東京生活をやめて福岡市に移住して感じたメリット
東京は刺激的、欲しいモノは何でもそろう(お金があれば)、様々な価値観を持つ人たちと気軽に交流できる。
でも人は多い、物価は高い、仕事は忙しい、リラックスできる場所が少ない…
東京で社会人生活を送っていると、誰もが一度はそのような感覚を味わったことがあるのではないでしょうか?
私もひしひしと感じ、最終的に【東京】という環境に辟易して福岡県・福岡市に移住しました。結果東京では味わえなかった人生の豊かさに気づきつつあり、まだまだ道半ばですが生き方を再考できるようになってきました。
そこでこの記事では、私が東京での生活をやめて福岡市に移住した理由と、移住して実感するメリットをご紹介します。
東京生活をやめた理由
適応障害を患い会社を退職した
東京で働いていた当時、努めていた会社で適応障害を発症してしまい、復帰が難しかったため退職しました。当時アパレルベンチャーで物流現場のオペレーションを改善する仕事をしていましたが、残業時間と業務数字のプレッシャー・本社と現場の板挟み等に精神が耐えきれず、壊れてしまいました。自分の退職歴については今後別の記事で紹介しますが、もう2度と物流関連の職種に就くことはないでしょう笑
そうして会社をやめてフリーとなりましたが、今後も満員電車で通勤し、夜遅くまで働く割には対してお金も貯まらず狭い部屋での生活を続けていると、いずれまた精神的な不調を起こすなと一種の危機感を感じました。というわけで次の生活では東京を離れたほうがよいという結論にいたり、ちょうど家賃の更新時期も相まったので、東京での生活に別れを告げました。
今も出張などで一時的に東京に戻るときもありますが、改めて満員電車で圧迫感を感じると「もう住めないな」とつくづく思うばかりです…
可処分所得・気力を増やしたかった
東京は日本一物価が高く、新卒から社会人数年目のうちはそう簡単にお金はたまりません。もちろん世にある節約術を駆使して一定蓄財することは可能ですが、生活の基礎的な支出額が高いとそれも限界があります。なお2021年に総務省が実施した調査によると、東京は可処分所得と基礎支出との差額が全国で42位と非常に低い位置にあります。
出所:総務省:都道府県別の経済的豊かさ』(可処分所得と基礎支出)
そうした環境から抜け出し、より金銭的に豊かになりたいという動機も東京生活をやめた理由の1つです。
また可処分気力とは、私が福岡への移住転職時にお世話になった人材紹介会社が提唱されている言葉で、「自分が自由に使える活力」を意味します。東京では良くも悪くも色んな刺激や雑音に会い、それはときに心身のエネルギーを消耗していくものです。そのような喧騒から距離を置き、自分が真にやりたいこと・興味の赴くことに注力できる環境を欲していました。
出所:株式会社YOUTURN:可処分“気力”、持てていますか?
恐らく一定器用な人は東京でも自分に集中できる環境を整え自由にやりたいことをやれると思いますが、私にはそんなセンスはなく、思い切って環境を丸ごと変える決断をしました。
異なる土地で生活してみたかった
私は非常に飽き性であるため、同じ土地に数年もいるとそこでの生活に魅力を感じなくなってしまう気質です。同じ通勤ルート・同じスーパー・同じ娯楽施設、日々自分を取り巻く世界が固定化されていくにつれ日々の生活に浮き沈みが消えていき、やがては言いようのない閉塞感を感じるようになります。そのような場所にいても時間を浪費するだけなので、全く未経験の場所に移り再び人生にワクワクしたくて東京を飛び出しました。
完全に主観ですが、自分の思考と価値観の限界を超えるには、新鮮な環境に身を投じ、自分の内側と外側を見つめ直す必要があると思います。移住はまさにその条件を満たしてくれます。私は転職というライフイベントに伴い移住しましたが、もしあなたが今後転職先を探すときは、企業軸だけにとどまらず、住みたい場所を軸として探してみてもよいかもしれません。加えて、職種にもよりますが今はフルリモートを承認している企業も沢山ありますので、東京本社の企業に転職しつつ地方への移住も現実的だと思います。
福岡市を移住先に選んだ理由
都市と自然のバランスが丁度良さそう
福岡市は都市と自然のバランスが高度に取れている日本屈指の都市と言えます。まず福岡到着時に利用した福岡空港ですが、九州の玄関口である博多駅にわずか5分・九州最大のビジネス街である天神にも11分で到着できます。また博多・天神ではそれぞれ【博多コネクティッド】・【天神ビッグバン】という都市再開発計画が進行中であり、今後も様々に特色のあるビルや商業施設が建設されていきます。福岡に来る前からニュース記事を見てワクワクしていましたが、実際に移住してからも再開発を目の当たりにし、福岡市が生まれ変わっていく感覚を肌で感じています。
博多コネクティッド:博多駅周辺の約500mを対象とした再開発プロジェクト。2028年までに約20棟の建替えが予定されていたが、2024年6月の時点で当初目標を既に達成。
天神ビッグバン:天神地区の約500mを対象とした再開発計画。2026年までに30棟以上のビル建替えが計画されている。
都市としての魅力がある一方で、中心地から車で30分ほどで山や海といった自然環境にアクセスできるのものも移住の決め手でした。福岡市内では油山という標高597mの山でキャンプすることもできますし、志賀島や能古島で海水浴もできます。また実際に私も移住してみて、スーパーに買い出しに行くときに海沿いの道をサイクリングしながら向かえるのは、東京にいた時は想像もしていませんでした。なので平日は中心街でガッツリ仕事をし、週末は少しの遠出で自然を存分に楽しめます。ここまで都市も自然も両取りできる場所は日本でもそう多くはないでしょう。
スーパーに行く道のそばにはもう海が広がっています。
他都市と比べて物価が安い
福岡市は、全国の他都市と比較しても物価が安い傾向にあります。2023年に総務省が公表した資料では、全国20の政令指定都市の消費者物価地域差指数での最安値を記録しました。
出所:総務省:『小売物価統計調査(構造編)』消費者物価地域差指数(2023年年6月30日発表分)
福岡は農産物や海産物、酪農製品において生産地としても有名であり、輸送費があまりかからないため食料品が安価で手に入りやすいです。(地産地消もできて一石二鳥ですね笑)実際に移住してみて、ディスカウントスーパーで国産の豚肉が100g69円、バナナが一房99円、キャベツが一玉108円から買えたりと、東京で生活していたときよりも目安3分の2以下で生活に必要なものが手に入ります。
余談ですが、福岡市の居酒屋は安くても味のクオリティが高いです。九州中から美味しい食材が集まり、そこまでお財布に気を使わなくても良質な料理を十分楽しめます。(福岡の居酒屋のクオリティに慣れると、東京の居酒屋に入るのはコスパ的に躊躇するようになるかもしれません…)
市内の居酒屋はどこも美味しく、活イカを提供してくれるお店もあります
IT業界の成長性がありそう
福岡市は2012年に「スタートアップ都市宣言」を行い、他都市に先駆けて起業支援体制を整え、成長が見込める企業の育成に注力しています。またそこからスタートアップの支援施設の「Fukuoka Growth Next」や、福岡のエンジニアの育成・交流などを目的とした取り組みの「エンジニアフレンドリーシティ福岡」などが生まれ、ITスタートアップが育ちやすい環境も醸成されてきました。さらにこの流れを受けて東京本社のITベンチャー企業が福岡市に開発拠点を新設するなど、福岡市外からもIT企業が続々と進出してきています。
東京では私もゴリゴリのITスタートアップで働いていたので、この潮流に乗ることに不安はありませんでした。また、東京では良くも悪くもIT人材の供給面でライバルが多いと感じていましたが、福岡市はこれからIT産業がより活発化していく過程。東京にいるよりもライバルがまだ少ないからこそ、様々なポジションや機会を手にできると思いました。
福岡市に移住して感じたメリット
可処分気力が増えた
福岡は東京ほど人口が密集していないため、他人に意識を向けるリソースが減り、自分の内面に集中する時間が増えました。その結果、時間の流れがスローに感じられ、東京での生活に比べて一日一日をより充実して過ごせています。学生時代以来忘れていた自分の人生の主導権を取り戻しつつあり、人生は他の誰でもなく自分自身のためにあることを再認識しています。
また東京では人の多さからか無意識に周りからの圧を感じ萎縮してしまってましたが、福岡ではそのような圧がなく、内発的に日々を過ごせているため、以前よりも活発に動けるようになりました。勉強や仕事で行き詰まった時も、東京ではその場しのぎに散財していましたが、福岡市では自転車で7分ほどで砂浜にアクセスできる環境に住んでいるため、さざ波の音と眼前に広がる今津湾の景色が心のデッドロックを解消してくれます。海を眺めていると、自分の悩みが自然の雄大さに比べてどれほど小さいかを感じ、おかげで東京にいた頃よりも消耗せずに生活できています。
可処分所得が増えた
福岡に移住して時間の流れをゆっくりと感じるようになり、自分がどのようにお金を使っているかについて意識するようになりました。今では「これは消費か、投資か、浪費か、浪費なら価値ある浪費か、そうでないか」と考えるようになり、スプレッドシートを使って家計簿を作成し、お金の流れを可視化しています。その結果、どこで消費がかさんでいるかが分かり、無駄な支出を抑制できています。福岡の物価が安いことも影響していますが、この支出管理により、東京での生活時よりも可処分所得が約20%増え、貯金だけでなく投資にもお金を回せるようになりました。
可処分所得を増やす上では、収入を増やすよりも支出を減らすほうが実現しやすく、インパクトも大きいです。しかし、意志力だけで支出を減らそうとするのには限界があります。まずはお金の使い方と向き合える環境づくりから始めるのが良いかもしれません。
東京に住んでいた時は、お金の使い方に気を遣う余裕がなく、散財も多かったですが、福岡ではそのような無駄遣いを仕組みで防げるようになっています。このようなお金の意識改革により、生活がより充実したものになりました。
無駄な人付き合いが減った
福岡市に限らず移住全般に言えることですが、移住を通じて良い意味で人との交流を減らせました。東京での生活では、多くの知り合いとの関わりがあり、「断ったら関係が悪くなるかも」という不安や義務感から参加するイベントや飲み会もありました。ですが福岡市に来てそのような人間関係が物理的にリセットされ、自分と対話し内省できる「優雅な孤独」の時間が確実に増えています。また人間関係のリセットに伴い、他者との付き合い方が「量」から「質」に変わりつつあり、より濃密に時間を過ごせるようにもなってきました。やはり人と会う時は、「会わないといけない」関係よりも「ただ会いたい」関係の人と時間を過ごしたいですよね。
人生はアップデートの連続です。ですが同じ環境では、そのチャンスを逃してしまいがち。新しい環境・新しい出会いは、あなたの価値観を刺激し、成長させるパワフルな触媒となります。そしてその出会いには単に他者との出会いだけではなく、「優雅な孤独」を通じて新しい自分に出会うことも含まれます。移住は不必要な付き合いに終止符を打ち、新たな価値観に出会う機会を数多くもたらしてくれます。
東京での生活に閉塞感を感じている人へ
あなたは今、大都会の喧騒の中で自分を見失いそうになっていませんか?毎日の通勤ラッシュ、終わりのない仕事、そして義務的な人間関係。それらに囲まれ、「このままでいいのだろうか」と自問自答する日々。私も以前はその気持ちを抱えていました。
でも、忘れないでください。あなたの人生は、あなただけのものです。変化を恐れる必要はありません。むしろ、その閉塞感こそが、新しい扉を開くチャンスです。
福岡への移住は、私にとって人生を変える選択でした。それは単なる場所の変更ではなく、自分自身を見つめ直す旅の始まりでした。新しい環境は、あなたに「優雅な孤独」の時間を与え、本当の自分と向き合う機会をもたらします。
もちろん、すぐに行動を起こす必要はありません。まずは、自分の心の声に耳を傾けてみてください。週末を利用して、福岡への小旅行を計画してみるのもいいでしょう。新しい景色、新しい料理、新しい出会い。それらが、あなたの心に新風を吹き込んでくれるはずです。
人生は行動したもの勝ち。ぜひ福岡市への移住を検討してみてください。