退職代行を弁護士事務所に頼むのはどんな時?損害賠償・未払いなど4つの目安と費用

誰もいない事務所
  • 退職代行って、弁護士に頼まないとだめなの?
  • 「辞めるなら損害賠償を請求する」と言われた。本当に払わされる?
  • 未払いの残業代や退職金も、辞めるついでに取り返したい
  • 会社から借りたお金が残っているけど、辞めてもいいの?
  • 弁護士の退職代行は、結局いくらかかるの?
  • 成功報酬って、何に、いくらかかるの?
  • 民間や労働組合の代行で足りるのか、自分では分からない
  • 自分で言えば費用がかからないのは分かっている。でも、言えない

上記のような悩みに答えます。

退職代行を弁護士に頼むかどうかは、料金の高い安いより先に、会社との間に「争いになりそうな話」が残っているかで決まります。検索で上位に出るのは法律事務所が自分の事務所の退職代行を紹介するページと、民間・労働組合・弁護士の特徴を並べた比較記事が中心で、「自分の状況だと弁護士まで要るのか、要らないのか」を条件で切った説明や、弁護士の料金がどんな仕組みで決まるのかは、プランの紹介の中に埋もれがちです。そこで、型ごとにできることの違いという基本を押さえたうえで、弁護士が要る条件と要らない条件、損害賠償を言われたときに条文で言えること、費用の組み立て、頼む前に集めるものまで、弁護士法・労働基準法・民法の条文と厚生労働省の案内、各社の公式サイトで確かめながら整理しました。事務所の名前を並べたり、順位を付けたりはしていません。

先に答え

退職の意思を伝える、退職日や有給の扱いを話し合う、というところまでなら、弁護士でなくても足ります。会社から損害賠償を書面などで具体的に請求されている、未払いの残業代や退職金を請求したい、会社からの借入が残っている、訴訟になりそう、のどれかに当てはまるなら弁護士です(口頭で言われただけなら、記録を残したうえで、書面が届いた時点で相談する順番も取れます)。弁護士の費用は、退職の手続きの料金に、お金を請求して回収したときの成功報酬が加わる組み立てで、このサイトが確かめた弁護士型2つでは、1つは回収額の20%など、もう1つは回収額の20%(会社が支払いを拒み、弁護士が交渉した場合だけ)が加わります。

この記事の数字と条文は2026年10月時点のものです(料金は2026年10月7日に各社の公式サイトで確認)。

目次

弁護士の退職代行が要る人と要らない人

誰もいない事務所

弁護士の退職代行が要るかどうかは、「辞めること」以外に、会社とお金や責任をめぐって争いになりそうな話があるかで分かれます。辞める意思を伝えるだけ、退職日や有給の扱いを話し合うだけなら、弁護士でない型でも足ります。

線がここに引かれるのは、期間の定めのない雇用なら、退職そのものは本人が一方的に申し入れられる手続きだからです。期間の定めのない雇用なら、申し入れた日から2週間で雇用は終わり、会社の同意は条件になっていません(民法627条1項)。一方、損害賠償や未払い賃金の請求は、相手が争えば法律上の権利と義務をめぐる話になり、報酬を得る目的で、業としてその交渉や代理を引き受けられるのは、原則として弁護士に限られています。辞めることと、お金や責任の争いを片づけることは、別の仕事だと考えると分かりやすくなります。

出典:民法627条(e-Gov法令検索)

このサイトでは、弁護士が要る場面を次の4つに整理しています。法律や公的な資料がこの4つを定めているわけではなく、条文と各社の公式サイトの対応範囲から、編集部が分けたものです。

  • 会社から損害賠償を具体的に請求されている、または書面が届いた(口頭で言われただけの段階は、下の「損害賠償を言われたときの正しい怖がり方」の項を参照)
  • 未払いの残業代や退職金を、辞めるときに請求したい
  • 会社からの借入(貸付金など)が残っていて、返し方を決める必要がある
  • 会社が訴えると言っている、すでに争いになっていて訴訟になりそう
弁護士が要るかは、争いの有無で分かれる
弁護士でなくても足りる

  • 辞める意思を伝えてほしい
  • 退職日や有給の扱いを話し合ってほしい
  • 書類の送付や貸与品の返却を取り次いでほしい
弁護士が要る

  • 損害賠償を具体的に請求されている
  • 未払いの残業代や退職金を請求したい
  • 会社からの借入や訴訟の話がある

たとえば、上司と顔を合わせたくないだけで、未払いもなく、会社から何も言われていない人なら、上の4つのどれにも当たりません。同じ人でも、退職を伝えた直後に「急に辞めるなら損害を請求する」と書面が届けば、その時点で弁護士が要る側に移ります。線は最初に一度決めて終わりではなく、会社の出方で動くものです。

迷ったときは、4つのうち「いま当てはまるもの」と「会社の言い方しだいで当てはまりそうなもの」を分けて書き出してください。いま当てはまるものが1つでもあれば弁護士を、当てはまりそうなだけなら、まず弁護士でない型で進め、書面が届いた時点で弁護士に相談する、という順番も取れます。

退職代行の型で違うのは交渉の範囲

退職代行の型の違いは、会社と「話し合えるか」と「法的な手続きまで引き受けられるか」の2点に出ます。民間の会社は意思を伝えるところが中心、労働組合は団体交渉ができ、弁護士は交渉に加えて請求や訴訟の代理まで引き受けられる、と整理されています。

この違いの元になっているのが、弁護士法72条です。条文は次のとおりです。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

弁護士法72条(e-Gov法令検索)

条文は「退職代行」を名指ししていません。報酬を得る目的で、争いのある事柄の交渉などの法律事務を業として扱うことが、弁護士以外には制限されている、というのが条文から言える範囲です。そこから、民間の会社は本人の使者として意思を伝えるところまで、と解釈されていますが、退職代行のどこまでが民間に頼める範囲かを官公庁がはっきり示した資料は、この記事の作成時点では見つかっていません。民間の会社が会社と話した瞬間に必ず違法になる、という話ではない一方、交渉が要りそうなら最初から交渉できる型を選ぶほうが安全です。

労働組合は、労働組合法にもとづく団体交渉ができ、会社は正当な理由なく団体交渉を断れません(労働組合法7条2号)。ただし、労働組合は訴訟の代理はできません。

型 会社に伝える 退職日・有給の話し合い 未払いの請求・損害賠償への対応 訴訟の代理
民間の会社 できる 交渉はできないとされる できないとされる できない
労働組合 できる 団体交渉としてできる 未払い賃金の交渉を範囲に挙げる組合もある できない
弁護士 できる できる できる できる

紛らわしいのが、民間の会社が労働組合と連携する型です。このサイトが2026年10月7日に規約まで確かめた1社では、運営会社自身は「連絡の取次」を行い、代理交渉その他の法律事務は行わないと規約に書き、会社との交渉は連携する労働組合が団体交渉として行う、という分担でした。組合への加入は任意で、交渉を頼むには組合に加入し、組合費が別にかかります。公式サイトの「顧問弁護士監修」という表示も、弁護士が本人の代理人として会社とやりとりするという意味ではありません。

たとえば、有給を全部消化してから辞めたい人なら、交渉できる型が要りますが、それは労働組合でも足ります。一方、会社が「有給は認めないし、急に辞めた損害を払え」と言ってきた場合、後半の損害の話は訴訟につながりうるので、労働組合では最後まで引き受けられません。型を選ぶときは、「交渉が要るか」と「その先に裁判がありうるか」を分けて考えてください。

損害賠償を言われたときの正しい怖がり方

封筒と万年筆

「辞めたら損害賠償」と言われても、それだけで払う義務が決まるわけではありません。労働基準法16条は、違約金や賠償の額をあらかじめ決めておく契約を禁じています。ただし、実際に生じた損害の賠償を求めることまで禁じた条文ではないので、怖がらなくていい部分と、きちんと備える部分を分けて考えます。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法16条(e-Gov法令検索)

16条が禁じているのは「辞めたら〇万円」「研修を途中でやめたら罰金」のように、額をあらかじめ決めておく約束です。契約書や就業規則にそうした定めがあっても、16条に反する定めとして無効になるおそれがあります。一方で、会社が「あなたが急に辞めたせいで、実際にこれだけの損害が出た」と請求すること自体は、この条文では止められません。認められるかどうか、いくらになるかは、損害が本当にあったか、辞め方に問題があったか、契約で何を約束していたかで変わり、一律には言えません。

契約期間の定めがある人(契約社員・派遣など)は、もう一段注意が要ります。厚生労働省は、契約期間の途中で辞めるには、やむを得ない事由が必要で(民法628条)、やむを得ない事由もなく辞めて会社に不測の損害を与えたような場合には、損害賠償責任が発生するなどのリスクがある、と案内しています。ただし、契約期間が1年超の契約では、働き始めて1年以上たったあとは、いつでも退職できます(労働基準法附則137条。高度の専門的知識を持つ人や満60歳以上の人との契約などは除く)。

出典:確かめよう労働条件「退職、解雇、雇止め」(厚生労働省)

言われた内容 条文から言えること 動き方
「辞めたら違約金〇万円」と決まっている 額をあらかじめ決める約束は16条で禁じられている 契約書・就業規則の該当箇所を写しておく
「急に辞めた損害を払え」と口頭で言われた 実際の損害の請求そのものは禁じられていない いつ・誰に・何と言われたかをメモする
金額を書いた書面が届いた 認められるかは事案しだい 書面を持って弁護士に相談する
契約期間の途中で、やむを得ない事由なく辞めたい 628条の話になり、リスクがあると厚労省が案内している 合意で辞められないか先に相談する

たとえば、期間の定めのない正社員が、引き継ぎの話し合いもしたうえで退職を申し入れ、上司から口頭で「損害賠償だ」と言われただけなら、まずは言われた内容を記録し、申し入れた日を残して淡々と進める、という順番が取れる場面です。反対に、契約期間の途中の契約社員が、理由を言わずに翌日から出社をやめる予定で、会社から具体的な金額を書いた書面が届いている、という場合は、弁護士に頼む理由がはっきりあります。

正しい怖がり方は、「言われたかどうか」ではなく「書面で具体的な金額が来たか」「自分の契約に期間の定めがあるか」の2点で見ることです。どちらも当てはまらなければ、慌てて高い型に飛びつく必要はありません。書面で具体的な金額が来たなら、書面・契約書・やりとりの記録をそろえて弁護士に見せてください。契約期間の定めがあるだけなら、期間の長さと働き始めてからの期間を契約書で確かめ、合意で辞められないかを先に相談してください。

未払いの残業代や退職金を請求したいとき

辞めるときに未払いの残業代や退職金をまとめて請求したいなら、弁護士の型が向いています。請求は、相手が払わないと言えば争いになり、交渉で決着しなければ労働審判や裁判に進むことがあるからです。

労働組合の型にも、未払い給与や退職金の請求を交渉できる範囲に挙げているところがあります。ただ、会社が団体交渉に応じても払わないと言い続けた場合、労働組合は訴訟の代理ができないので、その先は弁護士に頼み直すことになります。最初から請求を目的にしているなら、交渉から裁判まで同じ相手に頼めるほうが、話がつながります。

  • 請求の根拠:雇用契約書・労働条件通知書の賃金と労働時間の欄、就業規則の退職金の規定
  • 働いた事実:タイムカード・勤怠システムの画面・業務メール・業務日報など、時間が分かる記録
  • 払われた額:給与明細(残業代の欄が分かるもの)
  • 言われたこと:「残業代は出ない」などのやりとりのメモやメッセージ

たとえば、毎月の残業が給与明細に一切載っていないが、勤怠システムには退勤の記録が残っている人なら、記録を持ち出せるうちに写しを取っておくことが先です。辞めてからでは社内のシステムに入れなくなることがあります。反対に、記録がほとんど残っていない人は、請求できるかどうか自体が見通しにくいので、弁護士に相談するときに「記録がこれだけしかない」と最初に伝え、回収の見込みと費用が釣り合うかを聞いてください。

請求するかどうかの判断は、取り返したい額と、かかる費用と、時間の3つで決まります。確かめた弁護士型2つでは、回収した額に応じた報酬(1つは会社が支払いを拒み弁護士が交渉した場合だけ)がかかるので、手元に残る額は回収額そのものではありません。費用の組み立ては下の「弁護士の退職代行の費用の組み立て」の項で見ます。残業代を何年分さかのぼれるかは、このサイトの表で確かめられていないので、相談するときに弁護士に直接聞いてください。

会社からの借入・訴訟・公務員のとき

会社から借りたお金が残っている、会社がすでに訴えると言っている、という場合も弁護士の場面です。どちらも、退職の連絡とは別に、お金や責任をどう片づけるかを決める話し合いが要るからです。

会社からの借入が残っている場合は、一括で返すのか、分けて返すのか、いつから返すのかを決める話し合いが必要になることがあります。ただし、借入の性質(貸付金か、立て替えた費用か、給与の前払いかなど)や契約の書き方によって扱いが変わるため、借用書を持って弁護士に確認してください。この「返し方を決める話し合い」は会社とのお金の交渉なので、弁護士の型の範囲に入ります。このサイトが確かめた弁護士型の1社でも、借入金の返済の交渉は退職代行の基本料とは別の料金として書かれていました。

訴訟になりそうな場合は、迷う余地が少なくなります。訴訟の代理ができるのは弁護士だけで、労働組合も民間の会社も引き受けられません。会社から「訴える」と言われている、内容証明郵便が届いた、という段階なら、退職の連絡を頼む前から弁護士に相談しておくと、途中で頼み直す手間がありません。内容証明は、いつ、どんな内容の文書を誰から誰に出したかを日本郵便が証明する制度で、書かれた内容が本当かどうかを証明するものではありません。届いたからといって、書かれた請求が認められたわけではありません。

出典:内容証明(日本郵便)

公務員の場合は、民間の会社員とは退職の手続きのしくみが違います。このサイトでは公務員の手続きの細部を確かめられていないので、民間向けの代行の説明をそのまま当てはめず、弁護士に相談してください。

たとえば、入社時に会社から引っ越しの費用を借りていて、まだ半分残っている人が、上司から「全額を返すまで辞めさせない」と言われた場合を考えます。借入がどう扱われるかは借りたときの約束しだいなので、残りの返し方を含めて話し合いが要るなら、そこが会社との交渉になります。借用書や返済の記録、給与明細で天引きされている額をそろえて、弁護士に「退職の連絡」と「返し方の交渉」をまとめて頼めるかを聞くのが早い道です。

弁護士でなくても足りる場合

手帳と2本のペン

損害賠償を言われていない、未払いの請求もしない、借入もない、という人なら、弁護士でなくても足ります。頼みたいのが「辞めると伝えること」と「退職日や有給の扱いを話し合うこと」までなら、労働組合の型や、労働組合と連携する型で範囲に収まります。

弁護士の型は、争いが起きたときの対応まで引き受けられ、このサイトが確かめた範囲では、基本料は高めになる傾向があります。争いの種がない人がその料金を払うのは、使わない保険にお金を出すのに近くなります。一方、労働組合の型は、伝えることに加えて団体交渉ができるので、有給の消化や退職日の調整が要る人には足ります。

  • 会社から損害賠償や違約金の話をされていない
  • 未払いの残業代や退職金を請求するつもりがない
  • 会社からの借入や、社宅の退去をめぐる話がない
  • 頼みたいのは、伝えることと、退職日・有給の話し合いまで
計算例

料金で見ると、このサイトが2026年9月21日に公式サイトで確かめた労働組合が運営する型3社は19,800〜24,000円、2026年10月7日に確かめた民間の会社が労働組合と連携する型1社は27,000円(組合費は別)でした。弁護士型の一律43,800円と比べると、争いの種がない人にとっては差が出ます。業界全体の相場ではなく、確かめた社の範囲です。

たとえば、有給が残っていて消化してから辞めたいが、会社とは連絡を取りたくないという人なら、交渉できる労働組合の型で頼みたいことは収まります。ただし、途中で会社から書面で賠償の話が出たら、その対応は労働組合では引き受けられないので、その時点で弁護士に相談します。最初に「途中で争いになったらどうなるか」を代行側に聞いておくと、慌てずに済みます。

※この枠にはプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。

損害賠償を言われていない・未払いの請求もしないなら、弁護士でなくても足ります。退職日や有給の扱いを会社と話し合ってほしいだけなら、労働組合と連携している退職代行が選べます。申し込む前に、料金に何が含まれるかと、交渉は誰がするのかを公式サイトで確かめてください。

退職代行Jobsの料金と対応範囲を公式サイトで見る

弁護士の退職代行の費用の組み立て

弁護士の退職代行の費用は、「退職の手続きそのものの料金」と「お金を請求して回収したときの成功報酬」と「それ以外の別料金」の3つの組み合わせで決まります。表に出ている基本料だけを見ると、請求を頼んだときの総額が見えません。

基本料と成功報酬が分かれているのは、仕事の量が違うからです。辞める意思を伝えて書類のやりとりを取り次ぐところまでは、手順がある程度決まっています。お金を請求するとなると、相手が払うかどうか、交渉で済むか裁判になるかで手間が大きく変わり、回収できた額に応じて報酬を決める形が取られています。

計算例

料金の部分 一律の型(1社) 幅がある型(1社)
退職の手続きの料金 43,800円(内容証明郵便を含む) 27,500〜77,000円(事案の難易度などで決まり、詳しくは問い合わせ)
お金を請求して回収したとき 回収額の20%(労働審判は25%、裁判は30%+期日ごとに2万円。いずれも税別) 回収額の20%(会社が支払いを拒み、弁護士が交渉した場合だけ)
それ以外の別料金 借入金の返済の交渉は別途10万円。会社からの損害賠償請求への対応など訴訟の対応は、請求を退けた額の35%相当額 公式サイトに記載なし

出典:各事務所の公式サイト(2026年10月7日に確認)。このサイトが確かめた弁護士型2つの範囲で、業界全体の相場ではありません。料金は改定されることがあるので、申し込む前に必ず最新の額を確かめてください。

総額は、基本料に回収額の割合を足して見る
総額=退職の手続きの料金+回収額×成功報酬の割合+別料金
一律の型で未払いを請求して回収した場合=43,800円+回収額の20%
計算例

たとえば、一律の型で退職の連絡だけを頼むなら、総額は43,800円です。同じ型で未払いの残業代も請求し、交渉で回収できた場合は、43,800円に回収額の20%が加わります。話し合いで決着せず労働審判に進めば割合は25%、裁判なら30%に期日ごとの2万円が加わります(割合と期日ごとの費用は、いずれも税別)。幅がある型では、基本の料金が27,500円で済むか77,000円近くになるかが事案で変わるので、相談の段階で「自分の場合はいくらか」を先に出してもらう必要があります。

費用を比べるときは、基本料の安さではなく、「自分が頼みたいこと全部を頼んだら、いくらになるか」で比べてください。請求をしない人なら基本料だけで比べられますが、請求をする人は、成功報酬の割合と、裁判に進んだときに増える部分まで含めて比べます。運営の型ごとの料金の幅や、追加料金・後払い・返金の読み方は、退職代行の費用はいくら? にまとめています。

退職代行を頼む前に集めるもの・聞くこと

弁護士に頼むと決めたら、相談の前に、契約と給与と勤務の記録、会社から言われたことの記録をそろえます。弁護士が見通しを立てるのは書類からで、材料がそろっているほど、要る・要らないや費用の見込みを早く具体的に言ってもらえます。

集めるものを先に決めておくのは、辞めると決めたあとは、会社の書類やシステムに触れにくくなるからです。退職の連絡を入れてから勤怠の画面を写そうとしても、アカウントが止まっていることがあります。手元に残せるものは、連絡の前に残しておきます。

弁護士に相談する前にそろえるもの
  1. 1契約の書類雇用契約書・労働条件通知書・就業規則
  2. 2お金の記録給与明細・退職金の規定・借用書
  3. 3働いた記録タイムカード・勤怠の画面・業務メール
  4. 4言われたこと日時と相手と内容のメモ・届いた書面
  • 契約の書類:雇用契約書か労働条件通知書(契約期間の欄が分かるもの)、就業規則(違約金・退職金・退職の手続きの定め)
  • お金の記録:給与明細、退職金の規定、借入がある人は借用書と返済の記録
  • 働いた記録:タイムカード、勤怠システムの画面、業務メールや日報など、働いた時間が分かるもの
  • 言われたこと:「損害賠償」「訴える」などと言われた日時・相手・内容のメモ、届いた書面や内容証明の現物

相談のときに聞くことも、先に書き出しておきます。「退職の連絡だけならいくらか」「未払いを請求したら総額はどう増えるか」「裁判に進んだら何が増えるか」「会社からの連絡は全部弁護士あてにしてもらえるか」「退職の連絡はいつ入れてもらえるか」の5つです。料金や期間を答えてもらえたら、メールなど文字で残る形で受け取ってください。

たとえば、損害賠償の書面が届いている人なら、書面の現物と契約書、就業規則の該当ページを持って相談すれば、書面の請求に根拠がありそうかどうかの見通しを早く聞けます。反対に、材料がほとんどない状態で相談すると、見通しが「事案しだい」のまま費用だけが決まり、払う価値があるかを判断しにくくなります。

使わなくていい場合

退職代行を使わず、自分で伝えて足りるのは次の人です。辞める申し入れは本人が自分でできる手続きなので、この条件がそろっていれば、弁護士にも、ほかの型にも費用はかかりません。

  • 上司か人事と、メールでも電話でも連絡が取れる
  • 退職日や有給について、会社と話し合う必要がない、または自分で話し合える
  • 損害賠償や違約金の話をされていない、言われても記録を残して進められる
  • 未払いの請求も、借入の返し方の話し合いも、残っていない

期間の定めのない雇用なら、代行を使っても使わなくても、申し入れた日から2週間で雇用が終わるという数え方は同じです。代行が引き受けるのは「自分で連絡すること」と「話し合いの手間」で、辞められる日そのものは変わりません。言い出せないときの伝え方は、辞めたいと言い出せないとき で整理しています。

たとえば、上司と話すのは気が重いけれど、人事にはメールを送れる人なら、退職日を書いたメールを人事と上司に送れば申し入れになります。損害賠償の話をされていて弁護士に相談したい人でも、退職の連絡だけは自分で済ませ、書面が届いたらその書面について相談する、という分け方もできます。

弁護士に払うかどうかの分かれ目は、上の4つのどれが崩れているかです。1つも崩れていなければ、払わずに済むお金です。そのお金は、辞めたあとの生活費に回せます。辞めたあとのお金の見通しは、失業保険の計算ツール で自分の条件を入れて出せます。

次に読むもの

料金を型ごとに比べたい人は 退職代行の費用はいくら? へ。労働組合と連携する型を詳しく見たい人は 退職代行Jobsの料金と対応範囲、幅のある料金の弁護士型を詳しく見たい人は 弁護士法人みやびの退職代行 へ。自分で伝えられるかを決めたい人は 辞めたいと言い出せないとき へ。辞めたあとのお金が気になる人は 失業保険の計算ツール で自分の条件を入れてみてください。

よくある質問

弁護士の退職代行の費用はいくらですか?

計算例

A. このサイトが2026年10月7日に公式サイトで確かめた弁護士型2つでは、一律43,800円の型と、27,500〜77,000円の幅がある型でした。未払いの残業代などを請求して回収した場合、一律の型は回収額の20%など、幅のある型は会社が支払いを拒み弁護士が交渉したときだけ回収額の20%が加わります。業界全体の相場ではないので、申し込む前に最新の額と、自分の場合の総額を確かめてください。

退職代行は弁護士に頼むべきですか?

損害賠償を書面などで具体的に請求されている、未払いの残業代や退職金を請求したい、会社からの借入がある、訴訟になりそう、のどれかに当てはまるなら弁護士です。辞める意思を伝える、退職日や有給の扱いを話し合う、というところまでなら、労働組合の型などで足ります。この線は法律が定めたものではなく、型ごとにできることから編集部が整理したものです。

民間の退職代行は弁護士法違反なのですか?

弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、争いのある事柄の交渉などの法律事務を業として扱うことを制限していますが、退職代行を名指ししてはいません。民間の会社は意思を伝えるところまで、と解釈されていて、どこまでが頼める範囲かを官公庁がはっきり示した資料は見つかっていません。交渉が要りそうなら、最初から交渉できる型を選ぶのが安全です。

「損害賠償を請求する」と言われたら、払わないといけませんか?

言われただけで払う義務が決まるわけではありません。労働基準法16条は賠償の額をあらかじめ決めておく契約を禁じていますが、実際に生じた損害の請求までは禁じていません。書面で具体的な金額が届いた、契約期間の途中でやむを得ない事由なく辞める、という場合は、書面と契約書を持って弁護士に相談してください。

弁護士に頼めば、その日のうちに辞められますか?

弁護士が会社に連絡するのがその日のうちでも、期間の定めのない雇用なら、申し入れから2週間で雇用が終わるという数え方は変わりません。その間に出社しない形をとれるかは、有給の残りや会社との話し合いによります。連絡をいつ入れてもらえるかは、相談のときに確かめてください。

公務員でも退職代行は使えますか?

公務員は民間の会社員と退職の手続きのしくみが違い、このサイトでは手続きの細部を確かめられていません。民間向けの代行の説明をそのまま当てはめず、弁護士に相談してください。

数字だけ、もう一度

計算例

  1. 線引き:辞める意思を伝える・退職日や有給を話し合う、までなら弁護士でなくても足りる。損害賠償・未払いの請求・会社からの借入・訴訟のどれかがあれば弁護士
  2. 型の違い:弁護士法72条は報酬を得る目的で法律事務を業として扱うことを弁護士以外に制限している(退職代行を名指しはしていない)。労働組合は団体交渉ができる(労働組合法7条2号)が、訴訟の代理はできない
  3. 損害賠償:労働基準法16条が禁じるのは、額をあらかじめ決める約束。実際の損害の請求までは禁じていない。契約期間の途中でやむを得ない事由なく辞めるとリスクがある(民法628条)が、1年を超える契約は1年を過ぎればいつでも辞められる(労働基準法附則137条。高度の専門知識を持つ人や満60歳以上の人の契約などは除く)
  4. 未払い・借入・訴訟:交渉で決着しなければ裁判に進むので、最初から弁護士に頼むと話がつながる。公務員は弁護士に相談
  5. 弁護士でなくても足りる場合:確かめた労働組合の型3社は19,800〜24,000円、労働組合と連携する型1社は27,000円(組合費は別)
  6. 弁護士型の費用:確かめた2つでは、一律43,800円の型と27,500〜77,000円の型。回収額の20%は、一律の型は請求して回収したとき、幅のある型は会社が支払いを拒み弁護士が交渉したときだけ。一律の型は回収額の20%・労働審判25%・裁判30%+期日ごとに2万円(いずれも税別)、借入金の返済の交渉は別途10万円
  7. 頼む前に:契約の書類・お金の記録・働いた記録・言われたことの記録をそろえ、総額を文字で受け取る
  8. 使わなくていい場合:連絡が取れる・話し合いが要らない・脅されていない・請求や借入がない、の4つがそろえば費用はかからない。代行を使っても、申し入れから2週間で終わる数え方は同じ(期間の定めのない雇用の場合)

弁護士の退職代行で大事なのは、弁護士が良いか悪いかを決めることではなく、自分と会社の間に「辞めること」以外の争いの種が残っているかを先に見ることです。種がなければ、弁護士でない型か、自分で伝えることで足ります。種があるなら、それがお金の請求なのか、言われている賠償なのか、借入なのかで、弁護士に頼む中身と費用の見込みが決まります。決める前に、手元の書類と言われたことの記録をそろえ、辞めたあとのお金を数字にしておけば、払う価値があるかを落ち着いて判断できます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

やめ活編集部です。退職の伝え方・失業保険・退職代行について、法令や省庁・自治体の公式資料を原文で確かめ、確認日を添えてまとめています。

目次