- 自分の会社が中退共に入っているのか、そもそも分からない
- 中退共の退職金は、自分の場合いくらになるの?
- 納付が12月を少し過ぎたくらいで辞めると、ほとんど出ないって本当?
- 会社が払ってくれた掛金より少ないのは、何か月まで?
- 請求は会社がやってくれるの?自分で何かを出すの?
- 請求書には何を書いて、何を添えればいい?
- 辞めてから、いつ振り込まれるの?
- 自己都合で辞めると減らされる?
- 税金はかかる?確定申告は要る?
上記のような悩みに答えます。
中退共(中小企業退職金共済)は、会社が法律に基づく共済の仕組みで従業員の退職金を積み立てておく制度で、辞めるときには中退共から本人に直接退職金が支払われます。迷いやすいのは、掛金を払っているのが会社なので、辞める本人が自分の掛金月額も納付月数も知らないまま退職日を迎えやすいことです。検索で上位に出るのは事業主向けの導入の案内が多く、額は早見表、手続きは「請求書を郵送する」で終わりがちで、自分の数字をどこで確かめるのか、短い勤め方だとどこで線が引かれるのか、会社と自分のどちらが何を出すのかまでは、なかなか書かれていません。そこで、額の決まり方・請求の流れ・振込の時期という基本を押さえたうえで、納付月数の線と退職日の関係、会社と自分の分担、遅いと感じたときの確かめ方、自分で動かなくていい部分まで、中小企業退職金共済法の条文と中退共の公式の案内で確かめながら整理しました。
中退共の退職金は、会社が払ってきた掛金の月額と納付月数で決まり、納付が11月以下なら出ず、24月未満だと掛金の総額を下回ります。請求は、会社が退職届を出したあとに自分で請求書を中退共へ送り、2026年10月時点の公式案内では請求受付から1か月、納付方法によっては2か月半程度で振り込まれます。
2026年10月時点の制度で確かめています
辞めたあとの失業保険がいくらになるかは、失業保険の計算ツール で自分の数字を入れて出せます。
自分の会社が中退共か確かめる方法
中退共に入っているかどうかは、会社に聞くのが確実です。掛金は全額を会社が払う仕組みなので、本人の給与明細を見ても加入しているかは分かりません。
中退共の公式の案内では、掛金は全額を事業主が負担し、掛金の一部でも従業員に負担させることはできないとされています。掛金月額も、従業員ごとに事業主が選ぶものです。つまり、本人の手元には「自分がいくら払ったか」の記録が残らず、給与から差し引かれる項目もありません。給与明細に中退共の文字が無いことは、加入していない証拠にはならないということです。
- 総務や人事の担当者に聞く:「中退共に加入していますか」「掛金月額はいくらですか」「掛金の納付が始まったのはいつですか」の3つ
- 就業規則や退職金規程を読む:退職金の項目に、中退共(中小企業退職金共済)の名前が出てくるかを見る
- 入社時の書類を見返す:雇用契約書や労働条件通知書の退職金の欄に、制度の名前が書かれていないかを見る
聞くときに3つまとめて聞くのは、この3つがそろうと、下の表で自分の額の見当がつくからです。中退共は、電話やメールでは退職金の額や振込予定日を答えていないと公式に案内しているので、在職中に額の見当をつけるには、会社から掛金月額と納付の始まりを聞いておくのが確実です。
たとえば、入社して3年目の人が「うちは退職金があるらしい」とだけ聞いている場合、それが中退共なのか、会社が自分で積み立てている退職金なのか、両方なのかで、誰に請求するかが変わります。中退共なら請求先は中退共、会社独自の退職金なら会社です。ここが分からないまま辞めると、請求の書類が手元に来ても何のことか分からず、後回しにしてしまいがちです。
辞めると決めたら、退職日を伝えるのと同じ時期に、担当者へこの3つを聞いておきます。口頭で聞きにくければ、退職の手続きの確認としてメールで聞けば、答えも記録に残ります。退職の伝え方そのものは 退職は何日前に言う? で整理しています。
退職金は掛金月額と納付月数で決まる

中退共の退職金は、会社が選んだ掛金月額と、掛金が納められた月数の2つで決まります。法律が額を分けている軸は、この2つが基本です。給料の額や役職では区分していません(死亡による退職や減額の例外は、下の項で書きます)。
中小企業退職金共済法10条2項は、退職金の額を「掛金月額及び掛金納付月数に応じ政令で定める額」と書いています。中退共はこれを表にして公開していて、掛金月額と納付年数が分かれば、表を引くだけで基本の額(基本退職金)が出ます。会社ごとに計算方法を作らなくても、表を引けば額が決まる形になっています。
掛金月額は5,000円から30,000円までの16種類で、パートタイマーなどの短時間労働者には特例で2,000円・3,000円・4,000円もあります。下の表は、掛金月額5,000円・10,000円・20,000円・30,000円の4つについて、中退共の基本退職金額表から抜き出したものです。
| 納付月数 | 掛金月額5,000円 | 10,000円 | 20,000円 | 30,000円 |
|---|---|---|---|---|
| 12月 | 18,000円 | 36,000円 | 72,000円 | 108,000円 |
| 24月 | 120,000円 | 240,000円 | 480,000円 | 720,000円 |
| 36月 | 180,000円 | 360,000円 | 720,000円 | 1,080,000円 |
| 60月 | 304,100円 | 608,200円 | 1,216,400円 | 1,824,600円 |
| 120月 | 632,800円 | 1,265,600円 | 2,531,200円 | 3,796,800円 |
| 240月 | 1,333,300円 | 2,666,600円 | 5,333,200円 | 7,999,800円 |
出典:中退共「基本退職金額表【年単位】」(2026年10月時点で確認。付加退職金は含まない)
この表の額は基本退職金だけです。納付月数が43月以上になると、運用の状況に応じて付加退職金が上乗せされることがあります。付加退職金の支給率は年度ごとに厚生労働大臣が決めていて、令和8年度は0.0061、令和7年度は0、令和6年度は0.0010でした。0の年度もあるので、表の額に必ず上乗せがあるとは考えないほうが安全です。また、平成14年10月以前に加入した人は経過措置で旧い表が使われるため、この表のとおりにはなりません。
たとえば、掛金月額10,000円で10年(120月)納めた人の基本退職金は1,265,600円です。会社が納めた掛金の総額は10,000円×120月=1,200,000円なので、基本退職金はそれを65,600円上回ります。同じ10年でも掛金月額5,000円なら632,800円で、掛金月額が半分なら額もほぼ半分になります。
表に無い掛金月額や月数の人は、中退共の公式サイトの退職金の計算の案内で、自分の掛金月額と納付月数に当てはまる額を確かめます。自分の額を出すのに要るのは、会社から聞いた掛金月額と、掛金の納付が始まった月の2つだけです。途中で掛金月額が増額されている人は、この表のとおりにならないことがあるので、会社に増額の時期も聞いたうえで、中退共の公式の案内で確かめます。
11月以下は退職金が出ず、23月までは掛金を下回る
中退共の退職金は、掛金の納付月数が11月以下だと支給されません。12月から23月までは会社が納めた掛金の総額を下回り、24月から42月までは掛金の総額に相当する額、43月からはそれを上回る額になります。
法律の条文は、出ない線をこう書いています。
当該被共済者に係る掛金の納付があつた月数(以下「掛金納付月数」という。)が十二月に満たないときは、この限りでない。(中小企業退職金共済法10条1項ただし書)
短い期間で辞めると少なくなる理由について、中退共の公式の案内は「長期加入者の退職金を手厚くするため」と説明しています。掛金を出しているのは会社なので、ここで下回るのは本人が払ったお金ではなく、会社が納めた掛金に比べた退職金の額です。本人のお金が減るわけではありませんが、もらえる額の線として知っておく意味は大きいところです。
12月から23月までの額について、中退共は「納付された掛金総額の約2分の1から3分の1」と案内しています。掛金月額1,000円当たりの額は、施行令の別表にあたる表で次のように決まっています。
| 納付月数 | 掛金月額1,000円当たりの基本退職金 |
|---|---|
| 1〜11月 | 0円 |
| 12月 | 3,600円 |
| 15月 | 5,400円 |
| 18月 | 7,400円 |
| 20月 | 9,000円 |
| 22月 | 10,800円 |
| 23月 | 11,700円 |
出典:中退共「別表1」/中退共「退職金計算の方法・考え方について」
使い方は、掛金月額÷1,000×表の額です。掛金月額10,000円なら、12月で3,600円×10=36,000円、23月で11,700円×10=117,000円です。12月の36,000円は、掛金の総額10,000円×12月=120,000円の30%にあたります。
例外もあります。公式の案内では、通算制度や他の制度からの引継ぎを行っている場合は、11月以下でも支給される場合があるとしています。また、死亡による退職の場合は、12月以上であれば掛金の総額より少なくなることはないとされています。自分が当てはまりそうなら、中退共に確かめます。
差が大きく開くのは、23月と24月のあいだです。12月から23月までは表の額が少しずつ増えるだけですが、24月になると掛金の総額に相当する額まで一気に上がります。勤めた年数ではなく「掛金が納められた月数」で数えるので、入社した月と納付が始まった月がずれている人は、会社に納付の始まりを聞いてから数えます。
退職日で納付月数はどう変わる?

退職日がどの月になるかで、納付月数が変わります。中退共の公式の案内では、掛金は退職した日の属する月の分まで納めることになっているので、退職日が1か月後ろの月になれば、納付月数も1つ増えます。
この仕組みのため、線の近くにいる人だけは、退職日の月が額に大きく響きます。反対に線から離れている人は、退職日を1か月動かしても、表の額が少し動くだけです。退職日を決めてから額に気づくより、決める前に自分の納付月数を数えておくほうが、あとで「知っていれば」と思わずに済みます。
たとえば、掛金月額10,000円で、退職日の月までの納付月数が22月になる人を考えます。
| 退職日の月までの納付月数 | 基本退職金 | 式 |
|---|---|---|
| 22月 | 108,000円 | 10,800円×10 |
| 23月 | 117,000円 | 11,700円×10 |
| 24月 | 240,000円 | 基本退職金額表の2年(24月) |
22月で辞めるのと24月で辞めるのとでは、基本退職金に132,000円の差が出ます。同じ人が11月で辞めると0円、12月なら36,000円です。
自分の位置を確かめる順番は次のとおりです。
- 会社に、掛金の納付が始まった月と掛金月額を聞く
- 予定している退職日の月までの納付月数を数える
- 納付月数が11月・23月・42月の近くにあるかを見る
- 近くにあるときは、線を越える月と、その月の額を上の表で確かめる
有給を消化してから辞める形にすると、退職日はそのぶん後ろになります。有給の残りと退職日の組み方は 有給消化と退職日の決め方、退職届に書く退職日の決め方は 退職届の書き方 で整理しています。
ただ、退職金の線のためだけに辞める時期を延ばすかどうかは、別の話です。体調や次の仕事の入社日、職場に残ることの負担のほうが大きい人もいます。線の手前にいると分かったら、その差額を、あと何か月勤めることの重さと並べて、自分で決めます。決める材料として額を知っておく、というのがこの項の役目です。
退職金の請求は誰がいつ何を出すか
中退共の退職金は、会社が退職の届けを出したあと、辞めた本人が自分で請求書を中退共へ送って受け取ります。会社が代わりに請求してくれるものではなく、請求できるのは本人(死亡の場合は遺族)だけです。
請求できるのは本人(死亡の場合は遺族)だけで、本人が請求しない限り退職金は手元に来ません。公式の案内では、退職金の支給を受ける権利は、譲渡したり担保にしたり差し押さえたりすることができないとされています。
| だれが | いつ | 何をする |
|---|---|---|
| 会社 | 退職したとき | 退職金共済手帳の2枚目「被共済者退職届」に退職年月日・退職事由などを書き、中退共へ送る(電子申請も可) |
| 会社 | 同じころ | 手帳の3枚目「退職金(解約手当金)請求書」の事業主の欄を書き、手帳(3枚とも)を本人に渡す |
| 本人 | 手帳を受け取ったら | 請求書に記入し、添付書類とそろえて中退共へ封書で送る(電子申請なら退職金請求フォーム) |
| 中退共 | 支払いの準備ができたら | 「退職金等振込通知書」を本人に送り、請求書の口座へ振り込む |
- 1会社が退職届を送る手帳の2枚目を中退共へ
- 2会社が手帳を渡す請求書の事業主の欄を書いて本人へ
- 3本人が請求書を送る添付書類とそろえて封書で
- 4振込通知書が届く振込予定日の2週間ほど前
本人の出番は、会社から手帳を受け取ってからです。辞めた日に手帳を受け取れるとは限らないので、最終出社日までに「中退共の手帳はいつ、どうやって受け取れますか」と担当者に聞いておきます。郵送で受け取る場合は、退職後の住所を伝えておきます。
たとえば、最終出社日の前に有給をまとめて消化している人は、会社に出ないまま退職日を迎えるので、手帳の受け取り方を決めないままになりやすいところです。有給に入る前に、受け取り方と時期を担当者と決めておけば、退職後に連絡を取り直す手間が減ります。
会社の手続きと本人の手続きは、順番がつながっています。会社が退職届を出していないと、本人が請求書を送っても支払いの手続きは進みにくくなります。手帳を受け取ったら、会社が退職届をいつ送ったかも一緒に聞いておくと、遅いときにどこで止まっているかが分かりやすくなります。
退職金の請求書と添付書類でつまずくところ

請求に要るのは、請求書と住民票と身元確認の書類、それに振込先の口座の確認です。確認が要るのは住民票の条件と口座の確認で、ここを外すと書類の出し直しになり、そのぶん支払いが後ろにずれます。
中退共の案内では、書類に不備や不足があると、中退共から郵送などで連絡が来て、確認ができてからの支払いになります。最初の1回でそろえて送れば、出し直しで待つ時間がかかりません。
| 書類 | 気をつけるところ |
|---|---|
| 退職金(解約手当金)請求書 | 退職金共済手帳の3枚目。事業主の欄は会社が書いてから渡される |
| 住民票 | マイナンバーが入ったもの。発行日から3か月以内で、コピーではないもの |
| 身元確認書類 | 運転免許証、パスポート、健康保険資格確認書のコピーなど、いずれか1通 |
| 口座の確認 | 金融機関の窓口で口座確認印を受けるか、普通預金通帳のコピーを付ける |
通帳のコピーを付ける場合は、金融機関名・支店名・普通預金口座番号・口座名義人(カタカナ)が全部分かる部分を写します。この条件を満たしていれば、口座確認印は要りません。住民票は、手帳を受け取る前に早めに取ると発行日から3か月を過ぎてしまうことがあるので、手帳を受け取ってから取りに行くくらいがちょうどよいところです。
次に当てはまる人は、追加の書類が要ります。
- 住所が事業所と同じ、または事業所の寮などに住んでいる
- 今回の請求より前に、退職手当を受けている
- 日本国籍があり、国外に住んでいる
- 本人が亡くなって、遺族が請求する
送るときは、追跡できる書留郵便か特定記録郵便などを使います。マイナンバーの入った住民票を送るためです。請求書の中には、税金の「退職所得申告書」の欄もあります。ここは税金に関わる大事な欄なので、下の「税金はかかる?」の項を読んでから書きます。
たとえば、住民票の住所が事業所の寮のままになっている人は、追加の書類に当てはまるかどうかが分かりにくいところです。迷うときは、請求書を送る前に中退共に確かめれば、出し直しを防げます。最新の様式と必要書類は変わることがあるので、送る直前に公式ページで確かめるのが確実です。
退職金はいつ振り込まれる?遅いと感じたら
中退共の公式の案内では、退職金は請求を受け付けてから1か月から、掛金の納付方法によっては2か月半程度で支払われます。事業所の掛金の納付状況などによっては、2か月以上かかることもあるとされています。
時間がかかるのは、中退共が、退職した月の分までの掛金が入金されたのを確かめてから支払うからです。会社の掛金の納付が遅れていれば、本人がいくら早く請求書を送っても、支払いはそこで待つことになります。書類に不備がある場合も、確認ができてからの支払いです。
出典:中退共「Q&A 8-1-9 退職金は請求してから何日くらいで支給されますか?」
支払いの準備ができると、中退共から本人あてに「退職金等振込通知書」が届きます。支払いの明細と振込予定日が書かれていて、振込予定日の2週間ほど前に発送されます。額と日付が確定するのは、この通知書が届いたときです。
遅いと感じたときは、止まっていそうな場所を順に確かめます。
- 会社に、被共済者退職届をいつ中退共へ送ったかを聞く
- 会社に、退職した月の分までの掛金を納めたかを聞く
- 中退共から、書類の不備や不足の連絡が来ていないかを確かめる(郵便物を見落としていないか)
- それでも分からないときは、中退共に問い合わせる
中退共は電話やメールでは退職金の額や振込予定日を答えていないので、額と日付は通知書で確かめます。会社が退職届を出してくれない、手帳を渡してくれないといった場合は、中退共に問い合わせてください。
たとえば、請求書を送って1か月ほど経っても通知書が来ない人は、すぐに遅れていると決めつけず、まず会社の手続きを確かめます。掛金の納付方法によっては2か月半程度かかるとされているので、焦って同じ書類を送り直すより、どこで止まっているかを聞くほうが早く片づきます。
退職金が入る時期は、辞めたあとの生活費の計算にも関わります。通知書が来るまでは額も日付も確定しないので、貯金が何か月もつかを考えるときは、退職金をすぐには当てにしない形で見積もっておくと安全です。生活費の見積もり方は お金がないけど仕事を辞めたい で整理しています。
税金はかかる?一時金と60歳以上の分割
一時金で受け取る中退共の退職金は、税金のうえでは退職所得として扱われます。請求書の「退職所得申告書」の欄に記入すれば、税務署所定の申告書を別に出さなくても、退職所得控除を使って税額が計算されます。
退職所得には、勤めた年数に応じた控除があります。中退共の場合、この勤続年数は原則として掛金が納付された期間で数えると公式に案内されています。控除の額は所得税法30条で決まっています。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円×勤続年数(80万円に満たない場合は80万円) |
| 20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数−20年) |
出典:所得税法30条(e-Gov法令検索)/中退共「Q&A 9-1-1」
申告書の欄に記入が無いと、退職金の額から20.42%に相当する税金が源泉徴収されます(所得税法201条3項・復興特別所得税を含む率)。記入するかしないかで、源泉徴収のされ方が変わる欄です。また、次に当てはまる人は、申告書の欄だけでは足りず、別に必要な書類があります。
- 退職した年に、中退共より先に会社などから退職金を受け取っている
- 退職した年の前年以前4年内に、退職金を受け取っている
- 今回の退職日が令和8年1月1日以降で、確定拠出年金の老齢給付金の一時金を、令和8年1月1日以降かつ退職した年の前年以前9年内に受け取っている
出典:中退共「Q&A 9-1-1」/所得税法201条(e-Gov法令検索)
受け取り方は、原則として一時金です(中小企業退職金共済法11条)。分割払いは本人の請求で選べますが、退職した日に60歳未満の人は対象外です(同法12条1項)。60歳以上で辞める人は、5年間(全20回)か10年間(全40回)の分割を選べ、支払日は毎年2月・5月・8月・11月の15日です。
| 受け取り方 | 主な要件 | 税金の扱い |
|---|---|---|
| 一時金 | 誰でも(原則) | 退職所得 |
| 全額を5年間で分割 | 退職日に60歳以上・退職金の額が80万円以上 | 雑所得 |
| 全額を10年間で分割 | 退職日に60歳以上・退職金の額が150万円以上 | 雑所得 |
出典:中小企業退職金共済法11条・12条(e-Gov法令検索)/中退共「制度について>退職金」
一部だけを分割にする併用払いもあり、5年間なら退職金の額が100万円以上、10年間なら170万円以上などの要件があります。在職中に解約したことによる解約手当金は分割できません。
たとえば、30代で辞める人は分割の対象外なので、受け取り方で迷うことはありません。考えるのは税金の欄だけで、前の項の3つのどれにも当たらない場合、請求書の申告書の欄に記入して送れば足ります。税額がいくらになるかは、受け取る額と勤続年数、ほかの退職金の有無で変わるので、自分で確かめたいときは、請求書と会社の退職金の明細を持って税務署で聞きます。
自分で動かなくていい場合
中退共の退職金で、本人が自分でやるのは、請求書を書いて、添付書類をそろえて送ることです。それ以外の多くは、会社か中退共が受け持っています。全部を自分で抱え込まなくて大丈夫です。
| 手続き | 誰がやるか | 本人がすること |
|---|---|---|
| 被共済者退職届を出す | 会社 | いつ送ったかを聞いておく |
| 退職した月までの掛金を納める | 会社 | 遅いときに確かめる |
| 退職金の額を計算する | 中退共 | 通知書で確かめる |
| 税務署所定の申告書を出す | 原則不要 | 請求書の申告書の欄に記入する |
額の計算は中退共が表に沿って行い、振込通知書で知らせてくれます。税金の申告書も、前の項の3つのどれにも当たらない場合、請求書の欄で済みます。請求できるのは本人(死亡の場合は遺族)だけなので、誰かに代わりを頼む手続きでもありません。
会社の退職金規程との関係は、会社ごとに決めることです。会社の規程が中退共の退職金をどう扱っているか、別に会社から払われる退職金があるかは、就業規則や退職金規程の退職金の項目を読み、分からなければ担当者に「中退共のほかに、会社から払われる退職金はありますか」と聞いて確かめます。中退共の請求先は中退共、会社の退職金の請求先は会社と、窓口が別だと覚えておけば混乱しません。
自己都合で辞めることを気にする人もいますが、中小企業退職金共済法10条が額を分けているのは、掛金月額と納付月数です。10条が定める減額は、5項の場合です。
被共済者がその責めに帰すべき事由により退職し、かつ、共済契約者の申出があつた場合において、厚生労働省令で定める基準に従い厚生労働大臣が相当であると認めたときは、機構は、厚生労働省令で定めるところにより、退職金の額を減額して支給することができる。(中小企業退職金共済法10条5項)
本人の責めに帰すべき事由での退職であること、会社からの申出があること、厚生労働省令の基準に従って厚生労働大臣が相当と認めること、の3つがそろったときです。
ハローワークでの失業保険の手続きは、中退共の請求とは別に進めます。順番は 失業保険のもらい方、辞めたあとのお金の流れ全体は 仕事を辞めたいときに先に知っておくこと で整理しています。
よくある質問
中退共の退職金は、10年でいくらですか?
基本退職金は、掛金月額5,000円なら632,800円、10,000円なら1,265,600円、20,000円なら2,531,200円、30,000円なら3,796,800円です。これに付加退職金が上乗せされる年度もあります。自分の掛金月額は会社に聞いて確かめてください。
自己都合で辞めると、退職金は減りますか?
中小企業退職金共済法10条は、額を掛金月額と納付月数で決めています。減額ができるのは、本人の責めに帰すべき事由による退職で、会社の申出があり、厚生労働大臣が相当と認めた場合です。
転職先でも中退共を続けられますか?
通算制度や他の制度からの引継ぎの扱いがあり、公式の案内では、これらを行っている場合は11月以下でも支給される場合があるとされています。転職先も中退共に加入しているなら、続けられるか、通算できるかの条件は、この記事では扱っていないので、中退共に確かめてください。
請求に期限はありますか?
中退共の公式の案内では、退職した日から5年間です。5年の間に請求しないと、時効で請求する権利がなくなります。法律では「行使することができる時から五年間」と書かれていて(中小企業退職金共済法33条1項)、5年の間に請求できない事情があった場合は、中退共に相談するよう案内されています。
退職金共済手帳をなくしてしまいました。
請求書は手帳の3枚目なので、手帳が無いと請求の書類がそろいません。まず会社に、手帳を渡したかどうかと、退職届を送ったかを確かめ、そのうえで中退共に問い合わせてください。
中退共に電話すれば、自分の退職金の額を教えてもらえますか?
中退共は、電話やメールでは退職金の額や振込予定日を答えていません。額は、会社に掛金月額と納付月数を聞いて表で見当をつけ、確定した額は振込通知書で確かめます。
数字だけ、もう一度
- 加入の確かめ方:掛金は全額会社の負担。会社に「加入しているか・掛金月額・納付の始まり」を聞く
- 額の決まり方:掛金月額(5,000円〜30,000円の16種類)と納付月数で決まる。給料の額では分けない(死亡による退職と減額の例外は別)
- 線:11月以下は出ない/12〜23月は掛金総額を下回る(約2分の1から3分の1)/24〜42月は掛金総額に相当/43月から上回る額+付加退職金(0の年度もある)
- 退職日:掛金は退職した日の属する月の分まで。線の近くにいる人だけ、退職日の月が額に響く
- 請求:会社が退職届を出し手帳を渡す → 本人が請求書と住民票(発行日から3か月以内)などを送る。請求できるのは本人だけ
- 振込:請求受付から1か月、納付方法によっては2か月半程度。振込通知書は振込予定日の2週間ほど前
- 税金:一時金は退職所得。請求書の申告書の欄に記入しないと20.42%が源泉徴収される。分割は60歳以上だけ
- 期限:退職した日から5年間
中退共の退職金は、本人が意識しないまま会社が積み立ててきたお金で、辞めるときに自分で取りに行かないと受け取れません。まず会社に加入と掛金月額と納付の始まりを聞き、自分の納付月数が線の近くにあるかを確かめる。手帳を受け取ったら、住民票をそろえて申告書の欄まで書いて送り、通知書を待つ。やることはこの3つだけで、額の計算も会社の届けも自分が背負う必要はありません。

