心身の犠牲の上に成り立つ成長をやめる:適応障害から学んだこと
こんにちは。今日は私自身の経験を通じて心身の健康と成長について深く掘り下げてみたいと思います。「成長」という言葉は抽象的だが魅力的で、多くの人がキャリアにおいて追い求めます。しかし、時としてこの「成長」が危険な落とし穴になることがあります。特にその成長が自分の本当の願いと一致していない場合は要注意です。私の経験が、皆さんのキャリアと人生の選択に少しでも参考になれば幸いです。
適応障害との苦闘:アパレルスタートアップでの経験
過酷な環境下での勤務
数年前、私はアパレル業界で急成長中のスタートアップに入社しました。「ファッションレンタル」という誰もまだ最適解を持たない領域で、還流物流の現場のオペレーション改善・構築を担当する役割を担うことになり、非常にやりがいのある仕事に思えました。新しいシステムの導入や物流コストの削減プロジェクトの立ち上げなど、チャレンジングな仕事に挑戦できると意気込んでいましたが、現実は私の想像を超える厳しいものでした。
- 毎日の長時間残業: 1日10~12時間程度の勤務+倉庫現場への移動が当たり前となり、週末も倉庫からのトラブル対応などで稼働する日がほとんどでした。まあこんな環境でも業務を遂行しオペレーションを磨いてきたスーパービジネスパーソンが社内には複数いましたが、凡人の自分にはついていくことが難しかったです。
- 厳しい業務数字へのプレッシャー: 日々のオペレーションコスト・作業リードタイムなど、常に数字に追われる日々。毎日倉庫は稼働していたため日々作業実績とにらめっこ。週次でKPIを役員に報告していましたが、ほぼ毎週厳しい指摘を受けていました。
- 本社と現場の板挟み状態: 本社の理想的なオペレーション計画と、現場の実情との間での意見の食い違い・認識合わせに常にストレスとジレンマを抱えていました。
これらの要因が重なり、私の精神は徐々に蝕まれていきました。当初は「これも成長のため」と自分に言い聞かせていましたが、その考えはいずれ瓦解します。
体調悪化の兆候
入社後半年ほどは、気力と体力をフル動員し仕事に取り組んでいましたが。徐々に体の不調が足音を立てて近づいてきました。
- 慢性的な疲労感: 仕事のストレスによる寝不足が重なり休日も疲れが取れず、ただベッドの上でケータイをいじって過ごすことが多くなりました。趣味や友人との交流も徐々に減っていき、人生から色と感情の起伏が失われていくようでした。
- 止まらぬ吐き気・動悸: 本社や物流現場に近づくだけで、激しい吐き気に襲われるようになり、なんとか仕事場についても体を休めてから出ないと稼働できなくなっていきました。またスラックを見ていると徐々に動悸が激しくなり、気がつけば勝手に涙が流れる日々も。体を壊すために仕事をしているのか?日々の業務の意味が分からなくなっていきました。
体と心が発する警告に耐えきれず、最後はメンタルクリニックに駆け込み「適応障害」の診断書を出してもらい、即日休職となりました。「もう少し頑張れば好転するはず」なんて思わず、辛くなったら医師の診断書をもらい、強制的に仕事をストップするのも有効です。
適応障害から学んだ教訓
この苦しい経験を通じて、私は以下の重要な教訓を得ました。
建前のビジョンや仮置きの目標は長続きしない
会社が掲げる「業界初」や「正解がないことに挑戦する」といったビジョンは魅力的に聞こえました。しかし、それが自分の成し遂げたいこと一致していなかったため、モチベーションを長期的に維持することが困難でした。そうして疲労がやりがいを上回ると、最後は疲弊し、本来感じるべき達成感や成長の実感まま終わりを迎えてしまいます。(そもそも自分が真にやりたいことなんて早々見つかるものではないので、高尚なビジョンを掲げて社員を長時間働かせる企業はやめたほうがいいです。)
がむしゃらに働く中で身につけたスキルや思考法はそれなりにありましたが、働けなくなってしまっては本末転倒です。
何のために仕事をしているんだろう?
何を成し遂げたいんだろう?
何を叶えたいんだろう?
何が欲しいんだろう?
辛い時はこのような質問を投げかけましょう。答えられない・自分の本音か分からなくなったら、危険なサインです。
企業の成長はときに社員の犠牲の上に成り立つ
私が務めていた上記のスタートアップは数年前に上場を果たし、経済紙やビジネス誌で成功事例として取り上げられるようになりました。(株価は一向に上がりませんが…)しかし、私には社員の犠牲の上に成り立つ成功に意味があるのか、大きな疑問を感じずにはいられません。私以外にも体調を崩して休職し、そのまま職場に戻らずフェードアウトしていく社員が何人もいました。
上場の意義は「資金調達と社会的信用の獲得」と代表は話していましたが、そんな会社の目的達成のために私を含め何人もの社員の健康が犠牲になりました。滅私奉公というか、滅心奉公です。たとえ上場して会社の社会的ブランドイメージが向上しても、その裏で個人の健康が損なわれることに、意味はありません。
逃げるが勝ち、犠牲の上に成り立つ成長をやめよう
「頑張ります」と定期的に発言していたら危ない
当たり前ですが、企業の成長と個人の幸福はバランスが取れているべきです。もちろん短期的に頑張る必要がある場面もあるでしょう。新規プロジェクトの立ち上げ時や、重要な納期が迫っている時などは、一時的な頑張りも必要です。しかし、それはエネルギーを未来から前借りしているに過ぎず、その借用分が心身に蓄積していくと、やがて体がそれに耐えきれずパンクします。「頑張ります」と自分の口から出た時は、一時的なエネルギーのドーピングをしていると認識し、定常的に発言されている時は、一度職場環境や働き方を見直したほうが良いです。
もし適応障害やパニック障害・うつ病等を患ってしまうと、回復に時間がかかり、キャリアに大きな影響を与える可能性があります。私の場合、完全に回復するまでに半年以上かかりました。適応障害発症時に務めていた会社を退職し、別の会社に転職後も同様の症状に悩まされ、結局2ヶ月半で退職してしまいました。一度発症すると、新たな挑戦や学習の機会を逃してしまう可能性が高まるのです。
辛くなったら逃げていい。
もし今、職場環境に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、以下のことを心に留めておいてください:
「あなたはすでに十分頑張っています」
自分を責めないでください。現状に悩んでいること自体が、あなたが真摯に仕事と向き合っている証です。もうこれ以上無理に頑張る必要はありません。心身を犠牲にしてまで追い求める成長に、真の価値はありません。むしろ休息を取ることも、立ち止まって考えることも、長期的には成長の一部です。
逃げることは決して敗北ではありません。現状を打破する大事な行動です。そして誰かが抜けても会社は回りますので、過度に心配しなくても大丈夫です。
皆さんが自分らしく、健康的に生きられる環境を見つけられることを心から願っています。そして、この記事が少しでもその助けになれば幸いです。自分の心と体の声に耳を傾け、長期的な視点で自己の成長と健康のバランスを取ることが大切です。私もまだまだ模索中です。一時的な成果や周囲の評価に惑わされず、自分自身が本当に望む人生とは何か、焦らずじっくり探していきましょう。
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