で動く期限があり、それは離職票が届く日とは関係なく進みます。書類を待っているうちに期限が過ぎることがあるので、退職日が決まった時点で日付を出しておきます。
自分で動く期限があるのは、会社の健康保険と厚生年金を抜けたあと、次の会社に入るまで間が空く人は、自分で次の保険と年金を選んで入る必要があるからです。会社の事務が終わるのを待っていても、この手続きは代わりに誰かがしてくれるものではありません。
| 手続き | 期限 | 出典 |
|---|---|---|
| 健康保険の任意継続 | 資格を失った日から20日以内に申請 | 健康保険法37条1項 |
| 国民健康保険に入る | 14日以内に市区町村の窓口へ | 厚生労働省の案内 |
| 国民年金への切り替え | 退職日の翌日から14日以内 | 日本年金機構の案内 |
任意継続は、それまでの会社の健康保険に、辞めたあとも自分で入り続ける方法です。国民健康保険は住んでいる市区町村の保険で、どちらにするかで保険料が変わります。任意継続の保険料の考え方は、任意継続はいくらか で扱っています。国民年金の切り替えは、20歳以上60歳未満で、次の会社に入るまで間が空く人が対象です。配偶者の扶養に入る場合は手続きが別で、配偶者の勤務先を通します。
たとえば、次の会社への入社が退職日の翌日で、間が空かない人なら、新しい会社で健康保険と厚生年金に入るので、自分で切り替える手続きは基本的に要りません。反対に、しばらく休んでから次を探す人は、任意継続の20日と国民年金の14日が、どちらも退職のすぐあとから走ります。窓口に何を持っていけばいいかは、市区町村や年金事務所に先に確かめておくと、二度手間になりません。
離職票が届いたあとの失業保険の手続きは、別の流れになります。届いたらどうするかは 失業保険のもらい方 で順に追えます。
親や次の会社に知られるかはどこまで言えるか
親に連絡が行くかどうか、次の会社に知られるかどうかは、どちらも言い切れません。決めるのは会社の対応や人のつながりで、行く・行かないを決めた公的な決まりは見当たらないからです。
言い切れない理由を分けておくと、気にする範囲が絞れます。親への連絡について言えば、会社は入社のときに届けた緊急連絡先を持っていることがあり、そこに連絡するかどうかは会社の判断になります。代行に頼むときに「家族への連絡は控えてほしい」と会社へ伝えてもらうことはできますが、それを会社が守るかどうかまでは誰も保証できません。
- 親への連絡:会社が緊急連絡先に連絡するかは会社の判断。控えてほしいと伝えてもらうことはできる
- 次の会社:源泉徴収票は、その年の給与と税額を示す書類で、辞めた経緯を伝える書類ではない
- 離職票:ハローワークで失業保険の手続きに使う書類で、次の会社に出すものではない
- 損害賠償:言われたら一般論で判断せず、書面を持って弁護士に相談する
次の会社に出す書類としてよく求められるのは源泉徴収票ですが、これは給与と税額を年末調整に使うための書類です。前の会社と次の会社のあいだで、辞め方を伝える手続きは、この記事で扱った届出や書類の中にはありません。ただ、同じ業界の人のつながりや、次の会社が独自に前の職場へ問い合わせることまでは、制度の外の話なので、ここでは判断しません。
「使った人の末路」という言葉で検索して不安になる人もいますが、辞めたあとに実際に困りやすいのは、書類が届かないまま保険や失業保険の手続きが止まることです。そこは日付と順番で防げます。たとえば、親に知られたくないと強く思う人なら、実家の住所を書類の送り先にしない、緊急連絡先への連絡を控えてほしいと代行に頼む、の2つを申込のときに済ませておけば、自分でできる範囲の手当ては終わっています。
気にしても変えられないことと、自分で手当てできることを分けておくと、残る不安はずっと小さくなります。手当てできるのは、送り先と、代行に伝えてもらう内容の2つです。
退職代行に任せる範囲と自分でやる範囲

代行が受け持つのは、会社への連絡です。書類の受け取り、貸与品の返却、保険と年金の切り替えは、代行を使っても自分の名前で進めます。
この線は、代行の型で決まります。民間の会社が運営する型は、本人の使者として退職の意思を伝えるところまでとされ、交渉はできないと整理されています。労働組合の型は、それに加えて有給や退職日などを団体交渉で話し合えるとされ、訴訟の代理はできません。弁護士は、交渉に加えて、未払いの請求や損害賠償を言われたときの対応まで受け持てるとされています(弁護士法72条・労働組合法7条2号)。どの型でも、本人の書類や保険の手続きまでを代わりに済ませるものではありません。
| 代行に任せられること | 自分でやること |
|---|---|
| 会社に退職の意思を伝える | 退職日がいつになったかを確かめて控える |
| 会社からの確認を受けて本人に伝える | 貸与品を記録が残る方法で返す |
| 書類の送り先や私物の扱いを会社に伝える | 届いた書類を確かめ、届かなければ会社に確かめる |
| (労働組合の型)有給・退職日の団体交渉 | 健康保険・年金の切り替えを期限までに済ませる |
申込の前に、代行に伝えてもらう中身を自分で決めておくと、その後の電話や行き違いが減ります。
- 1会社からの確認の窓口代行を通してほしいと伝えてもらう
- 2書類の送り先今の住所。実家を使わないならそれも
- 3貸与品の返し方何を、どの方法で返すか
- 4最後の給料と私物振込先と、私物の送り先
たとえば、有給が残っていて会社が消化を認めないかもしれない人は、交渉が要るので、労働組合か弁護士の型を選ぶことになります。反対に、話し合うことは何も残っていないが、とにかく上司と話したくない人なら、伝えてもらう中身を上の4つに決めておけば、どの型でもその後の流れは変わりません。流れの全体は 退職代行の使い方、型ごとの料金は 退職代行の費用 で比べられます。
※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
退職の連絡を任せたあとも、書類の受け取りや貸与品の返却は自分の名前で進みます。そのうえで、会社とのやりとりを任せたい場合は、料金に何が含まれるか(組合費・返金の条件)と、退職日や有給の話し合いが要るときは連携する労働組合に加入して交渉してもらう形になることを、公式サイトで確かめてから申し込んでください。損害賠償を言われているなら、弁護士に相談するのが先です。
使わなくていい場合
自分で会社に伝えられて、その後の書類のやりとりも自分で進められるなら、退職代行は使わなくて構いません。代行を使っても使わなくても、会社の届出の期限も、自分の切り替えの期限も変わらないからです。
この記事で見てきたその後の手続きは、ほとんどが本人と会社、本人と役所のあいだで進むものです。代行が代わりに引き受けるのは、最初に会社へ伝える部分と、その後の会社からの確認の取り次ぎです。そこを自分でできるなら、料金をかける理由は残りません。
- 上司か人事に、メールでも電話でも連絡が取れる
- 退職日や有給について、会社と話し合う必要がない、または自分で話し合える
- 「辞めたら損害賠償」などと言われていない
期間の定めのない雇用なら、辞める申し入れは本人ができる手続きで、申し入れから2週間で契約は終わります。メールで伝える方法は 退職をメールで伝えるとき、言い出せないときの手段の順番は 辞めたいと言い出せないとき で整理しています。
たとえば、職場の空気がつらいだけで、有給も使い切り、話し合うことが残っていない人なら、人事あてにメールを1通送り、その後の書類のやりとりもメールで済ませれば、会社の人と顔を合わせずに辞められます。代行を使うかどうかを社名で選ぶ前に知りたい人は、退職代行Jobsの評判と料金 のような個別の記事で、何が料金に含まれるかを確かめてから決めても遅くありません。
よくある質問
退職代行を使った後は、どうしたらいいですか?
退職日がいつになったかを確かめて手帳に書き、貸与品を記録が残る方法で返し、書類の送り先を会社に伝えます。そのうえで、健康保険と年金の切り替えを期限までに済ませます。書類は会社の期限を過ぎてから確かめれば足ります。
会社から電話が来たら、出ないといけませんか?
出るかどうかは自分で決められます。出ないときは、代行に「電話が来た」と伝えるか、会社にメールで「代行を通してください」と返せば足ります。書類の送り先の行き違いなど手続きの話がありそうなら、メールで返事をすると書類が早くそろいます。
離職票は退職から何日で届きますか?
届くまでの日数は決まっていません。会社がハローワークに出す期限は事実のあった日の翌日から10日以内ですが、そのあとハローワークの処理と会社からの郵送が挟まります。マイナポータルに直接届く場合もあるので、そちらも確かめてください。
保険証は会社に返すのですか?
協会けんぽの案内では、令和7年12月2日以降に退職する人は、健康保険証は返却不要で自分で破棄します。有効期限内の資格確認書は会社に返します。健康保険組合や共済組合は扱いが違うことがあるので、組合の案内を確かめてください。
最後の給料はちゃんと払われますか?
退職した人が請求すれば、会社は請求があった日から7日以内に賃金を支払い、預けていた金品を返さなければならないとされています(労働基準法23条1項)。急ぐなら、代行を通じて請求したことを記録に残しておきます。
退職代行を使ったことは履歴に残りますか?
次の会社に出すことの多い源泉徴収票は給与と税額の書類で、辞め方を書くものではありません。ただ、人のつながりや次の会社の問い合わせまでは誰にも保証できないので、知られる・知られないは言い切れません。
数字だけ、もう一度
- 退職の申し入れ:期間の定めのない雇用は、申し入れから2週間で契約が終わる(民法627条1項)
- 健康保険・厚生年金の資格を失う日:退職日の翌日(健康保険法36条・厚生年金保険法14条)
- 健康保険・厚生年金の資格喪失届:事実があった日から5日以内(会社側の届出の期限)
- 雇用保険の資格喪失届と離職証明書:会社が、事実のあった日の翌日から10日以内にハローワークへ(本人に届く日ではない)
- 離職票:ハローワークが交付し、会社を通じて届く。届くまでの日数は決まっていない。2025年1月20日からマイナポータルで届く場合もある
- 源泉徴収票:退職の日以後1か月以内に交付
- 最後の給料・預けていた金品:請求があった日から7日以内(労働基準法23条1項)。退職証明書は請求があれば遅滞なく(同22条1項)
- 協会けんぽの保険証:令和7年12月2日以降は返却不要で自分で破棄。有効期限内の資格確認書は会社へ返す
- 自分の切り替え:任意継続は資格を失った日から20日以内、国民健康保険は14日以内、国民年金は退職日の翌日から14日以内
退職代行のその後で不安が大きくなるのは、会社の期限と自分に届く日、待つべきことと自分で動くべきことが、頭の中で1つに混ざっているときです。10日や5日は会社が役所に出す期限で、本人の手元に書類が届く日を決めたものではありません。本当に自分の日付として守るのは、保険と年金の切り替えのほうです。退職日を確かめて手帳に書き、返すものは記録を残して送り、電話は出るか出ないかを先に決めておく。そこまで済めば、あとは期限を過ぎたものだけを確かめていけば足ります。

